【Grounding with Google Search】Gemini×Google検索で最新情報にアクセス可能なAPI公開!
2024/10/31、Googleから新たなサービスが登場!
新たに登場した「Grounding with Google Search」は、GeminiモデルがGoogle検索を利用して、より正確で最新の情報を提供できるようになります。これにより、開発者はAIモデルの応答に信頼性のあるリンクや検索結果の提案を付け加えることが可能です!
本記事では、Grounding with Google Searchについて詳しく解説し、使い方まで紹介します。
本記事を最後まで読むことで、Grounding with Google Searchを使った、これまでとは違う一歩先のGoogle検索を体験できるようになります!ぜひ最後までお読みください。
Grounding with Google Searchの概要
「Grounding with Google Search」は、GoogleのAI開発プラットフォームであるGoogle AI StudioとGemini APIの一部として提供される新機能です。
これは、AIモデルがユーザーに対してより正確かつ最新の情報を提供するために、Google検索の結果を活用する機能。
Groundingが有効化されると、モデルの応答に実際のリンクや検索結果が含まれ、情報源としての信頼性が高まります。この機能は、Google AI Studioの「Tools」セクションで手軽にオンにでき、またAPIを介して「google_search_retrieval」ツールを使用して設定できます。
Grounding with Google Search開発の背景
Grounding with Google Searchが開発された背景には、LLM特有の問題がありました。
ハルシネーション
LLM特有の問題として真っ先に思い浮かぶのが「ハルシネーション」です。
LLMは、一見するともっともらしいが、実際には事実に基づかない情報を生成する傾向があり、これを「ハルシネーション」と呼んでいました。ハルシネーションが生じると、ユーザーに対して誤った情報を流布してしまい、過去にはハルシネーションが元で訴訟にまで発展した事例もあります。
そのため、LLMの発展にはハルシネーションの解決は不可欠でした。これがGrounding with Google Searchが開発された1つ目の理由です。
最新情報の欠如
2つ目の理由としては、「最新情報の欠如」です。LLMは学習した特定時点のデータしか持っておらず、それ以降の情報については学習していないため、正確な情報を提供することができません。
データを学習した以降の情報に関する質問に対しては、「その情報については知りません」みたいな回答をしてくれればいいのですが、多くのLLMサービスではそういった回答はあまりされず、ありもしない情報をさも事実かのように出力してくれます。(ハルシネーション)
このような最新情報の欠如という問題に対して、解決するためにGrounding with Google Searchは開発されています。
Grounding with Google Searchのメリット
前述したLLM特有の問題2つを解決するためにGrounding with Google Searchは開発されています。
そのためGrounding with Google Searchのメリットは、ハルシネーションを減少させ、より事実に基づいた情報の提供、リアルタイム情報にアクセスして最新情報の提供を実現させる点です。
また、リアルタイム情報にアクセスができるため、情報源のリンクも提供されるので情報の透明性と信頼性向上にも繋がります。ソースがわかればユーザー自身で確認することもできます。
Grounding with Google Searchの利用料金
Grounding with Google Searchの利用料金は、Google AI Studioで利用する場合と、Gemini APIで利用する場合で異なります。
- Google AI Studio:Google AI Studioでは、Grounding with Google Searchは無料で利用できます。
- Gemini API:APIでGrounding with Google Searchを利用する場合、有料版が適用され、1,000件のクエリに対して35ドルの料金が発生。
開発者はGoogle AI StudioでGrounding with Google Searchを無料で試すことができますが、APIを介して本番環境で利用する場合は、料金が発生します。
Grounding with Google Searchのライセンス
Grounding with Google Search自体はCreative Commons Attribution 4.0 Licenseのもとで提供されており、サンプルコードはApache 2.0ライセンスです。
下記表はGrounding with Google Search自体のライセンスです。
Apache 2.0ライセンスは特許ライセンスを含んでいるため、商用利用を含む幅広い使用が可能。再配布や改変時に、元のライセンス条項と通知の維持が求められます。
利用用途 | 可否 |
---|---|
商用利用 | ⭕️ |
改変 | ⭕️ |
配布 | ⭕️ |
特許使用 | ❌ |
私的使用 | ⭕️ |
Creative Commons Attribution 4.0 Licenseでは、特許に関する権利については何も取り扱っていません。
つまり、もしそのコンテンツに関連する特許権がある場合、このライセンスだけではその特許を使用する権利を付与していないということになります。そのため、特許権の使用が明示的に許可されているわけではないため、特許を使いたい場合には別途許諾が必要になる可能性があります。
なお、リアルな統計データ×RAGを使ったハルシネーション対策極みLLMについて詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。
Grounding with Google Searchの使い方
Grounding with Google Searchを利用するには、Gemini APIまたはGoogle AI Studioの「Tools」設定で「Grounding」ツールを有効にします。
ツールをオンにすると以下のメッセージが表示されるので、「同意」します。
実際にGoogle AI Studioで質問した結果がこちら
最初の質問がGroundingをオフにした状態でのやり取りです。その次がGroundingをオンにした状態のやり取りで、正確に回答をしてくれています。
最初からGroundingをオンにした状態で質問もしてみましたが、こちらもソースは表示されていません。
次に「Gemini 1.5 Flash」にして聞いてみます
使用モデルをGemini 1.5 Flashにして、最初からGoundingをオンにしておくとソースが表示されるようになります。
また、コード内で「string」または「dictionary」を使用して設定が可能。
設定には、動的リトリーバル(dynamic retrieval)の利用が推奨され、特定のプロンプトでのみGroundingを適用するための予測スコア(0から1までの範囲)を使った閾値を設定できます。例えば、予測スコアが0.3以上の場合にGroundingを行うよう設定することが可能です。
Grounding with Google Searchでできないこと
所有権の主張:検索候補、リンク、または関連する知的財産の所有権を主張することはできません。
上記の場合を除き、検索結果または検索サジェストの保存、コピー、クリックの追跡、再販、分析、またはトレーニングを行うこと。
修正またはリダイレクト:Grounded ResultsまたはSearch Suggestionsを変更したり、インタースティシャルコンテンツを追加したり、ユーザーをリダイレクト
動的リトリーバル
動的リトリーバルは、Groundingが必要なプロンプトにのみこの機能を適用し、コストや処理時間を最適化する機能
プロンプトごとに「予測スコア」が割り当てられ、これにより、回答にGroundingが必要かどうかが判断されます。スコアが高いプロンプト(例:「最新のF1グランプリの優勝者は?」など)はGroundingの対象となりやすくなります。
Grounding機能を利用した応答では、たとえば「今年のウィンブルドンの優勝者は?」という質問に対して、モデルは最新の結果を検索し、「カルロス・アルカラスが2024年のウィンブルドンで優勝した」という具体的な回答をリンク付きで返します。
Groundingが行われた場合、応答には「groundingMetadata」というメタデータが含まれ、リンク元のURIや信頼性スコアも表示されます。
Grounding with Google SearchをAPIを使って最新情報を聞いてみた
Grounding with Google Searchは有料にはなりますが、APIを使っても利用することができるので、ここではAPIを使って最新情報について聞いてみたいと思います。
GeminiのAPIはGoogle AI Studioから取得できます。実際にAPIを使って実装してみましょう
質問する内容はこちらです
Which team won the Major League Baseball World Series in 2024?
和訳:2024年のメジャーリーグワールドシリーズで優勝したのはどこのチーム?
必要ライブラリのインストールとAPIキー設定はこちら
# 必要なパッケージのインストール
!pip install google-generativeai
import os
import google.generativeai as genai
# APIキーを設定("YOUR_API_KEY"を取得したAPIキーに置き換えてください)
os.environ["GOOGLE_API_KEY"] = "YOUR_API_KEY"
genai.configure(api_key=os.environ["GOOGLE_API_KEY"])
サンプルコードはこちら
# モデルの選択
model = genai.GenerativeModel('models/gemini-1.5-flash-002')
# プロンプトの設定とGrounding機能の有効化
response = model.generate_content(
contents="2024年のメジャーリーグワールドシリーズで優勝したのはどこのチーム?",
tools={'google_search_retrieval': {}}
)
# 応答の表示
print(response)
英語で質問をすると以下のように返ってきますが、日本語では不明なテキストが返されます。
英語での回答:The Los Angeles Dodgers won the 2024 Major League Baseball World Series, defeating the New York Yankees in five games. Freddie Freeman was named the World Series MVP.\n
和訳:ロサンゼルス・ドジャースがニューヨーク・ヤンキースを5回コールドで破り、2024年メジャーリーグのワールドシリーズを制した。フレディ・フリーマンがワールドシリーズMVPに選ばれた。
日本語での回答:2024\u5e74\u306e\u30e1\u30b8\u30e3\u30fc\u30ea\u30fc\u30b0\u30ef\u30fc\u30eb\u30c9\u30b7\u30ea\u30fc\u30ba\u306f\u3001\u30ed\u30b5\u30f3\u30bc\u30eb\u30b9\u30fb\u30c9\u30b8\u30e3\u30fc\u30b9\u304c\u30cb\u30e5\u30fc\u30e8\u30fc\u30af\u30fb\u30e4\u30f3\u30ad\u30fc\u30b9\u30924\u52dd1\u6557\u3067\u5236\u3057\u512a\u52dd\u3057\u307e\u3057\u305f\u3002\n
また、同じ質問をGrounding with Google Searchなしで質問した時の回答はこちらです
The 2024 Major League Baseball World Series has not yet been played. The season is still ongoing as of October 26, 2023
和訳:2024年メジャーリーグ・ワールドシリーズはまだ行われていない。 2023年10月26日現在、シーズンはまだ進行中である。
Grounding with Google Searchの有無でかなりハルシネーションが抑制されていることがわかります。そもそもGrounding with Google Searchなしでは、まだ2023年になっているため、おそらく2023年までのデータしか学習していないのかもしれません。
しかし、Grounding with Google Searchを使うことで、最新情報にアクセスできハルシネーションを抑制できています。
Grounding with Google SearchなしでAPIを使う場合には、「tools={‘google_search_retrieval’: {}}」を削除すればOKです
なお、新世代の生成AIモデル「Liquid Foundation Models」について詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。
まとめ
本記事では、Grounding with Google Searchについて詳しく解説をしました。Grounding with Google Searchを使うことで、LLMの苦手な部分をカバーすることができ、より信頼性の高い情報にアクセスすることが可能となります。
これまで、ハルシネーションや誤情報の流布が不安で使うことができなかった方でも、Grounding with Google Searchを使うことでLLMを活用することができるでしょう。
ぜひ試してみてください!
最後に
いかがだったでしょうか?
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