自動化を最適化!オーケストレーションの仕組みや種類、導入メリットをやさしく解説

- オーケストレーションは、複数の自動化されたタスクをワークフローとして統合・最適化する考え方
- 単なる作業自動化と異なり、業務全体の流れを制御し、ミス削減や効率向上に貢献
- バックオフィスからシステム運用、セキュリティ、マーケティング・顧客対応まで幅広く適用可能
業務の自動化を進めたいと思っても、「ツールを入れただけで逆に複雑になった」「結局人の手が必要だ」と感じたことはありませんか。実際、タスク単位の自動化では、全体の手間が思ったほど減らないケースも多く存在します。
この記事では、業務を点ではなく線で自動化する「オーケストレーション」の考え方を具体例を交えてわかりやすく解説します。最後まで読むことで、自社の業務にどう活かせば良いかが見え自動化を進めるヒントが得られます。ぜひ最後までご覧ください。
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オーケストレーションとは
オーケストレーションとは、自動化された複数のタスクをワークフローに沿って調整・最適化する高度な管理手法です。オーケストレーションの語源は音楽のオーケストラといわれています。オーケストラで指揮者が演奏者をまとめ全体で調和のとれた音楽を奏でるように、オーケストレーションでは異なるシステムやサービスを指揮者的な仕組みで統合し調和を取りながら動作させます。
例えば、入社手続きでは「アカウント発行→権限付与→PC手配→関係者への通知」までを決めた手順どおりに自動で進めます。途中でエラーが出た場合には、動作を止める場所や担当者への通知、再実行までをルール化して管理することが可能です。
なお、個別タスクに対してのAI導入について詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。

オーケストレーションの仕組み
では、オーケストレーションは実際どのような仕組みで複数のタスクを制御しているのでしょうか。
オーケストレーションは、1つのオーケストレーター(指揮者役のツール)が複数の自動化されたタスクを統合し、適切な順序で実行するタイミングを管理します。具体的には、あるタスクが完了したら次のタスクが自動的に開始するように調整し、条件分岐や例外処理も含めて一連の流れを制御します。
単なる自動化とオーケストレーションの違い
自動化とオーケストレーションは似ていますが、扱う範囲が異なります。
自動化は、単一のタスクをソフトウェアで手動操作を行わずに実行する仕組みです。毎日決まった時刻にデータをバックアップする作業や、受信した問い合わせメールを自動で分類する作業が自動化にあたります。
オーケストレーションの主な種類
オーケストレーションには用途に応じて種類があり、対象分野ごとに名称が付けられています。以下に主な5つのオーケストレーションを紹介します。
業務プロセスをつなぐ「ワークフロー・オーケストレーション」
ワークフロー・オーケストレーションは、ここまで説明してきたオーケストレーションの例でも扱った代表的なものです。自動化された複数のタスクを業務プロセスに沿って連携させ、業務全体の流れ(ワークフロー)を制御します。例えば「データ入力→承認→通知」といった社内手続きを一連のフローとして自動化します。
コンテナ環境を自動運用する「コンテナ・オーケストレーション」

コンテナ・オーケストレーションとは、アプリケーションをコンテナ単位で管理・実行する環境を自動で制御する仕組みです。コンテナは軽量で柔軟に使える一方、数が増えると配置や管理が複雑になります。
例えば、代表的なツールである Kubernetes (クバネティス)を使えば、システムの負荷に応じてコンテナの配置やスケーリングを自動化させることが可能です。アクセス急増時には即座にコンテナ数を増やしたり、障害発生時に代替コンテナを自動投入して復旧させることもできます。
セキュリティ運用を自動化する「セキュリティ・オーケストレーション(SOAR)」
セキュリティ・オーケストレーションとは、セキュリティ分野の業務を自動化する仕組みです。「SOAR(Security Orchestration, Automation and Response)」とも呼ばれ、インシデント対応の高度な自動化を言います。

SOARの特徴は、複数のセキュリティツールや対応手順をつなぎ、判断や対応を一元的に管理できる点にあります。プレイブックと呼ばれる対応ルールを設定すれば、担当者ごとの判断差をなくし一定の品質でインシデント対応を行うことが可能です。これにより属人化しがちなセキュリティ運用を標準化し、安定した体制を構築できます。
クラウド環境全体を管理する「クラウド・オーケストレーション」
クラウド・オーケストレーションとは、クラウド上のシステムやリソースの管理・運用を自動化する仕組みです。サーバーやデータベース、ネットワーク、アクセス権などの設定を自動化することでミスを防ぎながら迅速に環境構築をすることができます。
また、クラウド間でワークロードを動的に振り分けたり、自動的にリソースを増減したりすることで、需要変動に柔軟に対応しつつ最適な資源配分が行われます。クラウド・オーケストレーションを活用することで、複雑化するクラウド運用をシンプルにし、安定稼働とコスト最適化の両立が可能です。
AIエージェント同士を連携させる「AIオーケストレーション」
AIエージェントとは特定の役割に特化したAIシステムのことですが、AIオーケストレーションは、複数のAIエージェント同士を連携させて協調動作させる仕組みを言います。例えばChatGPTなど単一の汎用AIに頼るのではなく、それぞれ専門機能を持つAIエージェント同士をネットワーク化し、1つの目標を達成するために調整します。

例えば、顧客対応の自動化では問い合わせ内容に応じて「請求担当AI」と「技術サポートAI」をオーケストレーターである「調整役のAI」が呼び出し、連携して問題解決に当たります。このようにAIエージェント同士をオーケストレーションすることで単一のAIでは対応しきれない複雑なタスクでも処理が可能になっていきます。
なお、エージェント型AIというものもあります。詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。

オーケストレーションを導入するメリット
オーケストレーションを導入すると、企業のIT運用や業務プロセスに、主に4つのメリットがもたらされます。
- ヒューマンエラーの削減と安定運用の実現
- 担当者の負担軽減と付加価値のより高い業務へのシフト
- 運用コストの削減とリソースの最適化
- セキュリティ・コンプライアンスレベルの向上
1つずつ解説していきます。
ヒューマンエラーの削減と安定運用の実現
オーケストレーションを導入することによってヒューマンエラーを削減することが可能です。例えば、複数のシステムにまたがる作業や条件分岐の多い処理は、人的な操作でミスが起きやすくなります。
また、単純作業の繰り返しも、担当者の集中力の低下がミスにつながります。ヒューマンエラーの起こりやすい工程をオーケストレーションで自動化することで、サ―ビス停止やトラブルのリスクを大幅に軽減でき安定した運用が可能です。
担当者の負担軽減と付加価値のより高い業務へのシフト
オーケストレーションによって複雑な作業や反復作業を自動化することで、担当者の負担を軽減することができます。夜間や休日に担当者が行っていた監視業務も自動化できるため、担当者の労働時間そのものを削減することも可能です。
担当者はより付加価値の高いコア業務にシフトでき、心に余裕が生まれます。業務効率化による余裕は担当者のモチベーションアップにつながり、結果的に企業全体の生産性向上に寄与します。
運用コストの削減とリソースの最適化
オーケストレーションによってシステム運用や管理業務を自動化すると、運用コストの削減を期待できます。担当者に頼る部分が減るため人件費を圧縮することができますし、ヒューマンエラーが減ることでミスへの対応や手直しに割いていた時間も減少します。
さらに、オーケストレーションはサーバーやストレージなどのリソースの最適化が可能です。使われていないリソースを自動で解放したり、必要に応じて割り当てることができるため、不要な設備にかかるコストを抑制できます。
セキュリティ・コンプライアンスレベルの向上
セキュリティ・オーケストレーションは、システム全体のセキュリティレベルを向上させ、安全性を高めます。24時間365日の常時監視を自動化することで異常を即座に検知し、脅威につながるイベントへ対応します。インシデント発生時にはプレイブックと呼ばれる定められた手順に沿って対応が進むため、判断のばらつきや対応遅れを抑えることが可能です。
また、オーケストレーションによってコンプライアンスレベルも向上します。プロセスが可視化されることで監査対応が容易になりますし、規則通りの処理が徹底されるため、ログ管理や証跡の蓄積が確実に行われます。
オーケストレーションを活用できる業務
オーケストレーションはさまざまな業務で活用されていますが、本記事では代表的な4つの領域をご紹介します。
- バックオフィス業務の自動化
- システム運用・開発
- セキュリティ運用
- マーケティング・顧客対応
詳しくみていきましょう。
バックオフィス業務の自動化
バックオフィス部門では、日常的な定型業務にオーケストレーションを活用することができます。例えば、人事異動や社員の入退社に伴う手続き、アカウントの発行・削除、アクセス権限の変更、メール配信リストの更新といった一連の処理をまとめて自動化できます。これまで担当者が各システムで個別に行っていた作業を一度の実行で完了させることが可能です。
また、パスワードの定期更新やサーバーのセットアップもオーケストレーションで自動化することができます。バックオフィスのように社内手続きが多岐にわたる部門こそ、オーケストレーション導入によって大幅な効率化とミス防止が期待できるのです。
システム運用・開発
システム運用や開発の現場でも、オーケストレーションは強力な助っ人になります。CI/CDとは「Continuous Integration / Continuous Delivery(継続的インテグレーション/デリバリー)」の略で、開発からテスト、反映までをスムーズにつなぐ考え方ですが、CI/CDパイプラインにオーケストレーションを用いれば一連の工程を自動化できるため、開発スピードが飛躍的に向上します。
さらにインフラ監視を連携させることも可能です。監視ツールが異常を検知したら「チケット発行→担当者通知→復旧スクリプト実行」までを自動で行う、といった具合に監視をつなぎ込みます。
セキュリティ運用
セキュリティ対策部門では、監視、検知から対応までの一連のフローにオーケストレーションが有効です。具体的には「ログの収集→分析→アラート発報→初動対応」までを自動連携させることで脅威への対処を迅速化できます。
セキュリティ・オーケストレーションは、24時間365日の監視体制と人手では追いつかないサイバー攻撃に対しても迅速かつ標準化された対応を取ることが可能なため、セキュリティチームの負担軽減とインシデント対応力の強化につながります。
マーケティング・顧客対応
マーケティングや顧客対応の分野でもオーケストレーションは活躍します。複数のツールにまたがるキャンペーンや問い合わせ対応を統合することで、顧客体験の質を高めることが可能です。
マーケティングでは「メール配信→顧客反応の収集→スコアリング→次のアクション」といったキャンペーンフローを自動化できます。顧客対応では問い合わせ内容に応じたチケット発行や担当部署への振り分け、回答テンプレート提示までを自動で行えるため、複数窓口にまたがる顧客対応もミスなく可能です。
よくある質問(FAQ)
オーケストレーションで自動化がより進化する
オーケストレーションは単一の作業を自動化するだけでなく、複数のタスクやシステムをワークフローとしてつなぎ業務全体を最適化する考え方です。
バックオフィス業務、システム運用・開発、セキュリティ、マーケティング・顧客対応まで幅広く活用でき、ヒューマンエラーの削減や担当者の負担の軽減、コスト最適化、セキュリティ・コンプライアンス強化に貢献します。自動化を点ではなく線で捉えることで、企業の業務効率と柔軟性はさらに高まり自動化の取り組みそのものが次の段階へと進化します。
最後に
いかがだったでしょうか?
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