NVIDIA CUDAとは?概要や仕組み、活用分野を初心者でもわかりやすく解説

WEELメディアリサーチャーのいつきです。
生成AIの開発やシミュレーションなどの現場において、処理が重くて作業がなかなか進まずに困っている方は多いのではないでしょうか?
そんな時は、NVIDIAがGPUの並列処理向上を目的に開発した「NVIDIA CUDA」の出番です。
今回は、NVIDIA CUDAの概要や活用シーンについて詳しく解説していきます。
最後まで目を通していただくと、NVIDIA CUDAについての理解が深まり、生成AI開発などの分野で生産性の向上が見込めます。
ぜひ最後までご覧ください。
NVIDIAとは
NVIDIAとは、アメリカ・カリフォルニア州に本社を置く半導体メーカーです。1993年に設立され、今ではGPUの開発で世界的な知名度を有しています。
個人が使用するパソコン用のGPUを開発しているのはもちろん、企業のデータセンター向けに大規模なGPUを提供しているのも特徴。
NVIDIA CUDAのほかに、自動運転プラットフォームの「NVIDIA DRIVE」も運営するなど、生成AI分野にもかなり力を入れています。
なお、NVIDIAのAI基盤モデル「Cosmos」について詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。

GPUとは

GPUとは、Graphics Processing Unitの略で、画像や映像の描画処理を担当しているパーツです。同時に複数の処理を実施する並列処理が得意なため、ディープラーニングなども快適におこなえます。
なお、CPUでも画像や映像の処理はできますが、並列処理はGPUほど快適にできません。CPUの力だけでは画像や映像の処理に多くの時間がかかってしまうため、動画編集や生成AI開発の分野ではGPUの力が必要不可欠です。
NVIDIA CUDAとは

NVIDIA CUDAとは、NVIDIAが提供しているコンピューティングプラットフォームです。NVIDIA製GPUの性能を最適化し、並列処理の向上を実現できます。
元々GPUは画像処理や映像処理を目的に開発されていますが、NVIDIA CUDAの登場によって一般的な計算処理(GPGPU)にも応用できるようになりました。
具体的には、機械学習や科学技術計算などに応用可能で、現在でも現場の第一線で活用されています。
NVIDIA CUDAの仕組み

NVIDIA CUDAの仕組みは、GPU上で大量のスレッドを同時に実行し、高速な並列処理を可能にする点にあります。並列処理を高速化できるのは、CUDA対応GPUが数千の小さなコアを持ち、それぞれが独立した処理を実行するためです。
なお、NVIDIA CUDAは、おもに以下4つの要素で構成されています。
- CUDA C/C++:GPU向けの並列処理を記述するためにC/C++を拡張した言語。CPUとGPU両方にまたがるコードを一つのプログラムで書ける。
- CUDAランタイム:GPUとのやり取りを担うライブラリ群で、GPUメモリの確保やデータ転送、カーネルの実行などを簡単に扱えるようにする。
- CUDAドライバ:GPUをハードウェアとして制御するソフトウェア。プログラム実行時にGPUリソースの割り当てや管理を行う。
- CUDAツールキット:GPU開発に必要なツール一式(コンパイラnvcc、デバッガ、性能分析ツールなど)を含む開発用パッケージ。
プログラマーはCやPythonなどを使ってCUDA向けに記述したコードを、CPUからGPUに渡します。その後GPUは多数のスレッドを生成し、各データに対して同時に演算を実行します。
この並列処理構造により、大規模な計算タスクでも高速に処理できるのがCUDAの強みです。
NVIDIA CUDAが活用される分野
NVIDIA CUDAが活用されるのは、おもに以下4つの分野です。
- 機械学習・ディープラーニング
- 画像・動画処理
- 数値的なシミュレーション
- マイニング
それぞれの分野におけるNVIDIA CUDAの活用法について、以下で詳しくみていきましょう。
機械学習・ディープラーニング
NVIDIA CUDAは、機械学習・ディープラーニングにおいて、大量の並列計算や行列演算を高速に処理するために活用されています。GPUの並列演算能力を最大限に引き出すことで、膨大なデータを扱う深層学習などの処理時間を大幅に短縮できるためです。
特に、PyTorchやTensorFlowなどの主要なライブラリはCUDAと連携しており、研究から実用化まで幅広いAI開発の基盤となっています。
画像・動画処理
NVIDIA CUDAは、画像や動画処理において、処理の高速化や高精度化を果たす目的でも活用されています。たとえば、ノイズ除去や画像の鮮明化、リアルタイム映像解析といった演算処理をGPUの並列計算によって効率化可能です。
高解像度映像を扱う際にもフレーム単位で処理が分散されるため、滑らかな動作と短い応答時間を実現できます。映像編集、医用画像処理、監視カメラのリアルタイム分析など、さまざまな現場で導入が進んでいます。
数値的なシミュレーション
NVIDIA CUDAは、数値的なシミュレーションにおいても、処理の高速化や高精度化を果たす目的で活用されています。たとえば、気象予測・流体力学・構造解析など、大量の数値計算を伴うシミュレーションでは、GPUによる並列処理が有効です。
複雑なモデルの演算を同時に行うことで、従来のCPUベースでは数日かかる計算も短時間で完了することが可能になります。工業分野や研究機関では、実験コスト削減や開発期間の短縮にもつながっています。
マイニング
NVIDIA CUDAは、ビットコインなどの暗号資産取引を承認し、ブロックチェーンに記録する「マイニング」のプロセスでも活用されています。
マイニングでは、大量のハッシュ計算を短時間で繰り返す必要があるため、CPUのみで実施すると計算が遅くなり、ブロック報酬を得られる確率が下がってしまいます。
しかし、NVIDIA CUDAを活用すれば演算効率が引き上げられるため、マイニングの効率と収益性が向上するというわけです。
NVIDIA CUDAを活用する際の注意点
NVIDIA CUDAを活用する際は、以下の2点に注意が必要です。
- NVIDIA製のGPUでしか利用できない
- グラフィックボード(GPU)が高い
特に、NVIDIA CUDAは、同社が開発したNVIDA製GPUでしか利用できない点に注意が必要です。
以下で注意点を詳しく解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
NVIDIA製のGPUでしか利用できない
NVIDIA CUDAは、NVIDIAが独自に開発したGPU向けの並列コンピューティング技術です。そのため、NVIDIA CUDAを使ったプログラムはNVIDIA製のGPUでしか実行できません。
たとえば、AMD製のRadeonシリーズやIntelの統合グラフィックスでは、NVIDIA CUDAをサポートしていない点に注意しましょう。
グラフィックボード(GPU)が高い
NVIDIA CUDAを利用するにはNVIDIA製GPUが必要ですが、そもそもグラフィックボード(GPU)自体の価格が高いという問題があります。
特に、最新シリーズのRTX5000シリーズはグラフィックボード単体で10万円を超えるモデルが多く、最高性能のRTX5090は定価で40万円近くかかるほどです。
- RTX5070:約108,800円~
- RTX 5070 Ti:約163,980円~
- RTX5080:約204,800円~
- RTX5090:約460,000円~
ただ、NVIDIA CUDAの利用で各タスクの生産性が上がることを考慮するなら、初期コストが多少高くてもNVIDIA製GPUを購入する価値はあります。
なお、NVIDIAが開発した「Chat with RTX」について詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。

NVIDIA CUDAを活用してみよう
NVIDIA CUDAは、すでに生成AI開発・動画編集・シミュレーションなどの分野で広く活用されています。並列処理を高速で実行できるようになるため、CPU単体で処理していた作業が数倍早く終わるはずです。
ただし、NVIDIA CUDAは同社のGPU以外で利用できない点やそもそもGPU自体が高い点には注意しましょう。
それでも、生成AI分野の発達によりNVIDIA CUDAの重要性は益々上がっていくと考えられるため、生成AI開発や利用を効率化していきたい方は、ぜひ導入を検討してみてください。

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最後に
いかがだったでしょうか?
クラウドに依存せず、社内環境でAIを動かしたいというニーズが高まっています。並列処理の仕組みを活用すれば、大規模な計算も効率よく実行可能に。運用環境に合わせた最適な構成を検討してみませんか?
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