開発効率が向上!Clineとは?AIエージェント型の拡張機能の使い方と効果を徹底解説

Cline AIエージェント型 拡張機能 使い方 効果
押さえておきたいポイント
  • VSCodeやCursorで機能するAIエージェント型拡張機能
  • 導入ハードルは低く、AIエージェントに詳しくなくても導入可能
  • たった数分でWebアプリの開発が可能

2024年には多くのLLMがリリースされました。大規模言語モデルと言われる中、小型のモデルでも大規模言語モデルと同等の性能を発揮できるものが開発され、高性能な大規模言語モデルという流行から高性能な小型なモデルという流れに変わってきていると感じます。

いくつものLLMがリリースされる中、AIエージェントと呼ばれるものもリリースがされ始め、2024年11月12月に公開されたBrowser Useのインパクトが大きかったのではないでしょうか。

その中でもClineというAIエージェントもリリースされていましたが、2025年1月に再度注目を集めています。

本記事では、Clineの概要から基本的な機能、実際の使い方について紹介をします。本記事を最後まで読むことで、なぜ今Clineが再注目されているのか・どういったAIエージェントなのかが理解できます。

ぜひ最後までお読みください!

目次

Clineの概要

Cline(クライン)はVisual Studio CodeやCursorで動作するAIエージェント型の拡張機能です。

Clineを使うことでエンジニアの開発時間を短縮し、生産性を向上させることができます。また、AIエージェントに慣れていない人でも手軽に扱えるインターフェースになっているため、導入ハードルは高くありません。

GPT-4oと同等かそれ以上の性能をもつDeepSeek V3がリリースされ、API料が破格の値段で提供されたため、Clineが再注目されている

Clineでできること

Clineでできることは多岐にわたります。

  • ファイル作成・編集
    • プロジェクト内のファイルを作成・編集し、エラーやインポート忘れなどを自動で修正。変更内容は差分ビューで確認可能で、編集や取り消しも簡単。
  • ターミナルコマンドの実行
    • ターミナルでコマンドを実行し、その結果を基にリアルタイムで作業を進めてくれます。開発サーバーのエラー対応やビルドスクリプトの実行なども可能。
  • ブラウザ操作
    • ローカルで動作するウェブアプリをヘッドレスモードで起動し、クリックやテキスト入力、スクロール、スクリーンショットが可能。これによりランタイムエラーや視覚的なバグの修正が可能。
  • エージェントの拡張
  • タスクのスナップショット機能
    • 作業中のワークスペースをスナップショットとして保存し、過去の状態にロールバック可能。
  • 複数APIとモデルの利用
    • OpenAIやAnthropic、Google Gemini、AWS Bedrock、Azure、GCP Vertexなど、さまざまなAPIプロバイダと統合可能。
  • ローカルモデルの使用
    • OpenAI互換のAPIやLM Studio/Ollamaを通じたローカルモデルも利用可能。OpenRouterを使用している場合、最新のモデルリストが取得され、利用可能になり次第、最新モデルを使用できます
  • API使用状況の追跡
    • トークン使用量とAPIのコストもリアルタイムで追跡。

Clineでできることは、多岐にわたっていますが、基本的には人が開発を行う上で必要な作業を一通りClineは行うことができる。という認識で良いと思います。

そのため、開発にClineを導入することで、開発時間の短縮・生産性の向上が見込めます。

Clineのライセンス

ClineのライセンスはApache2.0です。

Apacheライセンス 2.0は特許ライセンスを含んでいるため、商用利用を含む幅広い使用が可能。再配布や改変時に、元のライセンス条項と表示が求められます。

利用用途可否
商用利用⭕️
改変⭕️
配布⭕️
特許使用⭕️
私的使用⭕️

なお、複数エージェントを管理するMulti-Agent Orchestratorについて詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。

Clineの使い方

では実際にClineを使っていきましょう。VSCodeでの使い方を解説していきますが、Cursorでの使い方も概ね同じです。GitHubにも使い方は記載されています。

ClineではLLMのAPIを使用します。本記事執筆段階(2025年1月7日)では、DeepSeek V3が破格の値段で提供されているので、DeepSeek V3のAPIを使用して実装します。

Clineのインストール

まずはVSCodeにClineをインストールします。

VSCodeの左側にある「拡張機能」から「Cline」を検索し、インストールします。

インストールが完了すると、左側のメニューにClineのアイコンが表示されます。Clineのインストールはこれで完了です。

ClineにAPIキーを登録

Clineのインストールが完了したら、LLMの選択とAPIキーの登録を行います。

左側のメニューにあるClineのアイコンをクリックします。そうすると画像のような画面に映りますので、「API Provider」から使用するLLMを選択します。

使えるLLMはたくさんありますので、APIキーを持っているLLMを選択するのもいいと思います。本記事ではDeepSeekを選択して、次に進みます。

DeepSeekを選択すると、DeepSeekのAPIキー入力を求められるので、APIキーを入力します。適切に入力できていれば、「Let`s go!」というボタンが表示されます。

「Let`s go!」をクリックすると、画面が変わりプロンプトの入力欄が表示されます。こちらの入力欄にプロンプトを入力することで、そのプロンプトに従って、Clineがコード生成をしてくれます

これでClineの導入は終了です。あとはプロンプトに入力して、どんどんコードを書いてもらいましょう!

Clineにデモコードを書かせる

Clineの導入が終わったので、実際にClineにコードを書いてもらいます。

プロンプトはこちらを入力します。

以下の手順を順番に実行してください。
ユーザーが任意の英単語を入力したら、入力された英単語に含まれているSをカウントして、出力する関数を作成して、実行してください。
この時、ユーザーの任意の単語は、strawberry、その次がdeskです。
作成されたスクリプトはこちら
function countS(word) {
  return (word.match(/S/gi) || []).length;
}

console.log("strawberry:", countS("strawberry"));
console.log("desk:", countS("desk"));
スクリプトの実行結果はこちら
strawberry: 1
desk: 1

結果の出力までに私がやったのは、クリック2回のみです…!

しかもコードの生成がめちゃくちゃ速かったです。これは確かに開発時間の短縮につながる気がします。

コードが生成される、「Save」ボタンが出てくるので、Saveを押すと次に進みます。また、全てのコードが生成される「Run command」が表示されるので、そちらをクリックすると実行されます。

Clineのプロパティ

Clineにはいくつかのプロパティがあります。

上からそれぞれの日本語訳です。

Auto-approve:自動承認。自動承認を有効にすると、Clineが以下の操作を許可なしに実行できます。リスクを理解した上で、慎重に使用してください。
Read files and directories:ファイルおよびディレクトリの読み取りを許可。「コンピュータ上のすべてのファイルを読み取るアクセスを許可します。」
Edit files:ファイルの編集を許可。「コンピュータ上の任意のファイルを変更することを許可します。」
Execute safe commands:安全なコマンドの実行を許可。「安全と判断されたターミナルコマンドの実行を許可します。モデルがコマンドを潜在的に破壊的だと判断した場合は、承認が必要となります。」
Use the browser:ブラウザの使用を許可。「ヘッドレスブラウザを使用して任意のウェブサイトを起動および操作する機能を許可します。」
Use MCP servers:MCPサーバーの使用を許可。「ファイルシステムを変更したり、APIとやり取りしたりする構成済みのMCPサーバーの使用を許可します。」

Clineを使った検証

Clineの使い方がわかったと思いますので、いくつかClineで開発してみようと思います。

今回開発するのは次の2つです。

  • ランディングページ
  • Flaskを使ったWebアプリとして五目並べの開発

では実際に検証してみます。

ランディングページの開発

ランディングページを開発するのに、以下のプロンプトを入力します。

シックでモダンなランディングページを作成してください。開発言語はなんでもいいですが、ランディングページを使うのは美容師です。なので、美容室に集客ができそうなランディングページでお願いします。また、開発が完了したら、ランディングページを表示してください

そして今回はAuto-approveにチェックを入れているので、基本的にこちらで操作することはありません。

出力されたテキストをコピペできないため、画像で結果を表示します。

こちらの意図を適切に汲み取り、ランディングページを開発してくれました。

開発されたランディングページは動画の最後に表示されるので、動画もご覧ください。

FlaskでWebアプリとして五目並べの開発

次にFlaskで五目並べのWebアプリを開発してもらいます。入力したプロンプトはこちらです。

FlaskでWebアプリとして五目並べの開発をしてください。開発が終了したらWebアプリを起動してください。

ちなみに開発に使用されたAPI料は画面上部に表示されています。

五目並べの結果はこちらです。

生成されたコードその1はこちら
const boardSize = 15;
let currentPlayer = 'black';
let boardState = Array.from({ length: boardSize }, () => 
    Array.from({ length: boardSize }, () => null)
);

document.querySelectorAll('.cell').forEach(cell => {
    cell.addEventListener('click', handleCellClick);
});

function handleCellClick(event) {
    const cell = event.target;
    const row = parseInt(cell.dataset.row);
    const col = parseInt(cell.dataset.col);

    if (boardState[row][col] !== null) return;

    boardState[row][col] = currentPlayer;
    cell.classList.add(currentPlayer);

    if (checkWin(row, col)) {
        alert(`${currentPlayer === 'black' ? '黒' : '白'}の勝ちです!`);
        resetGame();
        return;
    }

    currentPlayer = currentPlayer === 'black' ? 'white' : 'black';
}

function checkWin(row, col) {
    const directions = [
        [1, 0],   // 垂直
        [0, 1],   // 水平
        [1, 1],   // 右下がり
        [1, -1]   // 右上がり
    ];

    for (const [dx, dy] of directions) {
        let count = 1;

        // 正方向
        let x = row + dx;
        let y = col + dy;
        while (x >= 0 && x < boardSize && y >= 0 && y < boardSize && 
               boardState[x][y] === currentPlayer) {
            count++;
            x += dx;
            y += dy;
        }

        // 負方向
        x = row - dx;
        y = col - dy;
        while (x >= 0 && x < boardSize && y >= 0 && y < boardSize && 
               boardState[x][y] === currentPlayer) {
            count++;
            x -= dx;
            y -= dy;
        }

        if (count >= 5) {
            return true;
        }
    }

    return false;
}

function resetGame() {
    boardState = Array.from({ length: boardSize }, () => 
        Array.from({ length: boardSize }, () => null)
    );
    document.querySelectorAll('.cell').forEach(cell => {
        cell.classList.remove('black', 'white');
    });
    currentPlayer = 'black';
}
生成されたコードその2はこちら
from flask import Flask, render_template

app = Flask(__name__)

@app.route('/')
def index():
    return render_template('index.html')

if __name__ == '__main__':
    app.run(debug=True)
生成されたコードその3はこちら
<!DOCTYPE html>
<html>
<head>
    <title>五目並べ</title>
    <link rel="stylesheet" href="{{ url_for('static', filename='style.css') }}">
</head>
<body>
    <h1>五目並べ</h1>
    <div id="board">
        {% for row in range(15) %}
            <div class="row">
            {% for col in range(15) %}
                <div class="cell" data-row="{{ row }}" data-col="{{ col }}"></div>
            {% endfor %}
            </div>
        {% endfor %}
    </div>
    <script src="{{ url_for('static', filename='script.js') }}"></script>
</body>
</html>

たった数分でこれが生成されるのは、非常に驚きです。

そして勝利判定も適切に行うことができているので、簡単なWebアプリなら量産できてしまいそうです…!

なお、自分でエラー修正できるAIエージェントについて詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。

まとめ

本記事ではClineの概要から基本的な機能、実際の使い方について解説をしました。たった数分でコード生成が完了するとは驚きですね。

Clineを簡単に説明すると、AIエージェント型の拡張機能として、開発効率を大幅に向上させることができるツールです。Visual Studio CodeやCursorとの連携により、コード生成、ブラウザ操作、エラー修正など、エンジニアが日常的に行うタスクを効率化できます。

また、DeepSeek V3をはじめとした高性能なLLMとの統合により、コストパフォーマンスを重視した開発環境の構築が可能です。

2024年後半にリリースされた数々のAIツールの中でも、Clineは「導入ハードルの低さ」と「圧倒的な生産性向上」によって注目を集めています。

現在は、DeepSeekのAPI料が現在は安くなっているので、ある程度API料に課金して、どんどん開発を進めていくのが良さそうです。ぜひ皆さんもClineを使ってコード生成をしてみてください!

最後に

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投稿者

  • 翔平

    総合病院で10年間理学療法士として勤務し、患者のリハビリテーション支援に従事。その後、Pythonを独学で学び、データ分析のスキルを活かしてデータアナリストに転身。 データ分析の知見を活かし、主にテクニカル記事を担当。趣味はキックボクシング。

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