AI PCとは?おすすめ機種・メリット・できることを徹底解説!
WEELメディア事業部リサーチャーのいつきです。
生成AIの能力向上や利便性の認識拡大などにより、生成AIがより身近に使えるようになってきました。一方で、生成AIの処理には膨大なリソースを消費するため、既存のPCでは十分な活用ができない課題もあります。
この問題を解決するのがAI PCです。その名の通り、AI処理に特化したPCのことで、従来のPCと比べるとAI処理に必要な性能が大幅に向上しています。
今回は、AI PCとは何なのかといった疑問やメリット・できることについて解説してきます。最後まで目を通していただくと、AI PCに詳しくなり自社業務の効率化につながるでしょう。
ぜひ最後までご覧ください。
AI PCの基本
AIに関連するタスクを処理するには、膨大なリソースを必要とします。既存のPCを活用する使い方もありますが、タスクの種類によっては実用的なAI活用は困難です。
ここではまず、通常のPCとAI PCとの違いを解説します。
AI PCとは
AI PCとは、AI関連の処理能力を高めたPCのことです。AI処理に特化したプロセッサ「NPU(Neural Processing Unit)」、高性能なRAMやストレージなどを搭載しているのが特徴で、テキストや画像生成などのタスクを高速に処理できるように設計されています。
クラウドで処理したデータをインターネットを介して受け取る従来のPCとは異なり、PCの内部でAI処理が完結するAI PCはセキュリティ面でも優れています。
AI PCについて統一された明確な定義はありませんが、インテルとマイクロソフトは以下の3つを満たしているPCをAI PCと定義しています。※1
- 「Copilot」に対応している
- 「Copilotキー」を搭載している
- CPUとGPUに加えてNPUを搭載している
Copilotはマイクロソフトが提供するAIアシスタントであり、この定義はあくまでWindowsがインストールされたPCなど限定的な範囲での話であり、一般的な定義ではありません。
AI PCと通常のPCとの違い
通常のPCはCPUやGPUを搭載し、資料作成や簡単なデータ処理などの汎用的な用途に使うことを主な目的としています。
Stable DiffusionなどAIによる画像や動画生成などをPC上で行う場合、AIタスク専用に設計されたNPUを搭載したAI PCの利用が欠かせません。例えば、NPUとGPUを連携させ、高速な処理と消費電力量の低減を実現しています。
一般的に普及しているPCのスペックでAIタスクを完結させるのは無理があり、一つのタスクを完了するのに膨大なリソースが必要です。
通常のPCでのAI活用
通常のPCで生成AIを利用するには、サービス提供側のサーバー上で稼働するアプリケーションを使う、Google Colabなどのプラットフォーム上にプログラムをインストールして使うなどの方法があります。
しかし、これらの方法では処理速度やセキュリティ、使い勝手などさまざまな面で課題があります。
日々AIの性能が向上し、活用法も多様化する中、AI専用PCを用意して効率的に処理を行う事例が増えてきました。
なお、NPUについて詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。
AI PCのメリット
生成AIの導入活用を検討する際、適切な利用環境を準備する必要があります。現在所有するPCや汎用的なPCも検討の候補に挙がっているかもしれません。
一般的なPCと比べ、AI PCには以下4つのメリットがあります。
- 処理能力が高い
- 消費電力が少ない
- セキュリティリスクを抑えられる
- 利用履歴などからパーソナライズされる
それぞれ詳しく解説するので、ぜひ検討の参考にしてください。
処理能力が高い
AI PCには、人間の脳の神経細胞に近い働きをするNPUが搭載されているため、AIに関わるタスクの処理能力が優れています。処理能力が高いと、テキストや画像生成などのタスクをより高速化できます。
従来のPCでは、AIタスクの処理をクラウド上でこなすケースが大半です。その場合、PCとクラウド間のデータ送受信に時間が掛かります。
AI PCなら、データ送受信に掛かる時間を消費する必要もなく、スムーズにタスクを処理できるのが大きなメリットです。
消費電力が少ない
AI PCなら、ローカル環境でAI処理をこなしても、消費電力を抑えられます。AI PCに搭載されているNPUが推論の処理を高速化できるためです。
なお、従来のPCではCPUやGPUがAI処理をこなすため、どうしても時間がかかり消費電力も多くなります。CPUやGPUに負荷をかける分、ほかの処理に悪影響を与える可能性も否定できません。
NPUは、通常のPCにおいてGPUが担う処理を実行するプロセッサです。実際にはNPUはGPUと連携してタスクを処理していますが、今後はNPU単体で処理を担うことになりそうです。※2
セキュリティリスクを抑えられる
AI PCなら、情報漏洩などのセキュリティリスクも抑えられます。AI処理の際にデータがクラウドを介する必要がなく、PC内部で完結するためです。
クラウドで動作するAIを使う際、企業の機密情報を外部に送信しなければなりません。AIの学習に機密情報が利用され第三者への回答に含まれてしまったり、ネットワークの脆弱性により情報漏洩してしまうなどのリスクがあります。
情報漏洩は企業の信頼やブランドを傷つけ、市場での競争力を一瞬で低下させてしまいます。過去にはサムスン電子のエンジニアが機密情報であるソースコードをChatGPTにアップロードし、その情報が流出したとのニュースがありました。※3社外秘のデータを多く取り扱う企業であれば、セキュリティ対策は必須のため、ぜひAI PCを利用しましょう。利用履歴などからパーソナライズされる
AI PCを使えば、利用履歴などからパーソナライズされて、使うほどに利便性が向上します。例えば、Webの検索履歴や届いたメールなどを整理してくれるので、過去の情報を思い出しやすくなるのがメリットです。
また、Recall(リコール)と呼ばれる機能を搭載したモデルも存在します。PCが画面を自動スクショすることで、ユーザーが曖昧なテキスト検索をしてもヒットするようになるので、検索体験の利便性がかなり向上します。
AI PCの用途と活用事例
AI PCでできることは以下の3つです。
- 画像や文章の生成
- PC内の情報検索
- リアルタイムな翻訳
一見、これらの3つは従来のPCでもできそうですが、AI PCはタスク処理がすべてPCの内部で完結する点が特徴です。クラウドを介さないため、処理速度やセキュリティ面の向上が見込めます。
以下でAI PCができることをそれぞれ解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
画像や文章の生成
AI PCなら、クラウドを介さずとも画像や文章の生成ができます。NPUとSLM(ローカル小規模言語モデル)を使用して画像作成・編集ができる「Cocreator」がその一例です。
Cocreatorは、手書きのイラストとテキストプロンプトを組み合わせ、ほぼリアルタイムで新しい画像を生成できます。手間を軽減しながら高品質な画像を生成できるのが魅力です。
PC内の情報検索
AI PCを使えば、PC内の情報検索もできます。Webの検索履歴やメールなどの情報をPCが記憶してくれるので、記憶が曖昧なときでもすぐにほしい情報を引き出せるのがポイントです。
Copilot+ PCなどに搭載されているRecallの機能を使えば、OutlookのメールやTeamsのチャットなど、希望の画面をワンタッチで開けます。
リアルタイムな翻訳
AI PCなら、リアルタイムな翻訳もできます。NPUを活用した機能「Live Captions」が代表例で、あらゆる音声を素早く英語字幕に変換できるのが特徴です。
現状、「Live Captions」は40以上の言語に対応しているので、翻訳業務において幅広い活躍が期待できます。録音した音声にも対応できるので、ビデオ会議の振り返りなどにも便利です。
AI PCを選ぶ際のポイント
高性能なプロセッサを搭載し、ローカル環境でのAIタスク処理に対応できるスペックを有したAI PCの種類は次第に増えています。
しかし、何を基準に選べばよいかわからないという方もいるでしょう。
日常業務においてAIによるアシスタントサポートを得たい場合には、Copilot PCなどが良いでしょう。画像生成など処理速度が要求される使い方をする場合は、CPUやGPU、NPUのパフォーマンスやSSDなどのバランスが重要なポイントです。
最も重要なのはAI PCでどのような生成AIモデルを使い、何を達成したいかを明確にすることです。
おすすめのAI PC6選
ここからは、おすすめのAI PC5選を紹介していきます。
今回紹介するのは、以下6つのモデルです。
- マウスコンピューター DAIV S4
- HP ZBook Firefly 14 inch G11 Mobile Workstation
- Lenovo IdeaPad Pro 5i Gen 9 16型
- Dell Inspiron 13
- dynabook R9
- ASUS Zenbook S 16 UM5606WA
それぞれの特徴を以下で解説していきます。
①マウスコンピューター DAIV S4
「インテル Core Ultra 7 プロセッサー 155H」を搭載した、クリエイターパソコンです。従来のGPUをメインで使用するPCとは異なり、NPUメインで使用するため、AI処理速度が向上しています。
写真・動画の編集から3D CADまで、幅広いクリエイター用途で使えるおすすめのノートパソコンです。
②HP ZBook Firefly 14 inch G11 Mobile Workstation
プロレベルのスペックとモビリティを備えた、高性能なノートパソコンです。CPUはインテル Core Ultra 7または5から選択可能で、GPUも内蔵グラフィックスと「NVIDIA RTX A500 」の2種類から選択できます。
AI機能により、行動パターンの学習や消費電力の削減ができるので、パソコンの利便性を追い求める方におすすめです。
③Lenovo IdeaPad Pro 5i Gen 9 16型
インテル Core Ultraプロセッサーを搭載したAI PCです。AI アクセラレーションが内蔵されており、電力とパフォーマンスのバランスを保ちながら、クリエイティブ作業の効率化をもたらしてくれます。
16.0型の有機ELディスプレイを搭載しているので、綺麗な映像を追い求めている方はぜひチェックしてみてください。
④Dell Inspiron 13
インテル Core Ultraプロセッサーとインテル Arc グラフィックスを組み合わせた、AI搭載型のPCです。グラボではなく内蔵グラフィックスを採用しているため、AI PCのなかでは比較的価格が抑えられています。
テキスト生成や簡単な画像生成など、AIを使って軽いタスクをこなしたい方におすすめのモデルです。
⑤dynabook R9
dynabookが展開している、ハイパフォーマンスなAI PCです。NPU・インテル AI Boost・インテル Arc グラフィックスの3つのエンジンを組み合わせており、ローカル環境におけるさまざまなAI処理を可能にしています。
とくに、放熱技術や筐体設計技術を駆使して設計された「dynabookのエンパワーテクノロジー」を搭載しているのが特徴です。生成AIを使った画像や動画の編集作業を効率的にこなしたい方は、ぜひチェックしてみてください。
⑥ASUS Zenbook S 16 UM5606WA
ASUS Zenbook S 16は最新のAMD Ryzen AIプロセッサーを搭載しており、マルチタスクをこなす高い処理能力と50TOPzの専用AIエンジンにより最大80TOPsものパフォーマンスを発揮します。
AIアシスタントのWindows Copilot専用キーを有し、作業を効率的にサポート。独自のAI機能を搭載し、マルチメディアデータを自動でカテゴライズ・整理する、内蔵カメラが人の有無を検知して自動でディスプレイの明るさを調節するなどが可能です。
なお、生成AIの法人利用方法について詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。
AI PCを使って安全に生成AIを活用しよう!
AI処理に特化したプロセッサーのNPUを搭載しているAI PCは、ローカル環境でもスムーズにAI処理をこなせるのが特徴です。
AI PCを使用するとAIによるタスク処理を効率的に業務に取り入れられますが、特に以下4つの要素が重要です。。
- 処理能力が高い
- 消費電力が少ない
- セキュリティリスクを抑えられる
- 利用履歴などからパーソナライズされる
AI関連タスクの処理能力が高く、既存のPCでは懸念が大きいセキュリティ面も強化できるのが魅力です。社外秘のデータを取り扱う企業でも、安心してAI処理のタスクを実行できます。
AI PCは以下のようなタスクが得意です。
- 画像や文章の生成
- PC内の情報検索
- リアルタイムな翻訳
便利な機能を多数搭載しているAI PCなら、従来のPCではできなかった体験ができ、仕事の効率も高まるでしょう。CocreatorやRecallの機能がその一例です。
自身の業務に必要な性能を考慮し、最適なAI PCを使ってみてください。
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最後に
いかがだったでしょうか?
AI PCの導入により、クラウド依存を減らし、高速な処理と強固なセキュリティを実現できます。生成AIをビジネスに本格活用するための最適な環境を検討してみましょう。
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