ChatGPTを企業利用するリスクと対策5選|実際の企業事例と共に解説

現在、ChatGPTはビジネスのあらゆるシーンで活用されてきています。しかし、ChatGPTを業務に活用するにおいて、当然リスクも存在します。
そこで本記事では、ChatGPTを企業利用するリスク・注意点、対策について詳しく解説します。
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ChatGPTを企業利用するリスクと対策5選
ChatGPTの活用は幅広く、業務効率化や新たなアイデアの作成など多くのメリットがありますが、一方でそれに伴うリスクも存在します。
様々なリスクを理解し、対策を講じることで、ChatGPTをより効果的に活用することが可能です。
ChatGPTを利用する上でのリスク・注意点とその対策はどの様な事があるのでしょうか?
以下にまとめていきます!
情報漏洩
- ChatGPTのAPIを利用する
著作権侵害やプライバシー侵害
- 社内ルールと確認プロセスの整備
- 法律や規則の理解・遵守
- 著作権やプライバシー保護の研修・教育プログラム
- 類似サービスの活用
虚偽情報の生成
- ChatGPTが偽情報や不正確な情報を回答することを念頭におく
- ChatGPTの回答結果を利用する際の社内ルールを決める
- 回答結果の確認プロセスを整備する
倫理的に不適切な文章が生成される
- 生成されたデータの利用に関する社内ルールを作る
- 確認プロセスを確立して常にチェックする
社員がChatGPTに依存してしまう
- AIが生成するコンテンツと人間の専門知識のバランスを保つ
- 人間の判断と直感の価値を維持する
- ビジネスプロセスにおけるAIの役割を定期的に見直し、評価する
- 人間の努力を補完するように、人間とChatGPTの役割を明確化する
なお、ChatGPTの犯罪事例について詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。
→ChatGPTを不正利用して起きた悪用事例・犯罪事例をまとめてみた
情報漏洩
ChatGPTへの入力内容には、最新の注意を払う必要があります。
というのも、入力した内容は、のちにChatGPTの学習に利用される可能性があるからです。
実際に、ChatGPTを提供するOpenAI社の公式ページ※1にて、以下のように公表されています。
API以外のChatGPTとDALL-Eに入力したデータは モデル改善に使用する場合がある
引用:How your data is used to improve model performance | OpenAI Help Center
これは、「ChatGPTの回答精度をよくするために、皆さんの質問した内容を活用する」ということ。
そうなると、重要な情報を入力してしまうと、多くの利用者の目に触れる可能性も出てきますよね。
実際に、Amazon社は、サービス開始前のプログラムに似ている内容がChatGPTで生成されたと報告しております。※2
情報漏洩への対策
対策としてはChatGPTのAPIを利用しましょう。
OpenAI社によると、API経由のデータは学習には利用されず、情報漏洩のリスクを低減できます。
ただし、APIを経由する場合は、次の2点を考える必要があります。
- APIの利用料
- APIを利用するためのシステムや機能の考慮
まずは、APIの利用料について。これは、入力した文字数に応じて決まります。
例えば、「gpt-3.5-turbo」というAPIの種類の場合、1000トークンごとに0.002ドルが必要です。
トークンというのは、言語によってカウントの仕方が違うようで、日本語の場合は次のようになっています。
- ひらがな1文字:1トークン
- 漢字:2~3トークン
次に、システムや機能の考慮について。
APIを利用するためには、社内システムへの連携などを考える必要が出てきます。
例えば、Slack というチャットツールに、ChatGPT APIを利用したChatBotを組み込んでいます。
情報漏洩のリスクと、利用料金や工数などとのバランスを考えるなどして、活用しましょう。
※1 How your data is used to improve model performance
https://help.openai.com/en/articles/5722486-how-your-data-is-used-to-improve-model-performance
※2 Don’t Chat With ChatGPT: Amazon’s Warning To Employees
https://medium.com/inkwater-atlas/dont-chat-with-chatgpt-amazon-s-warning-to-employees-ce1dc2236a40
著作権侵害やプライバシー侵害
ChatGPTは、インターネット上のテキストデータを基に文章やプログラムを生成するツールです。
そのため、他人の著作物を模倣したり、プライバシーを侵害したりするリスクが存在します。
生成された文章やプログラムが既存のものに類似してしまう可能性があります。
ChatGPTから生成されたデータを外部に公開するときは、以下の2つを確認する必要があります。
- 作られたデータが著作物を模倣していないこと
- プライバシーを侵害していないこと
著作権侵害やプライバシー侵害への対策
対策は次の4点です。
- 社内ルールと確認プロセスの整備
- 法律や規則の理解・遵守
- 著作権やプライバシー保護の研修・教育プログラム
- 類似サービスの活用
1. 社内ルールと確認プロセスの整備
倫理的リスクと同様に、生成データ利用に関する社内規約やルールを策定し、確認プロセスを整備することが重要です。
また、問題のあるデータが含まれる場合に改善できるプロセスを構築しましょう。
2. 法律や規則の理解・遵守
著作権やプライバシーに関する法律や規制を理解し、遵守することが不可欠です。特に、国や地域によって著作権法やデータ保護法が異なるため、対象市場や顧客の法的要件を把握することが重要です。
3. 著作権やプライバシー保護の研修・教育プログラム
従業員や関係者に対して著作権やプライバシー保護に関する研修や教育プログラムを実施し、意識を高めましょう。これにより、企業や組織はChatGPTを適切かつ安全に活用できるようになります。
4. 類似サービスの活用
BingのAI Chatのような、データの引用元が明記される類似サービスを利用することで、生成データの確認作業を簡素化し、著作権侵害やプライバシー侵害のリスクを低減できます。
これらの対策を実践することで、ChatGPTの持つ可能性を最大限に活かしながら、安全で信頼性の高いサービスを提供できるようになるでしょう。
虚偽情報の生成
ChatGPTは、誤った情報を回答する可能性があります。※3
これは、次のことが関係します。
- ChatGPTは、インターネット上のテキストデータを学習して文章などを生成するツールであること
- ChatGPT自身が、真偽や倫理性を判断できないこと
- 2021年までの情報しか学習していないこと
虚偽情報の生成への対策
対策としては、次のことが考えられます。
- ChatGPTが偽情報や不正確な情報を回答することを念頭におく
- ChatGPTの回答結果を利用する際の社内ルールを決める
- 回答結果の確認プロセスを整備する
この他にも、社内での定期的な情報共有を行うことが、リスク低減に繋がります。
なお、ChatGPTの日本企業導入事例について詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。
→ChatGPTの日本企業導入事例をまとめて紹介!業務に導入するメリットや注意点も解説
倫理的に不適切な文章が生成される
ChatGPTを利用する際、生成されたデータに不適切な表現が含まれる可能性があります。これは、ChatGPTがインターネット上のテキストデータから学習しているため、真偽や倫理性を判断できないことが原因です。
倫理的に不適切な文章が生成されることへの対策
対策としては、次のことが考えられます
- 生成されたデータの利用に関する社内ルールを作る
- 確認プロセスを確立して常にチェックする
問題のある内容が生成された場合も同様です。
社内で改善できる体制を整えましょう。
これにより、倫理的リスクを低減し、効果的なChatGPTの利用方法を普及させることが重要です。
一方で、社内体制や規約を厳しくしすぎると、ChatGPTの利用に多大な社内コストがかかってしまうこともあります。利用目的や重要度に応じて規約や利用方法を考え、適切なバランスを取るよう心掛けましょう。
社員がChatGPTに依存してしまう
社員がChatGPTを頼りすぎてしまうリスクがあります。
めちゃくちゃ便利なChatGPT。その存在はまたたく間に広まり、
- メールの作成
- 文章コンテンツの自動生成
- 企業や市場調査
- 企画立案
など、ビジネスのあらゆるシーンで活用されてます。
一方で、社員がChatGPTを頼りすぎてしまうと次のようなことに繋がるのではないでしょうか?
- ユーザーの創造性や批判的思考力の低下
- 自己満足に陥る可能性
- 人間の意見や批判的思考の重要性の見落とし
- 間違った判断やブランドの個性喪失、コンテンツの平均化
こんな風にはなりたくないですよね。
社員がChatGPTに依存してしまうことへの対策
対策として、次のようなものが考えられます。
- AIが生成するコンテンツと人間の専門知識のバランスを保つ
- 人間の判断と直感の価値を維持する
- ビジネスプロセスにおけるAIの役割を定期的に見直し、評価する
- 人間の努力を補完するように、人間とChatGPTの役割を明確化する
最終的な意思決定や創造性は人間が担う必要があります。これらの対策を実施することで、依存度を低減し、ChatGPTをより効果的に活用できるようになります。
ChatGPTを業務に利用している企業事例
前の章でChatGPTのリスクについて詳しく説明しました。
ビジネスの現場では、これらのリスクを認識しながらも、AIの恩恵を活かすために、具体的な対策を講じてChatGPTを活用している企業が存在します。
ここでは、3つの企業に焦点を当て、どのようにChatGPTを取り入れ、そしてリスクにどのように対処しているのかを紹介します。
【サイバーエージェント】ChatGPTでコニュニケーション工数を削減
サイバーエージェントは、OpenAI社が開発した「ChatGPT」を活用し、デジタル広告のオペレーションにかかる作業時間を大幅に削減する「ChatGPTオペレーション変革室」を設立しました。
「ChatGPT」は、言語理解、文章生成、質問応答、翻訳などに対応した高度な対話型AIで、広告オペレーションにかかる人的な総作業時間は月間で約23万時間にのぼります。
この新設部署は、「ChatGPT」を適切かつセキュアに活用し、作業時間を大幅に削減することを目指します。初期段階では、自動回答や海外拠点とのコミュニケーションなど社内コミュニケーションの補助を中心に、総時間約23万時間のうち30%にあたる約7万時間の削減を目指します。
参考文献:https://www.cyberagent.co.jp/news/detail/id=28668
【パナソニックホールディングス】AI技術で生産性向上
パナソニックは、AIアシスタントサービス「PX-GPT」を全社員に展開し、国内約9万人が本格的に利用を開始しました。
これは、パナソニック コネクトが活用している「ConnectGPT」をベースにしたもので、パナソニックのDX取り組み「Panasonic Transformation(PX)」の一環となります。
このサービスは、MicrosoftのパブリッククラウドMicrosoft Azure上で利用できるAzure OpenAI Serviceを活用しており、社内イントラネットからアクセス可能です。
また、セキュリティ面に配慮し、入力情報は一定期間を過ぎたら消去されます。パナソニックは、このサービスを通じて、社員の生産性向上と業務プロセスの進化を促進し、新たなビジネスアイデアの創出を支援します。
参考文献:https://news.panasonic.com/jp/press/jn230414-1
【農林水産省】AIの力で精度の高いマニュアル作成
農林水産省では、2023年4月に一部の業務でChatGPTを導入することを発表しました。
現在既に導入されているかは定かではありませんが、4月時点で使用を想定していた作業は「農林水産省共通申請サービス(eMAFF)」の利用者向けのマニュアル改定です。
マニュアル改訂は正確性が求められるため、文章作成や適切に修正するといった作業にChatGPTを使うとのことです。
参考記事:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230418/k10014042001000.html
なお、ChatGPTの活用事例について詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。
→【ChatGPTの最新活用事例】業務が鬼捗る仕事ハック術41選
ChatGPTを企業利用する上での注意点
ここまで、ChatGPTの主要なリスクとそれに対応してAIを活用した実際の企業例を挙げてきました。
ここからはChatGPTを企業利用する際に注意しておくべきことを紹介します。
2021年までの情報しか提供できない
ChatGPTの学習モデルは2021年9月までになっており、最新のデータにアクセス出来ない点は注意が必要です。
特にリサーチ業務や市場調査でChatGPTを利用する場合は、データが取得できなかったり古いデータを参照してしまう可能性があるので利用にあたっては精査が必要です。
例えば2021年の日本のGDPを訪ねた場合、正式な数値が発表されていないとされます。
出力言語を指定できない
ChatGPTは入力したワードに応じて自動的に言語を判別する為、入力した言語と違う言語で出力される場合もあります。
翻訳を頼めば翻訳してくれますが、必要に応じてpromptを設定するなど対策が必要です。
日本語と英語での情報量の違い
ChatGPTでは、日本語と英語で情報量が違う場合があります。
ChatGPT側のアップデートでその差は縮まっていますが、日本語で臨んだ回答が得られない場合は英語で入力すると望んだ回答が得られるかもしれません。
アップデートによって機能や精度が変わる可能性がある
ChatGPT はまだまだ発展途上のサービスで、同サービスは短い期間でどんどん新しい機能や精度の改善、安定の向上など様々なアップデートが加えられています。
基本的にはユーザーにとってはメリットですが、ChatGPTのハック的な使い方やより良い質問方法なども変わってくる可能性があります。
ChatGPTを活用するならリリースノートは常に確認することをおすすめします。
長文を入力できない
入力しようとしたら、このようなエラーが出たことはないでしょうか?
これは、トークン数オーバー(制限文字数オーバーのようなもの)が関係します。
ChatGPTの入出力の長さは、”トークン数”という単位で決められています。
例えば、GPT-4では1回の入出力あたり最大8000トークンまで。
文字数にするとどうなるか気になると思いますが、言語によって換算方法が違うんです。
大雑把ですが、英語と日本語では次のようになります。
- 英語:1トークン = 1単語
- 日本語:1トークン = 1文字
このことからもわかるように、長文が入力できないときは、英語に翻訳して入力しましょう。
翻訳するときは、DeepL(https://www.deepl.com/translator) がおすすめです。
まずは、このように翻訳しましょう。(例なので、短文ではありますが……)
そして、翻訳結果をChatGPTに貼り付け、実行しましょう。

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ChatGPTのリスクを知った上で企業利用しよう!
AIの発展に伴い、特に企業での活用が注目されているChatGPTのリスクについて解説しました。
ChatGPTには以下のようなリスクがあります。
- 情報漏洩のリスク
- 著作権侵害やプライバシー侵害のリスク
- 虚偽情報を生成するリスク
- 倫理的に不適切な文章が生成されるリスク
- 社員がChatGPTに依存してしまうリスク
- 2021年までの情報しか提供できない
- 出力言語を指定できない
- アップデートによって機能や精度が変わる可能性がある
- 日本語と英語での情報量の違い
- 長文を入力できない
これらのリスクを適切に管理しつつ、ChatGPTを実際に活用している企業も存在します。
例えば、
サイバーエージェントでは社内コミュニケーションの効率化に向けてChatGPTを導入しました。
パナソニックホールディングスでは、社員の生産性向上と業務プロセスの進化促進、新たなビジネスアイデアの創出を目指しています。
また、農林水産省では「農林水産省共通申請サービス(eMAFF)」のマニュアル改定にChatGPTを利用する計画が進行中です。
ChatGPTの利用は業務効率の向上や新たなビジネスチャンスの創出をもたらしますが、伴うリスクを忘れることなく、誠実かつ効果的な利用方法を見つけ出すことが今後の企業にとって重要となるでしょう。
最後に
いかがだったでしょうか?
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