生成AIがイスラエル・ハマス戦争で驚きの役割を果たしているという報告
WEELメディア事業部ライターのたけしです。
2023年10月7日、パレスチナの軍事組織・ハマスがイスラエルに大規模な攻撃を仕掛けて以来、両者の 衝突は激化の一途をたどっています。
そんなイスラエル・ハマス間の衝突において、生成AIが情報操作のツールとして使われているのをご存じでしょうか?
本記事では、イスラエル・ハマス戦争における、生成AIの役割や影響について詳しく解説します。
今回紹介する内容は、今後AIとの付き合い方を考える上でも非常に重要なので、興味のある方はぜひ参考にしてください。
参考記事:Generative AI Is Playing a Surprising Role in Israel-Hamas Disinformation
生成AIはイスラエル・ハマス戦争の情報操作に利用されているものの、その影響は限定的
イスラエル・ハマス戦争において、生成AIで生成した偽の画像・映像が、情報操作の手段として利用されています。例えば下記投稿では、イスラエルのインフルエンサー(フォロワー40万人超)がAIで生成した画像を引用し、ハマスを批判して話題を集めました。
親愛なるパレスチナ人たちへ、
ハマスの指導者たちが贅沢な暮らしを満喫している一方で、彼らはあなたたち自身と子どもたちを犠牲にするよう求めている。
ハマスはパレスチナ人のことなど気にかけていない。ハマスこそパレスチナ人の敵なのだ。
結果的に上記画像は生成AIによる偽物だと判明したものの、この投稿を鵜呑みにし、ハマスに対して批判的な立場になった方も多いでしょう。
生成AIという素晴らしい技術が、このような悪質な情報操作にも用いられるのは悲しいですよね…
しかし一方で、「生成AIがイスラエル・ハマス間の情報操作に与える影響は限定的だ」という意見もあります。
というのも、たしかに生成AIによる偽情報は存在するものの、本物の画像・映像の方が数は圧倒的に多いからです。
また、偽情報による情報操作はAIが登場する前から行われており、あくまでAIはその手段の1つに過ぎません。
つまり、問題の本質は生成AIによる偽画像・動画ではなく、
「偽情報を用いて悪意のある情報操作を行う人間」と、それに「踊らされる人間」がいる
ということなのです。
イスラエル・ハマス戦争における生成AIの役割
イスラエル・ハマス戦争における生成AIの役割は、主に以下の2つです。
- 特定の立場を支持する内容の拡散
- 感情に訴えるコンテンツの生成
特定の立場を支持する内容の拡散
イスラエル・ハマス戦争における生成AIの役割1つ目が、【特定の立場を支持する内容の拡散】です。
例えば以下の投稿では、世界的なサッカー選手である「リオネル・メッシ氏がイスラエルの国旗を掲げている」偽画像を紹介しています。
This viral image of Lionel Messi holding an Israeli flag is digitally altered, and no such image has been posted to Messi's Instagram account.
— Shayan Sardarizadeh (@Shayan86) November 1, 2023
The real image shows Messi signing official merchandise in Miami in September. pic.twitter.com/NL7dgU4qXO
リオネル・メッシがイスラエル国旗を持っているこのバイラル画像はデジタル加工されたもので、メッシのインスタグラム・アカウントにはそのような画像は投稿されていない。
本物の画像は、9月にマイアミで公式グッズにサインをするメッシの姿である。
世界的大スターのメッシ選手がイスラエル側を支持しているとなれば、当然大多数がイスラエルを支持し、ハマスを批判するようになりますよね。(さすがに画像が粗すぎるので、騙される人は少ないと思いますが…)
このように生成AIを使い、大きな影響力を持つ人物が特定の立場を支持しているように見せかけているのです。
感情に訴えるコンテンツの生成
イスラエル・ハマス戦争における生成AIの役割2つ目が、【感情に訴えるコンテンツの生成】です。
例えば以下の投稿では、「紛争に巻き込まれて悲しげな表情をする少年たち」の偽画像が紹介されています。
幼い少年が戦争の犠牲になっている画像を見せられれば、当然敵国を非難したくなりますよね。(冷静になれば、どう見ても偽画像ですが…)
他にも、イスラエル首相であるベンヤミン・ネタニヤフ氏が投稿した「焼けて灰になった子どもたち」の画像も、後に生成AIによる偽画像だと判明しています。
このように、特定の立場に同情を引くコンテンツを生成するために、AIが利用されているのです。
問題の本質は生成AIではない
ここまで紹介してきたように、イスラエル・ハマス戦争において生成AIは悪質な情報操作に利用されています。
しかし、今回の情報操作における生成AIの役割は限定的であり、問題の本質ではありません。
というのも、ネット上で出回っている画像・映像の多くは本物であり、生成AIによる偽情報の数は限られているからです。
またそもそも、戦争における情報操作はAIが登場する前から行われており、今に始まったことではありません。
例えばゲームの映像を編集し、あたかも本物の戦闘シーンかのように見せる、なんてことは以前から行われていました。
つまり、ここで重要となるのは、
- 偽情報を用いて、悪意のある情報操作を行う人間がいる
- 情報操作に踊らされる人間がいる
- 生成AIは、情報操作の手段の1つに過ぎない
ということなのです。
AIに対して過度に注目して、本質を見誤らないように注意しましょう。
なお、生成AIの法人利用について詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。
→生成AIの法人利用方法10選!法人向け生成AIツールや実際の事例も解説
筆者のコメント
先人たちが長い年月をかけて研究・開発してきたAIが、イスラエル・ハマス戦争で悪用されているのは悲しいですね…
今回生成AIが情報操作に活用された事例から、「AIは恐ろしいものだ」と考える方もいるかもしれません。
しかし本記事で何度も述べているとおり、問題の本質は以下の2点です。
- 偽情報を拡散させる人間がいる
- 偽情報に踊らされる人間がいる
AIは情報操作の手段の1つに過ぎず、決して恐ろしいツールではないということを覚えておきましょう。
今後AIが進化し続けていく中で、ネット上には今よりも多くの偽情報があふれることが予想されます。
目の前の情報に踊らされることなく、冷静に真偽を判断するスキルが、今後の情報社会で求められるのではないでしょうか?
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