テキストで世界をつくるAI「Genie 3」とは?特徴や注意点を解説!

2025年8月、Google DeepMindからAIモデル「Genie 3」が発表されました。
テキストでの指示だけで、リアルタイムに操作可能な仮想世界を自動生成できるこのツールは、まるでゲームのようなインタラクティブな体験を可能にし、教育・研究・シミュレーションなど幅広い分野での活用が期待されています。
本記事では、Genie 3の基本情報から特長的な機能、実際に生成された映像の事例、他モデルとの比較、そして現時点での制限やリスクについてもわかりやすく解説します。
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Genie 3とは
Genie 3は、テキストでの指示だけでインタラクティブな仮想世界を自動生成し、リアルタイムに操作できるAIツールです。Google DeepMindが2025年8月に発表し、注目を集めています。
これまでに公開されたGenie 2やVeoといったモデルの進化形であり、一貫性や表現のリアルさが大きく向上したとのこと。現在は研究者や一部クリエイター向けに先行公開されており、今後の活用に向けたフィードバックが収集されています。
教育や研究、AIエージェントの訓練など、幅広い分野での応用が期待されている最先端技術です。
なお、前モデルのGenie 2について詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。

Genie 3の特徴
Genie 3は、これまでのモデルとは一線を画す革新的な仕組みを備えています。ここでは、特に注目すべき3つの特徴を紹介します。
テキスト指示でリアルタイム操作可能な仮想世界を生成
Genie 3は、自然言語によるプロンプトだけで、インタラクティブな仮想世界を自動生成可能です。
ユーザーは生成された世界をリアルタイムで操作でき、キャラクターの移動や環境の変化にも即時に対応します。ゲームやシミュレーションのような、臨場感のある体験が可能です。
一貫性を保つ「ワールドメモリ」機能
従来の生成モデルでは難しかった「状態の保持」を実現しているのが、Genie 3の「ワールドメモリ」。
壁に絵を描いてその場を離れても、戻ってきたときにその絵が残っている、といったように、過去のインタラクションを記憶し、環境が変わっても変化を維持します。
高度なリアリズムとAIエージェント訓練への応用
Genie 2など従来モデルと比べて、映像のリアリズムやインタラクションの自由度が飛躍的に進化しました。
AIが自分で考えて動けるようになるためのシミュレーション環境としても利用されており、将来的には汎用人工知能(AGI)開発への貢献も期待されています。
各モデルとの比較

上記は公式サイトに載っている他モデルとの比較表です。これを翻訳するとともに、その他役立つ情報を含めて改めて比較表を作成しました。
モデル | 解像度 | 対象領域(ドメイン) | 操作方法 | インタラクションの持続時間 | インタラクションの遅延 | 主要な用途・特徴 |
---|---|---|---|---|---|---|
GameNGen | 320p | ゲーム専用 | ゲーム内操作に最適化 | 数秒間 | リアルタイム | ・ゲーム内キャラや環境の即時生成。・軽量・高速で実験的なゲーム開発向け。 |
Genie 2 | 360p | 3D環境 | 制限されたキーボード/マウス操作 | 10〜20秒 | リアルタイムではない | ・簡単な3D空間の生成・操作に適しており、研究やプロトタイプ開発向け。 |
Veo | 720p〜4K | 一般 | 映像全体に対する説明・指示 | 8秒 | 該当なし(非インタラクティブ) | ・高精細な動画の生成に特化。・プロモーション映像・広告など事前編集型の用途に強い。 |
Genie 3 | 720p | 一般 | ナビゲーション、プロンプトでキャラや映像内の出来事をその場で動かせる | 数分間 | リアルタイム | ・リアルタイムでの動作が可能な次世代モデル。・プロンプトによる操作性が高く、ゲーム開発や対話型体験、教育・訓練シミュレーションに応用可能。 |
GameNGenは軽量かつリアルタイム性に優れ、ゲーム内の簡易的な映像表現に適しています。
Genie 2は3D空間での動作再現に強く、研究や試作用途に活用されています。
Veoは高解像度の動画生成が可能で、広告やプロモーション映像向けに最適です。
そしてGenie 3は、テキストによる操作でキャラクターや環境を動かすことができ、対話型コンテンツや教育、シミュレーションに活用され始めています。Genie 2と比較して一貫性とリアリティが向上したとのことです。
解像度・操作性・インタラクションの長さやリアルタイム性といった観点で比較しながら、目的に応じて最適なモデルを選びましょう。
Genie 3で生成した動画
実際に公式が生成した事例を3つほどご紹介します。添付の画像は全て公式サイト(Genie 3: A new frontier for world models – Google DeepMind)より引用しています。
世界の物理的特性を反映

これは「光の祭典中のジェットスキー」というプロンプトで生成された夜の湖の風景です。
水面に反射する光や建物の照明が実際の水の動きと同じになっており、世界の物理的特性を反映できていると言えます。
壁に変化が加えられた場合

これは「ペイントトレーラを持つ一人称エージェントによって塗装されている褐色の家」というプロンプトで生成された仮想世界です。
ローラーを使って壁に青色の塗料が塗られていきます。

ここで一旦視線を下に向けて、壁が画面上に映らないようにします。

そして視線を壁に戻すと、視線を下にする前に塗った青い塗装がそのまま残っていました。
これにより、一貫性を保つ「ワールドメモリ」機能の凄さを実感しました。
キャラクターの生成

こちらは「折り紙風のトカゲ」というプロンプトで生成されたキャラクター。

こちらは下記のプロンプトで生成された仮想世界です。
エメラルドグリーンの丘陵、霧のかかった湖、そして険しい山々が広がる、穏やかなアイルランドの風景が、突如激しく震撼する。まるで大地そのものが引き裂かれるかのように。現実離れした混沌の瞬間、大地の一部が切り裂かれ、ギザギザで荒々しい地形となって空へとそびえ立ち、その岩肌はまるで生々しく砕け散った大地のように露わになる。湖は上方にねじれ、今や空に浮かび上がり、その水は巨大な滝となって流れ落ち、霧と雨の終末的な嵐を眼下に生み出す。カメラが引き戻されると、新たなあり得ない地形が姿を現す。山々は浮かび、崖は逆さまになり、川は空中で渦巻く。重力そのものが歪み、かつて平和だった田園地帯は、自然の激しい変容を象徴する、荒々しくシュールな記念碑へと変貌を遂げる
どちらもテイストが全く異なりますが、プロンプトの世界観を反映した景色とキャラクターが生成されていると言えます。
Genie 3の限界と注意事項
Genie 3は優れていますが、すべてにおいて完璧ではありません。ここでは、利用時に注意すべき制限やリスクについて簡潔に紹介します。
Genie 3の限界
Genie 3は革新的なワールドモデルですが、現時点でいくつかの制限があります。
ユーザーが指示したイベントが発生する一方で、エージェント自身が自由に行動できる範囲は限定的です。また、複数のエージェント間での複雑な相互作用のシミュレーションや、現実の地理に即した精密な環境再現は、まだ研究段階にあります。
さらに、テキストの描画についても、明確で読みやすい文字は入力に明示されている場合に限られる傾向があります。インタラクションの持続時間にも制限があり、現時点では数分間のやりとりにとどまります。
安全性への配慮
Genie 3のような革新的な技術は、大きな可能性とともに新たなリスクも伴います。特にオープンエンドかつリアルタイムで操作可能な特性は、安全性や倫理面での配慮が不可欠です。Google DeepMindでは、技術開発の初期段階から「責任ある開発」に強くコミットしており、専門チームと連携しながら慎重な設計が進められています。
Genie 3は現在、限定的な研究プレビューとして提供されており、少数の研究者やクリエイターが早期にアクセスできる体制をとっています。これにより、現場からのフィードバックや学際的な知見を集め、リスクの特定と軽減策の検討を進めているとのことです。
なお、3D生成AIのおすすめツールについて詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。

Genie 3のこれからに期待!
今回は2025年8月に発表されたGenie 3について解説しました。
Genie 3は、テキスト入力で仮想世界を自在に生成・操作できる、非常に画期的なAIモデルです。リアルタイムでのやりとりや「ワールドメモリ」による一貫性の保持など、従来にはなかった体験を実現しています。
一方で、操作可能な範囲や描画の限界、長時間の利用が難しいといった制約もまだ存在します。
現在は限定的に研究者やクリエイター向けに公開されている段階ですが、今後の技術進化とともに、さらに多くの現場で活用されていくことが期待されます。今後もGenie 3の動向から目が離せません。

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最後に
いかがだったでしょうか?
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