画像生成AIのSeed値とは?Stable DiffusionやDALL-E 3での使い方とおすすめ活用法

画像生成AI Seed値 Stable Diffusion DALL-E 活用法

WEELメディア事業部AIライターの2scです。

みなさん!画像生成AIのパラメータのひとつ「Seed値」はご存知ですか?

画像生成AIをWebサービスで使っている方には馴染みが薄いかもしれませんが、このSeed値は超便利なパラメータ。Seed値を固定してプロンプトを一部変えてあげる事で、以下のように構図を保ったまま画像の雰囲気だけが変えられちゃうんです!

当記事では、そんな画像生成AIのSeed値を徹底解説。その概要・用途・活用例から、Seed値指定ができる画像生成AIモデルまでを余すところなくお伝えしていきます。

完読いただくと、しっくりくる画像が自由自在に生成できちゃうかも!
ぜひぜひ、最後までお読みください!

目次

画像生成AIにおけるSeed値とは

「Seed値(シード値)」とは、ランダムな出力の1つ1つに割り振られる識別番号(シリアルナンバー)で、同じ出力を指定する際に用いられる値です。こと画像生成AIにおいては、同じAIモデル内で同じ構図の画像を繰り返し再現するためのパラメータを指します。

通常、同じAIモデルに同じプロンプトを入力しても、毎回異なる構図の画像が生成されます。

これは画像生成AIの内部でランダムなSeed値とそれに対応する構図が決定されるため。AIモデルとプロンプトに加えて、このSeed値も揃えてあげることで初めて、同じ構図の画像が再現できるということなのです。

なお、生成AI全般のしくみについて詳しく知りたい方は下記の記事もご確認ください。

画像生成AIのSeed値の用途・活躍する場面

画像生成AIでは、Seed値を固定してプロンプトだけを変更することで、同じ構図・同じキャラクターを保ったまま背景や画風の異なる画像が生成できます。

また、Seed値を1ずつ連番で変更することで、構図やキャラクターがわずかに異なる画像も生成可能。まとめると、Seed値は……

画像生成AIのSeed値が活躍する場面
  • キャラクターはそのまま、画風だけを変えたい場合
  • キャラクターはそのまま、背景だけを変えたい場合
  • キャラクターはそのまま、服装や表情だけを変えたい場合
  • 構図を少しずつ変えたい場合

といった場面で活躍してくれるんです。

目当ての構図とSeed値を引き当てるまでには、画像生成を繰り返す必要があります。この工程を指して「シードガチャ」と呼ぶこともあるようです。

【商用利用OK】Seed値が指定できる画像生成AIのAPI6選

Seed値が指定できる画像生成AIモデルの多くは、各自のPCにダウンロードして使うタイプのもの。使いこなすには高性能なGPUやセッティングの知識が必要でした。

ただ、一部の画像生成AIモデルについては「ダウンロードなしで使用可」「Seed値の指定に完全対応」「商用利用もOK」のAPI版が登場しています。

今回はそんな、夢のような画像生成AIのAPI版を合計6つ紹介。まずは、おなじみのStable Diffusionから詳しくみていきましょう!

Stable Diffusion

Stability AIが送る画像生成AIのシリーズ「Stable Diffusion」には、Seed値の指定に対応したAPI版が存在します。

Stable Diffusionというと、高性能GPUとWeb UIを要するイメージがありますが、API版ならそのような下準備なしで気軽に利用可能。しかも下表のとおり、最新モデルの「Stable Diffusion 3」や旧型の「SDXL 1.0」等、様々なモデルが使えてしまいます。(※1)

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モデル利用料金ライセンス
Stable Image Ultra1回生成ごとに0.08ドルStability AI Community License
(収益100万ドル未満なら無料で商用利用可)
Stable Image Core1回生成ごとに0.03ドルStability AI Community License
(収益100万ドル未満なら無料で商用利用可)
Stable Diffusion 3 Large1回生成ごとに0.065ドルStability AI Community License
(収益100万ドル未満なら無料で商用利用可)
Stable Diffusion 3 Large Turbo1回生成ごとに0.04ドルStability AI Community License
(収益100万ドル未満なら無料で商用利用可)
Stable Diffusion 3 Medium1回生成ごとに0.035ドルStability AI Community License
(収益100万ドル未満なら無料で商用利用可)
SDXL 1.01回生成ごとに0.009ドル〜CreativeML OpenRAIL++-M
(完全無料で商用利用可)
SD 1.61回生成ごとに0.009ドル〜CreativeML OpenRAIL-M
(完全無料で商用利用可)

なお、Stable Diffusion 3について詳しく知りたい方は下記の記事もご確認ください。

Adobe Firefly

Adobeの画像生成AI「Adobe Firefly(Generate Images – Model 3)」はおなじみのWebサービス版のほかに、Creative Cloudから使えてSeed値の指定に対応したAPI版も登場しています。(※2、3)

Adobe Fireflyといえば、学習データにAdobe Stockの画像や権利切れの画像を使っていて、著作権上低リスクであるというのが魅力。下表のとおり、生成画像の商用利用もOKですので、Webサイトのアイキャッチ・サムネイル・広告バナーの制作等で活躍してくれそうです。(※4)

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モデル利用料金ライセンス
Generate Images – Model 3Creative Cloudコンプリートプラン(個人):7,780円 / 月(税込)
Creative Cloudコンプリートプラン(法人):10,780円 / 月(税込)
Creative Cloud 単体プラン(法人):5,080円 / 月(税込)
不明
(完全無料で商用利用可)

なお、Adobe Fireflyについて詳しく知りたい方は下記の記事もご確認ください。

FLUX.1

「FLUX.1」は、Stable Diffusion XLやStable Video Diffusionの開発関係者らが立ち上げた「Black Forest Labs(BFL)」からリリースされている今注目の画像生成AI。こちらはHuggingFaceでインストールできるオープンソース版の他に、Fal.aiやReplicateから使えるAPI版も登場しています。

このFLUX.1のすごいところは、Soraと同じ技術(拡散トランスフォーマー)によって、品質トップクラスの画像生成を実現していることに尽きます。

というのも、FLUX.1は高性能順に[pro]・[dev]・[schnell]からなるファミリーなのですが、エントリーモデルのFLUX.1 [schnell]でも性能は十分。具体的には「Midjourney v6.0」や「DALL-E 3(高解像度)」超えの美麗画像が生成できちゃうんです!(※5)

そんなFLUX.1のうち、商用利用OKなAPI版は下表のとおり。(※6、7)Seed値の指定にも対応していますので、幅広い場面で活躍してくれそうです。

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モデル利用料金(Fal.ai)ライセンス
FLUX.1 [schnell]0.003ドル / 1MピクセルApache License 2.0
(完全無料で商用利用可)
FLUX.1 [pro]0.05ドル / 1Mピクセル不明(完全無料で商用利用可)

なお、FLUXシリーズの最新版について詳しく知りたい方は下記の記事もご確認ください。

PixAI Platform

「PixAI Platform」は、API経由でSDXL系のマージモデルが使えるサービスです。こちらはSeed値の指定やLoRAによるモデルの調整に完全対応。その利用料金は下表のとおりになっています。(※8、9)

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プラン月払いでの料金年払いでの料金
Starter月額9.99ドル年額95.88ドル
Plus月額29.99ドル年額275.88ドル
Premium月額49.99ドル年額431.88ドル

このPixAI Platformは、アニメ系の画像生成AIモデルが使いたい方におすすめです。

Segmind

「Segmind」も、SDXL系派生モデルのAPIを提供するサービスになります。

こちらは広告バナー等商用画像の生成に適したモデルが揃っていて、下表の料金で各モデルが利用可能。Seed値の指定にも対応しており、しっくりくる画像素材が量産できます。(※10、11、12)

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プラン月払いでの料金年払いでの料金
Personal月額19ドル(+API利用料金)年額199ドル(+API利用料金)
Pro月額59ドル(+API利用料金)年額348ドル(+API利用料金)
Business月額599ドル(+API利用料金)年額399ドル(+API利用料金)
Enterprise要問い合わせ要問い合わせ

そんなSegmindは、バナー広告やSNSマーケティングの自動化で活躍してくれそうです。

DALL-E 3

OpenAIChatGPT上で提供する画像生成AI「DALL-E 3」についても、API版が登場しています。(※13)こちらはSeed値の指定・取得に未対応なのですが、下記の裏ワザでSeed値を使った画像生成が可能です。

DALL-E 3のSeed値を指定する手順
  1. ChatGPT(有料プラン)で画像を生成
  2. お気に入りの画像をクリック
  3. 右上のボタン「プロンプト(丸に小文字のi)」をクリック
  4. 英語のプロンプトが表示されるので「コピーする」を選択
  5. 生成したチャット内で画像のSeed値を確認
  6. コピーしたプロンプトとSeed値をAPI版DALL-E 3のプロンプトに入力

ちなみに、API版DALL-E 3の利用料金やライセンスは下表のとおり。こちらも画像素材を量産したい場合に便利かもしれません。(※14、15)

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モデル利用料金ライセンス
DALL-E 3(標準)1024×1024:1回生成ごとに0.040ドル
1024×1792、1792×1024:1回生成ごとに0.080ドル
不明(完全無料で商用利用可)
DALL-E 3(高解像度)1024×1024:1回生成ごとに0.080ドル
1024×1792、1792×1024:1回生成ごとに0.120ドル
不明(完全無料で商用利用可)

なお、DALL-E 3について詳しく知りたい方は下記の記事もご確認ください。

画像生成AIのSeed値の活用例2選

ここからは、画像生成AIのSeed値の活用例を2つ、ChatGPTのDALL-E3を使った実演付きでご紹介します。

手始めに、ChatGPTのDALL-E3におけるプロンプト・Seed値の確認方法は……

ChatGPTのDALL-E3で同じ画像を再現する流れ
  1. DALL-E3で生成した画像をクリック
  2. 右上のボタン「プロンプト(丸に小文字のi)」をクリック
  3. 英語のプロンプトが表示されるので「コピーする」を選択
  4. 生成したチャット内で画像のSeed値を確認
  5. コピーしたプロンプトとSeed値をChatGPTに入力

以上のとおり。今回はこの方法で、下記のプロンプトと生成画像を用意しました。こちらを実演に使っていこうと思います。

A 1990s style pixel art of a maid with pink hair, wearing a classic maid outfit, featuring soft pastel colors and retro video game aesthetics.

Seed:2426311574
プロンプト和訳

1990年代風のピクセルアートで、ピンク色の髪を持つメイドがクラシックなメイド服を着ている。淡いパステルカラーを使い、レトロなビデオゲームの趣が特徴。

それではまず、同じキャラクターで異なるテイストを表現する方法から、詳しくみていきましょう!

同じキャラクターを異なるテイストで生成

画像生成AIでは、Seed値を固定してプロンプトだけを変更することで、元の構図・キャラクターを保ったまま画風・服装・表情…etc.が変えられます。こちらはお気に入りの画像を微調整したい場合に便利です。

それでは、Seed値固定時のプロンプトの変更について、DALL-E 3と先述のSeed値&プロンプトで試してみましょう!まずは下記のプロンプトのとおり、画像中の色合いをパステルカラーから蛍光色に変更していきます。

A 1990s style pixel art of a maid with pink hair, wearing a classic maid outfit, featuring fluorescent colors and retro video game aesthetics.

Seed:2426311574
プロンプト和訳

1990年代風のピクセルアートで、ピンク色の髪を持つメイドがクラシックなメイド服を着ている。蛍光色を使用し、レトロなビデオゲームの趣が特徴。

こちらをDALL-E 3に入力してみると……

お見事!キャラクターの特徴やポージングはそのままに、よりビビッドな画像が返ってきました。

続いては、1990年代風のピクセルアートから2010年代風のアニメアートにタッチを変更してみます。

A 2010s style anime art of a maid with pink hair, wearing a classic maid outfit, featuring soft pastel colors.

Seed:2426311574
プロンプト和訳

2010年代風のアニメアートで、ピンク色の髪を持つメイドがクラシックなメイド服を着ている。淡いパステルカラーが特徴。

上記のプロンプトをDALL-E 3に入力してみると……

こちらも見事、タッチだけが変わっています。これなら、しっくりくる画像が作れそうですね。

連番のSeed値で画像生成

画像生成AIにおいて、構図・キャラクターが似通った生成画像は近似したSeed値で管理されています。

そんなSeed値を1ずつ連番で変更して、固定のプロンプトとあわせて画像生成AIに入力していくことで、画像中の構図・キャラクターを少しずつ変えてゆくことが可能。こちらは構図・キャラクターのブラッシュアップをしたい場合に活躍してくれます。

この連番のSeed値についても、先述のSeed値&プロンプトで試していきましょう。同じプロンプトを使い回して、元のSeed値「2426311574」に1ずつ足したものをDALL-E 3に入力していくと……

連番のSeed値による生成結果

このように、構図の似通った画像が次々と生成されていきます。個人的には、一番上の構図がお気に入りです。みなさんもぜひぜひ、Seed値で遊んでみてくださいね!

なお、Stable Diffusionのプロンプトについて詳しく知りたい方は下記の記事もご確認ください。

画像生成AIのSeed値なら狙いどおりのイラストが作れる

当記事では、画像生成AIにおける「Seed値」について用途や活用例をお見せしました。以下にてもう一度、Seed値が活躍する場面について振り返っていきましょう!

画像生成AIのSeed値が活躍する場面
  • キャラクターはそのまま、画風だけを変えたい場合
  • キャラクターはそのまま、背景だけを変えたい場合
  • キャラクターはそのまま、服装や表情だけを変えたい場合
  • 構図を少しずつ変えたい場合

Seed値の使い方をマスターすれば、お気に入りの生成画像にアレンジが加えられます。画像素材からアニメ風イラストまで通用するテクニックですので、みなさんもぜひぜひ、お試しください!

最後に

いかがだったでしょうか?

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投稿者

  • 2sc

    テクニカルライター 大学時代はアリの生態を研究。 ラボで唯一、Pythonを使ってデータ分析を効率化していた。 現在はライターとして、オウンドメディアや学術記事の執筆に当たっている。

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