【Agents SDK】OpenAIの最新エージェント開発ツール!使い方や活用事例まで徹底解説

- OpenAI「swarm」をベースに改良したと言われている
- 複数のAIエージェントを連携させることができる
- 大規模なオーケストレーションに対応
2025年3月12日、OpenAIは新たなマルチエージェントワークフロー「Agents SDK」を公開しました!
Agents SDKは、OpenAI「swarm」をベースに改良されたAIエージェント開発フレームワークです。
採用されているモデル自体は、エージェントが必要とするような「複雑かつマルチステップ」なワークフローを実行できるような仕組みになっているようです。
本記事ではAgents SDKについて、概要から使い方、活用事例まで徹底解説します。
本記事を最後まで読むことで、Agents SDKを使ったAIエージェント開発方法について理解いただけるかと思いますので、ぜひ最後までご覧ください!
Agents SDKの概要
Agents SDKは、OpenAIによって開発されたAIエージェントの開発を支援するためのフレームワークです。
開発者向けに、高度なAIエージェント構築の支援、複雑なタスクの自動化を容易にすることを目的に開発されたようです。
開発者は、AIエージェント間の連携を容易に実現でき、効率的なタスク処理が可能になります。
swarm自体は、エージェントのオーケストレーションを簡単に実行するための実験的なツールとしてリリースされていましたが、リリース後に本番環境での利用者数が急増したことが、今回のAgents SDKリリースの一因としてあるようです。
さらに、「Webサーチ」や「ファイルサーチ」、「コンピューター操作」といったツールも組み込まれ、誰でも標準利用可能となりました。
Webサーチツール
Webサーチツールは、その名の通り、モデルがインターネット上の情報にアクセスできるようになる機能です。
この機能によって、モデルからの回答が最新情報に基づいたものになります。
既にChatGPTにサーチ機能は搭載されていますが、今回のWebサーチツールは、GPT-4oやGPT-4o-miniをファインチューニングした設計イメージになっているようです。
ファイルサーチツール
ファイルサーチツールは、2024年に「Assistants API」の一部としてリリースされたものです。
効率的にRAGを行うために用意されたツールで、今回新たに2つの機能が追加されています。
1つ目は「メタデータのフィルタリング」です。メタデータフィルタリングを使うことで、ファイルに属性情報を付与させて、クエリに最も関連するファイルだけを抽出することができるようになります。
2つ目は「検索エンドポイントの追加」です。エンドポイント追加により、クエリをモデルに通すことなく、ユーザー自身がベクトルストアを直接検索できるようになります。
コンピューター利用ツール
コンピューター利用ツールは、エージェントにコンピューター操作をさせるための組み込みツールで、OpenAI Operatorを支えているのがこのツールになっています。
グラフィカルユーザーインターフェイスはあるが、APIアクセスが無いようなレガシーアプリケーションなども、このツールを使うことで、自動化やアプリケーション組み込みが可能となります。
また、Agents SDKのAPIはResponses APIがデフォルトとなっていますが、他のベンダーもサポートされており、「Chat Completions」のような形式に適合していれば、他のベンダーのツールでも動作する可能性があります。
Agents SDKが社会に与える影響
Agents SDKの導入により、企業だけでなく、個人の開発者にとってもタスクの自動化が容易になり、生産性の向上が期待されています。
例えば、カスタマーサポートにおける自動応答システムの高度化、医療分野での診断支援、教育分野での個別指導など、多岐にわたる分野での活用が見込まれます。
これにより、業務の効率化や新たなサービスの創出が促進され、社会全体の生産性向上に寄与する可能性があります。
Agents SDKの普及には社会的な影響も大きい一方で、いくつかの倫理的課題も想定されます。
Agents SDKの倫理的課題
プライバシー保護
これは、Agents SDKに限らず、AIエージェント全体にいえることですが、大量のデータを扱うことで、個人情報の漏洩リスクが高まる可能性があります。
意思決定の透明性
エージェントが自律的に行動する中で、その意思決定プロセスが不透明になり、ユーザー側は「どういった要因で意思決定がなされたのか」を把握することが難しくなる懸念があります。
雇用への影響
エージェントによる業務の自動化が促進されることで、人間の雇用機会が減少していく可能性があります。
これらの課題に対して、ユーザー側は、適切なガバナンスや倫理的指針の策定が必要になってきます。
Agents SDKのライセンス
Agent SDKは、MITライセンスに基づいて提供されていますので、基本的に商用利用や再配布は自由に行うことができます。
利用用途 | 可否 |
---|---|
商用利用 | ⭕️ |
改変 | ⭕️ |
配布 | ⭕️ |
特許使用 | ⭕️ |
私的使用 | ⭕️ |
ただし、ライセンスについては変更される可能性もあるため、利用する際は、公式ドキュメントや最新の利用規約を確認するようにしましょう。
Agents SDKの料金プラン
Agent SDKの利用料金は、各ツールやAPIの使用量に応じて課金される従量課金制が基本となっています。(※1)
Webサーチツール
「GPT-4o」については、入力1,000クエリあたり$30〜となっており、「GPT-4o-mini」については、1,000クエリあたり$25〜という料金設定がなされています。
ファイルサーチツール
こちらは、1,000クエリあたり$2.50、ストレージ利用は1GBあたり1日$0.10(〜1GBまでは無料で利用可能)という料金プランとなっています。
コンピューター利用ツール
100万入力トークンあたり$3、100万出力トークンあたり$12という料金設定になっています。
Agents SDKの使い方
使い方の概要
Agent SDKの利用は以下のステップで行います。
まず、OpenAIの公式サイトからAgent SDKをダウンロード、必要なライブラリやツールを取得し、Pythonを用いて、エージェントの開発環境を構築します。
続いて、エージェントの機能に応じて、適切なAPIやツールを組み合わせて実装し、Responses APIや組み込みツールを活用できるようにします。
最後に開発したエージェントのテスト、動作確認を行い、実運用環境へ展開するという流れです。
使い方の詳細
まず、Pythonの仮想環境を作成し、必要な依存関係を管理します。
python -m venv env
source env/bin/activate # Windowsの場合は 'env\Scripts\activate'
続いて、Agents SDKのインストールを行います。
仮想環境をアクティブにした状態で、以下コマンドを実行してください。
pip install openai-agents
インストールが完了したら、エージェントを作成します。
Agentクラスを使用して、新しいエージェントを作成します。
from agents import Agent
agent = Agent(
name="Assistant",
instructions="You are a helpful assistant."
)
新たにエージェントを作成できたら、エージェントの実行を行います。
Runnerクラスを使用して、エージェントにタスクを実行させる仕組みです。
以下コードでは、例として「再帰に関する俳句の作成」を依頼しています。
from agents import Runner
result = Runner.run_sync(agent, "プログラミングにおける再帰について俳句を作ってください。")
print(result.final_output)
出力例は下記の通りです。
コードの中
関数が己を
呼び続ける
このように、エージェントは指示に従ってタスクを遂行してくれます。
また、エージェント間でタスクを委譲(ハンドオフ)することで、特定のタスクを最適なエージェントに任せることが可能です。
以下の例では、言語に応じて英語またはスペイン語のエージェントにハンドオフしています。
from agents import Agent, Runner
import asyncio
spanish_agent = Agent(
name="Spanish agent",
instructions="You only speak Spanish.",
)
english_agent = Agent(
name="English agent",
instructions="You only speak English.",
)
triage_agent = Agent(
name="Triage agent",
instructions="Handoff to the appropriate agent based on the language of the request.",
handoffs=[spanish_agent, english_agent],
)
async def main():
result = await Runner.run(triage_agent, input="Hola, ¿cómo estás?")
print(result.final_output)
# 出力: ¡Hola! Estoy bien, gracias por preguntar. ¿Y tú, cómo estás?
if __name__ == "__main__":
asyncio.run(main())
上記の例では、入力がスペイン語であることを認識し、spanish_agentにタスクをハンドオフしています。
さらに、エージェントに特定の機能を持たせるために、関数をツールとして統合することができます。以下の例では、get_weather関数をエージェントに組み込み、「指定された都市の天気情報」を提供します。
from agents import Agent, Runner, function_tool
import asyncio
@function_tool
def get_weather(city: str) -> str:
return f"The weather in {city} is sunny."
agent = Agent(
name="Weather Agent",
instructions="You provide weather information.",
tools=[get_weather],
)
async def main():
result = await Runner.run(agent, input="東京の天気は?")
print(result.final_output)
# 出力: The weather in 東京 is sunny.
if __name__ == "__main__":
asyncio.run(main())
エージェントに関数を組み込むことで、特定のタスクに対応した回答を生成させることができます。
最後にトレース機能のご紹介です。
Agents SDKには、エージェントの実行履歴を追跡し、デバッグや最適化を容易にするトレース機能が組み込まれています。
これにより、エージェントの動作を可視化し、問題の特定やパフォーマンスの向上に役立てることができます。

ユースケース
Agents SDKのユースケースとして、以下のようなシチュエーションでの活用例が挙げられます。
パーソナルショッパー・エージェント
ユーザーの好みに合わせた商品を提案し、購入手続きを自動化するエージェントで、リアルタイムな在庫状況とユーザーのスタイル履歴を組み合わせた「おまかせ購入代行」が可能となります。
これまでは、各APIを個別に連携させる必要がありましたが、Agents SDKを使用することで一元管理が可能となります。
カスタマーサポート・エージェント
ユーザーからの問い合わせを適切な担当エージェントに振り分け、迅速かつ的確な対応を行うエージェントです。
複数のエージェントを使い分け・連携させるAgents SDKのハンドオフ機能がキーとなります。
ユーザーからすると自然な一つの会話ですが、裏では専門エージェント同士がスムーズにバトンタッチすることで実現することができます。
社内ナレッジ集約エージェント
社内に散在する大量のドキュメントやデータを統合し、必要な情報を迅速に提供するエージェントです。
「内部データ+外部データ+操作の自動化」を組み合わせて、プロジェクト状況や市場動向をまとめてリサーチできます。
従来は、人力で膨大な資料を読む必要があったところを、大幅に効率化できます。
その他、旅行ツアーの予約などの活用事例が、公式のデモ動画で紹介されていますので、興味のある方はぜひ覗いてみてください。
まとめ
OpenAI「Agents SDK」を使用することで、複数のエージェントが協調してタスクを実行する高度なワークフローを容易に構築することができます。
エージェント間のハンドオフや関数の統合、そしてトレース機能を活用することで、柔軟かつ効率的なAIソリューションを開発することが可能です。
本記事でご紹介した使い方、OpenAI公式ドキュメントを参考に、ぜひご自身のタスクに活用してみてください!
最後に
いかがだったでしょうか?
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