一般社団法人生成AI活用普及協会(GUGA)にインタビュー!生成AIリスキリングの重要性とは
こんにちは、WEELメディア事業部です。
生成AIを活用すれば、業務効率を上げることができるだけではなく、クリエイティブな用途にも使えるため、日々の業務や生活に取り入れている方も多いのではないでしょうか?
しかし、一部企業や個人的に利用されている方の中には生成AIに潜むリスクについての知識があまりないまま利用していることもあるでしょう。
そこで今回は、AIリテラシー向上を目的とした生成AIリスキリングの重要性について、一般社団法人生成AI活用普及協会(GUGA)事務局次長の小村 亮さんにお話をお伺いしました!
安全かつ、有効的に生成AIを取り入れたい方は必見の内容となっておりますので、ぜひ最後までご覧ください!
生成AIリスキリングに注目が集まる背景
生成AIリスキリングに積極的に取り組む国や企業が増えてきていますが、なぜ生成AIリスキリングが注目されているのかについてお伺いしました。
国が抱える課題
生成AIリスキリングに積極的に取り組む国や企業が増えてきていますが、その背景には何があるとお考えですか?
まず国という視点で言うと、日本は生成AIの活用にかなり前向きな姿勢をとっています。
なぜ、そう思われるのでしょうか?
DX・デジタル分野に課題意識がある中で、世界的に見ても日本は国の競争力を上げていく一つの手段として生成AIというものを捉えているんだろうと思います。
ツールを導入しようとすればIT導入補助金があり、生成AIリスキリングに関しても助成金があります。岸田前首相の時には「個人のリスキリング支援に5年で1兆円」という数字が明確に示されるなど、支援の体制は整ってきています。
そうなんですね。
あとは、やはり国の根深い課題としては人口減少、さらには労働人口の減少ですね。
そういった意味では人だけではなくて、AIやテクノロジーをうまく活用して、今の国力を保つ、 あるいは高めていかなければならない背景があります。
だからこそ、国も前向きにリスキリングを推進していると捉えています。
なるほど。確かに各国との競争力を上げることも大切ですし、労働人口が減ることへの対策という意味でも、生成AIの導入は重要ですね。
企業が抱える課題
次に、企業の視点で言うと、【利用率の壁】という課題があります。
主な原因としては、AIツールの導入が先行して人材育成を少しないがしろにしてしまったが故に、起きうる現象です。
そもそもデジタル人材の不足が叫ばれる日本においては、AIについて詳しい人材は少ないはずなので、いきなりAIツールを導入されてもわからないことが多いのは当たり前ですよね。
エンジニアなどの技術職だけではなく、すべてのビジネスパーソンが生成AIを学ぶ必要があるのでしょうか?
これまでのAI技術は、基本的に【作る】という関わり方が求められていました。
例えば、個別のプロジェクト単位で求められる課題に対して AIを開発するところから始め、徐々にフィットさせて使っていくという関わり方です。
一方、生成AIが出てきたことにより【作る】ではなく【使う】という関わり方ができるようになりました。事前に学習されたモデルが提供され、自然言語で扱うことができるので、作るという工程を飛ばして利用でき、すべての人が使えるようになりました。
つまり、すべてのビジネスパーソンが突然、AIと関わる対象になったわけです。
AI初心者が一気に増えたということですね。
そのとおりです。例えば、マーケティング会社であれば、マーケティングの用語や仕組み、基礎スキルなどを入社してすぐに研修などを通して学ぶ機会があると思います。
それと同じ感覚で、AIを使い始めるタイミングで、従業員の生成AIリスキリングに取り組むことが大切なのではないでしょうか。
AIリテラシーとは
生成AIリスキリングに取り組むなかで、スキルに加えて「AIリテラシー」という言葉を耳にすることがあります。その意味をしっかりと理解できていない方もいるかと思いますので、AIリテラシーとは何かという点について確認していきましょう。
AIリテラシーという言葉の意味
AIリテラシーという言葉が広がっていますが、そもそもAIリテラシーとは何でしょうか?
定義は様々あるので、GUGAとしての捉え方にはなりますが、AIの仕組みや動向だけでなく、リスクなども含めて安全に活用する前提としての知識であったり心構えのことを指すと捉えています。
なるほど。AIリテラシーとは大まかにまとめるとAIに関する基礎知識や心構えのことを指すということですね。
もう少し具体的に言うと、知識はツールの名前だけではなく、AIでどのような種類のコンテンツが生成できるのかといった基礎的な知識や、LLMなどの専門的用語を覚えるところも含まれてます。
心構えという点においては、利便性の裏側にリスクが存在すると知ったうえで、AIと人間はどのように共存していくのか。あるいは、AIが発展しテクノロジーが進化していく時代において、どのようなスタンスやマインドセットで居るべきなのかということを身につけておくのが重要なポイントになります。
AIリテラシーを高めるメリット
AIリテラシーを高めることが、企業にとってどのような価値があるのでしょうか?
大きく2つの観点があります。
1つはリブランディングやリスクマネジメントの観点から、従業員のAIリテラシーを高めることが、組織としてAIに向き合う姿勢を表現する一つの材料になり得ます。
組織全体でAIに対する意識が高いことをアピールできるということですね。2つ目はいかがでしょうか?
2つ目は利用率の向上への寄与が期待できることですね。
先にも述べたように、ビジネスパーソンの多くはAI初心者なので、ツールを導入しても、なかなか使ってくれないというケースが多く、【利用率の壁】と呼ばれる課題に直面する企業が増えています。
せっかく導入したのに、使ってくれないという事態は避けたいですね。
その突破口として全従業員のAIリテラシーの底上げを図っていくと、生成AIを活用するイメージを持つことができます。また、商用利用におけるNGを把握することで、自信を持ってスキルを発揮することができ、企業独自の使い方の応用にも繋がりやすくなります。
また、専門用語が身につくことで、AIに関するコミュニケーションが円滑に進みやすくなり、プロジェクトの加速も期待できます。
AIリテラシー向上の重要性
AIリテラシーの定義やメリットについては理解が深まったと思うので、次に、AIリテラシーの向上が重要である理由についてお伺いしました。
AIリテラシーの向上が重要である理由
なぜAIリテラシーの向上が重要なのでしょうか?
やはり、AIリテラシーの一部に含まれる、リスクの観点が大きいです。あるいは倫理観に関することですね。
具体的にはどのようなことがあげられますでしょうか?
例えば、誤情報の生成、いわゆるハルシネーションという現象です。
そもそも、学習データが一定の考え方に偏っていた場合、それに基づき生成AIはアウトプットするので、情報も偏ってしまいます。
また、事実じゃないことがあたかも事実のようにみえるコンテンツが出回ることによって誤解を招いてしまう可能性もあります。
確かに生成AIからのアウトプットを鵜呑みにすることで、誤情報の発信につながるケースはありますね。
他にも、生成AIを活用することで、情報漏えいや、権利侵害、法律への抵触など、さまざまなリスクが存在します。
情報漏洩に関しては、セキュリティ対策を行うことで防ぐことができる場合があります。
しかし、権利侵害であったり、倫理的な問題というのはシステマチックに解決ができず、AIを扱う人がそれぞれ判断していく必要があります。AIリテラシーは技術の発展に伴って、より一層高めていくことが必要です。
AIリテラシーを高める方法「生成AIパスポート」
AIリテラシー向上の重要性を理解したうえで、AI初心者はどのように学んでいけばよいのでしょうか。その手段の一つとして、GUGAが提供する資格試験「生成AIパスポート」について、誕生した背景や学べる内容、勉強法についてお伺いしました。
生成AIパスポートが誕生した背景
どのような背景があって生成AIパスポートが誕生したのか教えていただけますか?
2022年11月にChatGPTが話題になってきたタイミングで、「なんとなく面白そうだから試してみよう」、「新しいから触ってみよう」など、個人としての活用が広がっていきました。
一方で、凄まじいテクノロジーを国の競争力に変えていくという観点でいうと、やはり企業の生成AI活用を実現していくことが重要です。
当時は、利便性の向こうに潜むリスクに対して、漠然とした不安を皆さんがお持ちで、生成AIの導入が進まない状況でした。生成AIに関する正しい理解を浸透させなければ、この漠然とした不安を払拭できないのではないかと考え、AIリテラシーに特化する資格試験として生成AIパスポートを作りました。
生成AIパスポートで学べること
生成AIパスポートではどのような事が学べるのでしょうか。
大きくは4つの項目があります。
1つ目はAIと生成AIの基礎知識。
AIと生成AIがどう違うのかみたいなことをご理解いただけることですね。
2つ目は現在の生成AI動向。
直近に公開されたツールや、生成できるコンテンツの種類などを学んでいただけます。
3つ目は生成AIを取り扱う上での注意点。
リスクや基本姿勢として求められる倫理観等を学習していただけます。
4つ目は生成AIの実践的な活用方法。
多くのビジネスパーソンに共通して発生しうる業務に紐付けながら、具体的なプロンプトを紹介しつつ、実際のアウトプットを確認していただけます。
AIという基礎的な部分から実践的な活用方法まで網羅的に学習できるということですね。
そうですね。プロンプトの実例まで学べるので、今までアイデア出しでしか生成AIを使ったことがなかった人たちが、メール作成や、アンケートの設問設計、分析などに生成AIを活用できるようになるなど、利用用途の拡大や活用定着にもつながります。
生成AIパスポートの勉強法
生成AIパスポートは、試験に向けてどのように勉強すればいいのでしょうか。
さまざまな学習の選択肢を提供していますが、まずは基本として、GUGAの公式テキストや出版社から出ている問題集で学習していただくことができます。
また、GUGAではLINEアプリ上で、誰でも手軽に無料で「生成AIパスポート試験」を簡易的に体験することができる「生成AIパスポート AIクイズアプリ」をご用意しています。
最近ではテキストを読んで、アプリで自分の弱点を確認した上で、弱点を克服するためにテキストを読み直すというような学習方法を選ぶ方も出てきた印象です。
独学が苦手な方におすすめの学習方法はありますか?
教育系のサービス事業者さまから、生成AIパスポートに特化した試験対策講座をご提供いただいています。そのため、自分だけじゃ不安だという方が、サポートを受けながら合格を目指していけるような学習環境が整っています。
サポートを受けながら学習できるのは心強いですね。
将来的な生成AIリスキリングの展望
最後に、GUGAが生成AIパスポートの次に描く、生成AIリスキリングの展望についてもお話をお伺いしました。
AIリテラシーだけでなくスキルも可視化
今後、生成AIリスキリングはどのように進展していくと予想されますか?
まずはAIリテラシーを底上げする動きが続くでしょう。
その次のステップとして、より専門的なスキルが注目を集めると思います。
専門的なスキルとは、どのような内容でしょうか?
これからは特化型AIが増えていくことが予想されるので、医療あるいは製造などの各産業ごとに特化するパターンや、広報・マーケター向け、人事向けなど、職種に特化する形のAIが出てくることも予想されます。
そう考えると、AIリテラシーの次のステップとしては、既存のAI以外のスキルとの掛け合わせがさらに重要になってくるでしょう。
このような展望を見据えて、GUGAでは2024年10月から「生成AI人材認定カード」の提供を開始し、信頼性の高い学習歴をもとに、AIリテラシーとスキルを可視化する取り組みを開始しています。
今後は、専門的なスキルを学べる講座の認定を進めていく予定です。これにより、生成AIを学び続けている人材の努力を、市場価値の向上や賃金の上昇につなげることを目指していきます。
本日は、AIリテラシーなどについて詳しく教えていただきありがとうございました!
AIリテラシーを高めて生成AIを効果的に利用する
今回は、一般社団法人生成AI活用普及協会(GUGA)事務局次長の小村 亮さんにインタビューさせていただき、生成AIリスキリングに注目が集まる背景やAIリテラシーの重要性、その具体的な手段についてお届けいたしました。
今回インタビューさせていただいて、我々もAIリテラシーや生成AIリスキリングという基礎的な部分についての重要さを再確認できました。
これからの時代、生成AIを活用する場面は増えていくはずなので、時代に取り残されないためにも、一度生成AIパスポートを受験してみてはいかがでしょうか?