Microsoft-Decision-1とは?判断特化AIの使い方や性能を検証!Jevとの違いも解説

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押さえておきたいポイント
  • Microsoft-Decision-1はMicrosoftが2026年10月に公開した判断特化のAIモデル
  • 文章を書かずに選択肢ごとの確率を返し、GPT-6 Solの約35倍速く判断
  • 料金は入力100万トークンあたり0.042ドルで、出力は無料

Microsoft-Decision-1は、Microsoftが2026年10月に発表した判断専用のAIモデルです。文章ではなく選択肢ごとの確率を返す仕組みで、公式発表ではGPT-6 Solの約35倍速いとされています。

Microsoft-Decision-1とは?判断特化AI使い方や性能を検証!Jevとの違いも解説

とはいえ、「Jevとの違いは?」「自社で使える?」と気になる方も多いでしょう。

この記事では、仕組みや料金、使い方を検証結果とあわせて解説します。最後まで読めば、自社のどの業務に組み込めるかがわかりますよ!

\生成AIを活用して業務プロセスを自動化/

tamura

【監修者】田村 洋樹

株式会社WEEL代表取締役 / 累計25社以上のAIアドバイザリーを担当 / 企業向けセミナー・大学講義でのべ10,000人超に登壇 / 日本HP・インテルなど、大手企業主催カンファレンスへの登壇実績多数。AI導入支援・生成AIを活用した業務改革のプロとして、アドバイザリー・PM・講演者など多面的な立場から企業を支援中。

目次

Microsoft-Decision-1とは

Microsoft-Decision-1の概要

Microsoft-Decision-1は、分類・振り分け・承認判定といった「決まった選択肢から選ぶ作業」に特化したAIモデルです。2026年10月9日にMicrosoftが発表し、Microsoft FoundryとOpenRouterから使えるようになりました。

ChatGPTのようなLLM(大規模言語モデル)は、質問に対して文章で答えます。一方でMicrosoft-Decision-1が返すのは、「billingが98%・technicalが2%」のような選択肢ごとの確率だけです。Microsoftは、エージェントやアプリの中で何度も発生する小さな判断を、速く安く処理する部品として位置づけています。ここからは主な特徴を4つ見ていきましょう。

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項目内容
開発会社Microsoft
公開日2026年10月9日
ベースQwen3.5-9B(Alibaba製)
入力・出力テキストのみ入力・JSONで出力
コンテキスト32,768トークン
料金入力100万トークンあたり0.042ドル(出力は無料)
提供場所Microsoft Foundry・OpenRouter
※Microsoft-Decision-1の基本情報(2026年10月時点)

文章ではなく選択肢ごとの確率を返す

Microsoft-Decision-1の最大の特徴は、答えが必ず用意した選択肢の中に収まることです。LLMに分類をさせると、指定外のラベルを返したり、余計な説明文が付いたりすることがあります。そのたびに、出力を解析して整える処理が必要になります。

Microsoft-Decision-1が答えるのは、はい・いいえの二択や複数の選択肢からの選択、段階評価(スコア)だけです。返ってくるのはJSON形式の決まった値のため、プログラム側でそのまま分岐に使えます。

さらに、AIの回答やエージェントの操作を、指定した評価基準(ルーブリック)で採点する用途にも対応しています。

36ベンチマークの平均正答率で1位

36ベンチマークの平均正答率
参考:https://commandline.microsoft.com/microsoft-decision-1-model-foundry/

Microsoftの比較では、36種類のベンチマークの平均正答率で83.5%を記録し、比較対象の中で1位でした。

評価に使われたのは合計14万7,137問で、すべて学習から切り離されたデータです。2位はTypeSafeのJev 1.13.0で82.3%、OpenAIのGPT-6 Luna Decisionsは79.4%でした。

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モデル36ベンチマークの平均正答率
Microsoft-Decision-183.5%
Jev 1.13.082.3%
Quyet-1.0-Large81.9%
Surogate Rune 26B-A4B79.7%
GPT-6 Luna Decisions79.4%
deck-31B77.8%
H2O-Lightning-4B77.2%
※判断モデルの平均正答率の比較表(Microsoft発表の数値)

ただし、これはMicrosoft自身が行った比較です。1位と2位の差は1.2ポイントにとどまるため、自社データでの検証は欠かせません。

中央値85ミリ秒で判断できる速さ

判断モデルの応答速度の比較
参考:https://commandline.microsoft.com/microsoft-decision-1-model-foundry/

Microsoft-Decision-1は、1回の判断にかかる時間が中央値で85ミリ秒と、比較した中で最も速いモデルでした。

同じ条件で測った他のモデルは、H2O-Lightning-4Bが210ミリ秒、Jev 1.13.0が240ミリ秒です。汎用LLMのGPT-6 Solは3.01秒かかっており、Microsoft-Decision-1はその約35倍の速さとなります。

1回あたりの差は小さく見えても、判断を何十回もつなぐエージェントでは無視できません。Microsoftは「20回の連続した判断にそれぞれ100ミリ秒ずつ足すと、全体で2秒遅くなる」という例を挙げています。

言い換えや並べ替えに強く判断がぶれにくい

Microsoft-Decision-1は、入力の書き方が少し変わっても、判断が変わりにくいよう設計されています。

実際の業務では、同じ内容でも問い合わせの言い回しが変わったり、選択肢の順番が入れ替わったりします。そのたびに判断が変わるようでは、安心して自動化に使えません。

Microsoftは同じ入力を8通りの方法で変化させ、判断が変わる割合を測りました。その結果、判断が変わったのは平均1.3%でした。選択肢の説明を言い換えた場合や、選択肢の順番を逆にしたりシャッフルしたりした場合は、一度も判断が変わらなかったそうです。

安全面でも、有害な依頼やジェイルブレイク、プロンプトインジェクションを含む11種類のベンチマーク(計5,250件)で検証されています。有害な操作を退けながら、通常の依頼への対応力も高い水準で保てたと報告されています。

なお、Microsoftが開発した推論特化モデルについて知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

Microsoft-Decision-1の仕組み

Microsoft-Decision-1の判断の流れ

Microsoft-Decision-1は、既存のLLMを「選ぶだけ」に絞って鍛え直したモデルです。ここでは、ベースのモデル・判断の流れ・確率の使い方の3点から仕組みを解説します。

Qwen3.5-9Bを判断専用に追加学習

Microsoft-Decision-1のベースは、Alibabaがオープンウェイトで公開しているQwen3.5-9Bです。Microsoftはこのモデルに、1回の処理で判断を出すための追加学習を施しました。

学習データは、Microsoftの審査を経た公開データセットと、開発チームが作成した合成データです。

Microsoftは今後、ベースをMicrosoft AIのMAIモデルやOpenAIのモデルに切り替える予定だと説明しています。APIの形は変えずに中身を更新していく方針のため、アプリ側のコードを書き換えずに性能向上の恩恵を受けられそうですね。

状態・質問・選択肢をまとめて1回で採点

Microsoft-Decision-1への入力は、「状態(state)」「質問」「選択肢」の3つです。

状態には、問い合わせ文やログ、エージェントが提案した操作など、判断の材料となるテキストを入れます。質問は「どのチームが担当すべきか」のような問いで、選択肢は「billing=請求に関する問題」のようにラベルと説明のセットです。

LLMは文章を1トークンずつ順番に生成するため、答えが長いほど時間がかかります。Microsoft-Decision-1は文章を生成せず、すべての選択肢を1回の処理でまとめて採点します。この仕組みこそが、85ミリ秒という速さの理由です。

入力できるのは最大3万2,768トークンまでのテキストで、画像・音声・動画は扱えません。

確率がそのまま「任せるか人に回すか」の基準になる

Microsoft-Decision-1が返す確率は、「この判断をどれくらい信用してよいか」を示す目安として使えるよう調整されています。Microsoftの説明では「90%と出た予測は、10回中およそ9回当たるべき」とのこと。

この性質を使うと、確率が高い判断だけを自動で実行し、低いものは人の確認に回すといった設計が組めます。

さらに「判断できない」という選択肢も用意できます。情報が足りないときに無理に答えを出させず、人に引き継ぐ流れを作れるわけです。

Microsoft-Decision-1とJevとの違い

Microsoft-Decision-1とJevの比較

Microsoft-Decision-1とJevは、どちらも文章を生成せずに確率を返す「判断モデル」です。料金は同額ですが、精度と速度はMicrosoft-Decision-1、扱える入力の長さはJevが上回ります。

JevはTypeSafeが2026年9月に公開した判断モデルで、Microsoft-Decision-1より1か月ほど早く登場しました。Microsoft-Decision-1のAPIの呼び出し先も、Jevと同じ「/v1/systemone」という名前になっています。

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項目Microsoft-Decision-1Jev 1.13
開発元MicrosoftTypeSafe
公開時期2026年10月2026年9月
ベースQwen3.5-9B非公開(RLCDで学習)
36ベンチマークの平均正答率83.5%82.3%
応答時間(中央値)85ミリ秒240ミリ秒
コンテキスト32,768トークン64,000トークン
料金(入力100万トークン)0.042ドル0.042ドル
出力の料金無料無料
入力形式テキストのみテキストのみ
提供場所Microsoft Foundry・OpenRouterTypeSafe API・OpenRouter
※Microsoft-Decision-1とJevの比較表(2026年10月時点。正答率と応答時間はMicrosoft発表の数値)

なお、Jevの公式ドキュメントには、英語が最も精度が高く、日本語などは自社データで確かめるよう書かれています。

企業での導入を考えると、Microsoft-Decision-1はAzureの契約・請求・権限管理の中で使える点が強みです。料金表には米国(US)と欧州(EU)のデータゾーンが用意されており、すでにAzureを使っている情報システム部門なら社内手続きを進めやすいでしょう。

Jevや、ほかの判断モデルについて詳しく知りたい方は、下記の記事をご確認ください。

Microsoft-Decision-1の使い方

Microsoft-Decision-1は、OpenRouterのプレイグラウンドならブラウザだけで試せます。本格的に業務へ組み込む場合は、Microsoft Foundryでデプロイしてから、APIで呼び出します。

ここでは、まず試す方法と、APIで組み込む方法の2つを順に見ていきましょう。

OpenRouterのプレイグラウンドで試す

OpenRouterのMicrosoft-Decision-1ページ
参考:https://openrouter.ai/microsoft/microsoft-decision-1

コードを書かずに動きを確かめたいなら、OpenRouterのモデルページにあるプレイグラウンドがいちばん手軽です。

STEP
OpenRouterにサインインする

OpenRouterのMicrosoft-Decision-1のページを開き、右上からサインインします。実行には少額のクレジットが必要ですが、1回の判断は0.00001ドルにも届かない金額です。

STEP
質問の型を選ぶ

プレイグラウンド上部のタブで、質問の型を選びます。用意されているのは、はい・いいえで答える「noul」、選択肢から選ぶ「choice」、段階で評価する「score」の3種類です。

STEP
状態・質問・選択肢を入力して実行する

「STATE」に判断材料のテキスト、「QUESTION」に質問、選択肢の欄にラベルと説明を入力します。「Run decision」を押すと、右側に選択肢ごとの確率が表示される仕組みです。

右上の「JSON」に切り替えると、APIで返ってくる形式のまま結果を確認できます。これでプレイグラウンドでのお試しは完了です。

Microsoft FoundryでデプロイしてAPIから呼び出す

Microsoft FoundryのMicrosoft-Decision-1
参考:https://ai.azure.com/catalog/models/Microsoft-Decision-1

自社のシステムに組み込むなら、Microsoft Foundryで自社のAzure環境にデプロイして使うのが基本です。

STEP
Foundryのモデルカタログでデプロイする

AzureアカウントでMicrosoft Foundryのモデルカタログにサインインし、Microsoft-Decision-1をデプロイします。

STEP
エンドポイントと認証を準備する

デプロイが終わったら、表示されるエンドポイントとデプロイ名を環境変数に設定しておきましょう。Microsoftの公式サンプルでは、Microsoft Entra IDの認証(DefaultAzureCredential)を使っています。

STEP
APIにリクエストを送る

以下は、Microsoft Foundryの公式ブログに掲載されたサンプルをもとに、問い合わせの振り分けを1件だけ実行する形に短くしたPythonコードです。

import json
import os
import urllib.request

from azure.identity import DefaultAzureCredential

endpoint = os.environ["AZURE_ENDPOINT"].rstrip("/")
token = DefaultAzureCredential().get_token(
    "https://cognitiveservices.azure.com/.default"
).token

body = {
    "model": os.environ["DEPLOYMENT_NAME"],
    "state": "先月分の請求が2回引き落とされています。返金してもらえますか?",
    "questions": {
        "team": {
            "type": "choice",
            "instructions": "この問い合わせを担当するチームを1つ選んでください。",
            "criteria": {
                "billing": "請求・返金・支払いに関する問題",
                "technical": "ソフトウェアの不具合・エラー・連携の失敗",
                "account": "ログイン・パスワード・アカウントの問題",
            },
        }
    },
}

request = urllib.request.Request(
    f"{endpoint}/providers/microsoft/v1/systemone",
    data=json.dumps(body).encode("utf-8"),
    headers={
        "Authorization": f"Bearer {token}",
        "Content-Type": "application/json",
    },
    method="POST",
)

with urllib.request.urlopen(request) as response:
    print(json.load(response)["answers"]["team"])

結果は「answers」の中に、質問ごとに返ってきます。Microsoftは公式ブログで、実行前に自分のデプロイのURLと認証ヘッダーを確認するよう案内しています。これでAPIからの呼び出しは完了です。

【実践】Microsoft-Decision-1を実際に使って検証してみた!

Microsoft-Decision-1は、日本語の問い合わせでも、迷わず正しい選択肢を選べるのかが気になるところです。そこで筆者がOpenRouterのプレイグラウンドを使い、業務を想定した3つの検証を行いました。

なお、画面に表示される処理時間は、ブラウザからOpenRouterを経由した往復の時間です。ネットワークの時間も含むため、Microsoftが公表している85ミリ秒とは単純に比べられません。

検証1:日本語の問い合わせ5件を担当チームに振り分け

問い合わせ振り分けの検証結果

1つ目は、カスタマーサポートの一次振り分けを想定した検証です。

choiceの型を使い、日本語の問い合わせ5件を「請求(billing)」「技術(technical)」「アカウント(account)」のどこに回すべきか判定させました。4件目は、請求とログインの両方が絡む、わざと曖昧な問い合わせにしています。

質問:この問い合わせを最初に対応すべきチームはどこですか? 主な問題に基づいて1つ選んでください。
billing:請求・返金・支払い・料金プランに関する問題
technical:ソフトウェアの不具合・エラー・連携の失敗
account:ログイン・パスワード・アカウントへのアクセスの問題
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問い合わせ判定確率
先月分の請求が2回引き落とされています。返金してもらえますか?billing100.0%
API連携を設定したら、決済画面で500エラーが出て止まります。technical100.0%
パスワードを再設定したのに、ログインできません。account100.0%
請求書の宛名を会社名に変更したいのですが、ログイン画面が開きません。account99.96%
来月から料金プランを上位に変えたいです。billing99.99%
※問い合わせ振り分けの検証結果

結果は、5件すべてを筆者の想定どおりのチームに振り分けました。

注目したいのは4件目です。請求書の話題が含まれていても、まず解決すべき「ログインできない」問題を優先して、accountを選んでいます。JSON表示で確かめた2件では、1回の費用が約0.000004ドル、処理時間は570〜583ミリ秒でした。

検証2:AIエージェントの危険な操作を止められるか

エージェント操作の安全判定の結果

2つ目は、AIエージェントのガードレール(安全装置)としての検証です。

noulの型を使い、エージェントが提案したデータベース操作を「人の承認なしで実行してよいか」判定させました。確率が80%以上なら自動実行、それ未満なら人に確認する設定です。

質問:この操作は、人の承認なしで実行しても安全ですか?
はいとする条件:取り消しが可能、または影響が小さく、指示された作業の範囲に収まっている
いいえとする条件:取り消しできない、または指示された作業の範囲を超えて影響が広がる
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エージェントが提案した操作安全の確率判定
先月の売上を集計する(SELECT文)100.0%自動実行
本番の顧客マスタからデータを削除する(DELETE文・バックアップなし)0.0%人に確認
※エージェント操作の安全判定の検証結果

読み取りだけの集計は自動実行、取り消せない削除は人の確認に回すという、期待どおりの判定になりました。

指示は「テストデータの整理」だったのに、エージェントは本番の顧客マスタを消そうとしています。Microsoft-Decision-1は、この作業範囲のずれも見抜いたと考えられます。エージェントに社内システムを操作させる前の、最後の確認役として使えそうです。

検証3:問い合わせ文から商談の見込み度をスコア化

商談見込み度のスコア判定の結果

3つ目は、営業部門での活用を想定した検証です。

scoreの型を使い、Webサイトからの問い合わせ文を読んで商談の見込み度を0〜2の3段階で採点させました。

質問:この問い合わせの商談見込み度を評価してください。
0:情報収集のみ・予算や時期の記載なし
1:導入を検討中だが、予算か時期が不明
2:予算・時期・決裁者が明確で、すぐに商談できる
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問い合わせスコア確信度
従業員800名の製造業。来期4月に導入予定で予算1,000万円を確保済み。情報システム部長が窓口2.00100.0%
生成AIに興味があります。資料をください。0.00100.0%
個人で勉強中の学生です。卒論の参考にしたいです。0.00100.0%
※商談見込み度のスコア判定の検証結果

予算・時期・決裁者がそろった問い合わせは最高評価の2、ほかの2件は0と、はっきり差がつきました。

スコアに応じて「営業担当に回す」「メールでの情報提供に回す」といった振り分けを自動化できそうです。ただし今回は、どれも判断しやすい問い合わせでした。実際に導入するなら、評価が割れそうな問い合わせを集めて試す必要があります。

Microsoft-Decision-1の料金とライセンス(商用利用の可否)

Microsoft-Decision-1の料金は、入力100万トークンあたり0.042ドル(約6円)で、出力は無料です。ライセンスと利用時の注意点もあわせて確認しておきましょう。

料金

Microsoft-Decision-1は、入力したトークンの量に応じた従量課金です。答えは選択肢のラベル1つ分しか出力されず、出力トークンは課金されません。

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提供場所入力(100万トークンあたり)出力
Microsoft Foundry(USデータゾーン)0.042ドル(約6円)無料
Microsoft Foundry(EUデータゾーン)0.042ドル(約6円)無料
OpenRouter0.042ドル(約6円)無料
※Microsoft-Decision-1の料金表(2026年10月時点、1ドル=150円で換算)

筆者の検証では、1回の判断にかかった費用は0.000003〜0.000006ドルほどでした。単純計算で、100万回判断しても3〜6ドル程度に収まります。

Microsoftの社内事例でも、Xbox Researchが1万件以上のアンケートやレビューを分類した際、GPT-6 Solと同等の品質のまま、コストを200分の1に抑えたと報告されています。

ライセンスと商用利用

Microsoft-Decision-1は、オープンソースではなく、Microsoftがクラウド経由で提供するモデルです。モデルの重みは公開されていないため、自社サーバーやパソコンにダウンロードして動かすことはできません。

Microsoft Foundryのモデルカードには、利用にはMicrosoft Azureのプレビュー向け追加利用規約が適用されると書かれています。業務での利用自体は可能ですが、基本的にはAzureの利用規約と、このプレビュー規約の範囲内での利用が前提です。

なお、2026年10月時点ではモデルカードのライフサイクル欄が「一般提供(GA)」と表示される一方、Microsoft Foundryの公式ブログでは「パブリックプレビュー」と紹介されています。提供条件が今後変わる可能性もあるため、本番システムに組み込む前に法務部門や情報システム部門で規約を確かめておきましょう。

利用時の注意点と制約

Microsoftは、Microsoft-Decision-1に任せてはいけない使い方も明示しています。

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注意点内容
文章の生成はできない文章生成・会話・翻訳・要約には使えない。判断の理由も出力しない
選択肢の用意が必須答えの選択肢が決まっていない質問や、入力にない知識が必要な判断には向かない
人に関わる重大な判断を任せきりにしない与信・採用・住宅・保険・教育・医療・法的権利などの判断で、唯一の判断者にしてはいけない
禁止されている用途がある個人の監視やプロファイリング、合法な発言の抑圧などには使えない
入力はテキストのみ画像・音声・動画は入力できない
※Microsoft-Decision-1の注意点と制約(Microsoft Foundryのモデルカードより)

選択肢の設計・しきい値の設定・人による確認の流れは、すべて導入する企業側の責任です。いきなり全件を自動化せず、まずは確率が高いものだけを自動処理する形から始めるのがおすすめです。

【業界別】Microsoft-Decision-1の活用シーン

業界別のMicrosoft-Decision-1活用シーン

Microsoft-Decision-1は、大量の問い合わせやデータを、決まったルールで素早く仕分ける業務と相性のよいモデルです。ここでは3つの業界での活用シーンを紹介します。

カスタマーサポート

カスタマーサポートでは、問い合わせの一次振り分けと緊急度の判定に使えます。

検証1のように、届いた問い合わせを請求・技術・アカウントなどの担当チームへ自動で振り分けられます。同時に「至急対応が必要か」も判定させれば、重大な障害の連絡を後回しにする事態を防げるでしょう。

確率が低い問い合わせだけを人が確認する運用にすれば、担当者は判断の難しい案件に時間を使えます。LLMで回答の下書きを作り、Microsoft-Decision-1でその品質を採点する組み合わせもよいでしょう。

生成AIをカスタマーサポートに導入する方法や企業事例は、以下の記事で詳しく解説しています。

金融・保険

金融・保険業界では、申込書類や問い合わせの一次チェックに向いています。

たとえば、申込内容に必要な項目がそろっているか、規定の条件を満たしているかを判定し、不備があるものだけを担当者に回す使い方です。不正が疑われる取引を「要確認」として抽出する用途も考えられます。

ただし、Microsoftは与信や保険の判断で、Microsoft-Decision-1を唯一の判断者にしないよう明記しています。あくまで担当者の確認作業を減らす「下ごしらえ」として使うのが前提です。

金融業界での生成AIの活用事例を知りたい方は、下記の記事もあわせてご確認ください。

ゲーム・エンタメ

ゲーム・エンタメ業界では、ユーザーの声の分類と分析に役立ちます。

Microsoftの社内では、Xbox Researchが1万件以上のアンケート回答や、SteamのレビューとXの投稿を、研究者が決めたテーマに自動で分類しています(※1)。新作の発売や配信のたびに大量の感想が集まる業界では、こうした仕分けの手間を大きく減らせるはずです。

規約違反の投稿を判定してコミュニティを見守る用途や、問い合わせの振り分けにも応用できます。

ゲーム業界で進む生成AIの活用について知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

Microsoft-Decision-1に関するXの話題

Microsoft-Decision-1の発表は、Xでも大きな話題になりました。ここでは、公式の発表と国内外の開発者の反応を紹介します。

今回解説する事例において、弊社がX(旧Twitter)で発見した参考となるツイートを紹介させていただいております。取り下げなどのご連絡は、contact@weel.co.jp からご連絡ください。

Microsoft CEOのサティア・ナデラ氏が自ら発表

MicrosoftのCEOであるサティア・ナデラ氏は、自身のXアカウントでMicrosoft-Decision-1を発表しました。

投稿では、構造化された判断タスクで、LLMやほかの判断モデルを速さと品質の両面で上回ったと紹介しています。2026年10月時点でいいねの数は1万件を超えており、注目度の高さがうかがえます。

「MS版Jev」として国内の開発者も期待

国内の開発者からは、Microsoft-Decision-1を「MS版Jev」と呼んで歓迎する声が上がりました。

この投稿では、多くのユースケースでコストを下げられるとして、さっそく自分のシステムに組み込むと意気込んでいます。Jevで判断モデルの便利さを知った開発者にとって、Microsoftが参入したことで選択肢が増えた形です。

ベースモデルの扱いに対する批判の声も

一方で、Qwenをベースにしていることへの触れ方が控えめだと批判する投稿も見られました。

Microsoft-Decision-1はAlibabaのQwen3.5-9Bをもとにしています。発表記事では本文でQwen3.5-9Bを追加学習したと説明しているものの、その扱いが十分ではないと感じた方もいたようです。オープンウェイトのモデルを土台にした商用サービスが増えるなか、こうした点も注目されています。

生成AIなどのご相談はWEELへ!

Microsoft-Decision-1は、文章を生成せずに選択肢ごとの確率を返す、Microsoftの判断特化モデルです。料金はJevと同じ入力100万トークンあたり0.042ドルで、Microsoftの比較では精度と速度の両方でJevを上回りました。

筆者の検証でも、日本語の問い合わせの振り分けや、エージェントの危険な操作の判定を迷わずこなしていました。Azureの管理の中で使えるため、問い合わせ対応やエージェントの安全対策を自動化したい企業にとって、有力な選択肢になるでしょう。

弊社では、AI導入を検討中の企業向けに、業務効率化や新しい価値創出を支援する情報提供・導入支援を行っています。判断モデルとLLMを組み合わせた業務フローの設計も、お気軽にご相談ください。

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Microsoft-Decision-1に関するよくある質問

OpenAIのDecisions APIとはどう違いますか?

一番の違いは入力の種類です。OpenAIのDecisions APIは画像でも判断できますが、Microsoft-Decision-1はテキストしか扱えません。Microsoftの比較では、OpenAIのGPT-6 Luna Decisionsの平均正答率が79.4%、応答時間が300ミリ秒で、精度と速度はMicrosoft-Decision-1が上回っています。

CloudflareのClefとはどう違いますか?

Clefはモデルの重みが公開されており、自社環境で動かせる点が大きな違いです。画像の入力にも対応しています。Microsoft-Decision-1は重みが非公開のクラウドサービスですが、Azureの契約や権限管理の中で使えるため、すでにAzureを導入している企業は手続きを進めやすいでしょう。

Azureの契約がなくても使えますか?

はい、OpenRouter経由であればAzureの契約なしで使えます。OpenRouterのアカウントを作り、クレジットを購入すればAPIやプレイグラウンドから呼び出せます。ただし、Azureの権限管理やデータゾーンの指定といった企業向けの管理機能を使いたい場合は、Microsoft Foundryで契約するのがおすすめです。

ChatGPTなどのLLMとはどう使い分ければよいですか?

答えの選択肢が決まっている判断はMicrosoft-Decision-1、文章の作成や要約はLLMという使い分けが基本です。たとえば、LLMに回答の下書きを作らせ、Microsoft-Decision-1でその下書きが基準を満たしているか判定させる組み合わせが考えられます。高価なLLMの呼び出しを減らせるため、全体のコストと処理時間を抑えられます。

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