生成AIの企業利用・開発のリスクとその対策を解説!開発失敗事例も紹介
生成AIの利用には、さまざまなリスクがあるため、トラブルが起きないよう対策することが重要です。
アメリカでは、2023年の1月から7月までにOpenAIやMicrosoftなどのビッグテックを対象とした訴訟が起きています。訴訟されている理由は、同意や対価なしに著書や個人情報をAIに学習させているからです。
このようなトラブルは、日常的に生成AIを使用する私たちにも深く関係のある問題です。なぜなら、生成AIリスクを知らずに使用していると、知らずに著作権やプライバシーを侵害してしまう可能性があるからです。
この記事では、生成AIを使用する際のリスクやその対策方法と、生成AIを悪用した問題事例を紹介します。
最後まで読んだ方は、生成AIのリスクと注意点がわかり、対策しなければどのようなトラブルが起きるかを理解できますので、ぜひ最後までご覧ください。
なお弊社では、生成AIツール開発についての無料相談を承っています。こちらからお気軽にご相談ください。
生成AIのリスクを知っておく重要性
2022年後半から、生成AIは急速な発展を見せました。AIを活用することで生活が便利になる一方で、利用にはリスクが伴います。
企業で生成AIを適切に活用するためにも、AIが抱えているリスクを知っておくことは重要なことです。まずは生成AIのメリット、デメリット、リスクマネジメントの必要性について解説します。
生成AIのメリット
生成AIには、多数のメリットがあります。代表的なものだと、以下のような項目が挙げられます。
- 効率化と生産性の向上
生成AIは、大量のデータを高速かつ効率的に処理できるため、これまで人間が手作業で行っていた作業を自動化可能です。これにより、業務の効率化と生産性の向上を図ることができます。 - 新たな価値の創出
生成AIは、従来では考えられなかったような新たなコンテンツやサービスを生み出すサポートをしてくれます。これにより、ビジネスや社会に新たな価値を創出できます。 - 創造性や発想力の向上
生成AIは、人間の創造性や発想力を刺激する可能性があります。これにより、新たなアイデアや発想を生み出すことにつながります。
このように、生成AIを活用することでコンテンツ制作が容易になったり、ビジネスの生産性をあげることが可能になります。
生成AIのデメリット
一方で、生成AIにはデメリットも存在します。
後ほど詳しく解説しますが、例えば以下のような項目が挙げられます。
- 不正確な情報の生成
生成AIは、大量のデータを学習して生成されるため、その内容が必ずしも正確であるとは限りません。例えば、ニュース記事や論文などのコンテンツを生成する場合、誤った情報を生成してしまう可能性があります。 - 偏った情報の生成
生成AIは、学習したデータの偏りの影響を受けやすいため、偏った情報を生成してしまう可能性があります。例えば、差別的な表現を含むコンテンツを生成してしまう可能性があります。 - 悪意のあるコンテンツの生成
生成AIは、悪意のある目的で利用される可能性があります。例えば、なりすましメールやマルウェアなどのコンテンツを生成してしまう可能性があります。
こういったデメリットを回避するためには、事前にリスクを知っておくことが大切です。
生成AIのリスクマネジメントの必要性
生成AIのリスクを理解した上で適切に活用することで、リスクを回避し、そのメリットを最大限に引き出すことができます。
また、リスクを把握しておくことで、被害に遭わないためのリスク対策を講じることもできます。
例えば、生成AIによって生成されたコンテンツの信憑性や安全性を検証する方法を知っておくことで、詐欺やプライバシー侵害などの被害に遭う危険性を減らすことができるでしょう。生成AIを適切に活用し、生産性を上げるためにも、まずは生成AIを使用する際のリスクと対策を把握しておきましょう。
なお、ChatGPTを企業利用におけるリスクについて詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。
→ChatGPTを企業利用するリスクと対策5選|実際の企業事例と共に解説
生成AIを使用する際のリスク・注意点
生成AIを導入することで業務改善ができるのになぜ、生成AIを導入していない企業があるのでしょうか?その理由の一つとしてあげられるのは、生成AIを使うことで、著作権や商標権、機密情報の漏洩などさまざまなリスクが伴うからでしょう。
事実、生成AIのリスクや注意点を知り対策しておかないと、知らぬ間に著作権や商標権、機密情報の漏洩をしてしまい訴訟問題になってしまいます。ここでは、生成AIのリスクや注意点について紹介します。
著作権、商標権などの権利侵害
生成AIを使用する際には、著作権や商標権などの権利侵害に注意が必要です。
なぜなら、生成AIはインターネット上の膨大なデータを学習データとして使用するため、著作権や商標権で保護されたものも含まれる可能性があるからです。その結果、生成AIによって作成されたコンテンツが、著作権や商標権などを侵害する可能性があります。
著作権や商標権を侵害してしまう例として、生成AIが学習データとして使用した画像やテキストが著作権で保護されている場合、そのAIによって生成されたコンテンツも著作権を侵害する可能性があります。また、商標権で保護されたロゴや名称がAIによって無許可で使用された場合、商標権の侵害となってしまうこともあります。
ハルシネーションリスク
生成AIには、ハルシネーション(幻覚)と呼ばれる事実とは異なる情報を出力するリスクがあります。この現象は、学習データの偏りや不足、そして生成AIの内部構造の複雑さが原因です。
例えば、AIが学習したデータに存在しない情報や関連性を誤って生成する可能性があります。これはChatGPTなど高度な生成AIで見られる現象です。
したがって、生成AIを使用する際には、ハルシネーションリスクを理解し、適切なデータセットとモデル構造を選択することが重要です。
倫理的に不適切な情報の出力
生成AIの使用には、倫理的に不適切な情報の出力に注意が必要です。生成AIは機械学習によって訓練されますが、その学習データに偏見や不適切な内容が含まれている場合、AIもそれを反映した出力をする可能性があります。
一つの例として、AIが過去のニュース記事を学習した場合、その中に性差別や人種差別に関する偏見が含まれていれば、AIもそのような偏見を持つ文章や情報を生成する可能性があります。そのため、生成AIを使用する際には、その出力が倫理的に不適切な情報を含まないように、厳重な確認が必要です。
機密情報の漏洩
生成AIを使用する際には、機密情報の漏洩に特に注意が必要です。なぜなら、生成AIは大量のデータを学習して動作するため、その中に機密情報が混ざっていると、出力結果にもそれが反映される可能性があるからです。
例をあげると、企業内で生成AIを使ってレポートを作成する際、AIが学習したデータに社内の機密情報が含まれていた場合、そのレポートにも機密情報が含まれる可能性があります。
例外として、ユーザーのプライバシーとデータの安全性を保つために、ファインチューニングやエンべディングに使ったデータはOpenAIの学習データには一般的には使用されないようになっています。
生成AIへの過度の信頼
生成AIは便利な機能ですが、その能力に過度の信頼をすることは非常に危険です。
なぜなら、生成AIはデータに基づいて動作するため、そのデータが不完全または偏っていると、出力も不正確になる可能性があるからです。また、AIは人間のような倫理観や判断力を持っていないため、その出力が常に正確であるとは限りません。
仮に、AIを使用して法的な契約書を作成する場合、AIが法的な誤りを含む文書を生成する可能性があります。このような場合、法的なトラブルに巻き込まれるリスクが高まります。
ディープフェイク
生成AIによるディープフェイクは、高度な技術でありながら、その誤用が社会的な問題を引き起こす可能性があります。
ディープフェイク技術は、AIが生成する非常にリアルな偽のビデオや画像を作成可能です。この技術が進化するにつれ、悪意を持って使用される場面も増えています。
具体的な例として、2022年3月にロシアがウクライナに侵攻した後ウクライナのゼレンスキー大統領が、ウクライナ国民に対し武器を捨てロシアに降伏するよう呼びかけている偽動画がYouTubeやFacebookで拡散されました。これも、ディープフェイクによる動画です。
このような事例から、ディープフェイクの脅威が高まっています。
生成AIを使用する際のリスクに対する対策
前述の通り、生成AIを使用する際にはさまざまなリスクが潜んでいます。しかし、それぞれのリスクに対しての対策方法を理解していれば、大きな問題に発展することは少ないでしょう。
次に、生成AIを使用する際のリスクに対しての対策について見てみましょう。
著作権や商標権などの権利侵害を起こさないための対策
著作権や商標権などの権利侵害を起こさないための対策は、生成AIが生成するために使用したデータの確認やコンテンツの内容の確認が必要です。
簡単にコンテンツ生成に使用したデータを確認できるようにするために、生成AIにデータの引用元を明記させましょう。引用元を明記させることでデータの確認が容易にでき、著作権や商標権侵害のリスクを低減することができます。
ハルシネーションリスクへの対策法
ハルシネーションリスクを防ぐための対策として、「グラウディング」が有効です。これは、AIが指定された情報源だけに基づいて回答を生成する方法になります。
具体的な方法として、有料版ChatGPTでプラグインを使用することです。「WebPilot」というプラグインを使い、参考にしたいサイトのURLを指定することで指定したサイトを参考にコンテンツを作成させることが可能です。
このように、AIに情報源を指定することでハルシネーションを防ぐことができます。
倫理的に不適切な情報の出力をさせないための対策
生成AIを安全かつ倫理的に使用するためには、以下の3つの対策が効果的です。
- AIが学ぶ情報から偏見や不適切な内容を事前に除去する「データのクリーニング」
- AIが生成するテキストや画像に対して、不適切な言葉や表現をフィルタリングする機能を設ける
- AIの出力を定期的にチェックし、問題があれば修正する
以上の対策をすることで、生成AIが倫理的に不適切な情報を出力するリスクを最小限に抑えることが可能になります。
機密情報の漏洩への対策
機密情報の漏洩への対策は、オプトアウト設定がおすすめです。オプトアウト設定をすることで、ユーザーは自分の機密情報が不正にアクセスされたり、漏洩したりするリスクを大幅に減らすことができます。
例えば、ChatGPTのオプトアウト設定を有効にすることで、個人情報やビジネスに関する重要なデータが第三者に知られることなく安全にコミュニケーションを行うことができます。特に金融取引やビジネス戦略に関する情報を扱う際に有効です。
このように、ChatGPTのオプトアウト設定は機密情報の保護に不可欠な機能です。この設定をしっかりと管理することで、安全なコミュニケーションと情報保護が確保できます。
生成AIへの過度の信頼をしてしまうことへの対策
生成AIは、学習データやアルゴリズムの限界からくる誤りや偏見が起こる可能性があることを認識しておきましょう。
生成AIが生成したコンテンツは、必ずしも正確ではないため事実確認することが大切です。生成AIの出力は参考の一つとして活用し、他の信頼性の高い情報源も考慮することが重要です。
ディープフェイクへの対策
ディープフェイクに対する具体的な対策は以下の通りです。
- 自己学習コンテンツ
Microsoftやワシントン大学、USA Today、Sensityが共同開発した自己学習コンテンツ「Spot the Deepfake」で、ディープフェイクを見破るポイントを学べます。 - 検知ツール
Microsoft、Sensity、Google、Metaなどが開発したディープフェイク検出ツールが存在します。しかし検知ツールを使用すれば安心という訳ではありません。 - ニュースソースの確認
一つの情報源だけで信用しないようにし、異なる方法で真偽を確認する習慣を身につけることが重要です。
ディープフェイクへの完全な解決策は、まだ確立されていません。十分に注意しましょう。
詳しい情報漏洩を防ぐ方法を知りたい方は、こちらをご覧ください。
→【情報を守れ】OpenAIのGPTBotとは?情報漏洩を防ぐ方法
生成AIを開発する際のリスク
生成AIは、利用時だけではなく開発する際にも、さまざまなリスクが伴います。そのため、リスクを理解した上で、生成AIを開発することが非常に重要になります。
リスクや対策方法を知らずに生成AIを開発してしまうと、トラブルが起きる確率が格段に高くなります。もし、トラブルが起きてしまった場合、企業の信頼や社会全体に悪影響を及ぼしてしまうかもしれません。
生成AIは便利ですが、安全に正しく使用しないと法的な問題にも繋がる可能性があるので、生成AI開発時の体表的なリスクについて解説します。
プロンプトインジェクション
プロンプトインジェクションとは、ユーザーが悪意ある質問や指示をAIに送ることで、不適切な回答や情報漏洩を引き起こすリスクのことです。対話型AIであるChatGPTは、この種の攻撃に特に脆弱です。
例えば、ユーザーが他人の個人情報の開示を求めたり、違法な行為を助長するような指示を出すことがあります。この指示が成功すると個人情報が漏れるため、企業の信頼や社会全体に悪影響を及ぼす可能性があります。
モデルの盗用
モデルの盗用とは、開発したAIモデルが第三者によって無許可でコピーされ、商用目的や悪意ある活動で使用されることです。
どういうことかと言うと、自社で開発した文章生成AIが、競合他社によってコピーされ、そのままもしくは少しの改変で新しいサービスとしてリリースされるケースが考えられます。
過剰な代理行為
過剰な代理行為とは、AIが人間の意図や指示を過度に先読みして、不適切な行動を起こすことです。
例として、自動運転者のAIが過度に安全を確保しようとして、急停車を繰り返し、後続車に迷惑をかけるケースが考えられます。他にも、チャットボットがユーザーの質問に対して過度に詳細な個人情報を提供し、プライバシーを侵害する可能性がでてくるでしょう。
安全でないプラグイン設計
生成AIを開発する際、安全ではないプラグイン設計は避けなければいけません。なぜなら、不完全なプラグインはデータ漏洩やシステム侵害の入り口になりやすいからです。
簡単に説明すると、プラグインが不適切なアクセス制限を持っている場合、外部からの不正アクセスが容易になり、機密情報が漏洩する可能性があります。また、プラグインが安全でないコードを含むと、それがシステム全体の脆弱性をひき起こす可能性があります。
サプライチェーンの脆弱性
生成AIのサプライチェーン脆弱性を防ぐためには、厳格なセキュリティプロトコルと継続的な監視が必要です。なぜなら、サプライチェーンにおける脆弱性は、外部からの攻撃や内部からのデータ漏洩につながる可能性があるからです。
仮に、生成AIが使用する外部のデータベースがセキュリティに問題があることで、そのデータベースから流出した情報がAIに組み込まれる可能性があります。また、AIの訓練に使用されるオープンソースライブラリが脆弱であれば、攻撃者によって悪用される危険度が高まります。
モデルのDoS
生成AIのモデルもDoS攻撃の対象になる可能性があり、対策を打つことが必要です。なぜなら、生成AIモデルは、多くのリソースと計算能力を必要とし、攻撃者が意図的に高度な計算を要求するクエリを送ると、サービスが遅延したり停止したりする可能性があるからです。
DoS攻撃とは、攻撃者が大量の複雑な質問や命令を生成AIに送り、その計算能力を極限まで使い果たすことで、他の正当なユーザーがサービスを利用できなくなる場合のことです。
訓練データの汚染
訓練データの汚染は、AIの性能と信頼性に重大な影響を与えます。なぜなら、AIは訓練データに基づいて学習するため、訓練データが不正確や偏見、または誤情報を含んでいる場合、AIの出力にも影響が出るからです。
例をあげると、健康に関するAIが、誤った医学情報を含む訓練データで学習した場合、そのAIは不正確な医療アドバイスを提供する可能性があります。また、自動運転者のAIが不正確な交通ルールを学習した場合、交通事故のリスクが高まるでしょう。
生成AIを開発する際のリスクに対する対策
このように、生成AIを開発するにはさまざまなリスクが存在し、具体的なリスクについては前章で理解いただけたかと思います。では、それらのリスクはどのように対応すればいいのでしょうか。ここからは生成を開発する際のリスクに対する対策について解説します。
プロンプトインジェクションへの対策
対策として以下のようなことが考えられます。
- 既知の脆弱性を作り込まない
- ユーザーからの入力を検証
- ChatGPTで入力を検証
- ChatGPTからのレスポンスを検証
これらの対策を組み合わせることで、プロンプトインジェクション攻撃のリスクを大幅に低減可能です。
モデルの盗用への対策
対策として、次のことが考えられます。
- アクセス制限
- 暗号化
- 透明性の低減
- 監視とログを保存
- 法的手段
これらの対策を適用することで、生成AIモデルの盗用を効果的に防ぎ企業の知的財産を守ることができます。
過剰な代理行為への対策
過剰な代理行為を避けるためには、AIの行動範囲を明確に制限するとともに、人間の監視と介入が容易な設計にする必要があります。
- 機能制限
- ユーザーの確認
上記のような対策をすることで、過剰な代理行為を低減できます。
安全でないプラグイン設計にしないための対策
対策として以下のようなことが考えられます。
- コードレビュー
- ユーザー認証
- 最小限原則
- データの暗号化
- 自動アップデート
上記のような対策を適用することで、生成AIのプラグイン設計をより安全にし、ユーザーに安心して使用してもらえる環境を提供できます。
サプライチェーンの脆弱性への対策
対策としては以下のようなことが考えられます。
- コードの監査
- データ暗号化
- アクセス制限
以上の対策を実施することで、生成AIのサプライチェーンにおける脆弱性を最小限に抑え、より安全な環境を確保できます。
モデルのDoSへの対策
モデルのDoSへの対策として、以下のようなことが考えられます。
- トラフィック監視
- レート制限
- 冗長性の確保
これらの対策をすることで、生成AIモデルに対するDoS攻撃のリスクを大幅に減らし、サービスの安定性を高めることができます。
訓練データの汚染への対策
対策としては、次のことが考えられます。
- データソースの確認
- 前処理とクレンジング
- データの検証
- バージョン管理
- 定期的な監査
以上の対策を適用することで、訓練データの汚染を効果的に防ぎ、AIモデルの性能と信頼性を高めることができます。
生成AIを悪用した問題事例3選
生成AIを使った偽動画や音声による詐欺など、さまざまな犯罪が起きています。今までに起きている事例を知っておくことで、生成AIを企業利用する際のリスクを避けられるかもしれません。
ここでは、過去に実際に起きている生成AIを悪用した問題事例を紹介します。ぜひ、参考にしてください。
ディープフェイク音声による詐欺
英国のエネルギー企業のCEOが、上司であるドイツの親会社のCEOからと思われる電話を受け、緊急で22万ユーロ(約2600万円)をハンガリーのサプライヤーに送金するよう指示されました。しかし、この指示はAI音声技術を使った詐欺師からのものだったのです。
詐欺師は2回目の送金を要求する際に再度電話をかけましたが、その時、英国のCEOはオーストリアの番号からの電話であることに気づき、詐欺だと判明しました。
この事件は保険会社によって報告され、市販のAI音声生成ソフトが詐欺に使用されたとされています。この事件が起こったことにより、AI技術が詐欺にどれだけ容易に利用しやすいかを証明しています。
参考記事:AI版「オレオレ詐欺」で2500万円を送金、英企業が被害
OpenAIとMetaに対する訴訟
米国で生成AIの開発企業に対する訴訟が増えています。主な原因は著作権やプライバシーの侵害です。
例えば、人気コメディアンで作家のサラ・シルバーマン氏は、自身の著書がAIの学習に無断で使用されたとして、OpenAIとMetaに対して集団訴訟を起こしています。
このような訴訟は、開発企業だけでなく一般企業にも起こりうる可能性があるため、AIの使用には十分注意する必要があります。
参考記事:生成AIの著作物の利用は「フェアユース」に該当するか?
AIの画像生成能力を悪用した恐喝行為
生成AIの画像生成能力を使った「セクストーション」と呼ばれる犯罪が起きています。この犯罪は、AIの画像生成技術を使って、SNSや共有された一般的な写真を不適切な内容に変換し、被害者を脅迫するといったものです。
このセクストーション犯罪は、ディープフェイク技術を用いて普通の写真から不適切な画像や動画を生成します。SNSやポルノサイトに掲載し、被害者から身代金を要求するケースが急増しており、未成年も巻き込まれています。
参考記事:AIの画像生成能力を悪用した恐喝行為、”セクストーション”が増加傾向に。FBIが警告
なお、生成AIを使った悪用事例と対策について詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。
→ディープフェイクとは?AIを使うなら知っておきたい悪用事例と対策を徹底解説
生成AIのリスクマネジメントの方法
では実際に、生成AIに対するリスクマネジメントをどのように進めていけば良いのでしょうか?特に重要なポイントを解説します。
企業における生成AIのリスクマネジメントのポイント
企業におけるリスクマネジメントのポイントは、内部リスクと外部リスクを分けて把握することが重要です。その理由は、リスクの性質や対策の方向性が異なるためです。
内部リスクは、企業が自社の運用や管理を改善することで、ある程度コントロールが可能です。一方、外部リスクは、企業の努力だけでは防ぎきれない場合があります。
そのため、内部リスクと外部リスクを分けて把握することで、それぞれのリスクに対する適切な対策を講じることができます。
生成AIの内部リスク
内部リスクには、以下のような項目が挙げられます。
- 権利侵害・知的所有権などのリスク
上で書いたように生成AIには著作権・商標権などの権利問題や、侵害機密情報の漏洩リスクがあります。個人情報や企業の独自情報が外部に漏れる可能性もあるので、十分な教育や対策が必要です。 - 不適切な利用
生成AIから出力される情報が正しいとは限らないため、企業においては使い方やチェック体制が重要となります。従業員が生成AIを操作する際には、注意が必要になるでしょう。 - 従業員への影響
生成AIは便利なツールですが、その分使う側の知識や思考能力が求められます。生成AIを上手に使いこなせるかどうかで、従業員や企業の生産性が変わってきます。
内部リスクに対応するには、AIに対する理解を深める教育と、システム改善が不可欠です。
生成AIの外部リスク
外部リスクとは、企業の外部要因によって発生するリスクです。
- 生成AIの悪意のある目的での利用
生成AIを悪意を持って利用するユーザーが出てくる可能性があります。例えば、なりすましメールやマルウェアの生成、フェイクニュースなどが考えられます。 - 脆弱性による攻撃
生成AIの制御権の奪取・出力への不正アクセスなど脆弱性を利用した外部からの攻撃も考えられます。 - 経済、ブランドイメージ、評判への影響
市場変動・競合他社の動向・技術の進化・消費者の嗜好の変化など、経済や市場の変動がリスクを生じさせます。
外部リスクに対する対策は難しいですが、
- 生成AIの脆弱性を発見・修正するためのセキュリティ対策を講じる
- 悪意ある目的での利用を検知・防止するための対策を講じる
- リスクの把握と対策を定期的に実施
など、状況に応じて対策していくことが重要です。
生成AIのリスクに対する法規制も進んでいる
生成AIの利用が増えるにつれて、世界や日本でもリスクに対する法規制も進んでいます。
代表的なのは、欧州委員会による「AI法」です。急激に進化するAI技術に対処するため、リスクに応じて規制の内容を変える「リスクベースアプローチ」を採用。リスクが高い分野を扱うAIサービスの利用には、チェックを義務付けています。
欧州委員会は、AI法の事業者向けの完全施行を2024年後半に目指しており、成立すれば包括的なAI規制法となる見込みです。
参考記事:迫る生成AIのセキュリティリスク、企業に求められる対応は
また日本においても、文部科学省が、使用に適切な年齢や禁止すべき場面、仕組みや活用法を学ぶ授業のアイデア、教員の校務の負担軽減などについてのガイドライン作りを進めています。
またAIの規制や活用のあり方などについて関係省庁で協議する「AI戦略チーム」でも、生成AIの普及を受け議論をしています。総務省の法人利用者向け、また経済産業省の開発会社向けガイドラインの見直しについて、進めていくことになっています。
参考記事:「生成AI」のリスクや注意点 最低限これだけは気をつけて
今後、さらに法整備やガイドラインが整備されていきそうですね。
弊社の生成AIのリスクへの対応
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