ChatGPT Eduとは?OpenAIが発表した大学向けのAIモデルを徹底解説
2024年5月30日にOpenAIは、新しいAIモデルである「ChatGPT Edu」を発表しました。これは、大学生や教員、研究者など、大学に関係する人に向けたサービスです。いままでも教育現場で生成AIが使われることはありましたが、大学向けに開発されたChatGPT Eduを活用することでどのようなメリットがあるのでしょうか。
この記事では、ChatGPT Eduの特徴や、導入するメリットなどについてご紹介します。最後には導入する際の注意点についても解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。
ChatGPT Eduとは
大学向けに開発されたChatGPT Eduですが、いったいどのような特徴を持つ生成AIなのでしょうか。まず初めに、ChatGPT Eduの特徴について詳しく見てみましょう。
最新のGPT-4oを搭載
大学向けに構築されたChatGPT Eduには、2024年5月にリリースした最新のGPT-4oが搭載されています。そのため、テキストや画像から推論を行うことができて、テータ分析やWEBブラウジング、論文の要約などさまざまな分野で活躍します。
また、GPT-4oはテキストの解釈、コーディング、数学を得意としているため、ブログラミング学習や計算など、大学生の研究や課題のサポートツールとして役立つでしょう。
海外の名門大学のデータを基に構築
ChatGPT Eduは、オックスフォード大学やコロンビア大学、ペンシルバニア大学など、海外の名門大学が利用しているChatGPTの使い方を参考に構築されています。
例えば、ペンシルバニア大学のイーサン・モリック教授のコースを受講している学生は、トレーニングを受けたChatGPTとのディスカッションを通じて学習が進み、ChatGPTによって学んだことについてより深く考えることができたと報告しています。
その他にも、さまざまな事例をピックアップしながら構築されているため、ChatGPT Eduを導入すれば最先端の学習を行うことができるでしょう。
手頃な価格設定
学生や教員、研究者向けに設計されており企業レベルのセキュリティと管理機能を搭載しているChatGPT Edu。利用料金の詳細については公開されていませんが、OpenAIの公式ページを見る限り大学での普及を目的としているため、手頃な価格設定になっているとのことです。
そのため、導入を検討している大学は問い合わせフォームから直接OpenAIに料金や導入方法などの詳細について確認する必要があります。
ChatGPT Eduが教育現場にもたらすメリット
ここまでで、ChatGPT Eduが大学向けにカスタマイズされたモデルであることは理解いただけたかと思います。では、ChatGPT Eduを導入することで教育現場にはどのようなメリットが生まれるのでしょうか。次に、教育現場にChatGPT Eduを導入するメリットについて解説します。
個別学習の支援
通常、個別学習を行う場合は生徒と先生の時間の合う決まった時間のみで行いますが、ChatGPT Eduを活用すれば、24時間365日個別学習を行うことができます。さらに、会話をする必要がないため、カフェや図書館といった静かな場所でも個別学習を受けることができるので、自分の集中できる場所で勉強が可能です。
また、全ての教科に対応しており、瞬時にフィードバックを受けることができるので効率よく個別学習を進めることができます。
語学学習のサポート
ChatGPT Eduは、語学学習を行う際にも活躍します。語学学習に使える機能としては、単にチャット形式での英文のやり取りや文章の添削だけではなく、音声入力にも対応しているため、ChatGPT Eduと英会話のレッスンをすることも可能です。
会話内容も自然で、ネイティブに近い発音で会話ができるため、さまざまな言い回しを学習できたり、リスニング勉強にも活用できます。さらに、ChatGPT Eduは50以上の言語をサポートしているため、英語以外も勉強できるため、幅広い言語を勉強したい場合にもおすすめです。
論文作成・添削の効率化
論文を作成するには、資料やレポートなどさまざまな文章を読んで勉強する必要があります。また、必要に応じて参考文献として、外部資料を自分の論文に取り扱うこともあるでしょう。しかし、資料やレポートなどは内容が難しく、長文であることが大半のため情報収集するにも時間がかかってしまいます。
そんな、時間のかかる情報収集もChatGPT Eduを活用すれば効率的に作業を進めることができます。論文の要約や解説はもちろん、50以上の言語に対応しているため、海外の論文を和訳することも可能です。
また、論文を書く際にも、文章の生成や添削などさまざまな使い方ができるので、論文作成も効率的に行うことができます。
プログラミング学習のサポート
プログラミング学習においてもChatGPT Eduを使えば、効率的に学習を進めることができます。プログラミングの基礎的な知識を勉強できることはもちろん、エラー発生時やコードの書き方がわからないなど、一人で学習している時によく行き詰まってしまうような工程でも、ChatGPT Eduがコードの提案や添削を行ってくれるなどしてサポートしてくれます。
特定の言語だけではなく、さまざまな言語にも対応しているため、基本的にはどの言語でも学習が可能です。
教員の業務負担軽減
授業の準備や生徒からの質問などの回答、テストや論文の確認など、教員の業務負担は大きく激務になることも多いでしょう。そんな教員の業務負担の軽減にも一役買うのがChatGPT Eduです。
例えば、課題やテストの採点、評価レポートの作成をChatGPT Eduに任せてたり、生徒にChatGPT Eduを使ってもらうことによって、教員への質問の回数を減らすこともできます。そのほかにも自分の学習や、外国籍の学生への対応や教材の作成なども効率的に行うことができるので、あらゆる場面で活躍するでしょう。
なお、教育現場における生成AのI導入事例について詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。
ChatGPT Eduを教育現場で利用する際の注意点
このように、利用するメリットが多く教育現場での活躍が期待されているChatGPT Eduですが、利用する際には注意すべき点がいくつかあります。
最後に、ChatGPT Eduを利用する際の注意点について見てみましょう。
個人情報の漏洩リスク
生成AIはさまざまなデータから学習を行い情報を出力するため、精度の高い回答を行うことができます。しかし、何かの拍子に学習データの中に機密情報や個人情報などが紛れ込んでしまうことがあり、最悪の場合、外部に漏れてはいけない情報が出力されてしまうというケースが稀にあります。
ChatGPT Eduでは会話とデータはOpenAIモデルのトレーニングには使用されないため、情報漏洩の可能性は低いですが、それでもリスクがあることは理解しておく必要があるでしょう。
倫理的な問題
前述の通り、生成AIはさまざまな情報を学習し、入力されたプロンプトに沿った適切な回答を行ってくれる便利なツールです。そのため、情報収集や文章の出力など活用シーンは多いでしょう。
ですが、生成AIは社会情勢や国、地域などの価値観を理解していない部分が多く、学習データに偏りが生じることがあります。そのため、性別差別や人種差別、暴力的な表現といった内容が出力される可能性があるので、生成AIを活用して情報収集する際は注意が必要です。
誤情報の拡散リスク
生成AIは日を追うごとに進化し精度出力制度は上がっていますが、まだまだ事実と異なる不正確な情報を出力する可能性があります。この現象をハルシネーションといい、生成AIを使う上で注意すべきポイントの一つです。
このように、誤情報が出力される可能性があるため、生成AIから出力された情報を鵜呑みにすると思わぬ問題に発展することがあります。教員が生成AIを活用して教材を作る際には、誤情報が紛れていないか必ず確認する必要があるでしょう。
なお、生成AI利用におけるリスクについて詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。
ChatGPT Eduの導入で教育現場が変わる未来
ChatGPT Eduは最新技術を搭載しつつも、教育分野に特化したAIモデルです。今までも、教育現場に生成AIが活用されることはありましたが、教育分野に特化したAIモデルが発表されたことによって、さらに生成AIの導入が進むでしょう。
ChatGPT Eduを導入することで、生徒の学習が進むだけではなく、教師の業務負担軽減に役立ちますが、それに伴い、リスクが伴うことも確かです。しかし、利用する教員や生徒が生成AIに関する知識をつけ対策方法を知っていれば、リスク回避が可能なので導入を検討している学校があればこれを機に、導入に踏み込んでみてはいかがでしょうか。
WEELの生成AIへのスタンス
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