AIが個人の創造性向上と集団の画一化を招く

ロンドン大学とエクセター大学の研究者たちが、生成AIが創造的な文章作成に与える影響について調査を行いました。

この研究では、大規模言語モデル（LLM）が提供するストーリーのアイデアが、人間が書いた短編小説の創造性にどのような影響を及ぼすかを検証しています。

結果は複雑な様相を呈しています。生成AIを利用すると、より独創的で魅力的、そして巧みに作られた物語が生まれる傾向がありました。

しかし同時に、AIの助けを借りた物語は互いに類似性が高くなる傾向も見られたのです。研究では、参加者を3つのグループに分けて短編小説を書かせました。

AIの助けを借りないグループ、1つのAIアイデアを使用できるグループ、5つのAIアイデアを使用できるグループです。

その後、物語の斬新さと有用性を評価しました。調査の結果、AIのアイデアを利用できたグループの方が、より斬新で有用な物語を書くことができたことが判明。

特に、5つのAIアイデアを利用できたグループが最も顕著な改善を示しました。

また、元々の創造性が低かった参加者ほど、AIの恩恵を大きく受けたことも分かりました。

しかし、個人の創造性が向上する一方で、AIを利用した物語は全体的に均一化する傾向が見られました。

研究者たちは、AIの利用が広まることで、創作物の集団的な独自性が失われる可能性を指摘しています。

この研究結果は、AI駆動の執筆ツールや大量のコンテンツ生成にLLMを使用する企業が増加している現状を考えると、重要な意味を持ちます。

長期的には、インターネット上のコンテンツが類似した特徴を持つようになり、それが将来の言語モデルの学習データとなる可能性があるのです。

参考記事：VentureBeat