15日先の天気を精密予測できる!Googleの最先端のAI気象モデル「GenCast」従来モデルと比較したデータをもとに解説
12月4日(現地時間)にGoogle DeepMindからまた新たに天気予報モデルが発表されたことをご存知でしょうか。
今回発表されたGenCastは、現行世界標準とされるECMWFのENSよりも予報精度が高いことが確認されているモデルで、処理速度も従来のものに比べて速いことから注目を集めています。
- Google DeepMindが新たな生成AIを活用した天気予報モデル「GenCast」を発表
- 最大15日先の天気予報を8分で生成可能
- 高品質なデータを基に、信頼性の高い予測が可能に
本記事では、そんなGenCastの概要や従来モデルと比較したデータを用いながら詳しく解説しますので、ぜひ最後までお読みください。
Google DeepMindが「GenCast」を発表
GoogleがAIの開発を加速させるために設立したGoogle DeepMindは2024年12月4日(現地時間)に生成AIを活用した新しい天気予報モデルである「GenCast」を発表しました。
従来の天気予報モデルは物理法則に基づきスーパーコンピューターを使用するため、計算に数時間を要していました。
一方で、GenCastはGoogleの「Cloud TPU v5」プロセッサーを使用することで、わずか8分で15日間の予報シナリオを生成することが可能となりました。
また、GenCastはオープンモデルとなっており、GitHubなどでコードが公開されているので、研究者や天気予報に関する研究を行っている企業を中心に今後GenCastが活用されることが予想されます。
最先端のAI気象モデル
GenCastは、Google DeepMindから11月14日(現地時間)に発表された「GraphCast」という精度の高い中期天気予報のアーキテクチャの一部を利用しており、GraphCastをベースに拡張モデルの導入や改良を加えた最先端のAI気象モデルです。
GenCastのトレーニングには、ECMWF(欧州中期予報センター)のERA5 アーカイブから40年分の気温、風速、気圧などの変数が含まれた気象データを使用しており、膨大な量の質の良いデータを取り扱うことで、精度を高めることに成功しました。
実際に、GenCastのパフォーマンスを評価するために行われたテストでは、1,320項目におよぶ包括的な比較検証を行いました。
結果を見ると、GenCastは97.2%のケースで、世界標準であるECMWFのENS(アンサンブル予測システム)の精度を超えたとされています。
さらに、予報開始から36時間以降の中長期予測に関しては、予報精度が99.8%まで上昇しており、GenCastの性能が高いことがわかる結果となりました。
なお、GraphCastについて詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。
アンサンブル予報方式を採用
GenCastはAIモデルがさまざまな気象シナリオを予測して、気象状況の全体像と各シナリオの可能性を示すことのできるアンサンブル予報方式を採用しています。
このアンサンブル予報方式とは、気象予報の精度を向上させるための手法で、わずかに異なる初期条件を用いて多数の予報を行い、それを統計的に処理することで天候の変化を確率的に予測することが可能です。これにより、予測のばらつき(不確実性)を把握でき、将来の気象の可能性を幅広く考慮することが可能になります。
また、従来のアンサンブル予報を活用する場合は、数万のプロセッサを搭載したスーパーコンピュータを利用しても処理に数時間かかってしまうほど処理が多いため、かなりの要件を満たしたデバイスを用意する必要がありました。
しかし、GenCastのアンサンブル予報を活用すれば、15日間の予報を1つ生成するのに「Google Cloud TPU v5 」1台だけで、わずか8分間で処理することが可能になりました。
最大15日先までの天気を予報
先ほどご紹介した通り、GenCastでは、AIモデルがさまざまな気象シナリオを予測して、気象状況の全体像と各シナリオの可能性を示すアンサンブル予報方式を採用しています。
アンサンブル予報の特徴は、長期予報になればなるほど予報精度が上がるという点にあり、膨大な質の良いデータで学習されたGenCastを活用すれば、最大15日先までの天気を予報することが可能です。
これにより、15日先の高精度な天気予報が確認可能となり、天候に左右される現場や農業の作業スケジュールの計画が立てやすくなるでしょう。
GenCastの今後の展望
Googleは、GenCastをGoogle検索やGoogleマップ、Google Earthを通じて提供していく可能性があることを発表しており、実装されればユーザーは簡単に精度の高いGenCastを利用することができるようになるでしょう。
また、Googleは気象機関とのパートナーシップを非常に重視しているため、今後も気象機関と連携して、予報機能を強化するAIベースの手法の開発に取り組んで行くことも発表しています。
記録的猛暑や洪水を伴うような暴風雨の発生など、昨今においては異常気象が続いていることもあり、事前に生命の危機に発展するような異常気象を察知できるような精度の高い天気予報があれば、自然災害に巻き込まれる人数を少しでも減らすことができるかもしれません。
日々の天気予報を確認するだけではなく人々の生活を守るためにも、一刻も早くGenCastが一般的に利用できるサービスとなって欲しいですね。
なお、Googleの最新生成AIについて詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。
GenCastで変わる天気予報!
スマートフォンやテレビなどで気軽に確認できる天気予報ですが、やはり自然の力なのでどれだけ勉強しても100%的中させるということは不可能に近いでしょう。
しかし、GenCastのようなAIを活用した天気予報モデルを活用することで、広範囲かつ長い期間の天気の予測をすることも可能となります。
さらに、一般ユーザーがGenCastを使いこなすことができるようになれば、自分の住んでいる地域に異常気象が発生しないかどうかの確認も簡単に行うことができます。
異常気象が発生しそうな予兆を確認できれば、事前に対策もできるため異常気象で発生する被害を最小限に抑えることも可能になるはずなので、Google検索やGoogleマップにGenCastが導入されるのが待ち遠しいですね。
最後に
いかがだったでしょうか?
「GenCast」のような最先端AIモデルは、気象データの予測精度を飛躍的に向上させる可能性を秘めています。自社の事業に生成AIをどう活用できるか、この技術の応用可能性を探ってみてください。
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