Claude Mythosとは?Anthropic最強AIの能力・安全性・Project Glasswingを徹底解説

Claude Mythos Preview とは Anthropic 最強 AI 能力 安全性 Project Glasswing 徹底 解説
押さえておきたいポイント
  • Claude Mythos 5は、Claude Mythos Previewの後継モデルで、サイバーセキュリティ・生物学・ヘルスケア領域に強みを持つ
  • 前身のClaude Mythos Previewは、主要OS・ブラウザ・OSSのゼロデイ脆弱性を発見し、一部ではエクスプロイト生成まで自律的に進めた
  • 高度な能力は攻撃にも転用できるため、Mythos 5は審査済み組織へ限定提供され、一般向けには安全策を備えたClaude Fable 5が展開されている

Anthropicが2026年6月9日、Claude Mythos Previewの後継モデルである「Claude Mythos 5」を発表しました。Claude Mythosは、Anthropicがサイバーセキュリティや生命科学研究向けに展開する高性能AIモデルです。Claude Mythos 5は、サイバーセキュリティ領域で高い性能を示したPreviewを、複数のベンチマークで上回りました。

一方で、こうした強力な能力は「どこまで実務で活用できるのか」「既存のLLMと何が異なるのか」「リスクとどのように向き合うべきか」といった新たな論点も生み出しています。特に、攻撃・防御の両面で利用可能なデュアルユース技術は、従来モデル以上に慎重な取り扱いを求められるポイントです。

そこで本記事では、Claude Mythosの概要や特徴、従来モデルとの違いを整理しながら、どのようなユースケースで価値を発揮するのかを解説します。最後までお読みいただければ、Claude Mythosがなぜ限定公開という形を取っているのか、その背景にある技術的・社会的インパクトまで理解できるはずです。

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監修者田村 洋樹

株式会社WEEL代表取締役 / 累計25社以上のAIアドバイザリーを担当 / 企業向けセミナー・大学講義でのべ10,000人超に登壇 / 日本HP・インテルなど、大手企業主催カンファレンスへの登壇実績多数。AI導入支援・生成AIを活用した業務改革のプロとして、アドバイザリー・PM・講演者など多面的な立場から企業を支援中。

目次

Claude Mythosの概要

Claude Mythosは、Anthropicが防衛的サイバーセキュリティや研究用途向けに展開している高性能AIモデルです。初期版にあたるClaude Mythos Previewは、2026年4月にProject Glasswingとあわせて発表され、主要OS・ブラウザ・OSSに潜むゼロデイ脆弱性の発見で注目を集めました。 

現在は、その後継モデルとしてClaude Mythos 5が登場しています。Claude Mythos Previewと比べ、サイバーセキュリティ・生物学・ヘルスケア関連のベンチマークで性能向上が見られています。 

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比較項目 Claude Mythos Preview Claude Mythos 5
発表時期2026年4月2026年6月
位置づけProject Glasswingで提供された初期版モデルClaude Mythos Previewの後継モデル
主な用途防衛的サイバーセキュリティサイバーセキュリティ・生物学・ヘルスケア研究
一般公開なし一部の審査済みパートナーに限定提供
提供先Project Glasswing参加組織などProject Glasswing参加組織・一部研究機関など
料金入力100万トークン25ドル、出力100万トークン125ドル入力100万トークン10ドル、出力100万トークン50ドル
Claude Mythos PreviewとClaude Mythos 5の違い

ただし、Claude Mythos 5は一般ユーザー向けに広く公開されているモデルではありません。高度なサイバー能力や研究支援能力を持つため、現時点ではProject Glasswingなどの信頼アクセスプログラムを通じて、審査を受けた一部パートナーに限定提供されています。 

Claude Mythosの仕組み

Claude Mythos 5は、Claude Fable 5と同じ基盤モデルを用いながら、用途に応じてセーフガードと提供範囲を調整したモデルです。テキスト・画像の入力に対応し、最大100万トークンのコンテキストと最大12万8,000トークンの出力を扱えます。長いコードや資料をまとめて読み込み、複数工程の作業を継続しやすい設計です。

推論には、課題の難しさに応じて思考量を調整する「adaptive thinking」が常時使われます。コード実行・メモリ・ツール呼び出し・画像認識などを組み合わせ、計画・実行・検証・修正を繰り返せるため、脆弱性調査や大規模なコード修正をエージェント型の作業として進められます。

Claude Fable 5との主な違いは、分野別の安全分類器を含むセーフガードの強さと提供範囲です。Fable 5は危険性の高いサイバーセキュリティ・生物学関連の要求を拒否するか、Claude Opus 4.8へ切り替えます。

一方、Mythos 5は審査済みの防衛・研究用途で使えるよう、Fable 5向けの安全分類器を搭載しない構成です。つまり、中核となる性能は共通し、利用範囲と安全制御が異なります。

Claude Mythosは従来AIと何が違い何がすごいのか? 

Claude Mythos 5が従来のチャット型AIと異なる点は、質問に回答するだけでなく、コードや画像を読み取り、計画を立て、ツールを操作しながら検証・修正まで進められることです。ツールや実行環境と組み合わせることで、人の指示を1つずつ待たずに、複数工程にまたがる開発や調査を長時間継続できるAIエージェントとして活用できます。

Claude Mythos 5と一般向けのClaude Fable 5は、同じ基盤モデルと基本性能を共有しています。大きな違いは安全制御で、Mythos 5では審査済みの防衛的サイバーセキュリティ業務を妨げないよう、Fable 5に搭載された一部の安全分類器が除かれました。そのため、単に「Fable 5より高性能なモデル」ではなく、高度な能力を承認済みの用途で引き出せるよう提供方法を変えたモデルとなっています。

特筆すべき点は、コード理解・推論・自律実行という汎用能力が、実際の脆弱性発見や修正支援につながっている点です。前身のClaude Mythos Previewは主要OSやブラウザのゼロデイ脆弱性を発見し、一部では人の追加介入なしに攻撃コードの構築まで進めました。一方で攻撃目的にも転用できるため、Claude Mythos 5は2026年7月時点でもProject Glasswingを通じた招待制で提供されています。

Project Glasswing

Project Glasswingは、Claude Mythos Previewの発表と同時に立ち上げられた、世界の重要なソフトウェアやインフラを保護するための業界横断協力プログラムです。Anthropicが主導し、世界の主要テクノロジー企業・金融機関・オープンソース団体が連携しています。

Project Glasswing公式ページ
参考:https://www.anthropic.com/glasswing

初期パートナーには、Amazon Web Services(AWS)、Apple、Broadcom、Cisco、CrowdStrike、Google、JPMorganChase、Linux Foundation、Microsoft、NVIDIA、Palo Alto Networksが名を連ねています。各パートナーはClaude Mythos Previewへのアクセス権を取得し、自社システムの脆弱性発見・修正に活用できます。

Project Glasswing初期パートナー
参考:https://www.anthropic.com/glasswing
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項目内容
目的世界の重要ソフトウェアインフラのセキュリティ強化
主要パートナーAWS、Apple、Broadcom、Cisco、CrowdStrike、Google、JPMorganChase、Linux Foundation、Microsoft、NVIDIA、Palo Alto Networks
拡大方針15カ国以上の約150組織を新たに追加※1
モデルアクセス条件防衛的サイバーセキュリティ目的に限定
Anthropicの投資パートナー向けに1億ドルの利用クレジットを提供
オープンソース支援Linux FoundationのAlpha-OmegaとOpenSSFに250万ドル、Apache Software Foundationに150万ドル
Project Glasswing概要

Project Glasswingの研究プレビューでは、Anthropicが最大1億ドル分のモデル利用クレジットを用意しています。また、オープンソースのメンテナーが増え続ける脆弱性に対応できるよう、関連団体へ合計400万ドルを寄付しました。

初期版のClaude Mythos Previewは、入力100万トークンあたり25ドル、出力100万トークンあたり125ドルで提供されていました。後継のClaude Mythos 5では、それぞれ10ドル、50ドルへ引き下げられています。

Claude Mythosの特徴

Claude Mythosの主な特徴は、サイバーセキュリティ能力に加えて、コーディング・推論・長文処理・研究支援などの汎用能力も高い点です。初期版のClaude Mythos Previewは、SWE-bench VerifiedやTerminal-Bench、Humanity’s Last Examなど複数の評価でClaude Opus 4.6を上回る結果を示しました。

現在のClaude Mythos 5は、Claude Fable 5と同じ基盤モデルを使いながら、防衛的サイバーセキュリティや研究用途向けに提供されるモデルです。Anthropicは、Claude Mythos 5をサイバーセキュリティ・生物学・ヘルスケアで最先端の性能を持つモデルと位置づけています。

Anthropicの評価では、Claude Mythos 5は、ソフトウェア開発・サイバーセキュリティ・生命科学・医療など、多くの分野で主要モデルを上回るスコアを記録しています。ベンチマークの数値などについては、Anthropic公式「Claude Fable 5 and Claude Mythos 5」、同「Claude Fable 5 & Claude Mythos 5 System Card」を参考にしました。

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評価ベンチマークClaude Mythos 5Claude Mythos PreviewClaude Opus 4.8GPT-5.5Gemini 3.1 Pro
SWE-bench Verified95.5%93.9%88.6%80.6%
SWE-bench Pro80.3%77.8%69.2%58.6%54.2%
OSWorld-Verified85.0%85.4%83.4%78.7%76.2%
Humanity’s Last Exam(ツールあり)64.5%64.7%57.9%52.2%51.4%
BioMysteryBench(Human Difficult)46.1%29.6%40.0%
Terminal-Bench 2.188.0%82.7%83.4%70.7%
ExploitBench(Cap%)78.0%69.0%40.0%34.0%
HealthBench Professional66.0%64.7%56.9%51.8%
Claude Mythos 5と主要AIモデルのベンチマーク比較

なお、「―」は公式資料でスコアが掲載されていない項目を示します。

サイバーセキュリティ能力の飛躍

Claude Mythos 5は、脆弱性の発見だけでなく、攻撃に利用できる高度な手順を組み立てる能力でも高い性能を示しています。 CyberGymでは、1,507件の課題のうち83.8%で対象の脆弱性を再現し、99.4%で何らかのクラッシュを発生させました。Claude Mythos Previewの83.1%・97.1%を上回り、Claude Opus 4.8との差も広げています。

さらに、ソフトウェア攻撃の工程を段階的に評価するExploitBenchでは、Claude Mythos 5のCap%が78%を記録しました。Claude Mythos Previewの69%、Claude Opus 4.8の40%、GPT-5.5の34%を上回っており、単に不具合を起こすだけでなく、コード実行につながる攻撃手法を構築する能力が向上していることが分かります。

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評価ベンチマーク評価指標Claude Mythos 5Claude Mythos PreviewClaude Opus 4.8GPT-5.5
CyberGym対象脆弱性の再現率(pass@1)83.8%83.1%78.1%
CyberGym何らかのクラッシュを発生させた割合99.4%97.1%95.7%
ExploitBench獲得した能力フラグの平均10.759.905.564.44
ExploitBenchCap%78%69%40%34%
Claude Mythos 5のCyberGym・ExploitBench評価結果

なお、ExploitBenchの「Cap%」は、脆弱性の再現から任意コード実行までを段階化した能力項目のうち、モデルが達成した割合です。表の数値はAutoNudge条件で評価されており、安全機構を無効化した状態のため、一般提供されている各モデルの性能と単純には比較できません。

コーディング・ソフトウェアエンジニアリング

Claude Mythos 5は、複雑なソフトウェア開発課題を処理する能力にも優れています。大規模なコードベースの読解や複数ファイルにまたがる修正、テスト実行、デバッグなどを連続して進められるため、単純なコード生成にとどまらない実務的な開発支援への活用が期待されます

AnthropicのSWE-bench Pro評価では、推論レベルがLowの場合でも75.0%を記録し、Mediumで78.2%、Highで79.6%、X-highでは80.4%まで向上しました。Claude Opus 4.8のスコアは60.3〜68.6%であり、Claude Mythos 5はすべての推論レベルで上回っています。

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推論レベルClaude Mythos 5Claude Opus 4.8
Low75.0%60.3%
Medium78.2%65.2%
High79.6%67.5%
X-high80.4%68.6%
Claude Mythos 5とClaude Opus 4.8のSWE-bench Pro評価

特に、Claude Mythos 5はLow設定でも、Claude Opus 4.8のX-high設定を上回りました。推論量を抑えながら高い性能を発揮できるため、開発速度と処理コストの両方を重視するソフトウェア開発でも活用が期待されます。ただし、ベンチマークの結果がすべての実務環境で同じように再現されるとは限らないため、自社のコードや開発フローを使った検証も必要です。

数学・推論・知識ベンチマーク

Claude Mythos 5は、数学や科学分野における複雑な推論でも高い性能を示しています。研究水準の数学問題を扱うRiemannBenchでは、ツールやWeb検索を使わずに55.0%を記録しました。Claude Mythos Previewの43.0%、Claude Opus 4.8の34.0%を上回っており、多段階の理論的推論能力が大きく向上しています。

また、証明問題で構成されるUSAMO 2026では、Medium・High・X-highの各推論レベルで99.8%、Lowでも98.3%を記録しました。同じ評価条件におけるClaude Opus 4.8のスコアは96.7%です。ただし、USAMOはほぼ満点に達しているため、モデル間の細かな能力差を確認する際はRiemannBenchの結果も参考になります。

最新の研究論文から問題を作るArxivMathでも、Claude Mythos 5は78.52%を達成しています。GPT-5.5の71.48%やGemini 3.1 Pro Previewの64.79%を上回っており、学習データに含まれにくい比較的新しい研究課題への対応力も示されました。

知識と科学的推論を評価するGPQA Diamondでは94.1%を記録しています。ただし、Anthropicは同ベンチマークが飽和状態にあるとして、今後のモデルでは報告を終了する方針です。

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ベンチマーク評価内容Claude Mythos 5主な比較結果評価条件・注意点
RiemannBench研究水準の数学問題における多段階の理論的推論55.0%Claude Mythos Preview:43.0%/Claude Opus 4.8:34.0%25問を対象に最大推論設定・ツール・Web検索なしで評価。1問につき平均4回実行
USAMO 2026高校数学オリンピックの証明問題99.8%(Medium・High・X-high)/98.3%(Low)Claude Opus 4.8:96.7%/Claude Opus 4.7:69.3%6問を対象に1問につき10回実行。証明を複数モデルで採点
ArxivMath最新の数学研究論文をもとに作られた研究水準の問題78.52%GPT-5.5:71.48%/Gemini 3.1 Pro Preview:64.79%2026年3月・4月版の計71問を使用。最大推論・ツールなしで1問につき4回実行
GPQA Diamond大学院レベルの科学知識・推論問題94.1%公式資料では同条件の最新モデル比較を掲載せず198問のDiamondサブセットを対象に5回評価した平均値。Anthropicは飽和した評価と判断
Claude Mythos 5の数学・推論・知識ベンチマーク結果

なお、ベンチマーク結果を見る際は、単純な正答率だけでなく、問題の新しさや難易度も確認する必要があります。

マルチモーダル・エージェント能力

Claude Mythos 5は、画像や画面の内容を理解するだけでなく、その情報をもとに複数の操作を進めるマルチモーダル・エージェント能力にも優れています。OSWorld-Verifiedでは85.0%を記録し、Claude Opus 4.8の83.4%を上回りました。

モデルOSWorld-VerifiedScreenSpot-Pro(ツールなし)ScreenSpot-Pro(Pythonツールあり)
Claude Mythos 585.0%87.3%90.7%
Claude Mythos Preview85.4%79.3%93.0%
Claude Opus 4.883.4%82.4%89.5%

Claude Mythos 5のOSWorld-Verified・ScreenSpot-Pro評価結果

OSWorld-Verifiedは、Ubuntu環境で文書編集・Web閲覧・ファイル管理などを実行する評価です。Claude Mythos 5は、画面を読み取りながらマウスやキーボードを操作し、実務に近いPC作業を高い割合で自律的に完了できることを示しました。ただし、再評価されたClaude Mythos Previewの85.4%とはほぼ同水準であり、旧モデルから明確に向上した結果ではありません。

また、高解像度の業務アプリ画面から指定された要素を見つけるScreenSpot-Proでは、ツールなしで87.3%、Pythonツールありで90.7%を記録しています。特にツールなしの評価は、Claude Mythos Previewの79.3%、Claude Opus 4.8の82.4%を上回っており、画面上の小さなボタンや入力欄を正確に認識する能力が向上しました。

これらの結果から、Claude Mythos 5はスクリーンショットやGUIを理解し、必要な操作を判断して実行する用途に強いモデルといえます。将来的には、業務システムの操作・資料作成・Web調査など、複数の画面やツールをまたぐ作業への活用が期待されます。

Claude Mythosが発見したゼロデイ脆弱性事例

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対象発見・評価された内容結果・影響
OpenBSDTCP SACK処理に27年間残っていた脆弱性遠隔から対象ホストをクラッシュさせるDoS攻撃につながる可能性
FreeBSDNFSサーバーに17年間存在したリモートコード実行脆弱性認証前の攻撃者がroot権限を取得可能。CVE-2026-4747として公開
FirefoxJavaScriptエンジンの脆弱性に対するエクスプロイト生成250回の試行中181回で成功。Claude Opus 4.6は数百回中2回
FFmpegH.264コーデックに16年間残っていた範囲外書き込み細工した動画ファイルによってプロセスがクラッシュする可能性
Claude Mythosが発見した主なゼロデイ脆弱性事例

Claude Mythosは、長年発見されなかったゼロデイ脆弱性を特定し、攻撃コードの作成まで自律的に進めた実績があります。前身のClaude Mythos Previewは、OpenBSDに27年間残っていた不具合や、FreeBSDの17年前から存在するリモートコード実行脆弱性を発見しました。

また、Firefoxの脆弱性に対する評価では、250回の試行中181回で動作するエクスプロイトを生成。Claude Opus 4.6は数百回の試行で2回にとどまり、脆弱性の発見から悪用可能性の検証まで進める能力が示されています。※2

なお、OpenBSD・FreeBSD・FFmpegの脆弱性は、Anthropicの公式評価でClaude Mythos Previewが発見した事例です。Firefoxの数値は、修正済みの脆弱性を使ったエクスプロイト生成評価を示しています。

Claude Mythosの安全性・制約

Claude Mythos 5は、高度なサイバーセキュリティ能力や生物学分野の推論能力を持つ一方、攻撃や危険な研究に転用されるデュアルユースリスクも抱えています。Anthropicは、脆弱性の発見・悪用や複数工程にわたるサイバー攻撃を容易にする可能性があるとして、一般公開せず、審査を通過した組織に利用を限定しています。

一般向けのClaude Fable 5は、Claude Mythos 5と同じ基盤モデルに安全機構を加えたモデルです。サイバーセキュリティや生物学・化学に関する危険性の高いリクエストを分類器で検出し、回答を遮断するか、比較的サイバー攻撃能力が押さえられたClaude Opus 4.8へ切り替える場合があります。一方、Claude Mythos 5では、Project Glasswingなどの承認済み利用者に対し、正当な防衛研究を妨げないようサイバー分野の追加制限が解除されています。

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比較項目Claude Mythos 5Claude Fable 5
主な提供対象審査済みのサイバーセキュリティ組織・研究機関一般ユーザー・企業
サイバー分野の安全機構承認された防衛用途では追加制限を解除危険性のある要求を遮断・Opus 4.8へ切り替え
生物学・化学分野審査済み研究者への段階的な提供を予定多くの関連要求をOpus 4.8へ切り替え
データ保持安全監視のため30日間保持安全監視のため30日間保持
主な制約一般公開されず、利用組織と用途を限定正当な研究・開発でも誤検知される場合がある
Claude Mythos 5とClaude Fable 5の安全機構・利用制限の違い

Claude Mythos 5の利用では、安全監視を目的とした30日間のデータ保持への同意が必要です。保持したデータは新たなClaudeモデルの訓練には使わず、複数リクエストにまたがる攻撃や未知の脱獄手法を検出する目的で利用するとAnthropicは説明しています。

なお、ゼロデータ保持(ZDR)契約では利用できません。利用プラットフォームごとの保持条件も確認が必要です。

ただし、安全機構は完全ではありません。外部テストでは、Fable 5から単発の攻撃的な回答や一部のエージェント操作を引き出す手法も確認されました。

また、安全側に判定範囲を広く設定しているため、脆弱性診断やデバッグなどの正当な依頼が遮断される場合もあります。企業がClaude Mythos 5を利用する際は、アクセス権限・ログ監視・人による確認・利用目的の限定を含む厳格な運用体制が欠かせません。

Claude Mythosの一般公開が停止された理由

Claude Mythosは、厳密には「一般公開された後に停止された」というより、初期段階から一般提供が見送られていたモデルです。理由は、高度なサイバーセキュリティ能力が攻撃目的に転用されるリスクが大きいと判断されたためです。

Anthropicは、Claude Mythosについて「一般提供は計画していない」と説明し、代わりにProject Glasswingを通じて、防衛的なサイバーセキュリティ目的のパートナーへ限定提供してきました。その後、Claude Fable 5とClaude Mythos 5が発表されましたが、こちらも一時的に米政府の輸出管理指令によって提供が停止され、2026年7月時点ではFable 5は世界向けに再開。Mythos 5は一部の米国組織で復旧し、その他のGlasswing組織への拡大は調整中です。

Claude Mythosの提供状況

2026年7月時点で、初期版のClaude Mythosは一般ユーザー向けには提供されておらず、Project Glasswingなどの限定プログラムを通じた提供が中心です。Project Glasswingは、重要ソフトウェアや社会インフラを守るための防衛的な取り組みであり、参加組織は脆弱性の発見・検証・修正にClaude Mythosを活用します。

一方、後継にあたるClaude Mythos 5は、Claude Fable 5と同じ基盤モデルを使いながら、一部のサイバーセキュリティ制限を緩めたモデルとして位置づけられています。Anthropicは、Claude Mythos 5について、Project Glasswing参加組織を中心にアクセスを拡大する方針を示しています。

一般公開の見通しについて

AnthropicはClaude Mythosの一般提供よりも限定アクセスを優先しており、現時点で一般公開の予定は示していません。Anthropicは、サイバー能力を悪用されないための強固なセーフガードが必要であり、その開発にはまだ課題があると説明しています。

ただし、一般利用向けにはClaude Fable 5が登場しています。Fable 5は「Mythos-class」の能力を持ちながら、危険なサイバー・バイオ・蒸留関連のリクエストでは制限が働く設計です。2026年7月1日からは、Fable 5の利用がグローバルに再開され、Claude Platformやclaude.aiなどで段階的に提供されています。

Claude Mythosに対する日本政府の対応

日本政府は、Claude Mythosを含むフロンティアAIのサイバー能力向上を受け、2026年5月18日に対策パッケージ「Project YATA-Shield」を策定しました。重要インフラや政府システムを対象に、AIを活用した脆弱性の早期発見、パッチの作成・適用、多層防御の強化を進める内容です。※3

片山さつき金融担当大臣は2026年6月2日、日本政府と一部の国内金融機関がClaude Mythos Previewへのアクセスを得たと説明しました。ただし、金融機関名は公式には公表されていません。※4

その後、米政府の輸出管理によってFable 5とMythos 5の提供が一時停止されました。規制は6月30日に解除されたものの、2026年7月時点でMythos 5のアクセスが復旧したのは一部の米国組織です。日本を含む海外のProject Glasswing参加組織への提供再開時期は、まだ明らかにされていません。

日本政府は特定のモデルだけに依存せず、利用可能なフロンティアAIを活用しながら、政府機関や金融・通信・電力などの重要システムの点検を進める方針です。※5

【課題別】Claude Mythosが解決できること

Claude Mythos 5は、サイバーセキュリティ・ソフトウェア開発・専門研究など、複雑な判断と複数工程を伴う課題の支援に向いています。回答を返すだけでなく、コードや資料を読み、必要なツールを選びながら長時間の作業を進められる点が特徴です。ただし、現時点での利用は限定パートナーのみに制限されています。

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課題解決できること解決が難しいこと
セキュリティ脆弱性の特定大規模なコードを解析し、未知の脆弱性候補の発見・再現・修正案の作成を支援誤検知の完全な排除、脆弱性の最終判断、メンテナーとの調整や責任ある情報開示
複雑なソフトウェア開発複数ファイルの修正・テスト・デバッグ・ターミナル操作を連続して実行要件が曖昧な開発、本番環境での安全性保証、人によるレビューなしでのリリース
専門的な研究論文の分析・仮説作成・実験計画・データ整理などを効率化仮説や研究結果の正しさの保証、実験による再現確認、医療・研究上の最終判断
大規模な知識処理長文資料・図表・複数データを読み込み、比較・要約・論点整理を実行情報源に誤りがある場合の正確な判定、非公開情報の自動取得、出典確認の完全な自動化
Claude Mythosで解決できること・解決が難しいことの比較

Claude Mythosは複雑な調査や作業を効率化できますが、結果の正確性や安全性を保証するものではないため、専門家による確認と適切な運用管理が欠かせません。

セキュリティ脆弱性の発見・修正コストを削減できる

Claude Mythosは、大規模なコードを解析し、脆弱性候補の抽出から再現、修正案の作成まで支援できます。前身のClaude Mythos Previewによるオープンソース調査では、23,019件の候補が検出され、外部企業が確認した1,900件のうち1,726件が有効と判定されました。※6

Project Glasswingの参加組織では、修正パッチの作成やリリース前の安全確認にも活用されています。調査の初期工程やパッチ作成を効率化すれば、専門家の作業時間を減らし、診断・修正にかかるコストの抑制につながります。

ただし、発見内容の検証や情報開示、本番環境への適用は依然として人手が必要です。AIだけで修正まで完結するわけではなく、専門家による確認が欠かせません。

一般企業でも利用しやすいAnthropicの脆弱性検出ツールについて知りたい方は、Claude Securityの解説記事も参考にしてみてください。

複雑なソフトウェア開発課題の自律的な処理を支援できる

Claude Mythos 5は、大規模なコードベースを読み込み、修正・テスト・デバッグを連続して進められます。SWE-bench Proでは80.3%、ターミナル環境の実務的な課題を扱うTerminal-Bench 2.1では88.0%を記録しました。

また、ProgramBenchでは、既存プログラムの説明と実行ファイルだけを手がかりにコードを再構築し、隠されたテストの84〜93%に合格しています。仕様調査から実装・検証までを一つの流れとして処理できる能力が強みです。

そのため、古いシステムの移行や大規模な改修、複数ファイルにまたがる不具合修正などへの活用が考えられます。ただし、ベンチマークの成功率は100%ではないため、本番環境へ反映する前に開発者のレビューが必要です。

専門的な研究・知識処理を高精度かつ高速に実行できる

Anthropicの社内評価では、Claude Mythos 5は生命科学をはじめとする専門研究でも活用が進んでいます。Anthropicの社内評価では、タンパク質設計の一部工程が約10倍に高速化され、ツールを与えた状態では熟練した人間の作業者と同等以上の成果を示したと報告されました。※7

分子生物学の仮説を比較した評価では、研究者がClaude Mythos 5の案を従来のOpusモデルより約80%の割合で選択しています。また、138種の動物から数百万個の細胞データを集め、1週間以上にわたるゲノム研究をほぼ自律的に進めた事例も公開されました。

ただし、これらは主にAnthropic内部で得られた結果です。研究上の結論や医療につながる判断は、専門家による再現確認と妥当性の検証を前提に扱う必要があります。Claude Mythosは研究者を置き換えるものではなく、調査や仮説検討を加速させる支援手段と考えるのが適切です。

【業界別】Claude Mythosの活用シーン

Claude Mythos 5は、サイバーセキュリティと生命科学研究を主な対象として、一部の審査済み組織へ限定提供されています。ここでは、現在確認されている活用例と、同じ基盤モデルを使うClaude Fable 5の実績から考えられる用途を分けて紹介します。

サイバーセキュリティ・インフラ保護

Claude Mythosの主要な活用先は、重要インフラや基幹ソフトウェアのサイバー防御です。Project Glasswingでは、初期の約50組織がClaude Mythos Previewでコードを調査し、1万件を超える深刻度「高」以上の脆弱性を発見しました。

Anthropicは、電力・水道・医療・通信・ハードウェアなどを担う、15カ国以上の約150組織へ対象を広げる計画を示しています。脆弱性の検出だけでなく、修正パッチの作成・リリース前検査・侵入テスト・脅威対応・古いコードのメモリ安全な言語への移行にも活用されています。

ただし、Claude Mythos 5は審査済み組織への限定提供です。2026年7月時点では一部の米国組織でアクセスが復旧していますが、日本を含む海外パートナーへの展開状況は公表されていません。

ソフトウェア開発

ソフトウェア開発では、大規模な改修や複数工程にまたがる作業の自動化が期待されています。防衛用途では、Claude Mythos 5が脆弱性の修正コードを作成し、修正後の動作確認まで支援する使い方がすでに確認されています。

また、Claude Mythos 5と同じ基盤モデルを使うClaude Fable 5は、Stripeの5,000万行規模のRubyコードベースにおいて、通常ならチームで2カ月以上かかる全体移行を1日で実行したと報告されました。この結果から、Mythos級モデルは大規模移行・リファクタリング・テスト・デバッグなどでも高い能力を発揮すると考えられます。ただし、一般的な開発用途では、安全機構を備えたClaude Fable 5を利用する形が基本です。

研究・学術分野

Anthropicの社内評価によると、Claude Mythos 5は創薬・分子生物学・ゲノム研究でも活用が始まっています。Anthropicの社内評価では、タンパク質設計の一部工程を約10倍に高速化しました。設計ツールを与えた条件では、人の支援なしでも熟練者と同等以上の結果を示したと報告されています。

分子生物学の仮説を比較した評価では、研究者がClaude Mythos 5の案を従来のOpusモデルより約80%の割合で選びました。さらに、138種の動物に由来する数百万個の細胞データを集め、1週間以上かけてゲノム研究をほぼ自律的に進めた事例もあります。

ただし、これらは主にAnthropic内部の初期結果であり、すべてが査読済み研究として公開されているわけではありません。研究結果の採用や医療上の判断には、専門家による再現確認と妥当性の検証が必要です。

Claudeを科学研究へ活用する具体的な方法を知りたい方は、Claude Scienceの機能や活用シーンを解説した以下の記事も参考にしてみてください。

Claude Mythosに匹敵するClaude Fable 5

Claude Fable 5は、Claude Mythosに匹敵する「Mythos-class」の一般利用向けモデルです。Anthropicは、Fable 5について、同社がこれまで一般提供したどのモデルよりも高性能であり、ソフトウェア開発・知識労働・画像理解・科学研究などで強い性能を示すと説明しています。

Claude Mythos 5とClaude Fable 5は同じ基盤モデルを使っていますが、提供目的が異なります。Claude Mythos 5はProject Glasswingなどの防衛的サイバーセキュリティ用途を想定し、一部の制限が緩められています。一方、Claude Fable 5は一般利用に向けて、安全分類器による制御を加えたモデルです。

特にFable 5では、サイバーセキュリティ・生物化学・モデル蒸留に関する危険なリクエストが検知された場合、別モデルへフォールバックする仕組みが導入されています。これにより、Mythos級の高度な性能を広く活用しつつ、悪用リスクを抑える設計になっています。

つまり、Claude Mythosが「防衛目的の制限付きモデル」だとすれば、Claude Fable 5は「一般利用しやすいよう安全策を加えた高性能モデル」といえます。高度なコーディングや長時間の自律タスク、分析業務などにおいて、Claude Mythosに近い能力をより広いユーザーが試せる存在として注目されています。

一般ユーザーも利用できるMythos級モデルについてより詳しく知りたい方は、Claude Fable 5の特徴や料金を解説した以下の記事もご覧ください。

よくある質問

Claude Mythosは一般ユーザーが使えますか?

現時点では、Claude Mythos 5は一般ユーザー向けには広く公開されていません。Project Glasswingなどの信頼アクセスプログラムを通じて、一部の審査済みパートナーに限定提供されています。

Claude Mythos 5とClaude Opus 4.8の主な違いは何ですか?

Claude Opus 4.8は、コーディングや企業業務などに幅広く利用できる汎用モデルです。一方、Claude Mythos 5はサイバーセキュリティ・生物学・ヘルスケアなどの高度な研究向けに、一部の安全制限を調整したモデルで、Project Glasswingを通じて審査済みの組織へ限定提供されています。

料金はいくらですか?

Claude Mythos 5の料金は、入力100万トークンあたり10ドル、出力100万トークンあたり50ドルからとされています。これは、初期版のClaude Mythos Previewより低い価格設定です。

安全性に問題はありませんか?

安全性に問題がないとは言い切れません。Claude Mythos 5はClaude Fable 5と同じ基盤モデルですが、防衛的なサイバー業務を妨げないよう一部の安全制限が解除されており、悪用リスクを踏まえて審査済み組織に限定提供されています。Anthropicは安全性評価やアクセス制御に加え、利用データを30日間保持して監視する仕組みを採用しています。一般利用には、安全策を強化したClaude Fable 5が提供される形です。

Project Glasswingに参加するにはどうすればよいですか?

Project Glasswingは、一般の企業や個人が自由に申し込めるプログラムではありません。Anthropicは、重要インフラ事業者・重要なオープンソースソフトウェアの保守組織・安全性評価機関などを優先し、セキュリティ要件を満たした組織へ段階的にアクセスを付与しています。2026年7月時点では、一般向けの申込フォームや具体的な参加手順は公表されておらず、対象組織の選定と審査を通じて拡大が進められています。

Claude MythosはAIサイバー防衛の前提を変えるモデル

Claude Mythosは、Anthropicが発表した高性能AIモデルの中でも、サイバーセキュリティ領域でインパクトを与えたモデルです。主要OSやブラウザ、OSSに潜む高深刻度の脆弱性を大規模に発見したことから、AIがセキュリティ研究の進め方そのものを変える可能性が示されました。

一方で、Claude Mythosの能力は攻撃にも防御にも使えるため、一般公開には慎重な判断が欠かせません。実際にAnthropicは、Project GlasswingやClaude Mythos 5の信頼アクセスプログラムを通じて、防衛目的での限定利用を進めています。

今後は、Claude Fable 5のように高度な能力と安全策を両立したモデルが広がると考えられます。企業がこうしたAIを活用する際は、性能だけでなく、利用範囲・セキュリティ体制・ガバナンスまで含めて検討することが重要です。

最後に

Claude Mythosは、AI能力の飛躍的な向上とそれに伴うリスク管理という現代AIが直面する課題を象徴するモデルです。一方で、AI能力の急速な進歩に対して十分な安全メカニズムを整備できるかどうかは、Anthropic自身も課題として認識しています。

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