LongVie 2とは?数分規模の長時間動画生成を実現するビデオ世界モデルを解説

- 数分規模の長時間動画生成を前提に設計されたビデオ世界モデル
- 制御性と時間的一貫性を両立する段階的学習と履歴コンテキストガイダンス
- 現実世界と仮想世界を含む長時間評価を行うLongVGenBenchによる定量検証
2025年12月、長時間の動画を生成可能なモデルが公開されました!
今回リリースされた「LongVie 2」は従来の動画生成の問題を解決する動画生成モデル。
従来の動画生成では、前後の脈絡がなかったり、映像・人物が乱れたりしていました。しかし、今回リリースされたLongVie 2はそのような問題を解決することができます。
本記事ではLongVie 2の概要から仕組み、活用事例について解説をします。本記事を最後までお読みいただければLongVie 2の理解が深まります。
ぜひ最後までお読みください!
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LongVie 2の概要
LongVie 2は、長時間にわたって制御可能な動画を生成するための「ビデオ世界モデル」を公開。
長尺の動画生成では、時間が伸びるほど「指示どおりに動かない」「映像が崩れる」「前後の整合が取れない」といった問題が起きやすいです。LongVie 2の狙いは、一般的な短尺クリップ生成を超えて、より長い時間軸の一貫性まで扱うこと。
LongVie 2は、最大で3~5分程度の動画を自己回帰的に生成できるフレームワークです。さらに連続生成は最大5分まで対応しています。特に重視している要素は、制御性、長期の見た目品質、時間的一貫性という3点です。

LongVie 2の仕組み
ここではLongVie 2がどのようにして長時間の動画生成を行なっているのかを解説します。
ポイントは、短い学習条件で訓練したモデルを、そのまま長尺生成に拡張しない設計思想です。長期生成で生じる劣化を前提に、学習段階から対策を組み込んでいる点がポイント。
マルチモーダルガイダンスによる制御
まずLongVie 2の中心的な仕組みが、密な制御信号と疎な制御信号を併用するマルチモーダルガイダンスです。
テキストやポーズ、レイアウトなど、時間的な粒度が異なる条件を同時に扱うことで、生成結果の自由度と制御性を両立しています。この設計により、細かな動きと全体の流れを同時に指定できるようになりました。長時間でも意図した内容を維持しやすくなっています。
劣化を考慮した学習設計
LongVie 2には学習と推論のギャップを埋めるための劣化考慮型トレーニングが導入されています。
長時間生成では、推論中に生じたノイズや歪みが後続フレームへ伝播。LongVie 2では、あらかじめ劣化した入力を想定した学習を行うことで、この問題に対処しています。
結果として、長期生成時の破綻を抑えやすくなっています。

履歴コンテキストガイダンス
LongVie 2は隣接するクリップ間の整合性を保つための履歴コンテキストガイダンスが用いられています。
過去に生成したクリップの文脈を明示的に参照しながら次のクリップを生成する仕組みです。
これにより、シーンの急激な変化やキャラクターの不自然な変形を防いでいます。長時間動画で求められる「時間的一貫性」を支える重要な工夫と言えるでしょう。
なお、Veo3やSora超えの驚きの性能を持つSeedance 1.0ついて詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。

LongVie 2の特徴

ここでは、LongVie 2が他の動画生成モデルと異なる点を解説します。
特に注目すべきは、単に動画を長く生成できるだけでなく、制御性と品質を同時に維持しようとしている点です。
長時間生成における高い時間的一貫性
LongVie 2は、5分程度の動画を連続的に生成できます。時間が経過してもシーン構造や被写体の外観が大きく崩れにくい点が特徴。これは、履歴コンテキストガイダンスを通じて過去の生成結果を明示的に参照しているためです。
一般的な自己回帰型モデルでは、後半に進むほどノイズが蓄積しやすい傾向があります。一方でLongVie 2は、隣接クリップ間の文脈を保つ仕組みを持ちます。その結果、長時間でも映像の流れが自然に見える状態を維持しやすくなりました。
密と疎を統合した高い制御性
制御信号の扱い方も、LongVie 2の大きな特徴です。時間的に細かい制御と、全体構造を決める粗い制御を同時に利用できます。これにより、局所的な動きとグローバルなストーリーを両立できる設計になっています。
例えば、フレーム単位での動作指定と、シーン単位での流れ指定を併用できる点が挙げられます。単一の条件に依存する方式と比べ、表現の自由度が高いでしょう。長尺でも意図を反映しやすいことが、実用面での強みになります。

学習と推論のギャップを抑える設計
長時間生成で問題になりやすいのが、学習時と推論時の条件差です。LongVie 2では、このギャップを埋めるために劣化を考慮したトレーニングを導入。推論中に生じる歪みを想定した学習が行われています。

この工夫により、生成が進むにつれて品質が急激に落ちる現象を抑制。短い動画で高品質でも、長くすると破綻するという課題への現実的な対策です。長尺動画を安定して扱うための土台として重要な特徴でしょう。
LongVie 2の安全性・制約
ここではLongVie 2を利用する際に把握しておくべき安全性と技術的な制約を整理します。
長時間動画という特性上、品質面だけでなく運用上の注意点も重要です。導入前に前提条件を理解しておく必要があるでしょう。
まず、安全性に関する公式なポリシーやガイドラインについては、詳細な記述が公式ページには公開されていませんでした。そのため、商用利用や外部公開を前提とする場合は、提供元への確認が不可欠と考えられます。
技術的な制約として挙げられるのは、計算コストと生成時間の問題です。LongVie 2は長尺動画を自己回帰的に生成する設計になっています。その結果、生成時間は動画の長さに比例して増加。リアルタイム性が強く求められる用途には向かない可能性があります。
LongVie 2の料金
LongVie 2 は、GitHubからリポジトリをクローンし、Hugging Faceからモデルをダウンロードして利用します。また、Wan2.1のモデルも併せて使用します。
LongVie 2のライセンス
GitHubにライセンスファイルがなくLongVie 2のライセンスは明らかではありません。公式ページにもプライバシーポリシーや利用規約はありませんでした。
なお、OpenAIが生んだ物理を理解するAI映像モデルであるSora2について詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。

LongVie 2の実装方法
google colaboratoryで実装を試みましたが、モデルダウンロードが容量が大きすぎ、google colaboratoryでの実装は難しそうでした。

上記はモデルダウンロード途中のディスク使用量です。約10GBのファイルを10個くらいダウンロードする必要があり、さらにはHugging Faceからローカルにダウンロードしたウェイトをアップロードする必要があります。
LongVie 2の活用事例
ここでは公式ページで紹介されている動画をいくつか紹介します。
まずは化学工場の動画。
さらにスケートボードをやっている動画。
仮想世界を再現した動画を2つ紹介しましたが、実写風の人物動画も生成できます
こちらの動画は注意して見ないと生成された動画とは判別が難しいかもしれませんね。
上記の動画からいくつか活用事例を考えてみました。
映像表現の研究・プロトタイピング
映像表現の分野での活用ができそうです。
長尺でのカメラワークやシーン遷移を検証できるため、新しい映像表現手法の試作に向いています。特に、制御信号を使った演出の検証に有用でしょう。商用制作というより、表現技法の研究段階で価値を発揮します。
長時間生成モデルの評価ベンチマーク用途
LongVie 2と併せて提案されているLongVGenBenchは、長時間動画生成を評価するためのベンチマークです。
このデータセットを使うことで、他モデルとの比較評価が可能になります。長時間制御や時間的一貫性を定量・定性の両面で検証できる点がポイントです。

なお、テキストだけで物語を生むAlibaba Wan 2.6について詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。

まとめ
本記事ではLongVie 2の概要から仕組み、活用事例について解説をしました。google colaboratoryでの実装は難しかったですが、レンタルGPUを使えばLongVie 2で動画を生成できそうですね。
ぜひ皆さんも本記事を参考にLongVie 2を使ってみてください!
最後に
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