生成AIは投資も強い。GPTがS&P500の2倍もリターンが出るという論文を解説
生成AIって何ができるの?本当に将来性があるの?
そう思っているあなたに、ぜひ読んでほしい論文が発表された。
Udit Guptaが発表した論文によると、AIによるインデックス投資が「5年間でS&P500の2倍の運用益」を叩き出したのだとか。
ちなみにS&P500の平均利回りは約10%と言われている。
その2倍の20%ともなれば、あの投資の神様・ウォーレンバフェットの生涯利回りに匹敵する値である。
つまり、AIに従って投資するだけで、誰でも投資の神様レベルになれるかもしれないのだ!
本記事ではAIのインデックス投資について、研究結果を基にそのメカニズムや結果について詳しく解説していく。
投資の知識がない人でも理解できるよう分かりやすく説明するので、ぜひ参考にしてほしい。
ただ、この論文で解説されているのはAIが実際に行った投資ではなく、あくまでシミュレーション。そのため、実際にAIが投資をしても成果を出せるかどうかはまだわからないということは強調しておきたい。
※インデックス投資:市場の値動きを示す指数(インデックス)に連動させる投資手法のこと。
※S&P500:アメリカの企業トップ500社を基に作成した株価指数のこと。アメリカ市場の値動きにおおむね連動している。
参考文献:https://arxiv.org/pdf/2309.03079.pdf
AIのインデックス投資には夢がある
投資で成功するためには、企業の業績や財務状況などをしっかり頭に入れなければならない。
これらの情報を知るためには各企業のIR資料を読む必要があるが、IR資料は1社だけでも相当なボリューム。
人間がすべての企業のIR資料を読もうとすると、莫大な時間がかかってしまうだろう。
しかし、AIを使った場合はどうだろうか?
AIであれば、IR資料の内容を短時間でかつ正確に解析できる。
そして、その解析したデータを基にインデックス投資を行えば、AIの方が人間よりも市場の値動きに沿った予測ができるのではないか?
そのような考えのもと、現在投資の分野でもAIに関する研究が行われている。
「絶対に損しないだけでなく、しっかり利回りも確保できる投資手法」
そんな夢のような投資手法が、AIを活用することで将来的に実現するかもしれないのだ。
なお、投資以外の分野におけるAIの活用方法について知りたい方はこちらをご覧ください。
→【最新AIツール一覧】生成AIツールをフル活用した最先端の仕事術
AIはどのように投資しているのか
論文で解説されている、AIによる投資の基本的な流れは以下のとおりだ。
- IR資料の解析
- 最適なモデルを構築
- 実際に運用
具体的な例として、2023年にUdit Guptaが実施した研究を紹介しよう。
Gupta氏の研究では、ざっくり以下の手順でAIにインデックス投資を実施させている。
1. 1,500社分のIR資料をAIに解析させる
まずはAIにIR資料を解析させ、企業の業績や財務状況を学習してもらう。
これは人間の英語学習に例えると、英単語を詰め込んでいるようなものだ。
本研究では、アメリカの時価総額トップ1,500社のIR資料(2002~2017年分)を集めて、AIに解析させている。
これだけたくさんのIR資料を使うのは、AIも人間と同じで、知識量が多くなれば当然より精度の高い予測ができるからだ。
2. 最適なモデルを構築させる
続いて解析したデータを基に、AIに最適なモデルを構築してもらう。
なお本研究では、モデル構築において「運用する株数(k)」が重要だと述べられており、検証の結果〈k=5〉で最もリターンが得られやすいという結果になった。(下図参照)
引用元:https://arxiv.org/pdf/2309.03079.pdf
3. AIに5年間インデックス投資させた場合のシミュレーションを行う
最後に構築したモデルに沿って、AIに5年間(2018~2023年)インデックス投資させた場合のシミュレーションを行う。
運用する株式の選別も、もちろんAIが自動的に行っている。
そして、シミュレーション結果と実際のS&P500の値動きとを比べて、どちらのリターンの方が優れているのかを検証した。
AIはS&P500の2倍のリターンを出せる
Gupta氏の研究結果は驚くべきものであった。
なんとAIモデルによるシミュレーションの方が、S&P500の2倍のリターンを出せるという結果になったのだ。
論より証拠、以下が結果を表すグラフだ。
引用元:https://arxiv.org/pdf/2309.03079.pdf
上図は
- 横軸:年(西暦)
- 縦軸:リターン(累計)
- 青線:S&P500
- オレンジ線:AIのシミュレーション結果
を表している。
ご覧のとおり、AIがS&Pよりも優れていることが一目瞭然だ。
2023年のリターン値を比べると、たしかにAIのリターンがS&P500の約2倍であることがわかる。
この差がどれだけ大きいのか、S&P500の平均利回りを10%、AIモデルの平均利回りを20%と仮定しよう。
すると100万円を20年間運用した場合、最終的な金額には3,000万円以上もの差がつくのだ。(下表参照)
例)100万円を20年間運用した場合 | ||
年数 | S&P500(平均利回り10%) | AIモデル(平均利回り20%) |
開始 | 100万円 | 100万円 |
5年後 | 161万円 | 249万円 |
10年後 | 259万円 | 619万円 |
15年後 | 418万円 | 1541万円 |
20年後 | 673万円 | 3,834万円 |
上記はあくまで単純計算による数値であり、もちろん現状はこんなにうまくいかないだろう。
しかしAIの投資技術が向上すれば、誰でも大きく資産を増やせるようになるかもしれないのだ。
この論文の注意点
- 今回の研究結果はシミュレーションであり、実際の投資リターンを得られたわけではない。したがって、あくまでそのような結果を見込めるデータがある、という客観的事実として受け取ってほしい。
- 今回の研究で出された結果は、AIがリーク情報をインプットしている可能性があると疑われている。つまり、AIが2018年から5年間投資を行うにあたって、すでに2023年までの情報をインプットした上で投資を行った可能性がある。(=会社がどのような業績を残すのかを知っているので、どの企業に投資すべきかが一目瞭然)
- 投資に関わる意思決定は個人で注意深く行っていただきたい。(この論文の内容を実践したことによる損害などについて、弊社は一切の責任を負いかねる)
筆者のコメント
今回紹介した研究結果からもわかるとおり、投資におけるAIの強みは「IR資料を瞬時に解析できる」という点だ。
人間がこれまで膨大な時間をかけてきた作業が、AIなら短時間かつ正確に処理できるのだ。
今後IR情報がAIにどんどん蓄積されていくことで、将来人間よりもはるかに優れたAI投資家が誕生してもおかしくないだろう。
そうなれば投資の世界は一体どうなってしまうのか。
投資への参入障壁が下がり、投資活動が増えることで経済が活発になるのか?
それともAI投資家が多数出現することにより、経済に混乱が起きてしまうのか?
プラス・マイナスどちらに転ぶかはわからないが、いずれにせよ、AIが投資の世界を大きく変えることは間違いないだろう。
なお、生成AIについて知りたい方はこちらをご覧ください。
→生成AIとは何か?仕組みやできることをAI専門家がわかりやすく解説
まとめ
- AIによる投資の流れは「IR資料の解析→最適なモデルを構築→実際に運用」。
- AIにインデックス投資をさせた研究では、AIがS&P500の2倍のリターンを生み出した。S&P500の平均利回りを10%と仮定すると、AIの平均利回りは20%になり、これは投資の神様・ウォーレンバフェットの生涯利回りに匹敵する。
- AIによる投資技術が向上すれば、誰でも大きく資産を増やせるようになるかもしれない。
今回紹介した研究結果だけでは、AIの投資スキルが人間よりも優れているとは言いきれない。
しかし近い将来、AIが投資の世界に多大な影響を与えるのは間違いないだろう。
来る日に備え、今からAIの最新情報を追っておくことをおすすめする。
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