【Heretic】モデルの検閲を自動除去!ツールの仕組みと使い方を徹底解説

- 完全自動で言語モデルの検閲を除去できる革新的なツール
- アブリテレーション技術とTPEベースの最適化を組み合わせた高精度処理
- 高コストな再トレーニング不要で検閲解除済みLLMを生成可能
大規模言語モデルには通常、不適切な応答を防ぐための検閲機能が組み込まれています。
「Heretic」は、この検閲を自動的に除去できる画期的なツールです。高度なアブリテレーション処理(モデル挙動の自動最適化)により、オリジナルの性能を維持しながら命令拒否を回避できるモデルを生成します。デフォルト設定でも専門家が手動で行ったものと同等の品質を実現できる点が大きな特徴です。
この記事ではHereticの概要から仕組み、実装方法、活用シーンまで詳しく解説します。最後までお読みいただければ、Hereticを使った言語モデルのカスタマイズ手法が理解できます。ぜひ最後までご覧ください!
\生成AIを活用して業務プロセスを自動化/
Hereticの概要
Hereticは、Transformerベースの大規模言語モデルから検閲機能を自動的に除去するオープンソースツールです。
事前学習済みの言語モデルには、安全性の観点から差別的・攻撃的な出力をしないよう、特定の入力に対して回答を拒否する仕組みが実装されています。

Hereticはこの「検閲」を取り除くことで、モデルが本来持つ能力を最大限引き出すことを可能にしています。従来のアブリテレーション手法では、手動でのパラメータ調整や専門知識が必要でしたが、Hereticは完全自動化されたプロセスを採用しています。
高度なアブリテレーション処理とTPE(Tree-structured Parzen Estimator)ベースのパラメータ最適化機能(確率モデルを使った最適化手法)を組み合わせることで、再トレーニングなしで高品質な検閲解除済みモデルを生成できます。
GitHubで公開されており、Python 3.10以上とPyTorch 2.2以上の環境があれば誰でも利用可能です。
高コストな再トレーニングが不要で、RTX 3090などのコンシューマー向けGPUでも実行できる点が大きなメリットとなっています。
なお、高性能なチューニング手法についてくわしく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。

Hereticの仕組み
Hereticはアブリテレーション技術を核とした自動最適化システムとして動作します。
アブリテレーションとは、言語モデルに有害な指示と無害な指示を与え、その処理の差分を分析することで命令拒否メカニズムを特定し無効化する手法です。

Hereticはこのプロセスを完全自動化し、Optunaによる最適化アルゴリズムと組み合わせることで、人間の介入なしに最適なパラメータを探索します。デフォルトでは200回の試行を通じて最適な設定を見つけ出します。
実行時にはシステムのベンチマークを行い、利用可能なハードウェアリソースを最大限活用するために最適なバッチサイズを自動決定します。
GPUの性能に応じて効率的な処理が可能となっています。処理フローは、元のモデルの重みを読み込み→検閲に関連する層を特定→最適化アルゴリズムでパラメータを調整→検閲除去後のモデルを出力という流れになっています。
モデルの基本的な言語理解能力や推論性能は可能な限り保持されるよう設計されています。
Hereticの特徴

Hereticには、従来の検閲解除手法と比較して優れた特徴が複数あります。ここではHereticの主な特徴を紹介します。
完全自動化されたプロセス
Hereticは設定不要で動作する完全自動化ツールです。
ユーザーはモデル名を指定するだけで、最適なパラメータ探索から検閲除去まで全プロセスが自動実行されます。従来の手動アブリテレーションでは専門知識と時間が必要でしたが、Hereticではこれらのハードルが解消されました。
開発者は技術的な詳細を気にすることなく、検閲解除済みモデルを短時間で生成できます。
高品質な出力と性能維持
デフォルト設定でも、Hereticは人間の専門家が手動で行ったアブリテレーションに匹敵する品質を実現します。

例えば、google/gemma-3-12b-itモデルの場合、オリジナルは有害指示への拒否率が97/100でしたが、Heretic処理後は3/100まで低下しました。
さらに重要なのは、性能劣化を示すKL divergence(カルバック・ライブラー情報量)が0.16と、他の手動アブリテレーション手法(1.04や0.45)と比較して最小限に抑えられている点です。 ※1

この数値は、検閲除去によってモデルの基本性能がほとんど損なわれていないことを示しています。
ハードウェア最適化機能
Hereticは、実行環境に応じて自動的に処理を最適化します。
システムベンチマークを実施し、利用可能なVRAMやCPUリソースを検出、最適なバッチサイズと並列処理レベルを決定します。
RTX 3090でLlama-3.1-8Bを処理する場合、デフォルト設定でおよそ45分で完了します。
より高性能なGPUを使用すれば、さらに短時間での処理も可能です。この処理時間は、従来の手動アブリテレーションと比較して大幅に短縮されており、開発サイクルの高速化に貢献しています。
Hereticの安全性・制約
Hereticを利用する際には、いくつかの重要な安全性と制約について理解しておく必要があります。
倫理的・法的リスク
検閲を解除したモデルは、有害・違法・非倫理的なコンテンツを生成する可能性があります。
Hereticはあくまで研究や特定の用途向けのツールであり、生成されたモデルの使用には責任が伴います。悪意ある利用や社会的に有害な目的での使用は、法的責任を問われる可能性があります。
したがって、利用者は自己の責任において適切な用途でのみ使用することが求められます。
技術的制約
HereticはTransformerベースのモデルにのみ対応しており、すべての言語モデルで動作するわけではありません。
また、アブリテレーション処理は完璧ではなく、一部の検閲機能が残存する場合や、逆に過度に反応が変化する場合もあります。モデルの性能劣化を最小限に抑える設計となっていますが、特定のタスクでは精度低下が見られる可能性があります。実運用前には十分な検証が必要です。
Hereticの料金
Hereticは完全無料のオープンソースツールです。
GitHubのリポジトリで公開されており、誰でも自由にダウンロード・利用できます。
ただし、実行には適切なハードウェア環境が必要です。中〜大規模モデルの処理にはGPUが推奨され、特にVRAM容量が重要となります。クラウドGPUサービスを利用する場合は、その利用料金が別途発生します。
ツール自体のライセンスに基づく制限はありませんが、生成したモデルを商用利用する際は、元のモデルのライセンス条項を確認する必要があります。
例えば、Llama 3.1やGemma 3などのモデルを扱う場合、それぞれのライセンス規約に従う必要があります。
Hereticのライセンス
HereticはAGPL-3.0ライセンスの下で公開されています。
これは、コードの利用・改変・配布が可能なコピーレフトライセンスですが、改変したコードを公開する際は同じライセンスで公開する必要があります。生成されたモデルの利用については別途考慮が必要です。
検閲を解除したモデルの配布や公開は、プラットフォームのポリシーに抵触する可能性があるため注意が必要です。
商用利用や大規模展開を検討する場合は、法務部門への相談が望ましいです。
Hereticの実装方法
Hereticの実装は非常にシンプルで、数ステップで完了します。
環境準備
まず、以下の環境を準備します。
- Python 3.10以上
- PyTorch 2.2以上
- NVIDIA GPUドライバとCUDA(GPU利用の場合)
また、仮想環境を作成し、必要なパッケージをインストールすることが推奨されます。
インストールと実行
以下のコマンドでHereticをインストールし、モデルを処理します。
```
pip install -U heretic-llm
heretic Qwen/Qwen3-4B-Instruct-2507
```「Qwen/Qwen3-4B-Instruct-2507」の部分は、処理したいHugging Face上のモデル名に置き換えます。
実行後、以下のプロセスが自動的に実行されます。
- モデルのダウンロード
- システムベンチマーク
- パラメータ最適化
- 検閲除去処理
- 処理済みモデルの出力
これらすべてが自動化されているため、ユーザーは待つだけで検閲解除済みモデルを取得できます。
カスタマイズオプション
より細かい制御が必要な場合、Hereticはさまざまなパラメータを提供しています。最適化試行回数、バッチサイズ、出力先ディレクトリなどを指定できます。
Hereticの活用シーン
Hereticは特定の研究・開発用途で特に力を発揮します。
AI安全性研究
言語モデルの検閲メカニズムの研究に活用できます。
どのような検閲が実装されているか、それがモデル性能にどう影響するかを分析する際に有用です。
特に、セキュリティ評価において、モデルの脆弱性を検証する目的で利用されています。検閲前後のモデル挙動を比較することで、安全性機構の働きを深く理解できます。
関連技術として、科学文献に強いAIエージェント「PaperQA2」の検証記事もあわせてごらんください。

カスタムモデル開発
企業や研究機関が独自の安全基準を持つモデルを構築する際の基盤として活用できます。まず検閲を除去してクリーンな状態にした後、組織固有の制約やガイドラインを再実装するアプローチが有効です。
特定ドメインに特化したモデルで、一般的な検閲が過度に働く場合、Hereticで調整してから専門的なファインチューニングを行うことも可能です。
学術研究
言語モデルの内部メカニズム、特にアライメント技術の仕組みを理解する研究に貢献します。検閲前後のモデル挙動を比較することで、安全性対策がどのように実装されているかの洞察が得られます。
Hereticを実際に使ってみた
Hereticを実際に使用すると、その自動化の完成度に驚かされます。
モデル名を指定して実行すると、まずシステムのハードウェア情報を収集し、最適なバッチサイズを決定します。

その後、モデルのダウンロードが始まり、アブリテレーション処理が自動的に実行されます。処理中は進捗状況がリアルタイムで表示され、現在の最適化試行回数や損失値を確認できます。
生成されたモデルは、有害な指示に対する拒否率が大幅に低下する一方、通常の対話や推論タスクでは元のモデルとほぼ同等の性能を維持していました。
Hereticで検閲解除済みモデルを活用しよう!
Hereticは、大規模言語モデルの検閲を自動的に除去できる革新的なツールです。
完全自動化されたプロセスにより、専門知識がなくても高品質な検閲解除済みモデルを短時間で生成できます。アブリテレーション技術とTPEベースの最適化を組み合わせることで、モデルの基本性能を維持しながら命令拒否機能を無効化します。
AI安全性研究やカスタムモデル開発、学術研究など、特定の目的において強力なツールとなっています。
ただし、検閲を解除したモデルは有害なコンテンツを生成する可能性があるため、倫理的・法的責任を十分理解した上で使用することが重要です。
Hereticを活用することで、言語モデルの可能性をさらに探求できます。適切な用途での活用を検討してみてはいかがでしょうか。
最後に
いかがだったでしょうか?
検閲解除モデルを研究・開発で扱う際は、技術理解だけでなくガバナンス設計や再制御の方針が不可欠。弊社はHereticを含むLLMカスタマイズを、用途・リスク・運用面から整理したい方の力になれます。
株式会社WEELは、自社・業務特化の効果が出るAIプロダクト開発が強みです!
開発実績として、
・新規事業室での「リサーチ」「分析」「事業計画検討」を70%自動化するAIエージェント
・社内お問い合わせの1次回答を自動化するRAG型のチャットボット
・過去事例や最新情報を加味して、10秒で記事のたたき台を作成できるAIプロダクト
・お客様からのメール対応の工数を80%削減したAIメール
・サーバーやAI PCを活用したオンプレでの生成AI活用
・生徒の感情や学習状況を踏まえ、勉強をアシストするAIアシスタント
などの開発実績がございます。
生成AIを活用したプロダクト開発の支援内容は、以下のページでも詳しくご覧いただけます。
➡︎株式会社WEELのサービスを詳しく見る。
まずは、「無料相談」にてご相談を承っておりますので、ご興味がある方はぜひご連絡ください。
➡︎生成AIを使った業務効率化、生成AIツールの開発について相談をしてみる。

「生成AIを社内で活用したい」「生成AIの事業をやっていきたい」という方に向けて、生成AI社内セミナー・勉強会をさせていただいております。
セミナー内容や料金については、ご相談ください。
また、サービス紹介資料もご用意しておりますので、併せてご確認ください。
