OpenAI史上最高峰の汎用AIモデル|o3-proの概要や特徴、使い方を徹底解説

- OpenAI史上最も信頼できる汎用AI
- 「長く考えるほど精度が伸びる」段階的思考アルゴリズムを採用
- 200kトークンの巨大コンテキスト
2025年6月11日、OpenAIは推論特化型モデル「o3」の最上位版となる 「o3‑pro」 を正式リリースしました!
o3-proは、GPT‑4oで確立したマルチモーダル技術と、o3系列で磨き上げた段階的思考アルゴリズムを統合し、200 kトークンという巨大なコンテキストを保持しながら、数理・科学・コーディング領域で従来モデルを上回る精度を実現しています。
OpenAIは「最も信頼できる汎用AI」と位置付けており、教育・研究・ビジネスの現場で“考える作業”そのものを肩代わりする存在として注目を集めています。
本記事では、o3-proの特徴や使い方、比較検証まで徹底的に解説します。
ぜひ最後までご覧ください!
o3-pro とは
「o3‑pro」 は、同社の推論特化型ラインアップo系列の最上位モデルであり、従来のo3をベースに「長く考えるほど精度が伸びる」段階的思考アルゴリズムをさらに強化したものです。
最大200kトークンの入力と10万トークンの出力を扱いながら、ウェブ検索・Python 実行・画像解析など ChatGPT 内蔵ツールを自律的に呼び出す統合エージェント機能を学習段階で習得しています。
ChatGPT Pro/Teamプランのほか、開発者向けAPIでも同日から提供され、API料金は入力100万トークン20 US$、出力同80US$ というハイエンド設定です。
OpenAIは「高信頼が求められる業務・研究の標準モデル」と位置付けており、数学競技AIME 2024やGPQA Diamond で競合モデルを上回るスコアを公表して初日から大きな話題を呼んでいます。
なお、OpenAI o3について詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。

o3-pro 特徴
o3‑proの魅力は大きく3つあります。
1つ目が、モデル内部で“連立方程式を紙に書くように”推論を段階的に展開するChain‑of‑Thought RLが標準動作となり、数式変形やコード生成の過程を誤りなく追跡できる点です。
2つ目が、200kトークンの入力と100 kトークンの出力を同時に扱える超ロングコンテキスト対応で、数百ページの技術書や複数年分のログを一括で読み込んでも前後関係を破綻させません。
最後に3つ目が、ChatGPT内蔵の検索・Python・画像解析など全ツールの統合推論を学習段階で習得しており、手動でツール選択を指示しなくても最適な手順を自律的に組み立てます。
それぞれ詳細をみていきましょう。
推論アルゴリズム
推論アルゴリズムは「考える時間を意図的に延ばす」強化学習フェーズを経ており、問題を小さく分割しながら論理的に解を導きます。
OpenAI社内の検証では、科学・教育・プログラミング・ビジネス文書・ライティング支援の五分野すべてでo3を上回り、レビュアーによる品質比較でも一貫して「明確さ・網羅性・指示遵守・正確性」が高得点を獲得しました。
難関数学試験AIME 2024ではGoogle Gemini 2.5 Proを上回り、さらに、博士課程レベルのGPQA DiamondはAnthropic Claude 4 Opusを上回るスコアを記録しています。
巨大コンテキスト
200kトークンの巨大コンテキストは、新聞一年分やソースコードベース全体を丸ごと保持できる規模です。出力も10 万トークンに達し、研究論文のドラフトや長編小説を一度に生成・改訂する用途にも耐えます。
この長期記憶は FAQ によって公式に確認されており、実運用では「会議議事録、添付資料、関連メール」をまとめて与え、要旨抽出やタスク分解、担当者割当まで一気に自動化できると高く評価されています。
長文処理時は従来モデル比で応答時間が延びるものの、段落単位で補足質問を繰り返すより総工数は大幅に削減されます。
安全性と制御性
o3‑proは安全性と制御性にも注力されています。システムカードで公開されたポリシーに基づき、生成物の出典表示やツール利用ログがAPIレベルで取得でき、監査やガバナンス要件に対応しやすくなりました。
また、モデルパラメータを固定した「スナップショット」呼び出しを提供し、バージョン更新による推論のばらつきを防ぎつつ、長期運用システムでも安心して導入できます。
さらにレスポンス形式を JSON で強制できるstructured_outputsが標準サポートされ、社内業務フローへの組み込みが容易です。これにより、人手のレビューを挟まずにAIの出力を下流システムへ安全にパイプライン接続するケースが増えています。
o3-pro 性能
OpenAI公開の内部テストによると、数学コンペAIME 2024でo3‑proは正解率 98.4%(Python使用時)を達成し、Gemini 2.5 Proを数ポイント上回りました。
科学知識を測るGPQA DiamondベンチマークでもClaude 4 Opusを超え、PhDレベルの問題でトップに立っています。
また、Codeforcesシミュレート競技では、平均レーティングがo3比で17%向上し、SWE‑benchでもビルド無し条件で新記録を更新しました。

ロングコンテキスト応答の安定性も特徴で、20万トークン入力時の要約タスクでFactual Consistencyスコア0.86を記録し、Claude 3 Opus(0.73)や GPT‑4o(0.79)を上回っています。
APIでは1kトークンあたり700 ms前後のレイテンシと報告され、o1‑pro比で約1.4倍の推論時間ながら、トークン当たりコストは10倍の性能向上を踏まえれば十分に実用的だと言えます。
なお、o1とo1-proの比較検証について詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。

o3-pro 使い方
o3-proの使い方は以下の2通りがあります。
チャットUI利用
まずChatGPT ProまたはTeamプランを契約し、モデルピッカーから「o3‑pro」を選択。

次に、分析対象の文書や画像をアップロードし、目的や形式を自然言語で指示しましょう。
o3-proモデルは必要に応じて、ウェブ検索やPython実行を自動実行します。
API利用
API で利用する場合は model="o3-pro-2025-06-10"
を指定し、入力コンテキストが200kトークン内か確認したうえでリクエストをPOSTします。
段階的な実行が必要な長時間タスクでは、まず粗い要約を要求し、続いて詳細分析を依頼する2段階呼び出しを推奨します。
最終的な成果物はJSONやHTML形式で構造化出力させると後工程との連携が容易になります。
o3-pro 使ってみた
o3-proの機能を知るには、実際に使ってみるのが一番です。ここでは、タスクに活用した具体例を通じて、その高い性能と使い勝手の良さをご紹介します。
PDF資料の要約
Prompt:
添付資料は厚生労働省が出している生成AIに関する論文。特筆すべき内容をテキスト・グラフなどを駆使しながらレポーティングして。
出典:https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/001125241.pdf
推論時間は約13分。対象資料の内容を的確に要約し、生成AIによって自動化される可能性のあるタスクの割合を棒グラフで、ポイントのレポートをテキストで出力してくれました。
今回は数十ページの資料を採用しましたが、よりボリューミーな資料でも試してみると面白いかもしれません。
データ分析
4oモデルで即席の1万行の購買ダミーデータを作成し、o3-proモデルにデータ分析をさせます。
4oモデルで作成されたダミーデータは以下のようなイメージです。

Prompt:
添付ファイルをデータ分析し、売上に寄与する施策を考案して。
こちらの推論時間も約13分。ファイルのファクト把握から売上促進のポイント、重点施策5つと追加アイディアまでを提案してくれました。データをもとにした分析や提案シーンにおいてもかなり活用できそうです。
o3-pro 活用可能性

リリース直後の現段階では具体的な導入事例は限られますが、o3‑proの特性から多様な分野での活用可能性が見込まれます。
例えば、法務分野では膨大な証拠書類と判例を同時に解析し、論点整理やドラフト作成を自動化できるでしょう。
製造業ではIoTデータをリアルタイムで可視化し、異常検知モデルを自律的に生成できます。さらに教育現場では生徒の成績ログと教材を一括分析し、個別最適化した学習プランと解説動画スクリプトを生成するなど、調査・解析・生成を横断したワークフロー全体を AI に任せる未来が現実味を帯びています。
教育分野
教育分野では、オンライン学習サービスが教科書・過去問・模試結果をまとめて読み込ませ、生徒ごとの弱点単元を自動抽出しつつ、Pythonで学習曲線を推定し、翌週の演習プリントと動画解説原稿を生成するといったフローが考えられます。
教員は出力を確認・補足するだけで済み、指導時間を対話やメンタリングに集中できます。学校規模で導入すれば、教務担当者の作業を数十分の一に圧縮できるポテンシャルがあります。
金融分野
金融・監査分野では、企業の財務報告書数年分と市場ニュースを一括で分析し、IFRS/US‑GAAPの差異やリスク要因、ESG指標の変化を自動抽出するプラットフォームが構築可能です。
モデルはウェブ検索とファイル解析を組み合わせ、必要箇所を引用しつつ要約を出力します。アナリストは最終判断と説明に集中でき、従来1社3日のレポート作成工程が半日以下に短縮される見込みです。
サイエンス分野
創薬やライフサイエンス分野では、社内の実験ノート、特許文献、最新論文を統合し、候補化合物のスクリーニングや毒性予測を自動化するワークフローが期待されます。
視覚ツールで化合物構造を解析し、PythonでADMET指標を計算し、臨床試験デザイン案まで提案することで、研究者は仮説検証に専念できます。初期探索フェーズが数か月から数週間へ短縮される可能性が高いと予測されます。
ChatGPT 料金プラン
o3-proを含むChatGPTの利用には、さまざまな料金プランが用意されています。ここでは、各プランの特徴や料金、利用可能な機能について詳しく解説します。
無料プランから高度な機能を備えたプロフェッショナルプランまで、ユーザーのニーズに合わせた選択肢を比較検討できるよう、わかりやすく表にまとめました。
プラン名 | 料金 | o3-proの利用可否(※2025年6月時点) |
---|---|---|
無料 | $0 | ❌️ |
Plus | $20 | ❌️ |
Team | $25 | ⭕️ |
Pro | $200 | ⭕️ |
各プランには、それぞれ特典が用意されています。Plusプランでは、カスタムプロンプトの保存機能や優先サーバーアクセスが含まれます。Teamプランは複数ユーザーでの共同作業に適しており、プロジェクト管理ツールとの連携が可能です。
Proプランは企業向けで、専門家によるサポートや高度なデータ分析機能が提供されます。
まとめ
o3‑proは「推論に時間をかければ精度はまだ伸びる」という OpenAI の仮説を体現したモデルです。
200kトークンという広大な記憶領域とツール統合学習で、単なる文章生成を超えた“思考エンジン”として機能します。
確かに価格やレイテンシは高めですが、複雑な分析・文書化作業を一気通貫で自動化できる価値は計り知れません。
ビジネスでは意思決定スピードを、研究開発では仮説検証サイクルを加速し、教育現場では教師の創造的指導時間を確保する―o3‑proはこうした「人が本来取り組むべき高付加価値領域」へリソースを再配分する強力なレバレッジを提供しています。
o3-proの性能をぜひご自身でも実感してみてください。
最後に
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