生成AIガイドライン一覧!産官学が発表したガイドラインをまとめてみた
現在、数多くの企業、組織が生成AIガイドラインを発表しています。
生成AIガイドラインとは、生成AIを活用する上での注意点や使い方をまとめたもので、外部に向けたものや社内に向けたものがあります。
生成AIのガイドラインを作成することで、社内全体でChatGPTを活用し、業務の効率をあげたり、リスクを減らして社内で活用できるでしょう。
本記事では、産業界・政府機関・学術機関が公開している生成AIガイドラインを集め、それぞれの特徴や目的、主な内容をまとめてご紹介します!社内で生成AIガイドラインを作るために参考となる文書を探している方、生成AIガイドラインのテンプレを欲しい方はぜひ、最後までご覧下さい。
生成AIのガイドラインまとめ
生成AIのガイドラインについて、具体的な事例を次の表にまとめました。
目的 | 外部向け | 社内・組織内向け |
---|---|---|
企業・行政 | デジタル庁 ChatGPTを業務に組み込むためのハンズオン 総務省 「AI利活用ガイドライン」 経済産業省 「AI 事業者ガイドライン案」 | 東京都デジタルサービス局 文章生成AI利活用ガイドライン 株式会社CYDAS 生成AIの利用ガイドライン 株式会社KiteRa 生成AI 利用規程 その他多くの企業、組織が作成 |
教育 | 文部科学省 初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的ガイドライン 佐賀県教育委員会 生成AI利用ガイドライン【 Vol.1 】家庭における生成 AI の取扱いについて | 武蔵野大学 武蔵野大学教職員向け生成AIの利用ガイドライン 上智大学 「教育における生成 AI 利用に関するガイドライン」 |
ガイドライン作成 | 一般社団法人ディープラーニング協会 生成AIの利用ガイドライン STORIA法律事務所 生成AIの利用ガイドライン作成のための手引き |
ここでは、企業・組織、教育、ガイドライン作成に分け、さらに外部向けのガイドラインと社内・組織内向けのガイドラインをまとめました。
自社の状況に注目しながら、それぞれの事例をみていきましょう。
外部の企業・組織を対象に作成された生成AIガイドライン
外部向けの企業・組織を対象にガイドラインを公開している事例を紹介します。
デジタル庁
デジタル庁はChatGPのようなAI技術を日常の業務フローに取り入れ、業務データベースとの連携を可能にする「ChatGPTを業務に組み込むためのハンズオン」を公開しました。
この資料には、GPT-4やGPT-3.5などの最新AI技術を外部から呼び出せるAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェイス)の利用方法を解説しています。
また、2023年6月26日におこなわれたワークショップの様子も公開しており、実際に用いられたアプリケーションを再現するためのプログラミングコードも公開されています。
総務省
デジタル庁だけでなく、総務省からも生成AI利活用ガイドラインが公表されました。特にビジネスに生成AIを活用する事業者に向けてAI取り扱いに関する注意事項が解説されています。加えて、AIトラブルの対処方法を自主的に検討させることも目的として定めています。
具体的な内容としては、AI利用の基本理念・AI利活用10原則・一般的な AI 利活用の流れなどが含まれおり、生成AIに関するトラブルを未然に防止するための内容が多い印象です。
参考記事:総務省「AI利活用ガイドライン」
経済産業省
経済産業省はAI技術の発展と社会実装を支援するため、事業者向けのガイドラインを提供しています。これはAIの安全かつ安心な活用を促すもので、AIガバナンスの統一的な指針を示しています。
目的は、事業者がAI利用に伴うリスクを正しく理解し、国際動向やステークホルダーの懸念を踏まえた対策をライフサイクル全体で実施できるようにすることです。また、イノベーションの促進とリスク緩和を両立する枠組みの共創を目指しています。
参考記事:経済産業省「AI 事業者ガイドライン案」
家庭や学校など教育場面での利用を目的とした生成AIガイドライン
家庭や学校など教育場面での利用を目的としたガイドラインを公開している事例を紹介します。
文部科学省
文部科学省は、教育現場での生成AIの使用について適切に判断を下すための指針となる資料を、暫定版として公表しました。
このテクノロジーが知的成長の可能性を秘めていることは明らかですが、同時に、子どもたちがAIによる回答を盲信してしまう恐れがあるという課題も指摘されています。
文部科学省は、社会に急速に広まりつつある生成AIの技術に対し、国としての見解をこの資料を通じて示しています。しかし、この指針が全ての状況においてAIの使用を一律に禁止するものであるわけではなく、また、必須とするものでもありません。
参考記事:初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的ガイドライン
佐賀県教育委員会
佐賀県教育委員会も、教育現場で効果的に生成AIを活用できるようにガイドラインを策定しました。
本ガイドラインは生成AIの利便性や注意点を記載しており、県内の先生方の意見やアイディアを参考にしています。佐賀教育委員会は、生成AIをはじめデジタル技術は社会全体に一層浸透し、避けられない存在になると考えています。
そのため、子どもたちが適切にデジタル技術を活用していけるように、生成AIの教育利用についてガイドラインを示しました。
参考記事:生成AI利用ガイドライン【 Vol.1 】
参考記事:家庭における生成 AI の取扱いについて
なお、生成AIと教育現場での使い方について知りたい人は下記の記事を合わせてご確認ください。
⇢【生成AI×学校】教育現場での使い方ガイド!活用事例やメリット、デメリット、注意点まで解説
ガイドライン作成のための生成AIガイドライン
ガイドライン作成のためのガイドラインを公開している事例を紹介します。
一般社団法人ディープラーニング協会
一般社団法人ディープラーニング協会は、組織内で生成AIを効果的に活用するためのガイドラインの作成支援資料を公開しました。
公開されているテンプレートを基に、各組織の具体的な目標や状況に合わせたカスタマイズが可能です。組織ごとにカスタマイズされた生成AIのガイドラインを作成できるでしょう。
また、公開されたガイドライン資料は、組織・利用者からのフィードバックを元にして、継続的に更新されていくことが予定されています。
参考記事:生成AIの利用ガイドライン
SATORIA法律事務所
SATORIA法律事務所も、生成AIの利用ガイドライン作成の手引きを公開しています。
このガイドラインの作成のための手引きは、生成AIサービスの導入を検討している企業の経営陣やセキュリティ部門、法務部門だけではなく、フリーランスの方々にも役立つ内容も含まれているのが特徴です。
手引きの対象は、ChatGPTのようなLLMを活用した文章生成AIサービスや画像生成AIサービスの使用に焦点を当てています。今後生成AIの導入を検討している企業は、ガイドライン作成のための手引きを参照し、運用方法について理解を深め、適切な管理策を講じることが推奨されます。
なお、生成AIについて詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。
→生成AIとは何か?仕組みやできることをAI専門家がわかりやすく解説
企業・組織内での利用を目的とした生成AIガイドライン
企業・組織内での利用を目的としたガイドラインを公開している事例を紹介します。
東京都デジタルサービス局
東京都は2023年4月にデジタルサービス局内に検討プロジェクトチームを設置しました。このチームは、数ヶ月にわたる議論と研究を経て、東京都で初めてとなる文章生成AI(例:ChatGPT)の使用に関するガイドラインを策定しました。文章生成AIにはさまざまなリスクが指摘されており、特性を理解し正しく利用するための基準がガイドラインに盛り込まれています。
このガイドラインを参考にしてうまく活用すれば、東京都の職員の仕事の進め方に画期的な変化をもたらすでしょう。
会社内での生成AIの利用を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
参考記事:文章生成AI利活用ガイドライン
株式会社CYDAS
株式会社CYDASは会社内で生成AIの利用を目的としたガイドラインを公開しています。このガイドラインでは、ChatGPTやOpenAIなどの生成AIを業務で利用する際の注意点を解説しています。
たとえば、ハルシネーションと呼ばれる誤った情報や不完全な情報をもとにした出力がされる可能性があるため、顧客の個人情報のような重要なデータの取り扱い、入力には制限がかけられています。生成AIを利用する際は、大きな失敗をしないように注意点にも目を向けましょう。
参考記事:生成AIの利用ガイドライン
株式会社KiteRa
社内規程管理のクラウドサービスを展開する「株式会社KiteRa」は、同社の提供するKiteRa Pro・Bizを利用している企業向けに、生成AI利用のためのガイドラインを公開しました。
このガイドラインには、ChatGPTを含む生成AIを業務に取り入れる際の方針や、取り扱い上の注意点についての説明を含んでいます。
弁護士監修の解説も記載されているため、法的観点からの生成AI利用のリスクも正しく学ぶことができるでしょう。社内従業員のAIリテラシー向上・企業のガバナンス体制構築を目指したいときに検討したいガイドラインといえます。
参考記事:株式会社KiteRa
教育場面での利用を目的とした生成AIガイドライン
教育場面での利用を目的としたガイドラインを公開している事例を紹介します。
武蔵野大学
武蔵野大学は、教職員向けに生成AIの利用ガイドラインを策定しています。生成AIは、業務効率の改善や新しいアイディアを生み出す際に重宝します。
しかし、入力するデータの内容や生成物の利用方法に気をつけないと、法令に違反したり権利を侵害したりする可能性もあるため注意が必要です。
そのため、教職員が誤った利用をしないように、ガイドラインにて注意点を明記しました。生成AIを適切に運用したい方は、ぜひ参考にしましょう。
上智大学
上智大学は、教職員を対象に、教育分野での生成AIの使用に関するガイドラインを発表しました。このガイドラインは、教育現場における生成AIの適切な活用方法とそのリスクについて総合的に解説しており、特にChatGPTなどのテキスト生成能力を持つAIの利用に焦点を当てています。
対象となる生成AIは、ChatGPTなど文章生成に長けたジャンルに限っていますが、今後変更する可能性もあるとのこと。
注目すべきなのは、学生課題に対するAIの取り扱いに関して。基本的には、生成AIが出力した文章は認めないとしながらも、完全に禁止しているわけではなく教員の判断によって利用を許可する余地があるとしています。
参考記事:上智大学「教育における生成 AI 利用に関するガイドライン」
福島大学
福島大学では、学生及び教職員が生成AIを活用する際の指針を発表しました。福島大学のガイドラインでは、生成AIを使用して得られる情報の正確性や信頼性を確認すること、また倫理的な観点からの使用を重視しています。
さらに、福島大学は生成AIによって生み出されるコンテンツの著作権や知的財産権についても言及し、権利を尊重しました。福島大学は、このガイドラインを通じて、生成AIの利用における意識の向上と正しい知識の普及に努めています。
参考記事:福島大学「福島大学における生成AI利用ガイドライン」
自治体におけるAI活用・導入ガイドブック
各地方自治体におけるAI活用・導入ガイドブックも、総務省から公表されています。名前の通り、基本的には地方自治体での業務における生成AIの取り扱いをまとめたガイドブック。AIを導入することで人手不足に悩む地方自治体の業務を改善したい狙いがあるとされています。
自治体向けではありますが、内容は初心者向けです。はじめて生成AIについて学ぶ方でも理解しやすいように、AIとは何か、導入手順や活用事例なども紹介されています。AI専門用語の解説もあるため、自治体関係者以外でも重宝することが多いガイドラインです。なお、総務省が公表した自治体におけるAI活用・導入ガイドブックには、初心者向けの導入手順編と専門的な実証要点まとめ編があります。
参考記事:総務省「自治体におけるAI活用・導入ガイドブック(導入手順編)」
参考記事:総務省「自治体におけるAI活用・導入ガイドブック(実証要点まとめ編)」
生成AIガイドラインが各分野で策定される理由
そもそも、どうして各業界から生成AIの取り扱いに関するガイドラインが策定されているのか、その理由についても解説します。生成AIのガイドラインが各分野で用意されている背景には、生成AIのリスクが関わってきます。
たしかに、生成AIは上手に活用すれば人手不足を解消し、業務の生産性を爆発的に高めてくれる可能性はあるでしょう。その一方で、間違った運用を行う、もしくは意図的に悪用することで非常に危険なツールへと変貌するリスクもゼロではありません。
実際、生成AIにはハルシネーションなどの問題や悪用事例も数多く報告されています。そうしたリスクを回避し利用者および顧客ユーザーが被害に遭わないためにもガイドラインの策定は必要だったのです。
AI活用の5原則とは
- 法の支配
- 人権尊重
- 適正な手続き
- 民主主義
- 技術革新の機会の活用
日本を含む先進国7か国から構成されるG7デジタル相会合においても、AIの取り扱いのルール整備に関して5つの原則が同意されました。今後、AIの取り扱いには5原則に合わせたルール作りが各国で進められると考えられます。
日本の場合は、総務省が公開したAI利活用ガイドラインにて、さらに幅を広げた下記の10原則が提示されています。
- 適正利用の原則
- 適正学習の原則
- 連携の原則
- 安全の原則
- セキュリティの原則
- プライバシーの原則
- 尊厳・自律の原則
- 公平性の原則
- 透明性の原則
- アカウンタビリティの原則
G7・総務省が提示している原則は、いわばAI利用の基本ルールみたいなもの。AI利用者は、ガイドラインとは別にこれらの原則も頭に入れておくべきでしょう。
なお、生成AIのリスクについて詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。
→生成AIの企業利用・開発のリスクとその対策を解説!開発失敗事例も紹介
生成AIのガイドラインを使って生成AIを安全に使おう
生成AIが日常生活やビジネスの在り方に革命をもたらしている今日、生成AIの安全を確保するためには、適切なガイドラインの策定が欠かせません。
総務省・経済産業省・文部科学省をはじめとする多くの政府機関が、この課題に対応すべく、生成AIの使用に関するガイドラインを公開しています。生成生成のガイドラインは、企業や教育機関・自治体などが生成AIを適切に活用し、社会全体の経済や教育の発展に貢献するための土台となるものです。
それぞれの事例を参考にして、生成AIの適切な活用を検討しましょう。
生成系AIの業務活用なら!
・生成系AIを活用したPoC開発
・生成系AIのコンサルティング
・システム間API連携
最後に
いかがだったでしょうか?
弊社では
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・生成AIとRPAを組み合わせた業務自動化ツールの開発
・社内人事業務を99%自動化できるAIツールの開発
・ハルシネーション対策AIツールの開発
・自社専用のAIチャットボットの開発
などの開発実績がございます。
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