「ChatGPT VS Google」っていう面白い比較論文が出たので解説する!
世界最大の検索エンジンであるGoogleが不要になる日が来るかもしれません。ChatGPTやBingなどの生成系AIの登場で、検索の概念が大きく変わっています。
Microsoftは2月に、大規模言語モデル「GPT-4」を基にしたチャットAIをBing検索エンジンに統合しました。その結果、Bingのトラフィックは2月から3月にかけて15.8%増加し、一方でGoogleのトラフィックは同じ期間に約1%減少しました。
これはただの偶然なのか、それともChatGPTが検索エンジンに新たな風を吹き込んでいるのか?
この記事では、最新の研究結果を基に、ChatGPTとGoogleの能力を比較し、AIがSEOの未来にどのような影響を与えていくのかを深堀りします。
ChatGPT vs Google
今回の記事では、7月に公開された論文「ChatGPT vs. Google: A Comparative Study of Search Performance and User Experience」の内容をもとに解説していきます。
この論文に書かれている研究では、ChatGPTとGoogleのユーザー行動を比較するためのオンライン実験が行われました。参加者はランダムに2つのグループに分けられ、一方のグループはChatGPTを模したツールを、もう一方のグループはGoogleを模したツールを使用しています。
これらのツールは、実際のユーザーエクスペリエンスを再現するために、ChatGPTとGoogleのインターフェースを密接に模倣しています。実験では、検索タスクに費やした時間、タスクのパフォーマンス、情報の質の認識、満足度など、一般的に使用される指標を用いて検索パフォーマンスとユーザーエクスペリエンスを評価しました。
また、リサーチの結果は以下の5つの観点で報告されています。
1. Manipulation and Randomization Checks:研究の操作とランダム化が正しく行われたかを確認するためのチェックです。操作とは、研究者が研究の条件を制御することを意味し、ランダム化は、被験者を無作為に実験の各条件に割り当てることを指します。
2. Search Efficiency:検索の効率性を評価するための指標を指します。効率性は、同じ結果を得るために必要な時間や労力を測定します。
3. Search Efforts:検索にかかる労力を評価するための指標を指します。これは、検索を完了するために必要なステップの数や、検索クエリの長さなどを含むことがあります。
4. Search Performance:検索のパフォーマンスを評価するための指標を指します。パフォーマンスは、検索結果の品質や、検索者が目的の情報を見つける能力を測定します。
5. User Experience:ユーザーが検索ツールを使用する際の体験を評価するための指標を指します。これは、ユーザーがツールを使って情報を見つける過程で感じた満足度や楽しさなどを含むことがあります。
ChatGPTの検索エンジンとしての強み
ChatGPTの強みはその会話型のインターフェースと、自然言語処理能力にあります。論文によると、ChatGPTはユーザーの質問に対して人間と会話しているかのような自然な文で答えることができ、情報をより理解しやすい形で提供できたとのこと。
さらに、ChatGPTはユーザーの質問を理解し、関連性の高い回答を生成する能力を持っています。これにより、ユーザーは自分の質問に対して、ピンポイントに欲しい情報を得ることが可能です。
Googleの検索エンジンとしての強み
Googleの強みはその広範で深い情報源と、高度な検索アルゴリズムにあります。
Googleはウェブ全体をクロールし、その結果をユーザーに提供します。これにより、ユーザーは特定のキーワードやフレーズに関連する情報を瞬時に取得することが可能です。
また、Googleの検索アルゴリズムは、ユーザーが求める情報を正確に特定し、関連性の高い結果を提供するために、時間とともに進化し続けています。これにより、ユーザーは自分が必要とする情報を効率的に見つけることができます。
ChatGPTとGoogleのそれぞれの強みは以下の通り。
ChatGPT
- 会話型のインターフェース:ユーザーの質問に対して的確に答える
- 自然言語処理能力:ユーザーの質問を理解し、関連性の高い回答を生成
- 問題解決能力:ユーザーが直面している問題に対する一般的な解決策を提供
- 広範で深い情報源:ウェブ全体をクロールし、その結果をユーザーに提供。
- 高度な検索アルゴリズム:正確に関連性の高い情報を提供。
ChatGPTとGoogleはそれぞれ異なる強みがあることがわかりました。
ChatGPTとGoogleの比較
ChatGPTとGoogleが持つ強みは異なります。ここでは、それぞれが持つ異なる強みに対して被験者がどのように反応をしたのかについて、まとめていきます。
まず、ChatGPTの利用者は一貫して全てのタスクにかかる時間が短い結果となりました。また、ユーザーの検索した内容に対して自然な文章で回答を提供することが可能で、得たい情報を簡単に得ることが可能です。
Googleの利用者に比べてChatGPTの利用者は、より有用で使いやすいと感じ、高い満足度を示しました。
Googleの利用者は、一回の検索で出てきた情報では満足できず、関連情報を見つけるために多くの時間を費やしました。その結果、ChatGPTと比べてGoogleの情報の質を低く感じています。
しかし、利用者は提供された回答を受け入れ、情報源を問う傾向が少なかったため、2つのツールに対する信頼度には大きな差は見られませんでした。
全体的にみて、それぞれの強みや利便性はあるものの、ChatGPTとGoogleの間で優劣の差はなかったようです。
論文の懸念点
この論文はとても興味深いものですが、その内容を鵜呑みにするのは危険です。ここでは、この論文の懸念点を解説します。それを踏まえた上で、今回の論文の内容を受け入れてもらえればと思います。
まず、この研究は短期間の実験であり、長期間の使用による影響は明らかにされていません。ユーザーが時間とともにこれらのツールにどのように適応し、それらをどのように使用するかを理解するためには、より長期間の研究が必要となります。
また、この研究は特定のタスクを行うためのツールとしてのChatGPTとGoogleの比較に焦点を当てています。しかし、これらのツールが他のタスクや状況でどのように機能するかはまだ不明です。これらのツールの全体的な有用性と効果を評価するためには、さまざまなタスクと状況でのパフォーマンスを評価する追加の研究が必要です。
以上が「ChatGPT vs. Google: A Comparative Study of Search Performance and User Experience」の論文の内容に関する解説でした。
ChatGPTとGoogleの間で大きな差はないと言う結論でした。しかし、個人的にはChatGPTがGoogleと並列されるほどに検索エンジンとして機能していることが驚きでした。
論文から考えられるSEOへの影響
結論から書くと、筆者は今後SEOの需要は減少して行くと考えています。
今回の論文の内容から、ChatGPTが検索エンジンとしてGoogleと同じ程度の役割を果たしていることがわかりました。よってChatGPTはSEOに何らかの影響をもたらすことは間違い無いでしょう。
SEOとは、ウェブサイトやコンテンツを検索エンジンの検索結果でより上位に表示させるための仕組みを指します。
例えば、Googleで「ChatGPT 使い方」と検索をすると、様々な記事が上から順番に並べられます。これがSEOです。ユーザーが知りたい内容に限りなく近い記事を表示させ、欲しい情報を得られるようにする仕組みのことです。
また、Googleは、2023年5月10日に開催したGoogle I/O 2023で、このSEOに大きく変更を加えることを発表しました。SGE(Search Generative Experience)というものを紹介し、ChatGPTのようなジェネレーティブAIと会話しながらいろいろ検索ができる仕組みを作るとのことです。
参考文献:待ってた。Google検索にジェネレーティブAIがやってきた #GoogleIO
これは、ChatGPTとほとんど同じ仕組みで、人間が自然言語で質問した内容に対してAIが文章で返答してくれます。ChatGPTと違う点は、SGEの場合、AIが作った文章とその文章を生成するのに使ったサイト(参考文献)をページの冒頭に表示してくれることです。
これによって、ChatGPTよりも信頼性のある情報を提供でき、かつより詳しく知りたい場合はAIに続けて質問をするか、表示されたサイトを覗きに行けるようになる。
SGEはまだ実装されていませんが、ChatGPTとSGEの存在を考えた時に、SEOの必要性があまり感じられません。
SEO対策をするサイトのオーナーは、自分の記事を上位に表示させ、多くのユーザーをそのページに集めることで利益を得ているわけです。
しかし、ChatGPTによってそもそも検索すらしなくなり、SGEによってAIが代わりに答えてしまうようになれば、単純にサイトを訪れる人数が減ります。
SGEでは参考文献としていくつかのサイトを載せていますが、わざわざそれを見に行くよりも続けてAIに質問した方が楽でしょう。
となると、いくらSEO対策をして上位表示させたところであまり大きな意味を持たなくなります。
とはいえ、Googleにとって検索ビジネスは最大の収益柱です。その割合は全体の6割を占めます。SGEによってサイトオーナーが利益を得られないことになればGoogleにとっても大きな痛手となります。
なので、SGEが実装される前にGoogleは何かしらの形でサイトオーナーたちにメリットのある提案をしてくれるのでは無いでしょうか。
引き続き、Googleに関するニュースに注目ですね。
ChatGPTとGoogleを実際に比較してみた
ここでは、ChatGPTの使い方について調べていきます。
なお、ChatGPTの「最新の情報にアクセスできない」という制限を無くすために、WebPilotというプラグインを使用します。
まずは、ChatGPTを使っていきます。
「webpilotを使ってChatGPTの使い方を教えて下さい。」と指示を出してみました。
最初の質問では微妙な回答でしたが、続けて質問をすると役に立つ情報が返ってきました。
ChatGPTの強みは会話形式で欲しい情報を得ていけることなので、続けて質問をできるのはとても便利ですね。
この後も続けて指示を出して行くことで、いくらでも情報を手に入れることができます。
続いて、Google検索を試してみます。
「chatgpt 使い方」と検索してみました。
SEOのセオリーに乗っ取れば、一番上に出てくる記事が最も関連度が高いため、その記事を見てみます。
参考文献:ChatGPTとは?使い方や始め方、日本語対応アプリでできることも紹介!
ChatGPTとは異なり、ピンポイントで私の知りたい情報が出てくるわけではありませんが、包括的にまとまった様々な情報の中に欲しい情報も入っていました。
また、付随して検索した時には意識していなかった情報も知ることができます。
Google検索の良さは、自分が欲しい情報に加えて、それに付随した情報を知れることにあると思います。
この記事では、ChatGPTの料金体系や得意なこと、苦手なことなどを知ることができました。
ChatGPTとGoogle検索を比較してみると、ChatGPTは会話を続けることでピンポイントで欲しい情報を知れたり、会話を展開することができたりすることが利点です。
Google検索は、全体的にまとまっている記事の中に欲しい情報が含まれており、またそれに関連した情報も同時に知れることが利点といえます。
まとめ
7月に公開された論文「ChatGPT vs. Google: A Comparative Study of Search Performance and User Experience」では、ChatGPTとGoogleの検索エンジンの比較が行われ、それぞれの強みと弱みが明らかになりました。
Googleは広範な情報源からの情報を提供する一方、ChatGPTはユーザーの質問に対する直接的な回答を提供します。しかし、ChatGPTの使用は過度の依存と誤情報の生成のリスクをもたらします。これらの結果は、ChatGPTとGoogleがそれぞれ異なる情報検索のニーズに対応できることを示しています。
また、ChatGPTの使用が広がることで、SEOの戦略に大きな影響を与える可能性があります。まだ先は読めませんが生成系AIの登場によりSEOの需要は減っていくと考えられるでしょう。
最後に
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