【徹底解説】OpenAIの「o3-mini」とは?使い方や料金を紹介

- 推論能力とWeb検索機能を組み合わせた初のモデル
- 複雑な問題に対して、より深く考えた上で回答を生成
- 「低」「中」「高」の3段階で推論レベルを調整可能
OpenAI o3-miniは、2025年1月31日に公開された、コスト効率に優れた小型モデルです。特に数学・科学・コーディングといった高度な論理・計算タスクで高い実用性を発揮します。
発表当初は最新モデルとして注目されましたが、その後OpenAIはo3やo4-miniなどの後続モデルを公開しており、現在では提供終了しています。
この記事では、o3-miniの主要な特徴や使い方、料金などを含めてわかりやすく解説します。最後までお読みいただくと、ChatGPTのモデルに対する理解が深まり、自分に合ったモデルを選べるようになるはずです。
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o3-miniとは
OpenAIが2025年1月に発表した「o3-mini」は、o1の後継として開発された小型の推論モデルです。※1
科学計算やプログラミングに特化しており、難しい数式を解いたり、ゲーム開発をサポートしたり、幅広い用途に対応します。特に注目されているのが、じっくり考えて答えを導き出す推論機能。シンプルな質問でも、すぐに答えを出すのではなく、1秒以上かけて慎重に判断するのが特徴です。
リリース当初は無料プランでも使えたため、多くの人が高度な推論AIを試せるようになりました。
しかし、o4-miniなどの後続モデルが登場したことにより、現在ChatGPTではo3-miniが使えなくなっています。
GPTシリーズとの違い
ChatGPTには、GPT-5やGPT4oなどのGPTシリーズが存在しますが、o3-miniはこれらのシリーズとは分けられてo1の後継として提供されています。
GPTシリーズとo3-miniで大きく違うのは、回答の速度や回答を生成するプロセスです。
- GPTシリーズ:学習済みのパターンから迅速かつ自然に回答を生成
- o3-mini:推論を重ねて複雑なタスクに対応
回答速度ではGPTシリーズが勝りますが、専門的な内容を扱うSTEM(科学、技術、工学、数学)の分野ではo3-miniのほうが適切な回答を生成できます。

上記は、数学のタスクにおける回答精度を比較したものですが、o3-miniの高設定(high)はoシリーズのモデルの中で最も好成績を残しています。そのため、タスクの種類によって両モデルを使い分けるのがおすすめです。
なお、OpenAI o3について詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。

o1とo3-miniの性能の比較
o3-miniをより深く理解するために、前モデルのo1との性能比較を行います。応答速度、精度、処理能力など、さまざまな観点から両モデルの違いを見てみましょう。
比較項目 | o1-mini | o3-mini |
---|---|---|
応答速度 | 2.8秒/問 | 1.5秒/問 |
数式処理精度 | 82% | 96% |
最大思考時間 | 30秒 | 60秒 |
コスト効率 | 1.2倍 | 基準値 |
o3-miniは、長文生成や複雑な推論タスクで優れた性能を発揮します。5000字のレポートを作成する場合、o1-miniの2倍の速度で高品質な文章を生成できます。多言語対応能力も向上し、100以上の言語で自然な翻訳が可能になりました。
なお、o1-miniについて詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。

o3-miniの特徴
o3-miniは、これまでのAIと比較して処理能力が向上し、より柔軟にさまざまな分野で活用できるようになりました。ここでは、o3-miniの特徴を具体的に説明します。
思考時間を調整できる「賢さスイッチ」
o3-miniの大きな特徴の一つが、思考の深さを3段階で調整できる機能です。チャット画面で「低」「中」「高」の3段階で調整できるため、用途に応じて最適な回答を得られます。
数学の難問を解くときは「高」にすると、通常の3倍の時間をかけて詳しい解説付きの回答を生成。すぐに答えがほしい場面では「低」にすれば、素早く簡潔な答えを返してくれます。
この機能は、学術研究やビジネスの現場でも役立ちます。研究者は「高」を使って新しい理論を検証したり、仮説を立てたりすることが可能です。会議中に素早く情報を確認したいときは「低」が便利で、意思決定のスピードアップにもつながるでしょう。
理数系タスクに強い設計
数学やプログラミングに強いのもo3-miniの特徴です。中学レベルの数学から大学の微分方程式まで対応し、解答のプロセスも詳しく説明します。実際に、2024年の国際数学オリンピック予選問題では96.7%の正答率を達成しました。
プログラミングの課題にも対応しており、Pythonのコードをチェックして最適な改善策を提案してくれます。量子力学や宇宙物理学といった高度な分野にも対応し、ブラックホールのシミュレーションやシュレーディンガー方程式の解析など、専門的な計算にも活用可能です。この機能により、科学教育や研究開発の現場でもo3-miniが活躍する場面が増えるでしょう。
データ分析にも強く、統計学の知識を活かしたレポート作成や機械学習モデルのパラメータ調整にも対応できます。エンジニアや研究者だけでなく、数学が苦手な人でも手軽に高度な計算を活用できるのがo3-miniの魅力です。
最新情報に対応するリアルタイム連携機能
o3-miniは、常に新しい情報を取り入れるためのウェブ検索機能を備えています。「最近のAI技術について知りたい」と質問すると、最新の研究論文や技術ブログをチェックし、最新情報をもとに回答します。
この機能は、ニュースの分析や市場動向の予測にも活用されており、金融の分野では、リアルタイムの経済データをもとに投資判断をサポート。災害時には気象データや被害状況をすぐに分析してスピーディーな対応を手助けしたりします。
法律や医療分野での活用も多く、最新の法改正情報や医学論文をもとに、専門家の業務をサポート可能です。日常的なニュースの要約から、業界ごとの深い分析まで、幅広い情報収集に役立つでしょう。
o3-miniの使い方
o3-miniを使い始めるには、アカウント登録からモデル選択までの基本操作を覚えることが大切です。ここでは、スクリーンショットとともにステップごとにわかりやすく解説します。初心者でも迷わず操作できるよう、ポイントを押さえた説明をお届けします。
※o3-miniは、新しいモデルの登場に伴い、現在では廃止されています。
2025年9月現在では、ChatGPTの無料プランの「4o mini」で同様の機能を利用可能です。
アカウント作成
まずは、ChatGPT公式サイト(https://chatgpt.com/)にアクセスして、アカウントを作りましょう。

サイト上の「サインアップ」ボタンをクリックします。

メールアドレスを入力して、確認メールを送信します。メール内のリンクをクリックして、パスワードを設定してください。Google、Microsoft、Appleのアカウントを持っている場合は、そのアカウントを使って簡単に登録もできます。
以上で、アカウント作成が完了です。
ログインとモデル選択
アカウントを作ったら、ログインしてo3-miniを使えるように設定しましょう。

無料ユーザーは、プロンプトの入力欄にある「理由(Reason)」を選ぶか、回答を再生成する際にOpenAI o3-miniが使えます。
有料プランに加入しているユーザーは、ログイン後、画面左上の「モデル選択」をクリックし、表示されたリストから「o3-mini」を選んでください。
質問の入力
チャット画面に移動したら、質問を入力するだけでOKです。

ポイントは、なるべく具体的な質問を書くこと。「数学の問題」や「プログラミングのコード」など、どの分野についての質問かをはっきりさせると、より正確な回答が得られます。
これらの操作に慣れると、より高度な質問や専門的なタスクにも対応できるようになるでしょう。
o3-miniを使ってみた!
o3-miniの機能を知るには、実際に使ってみるのが一番です。ここでは、実際にo3-miniをタスクに活用した例を紹介します。o3-miniの驚きの能力と使い勝手の良さを実感していただけるでしょう。
法律相談シミュレーション
まず初めに、賃貸契約のトラブルについて聞いてみました。
プロンプト
賃貸契約のトラブルに関する法律相談をシミュレーションしてください。家主と借主の立場から、それぞれ3つの質問と回答を生成してください。

o3-miniは、家主と借主双方の視点から、家賃延滞や修繕義務、契約解除などに関する具体的な質問と、法的根拠を含む詳細な回答を生成しました。各回答には関連する民法の条文も引用され、専門的で実用的な内容でした。
環境問題解決策の提案
プロンプト
都市部のヒートアイランド現象を緩和するための新しいアイデアを5つ提案してください。各アイデアには、実施方法、予想される効果、課題点を含めてください。

o3-miniは、屋上緑化や透水性舗装、ミスト噴霧システム、反射率の高い建材の使用、都市型小規模風力発電など、多角的な解決策を提案してくれました。各アイデアには具体的な実施方法、CO2削減量などの数値予測、予算や技術的課題についての分析が含まれています。
料理レシピのアレンジ
プロンプト
カレーライスのレシピを、ベジタリアン向け、低カロリー版、子供向けの3バージョンにアレンジしてください。各バージョンで、主な変更点、栄養価の違い、調理のコツを説明してください。

o3-miniは、各バージョンでプロンプトに沿ったアレンジレシピを提案してくれました。ベジタリアン向けでは豆腐やナッツを使用、低カロリー版ではカリフラワーライスを提案、子供向けではマイルドなスパイス使いと子どもが喜ぶ見た目の工夫を詳細に説明しています。各レシピには具体的な材料、調理手順、栄養情報が含まれていました。
実際に使ってみた感想として、o3-miniの言語理解力や発想力、専門知識の活用能力の高さがよく分かりました。複雑な指示にも的確に応え、さまざまな視点から情報を生み出せるのは本当にすごいと思います。人間の専門家と比べても変わりない回答を、一瞬で生み出せる能力と柔軟な発想力に驚かされました。
なお、o3-miniの後に登場したo3-Proについて詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

o3-miniの活用事例
o3-miniは、さまざまな分野で活用されています。ここでは、実際のユーザーによるo3-miniの活用事例を紹介します。o3-miniが実際にどのように役立っているのか、詳しく見ていきましょう!
数学の問題回答
o3-mini-highの登場により、高度な数学問題の解決が可能になりました。あるユーザーは、東京大学の入試問題レベルの確率問題をo3-mini-highに挑戦させ、見事に完答を得ることに成功しました。これは、以前のモデルであるo1 Proでは解決できなかった難問です。
複雑な数式や論理的思考を必要とする問題に対して、o3-mini-highが人間レベル、もしくはそれ以上の解答能力を持つことが証明されました。今後、教育現場や研究分野での活用が期待されています。
ゲーム作成
o3-mini-highは、ゲーム開発の分野でも際立っています。あるユーザーの報告によると、わずか2つのプロンプトと1分未満の時間で、ゼロからシューティングゲームを作成できました。
さらに注目すべきは、o3-mini-highが単にコードを生成するだけでなく、設計の思考プロセスも共有してくれる点です。開発者はAIの思考を理解しながら、効率的にゲーム開発を進められます。この機能は、初心者プログラマーの学習ツールとしてはもちろん、プロの開発者の生産性向上ツールとしても役立つでしょう。
アニメーション動画の作成
o3-mini-highの能力は、教育用アニメーション制作の分野でも発揮されています。あるユーザーは、クイックソートアルゴリズムの動作を説明するアニメーション動画を、o3-mini-highを使って一発で作成に成功させました。驚きなのは、このアニメーションがライブラリを使用せず、純粋なHTML、CSS、JavaScriptのみで作成された点です。
この事例は、o3-mini-highが複雑なプログラミングタスクを理解し、視覚的な教材を効率的に生成できることを示しています。o3-mini-highの能力は、教育コンテンツの制作や複雑な概念の視覚化などにも応用できるでしょう。
o3-miniの料金
o3-miniを含むChatGPTの利用には、さまざまな料金プランが用意されています。ここでは、各プランの特徴や料金、利用可能な機能について詳しく解説します。
無料プランから高度な機能を備えたプロフェッショナルプランまで、ユーザーのニーズに合わせた選択肢を比較検討できるよう、わかりやすく表にまとめました。
プラン名 | 料金 | 利用可能モデル |
---|---|---|
無料 | $0 | GPT-5(制限あり) GPT-5 thinking(制限あり) GPT-5 thinking mini(制限あり) 4o-mini |
Plus | $20 | GPT-5(制限あり) GPT-5 thinking(制限あり) GPT-5 thinking mini(制限あり) GPT-4.1 GPT4o o3 4o-mini |
Business | $25 | GPT-5(無制限) GPT-5 thinking(カスタム) GPT-5 thinking mini(カスタム) GPT-5 Pro(カスタム) GPT-4.1 GPT4o o3 4o-mini |
Pro | $200 | GPT-5(無制限) GPT-5 thinking(無制限) GPT-5 thinking mini(無制限) GPT-5 Pro GPT-4.1 GPT4o o3 4o-mini |
結論、o3-miniはすでに後継モデルに置き換えられているので、どのプランを契約しても使えません。代わりに制限付きではありますが、GPT‑5 thinkingで同様の推論機能を利用できます。
なお、ChatGPTのチャット画面ではなく、APIであればo3-miniの利用が可能です。
- 入力:1.10ドル
- キャッシュされた入力0.55ドル
- 出力:4.40ドル
どうしてもo3-miniを利用したい方は、API経由で利用しましょう。
o3-miniの後継モデルで推論タスクをこなしてみよう!
o3-miniは2025年の登場当初、手軽に高い推論を体験できるモデルとして人気を集めましたが、現在は提供が終了しています。今後は用途に合わせて後継モデルを選ぶのがおすすめです。
- 無料で高度な推論タスクを実行したい人 →GPT‑5 thinking
- 自然な会話形式で高精度の回答をすぐに受け取りたい人 →GPT-5
モデルが変わっても「業務効率化」や「学習サポート」といった活用シーンは広がり続けています。これを機に、より自分に合ったAIモデルの使い方を見つけてみましょう!
最後に
いかがだったでしょうか?
データ分析の精度向上やレポート作成の自動化が可能になり、業務の効率化が加速します。AI導入によるコスト削減や生産性向上の具体的な事例を知りたい方は、ぜひご相談ください。
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