ChatGPTの規制状況まとめ|日本・海外の最新情報を解説!
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日本では日常的に使用する機会が増えたChatGPTですが、海外の一部の国では使用を禁止するなどの規制を実施しています。
海外の動向を受けて、今後日本でもChatGPTに対する関わり方が変わる可能性もあるので、他人事ではいられません。
そこで今回の記事では、世界各国のChatGPTの規制状況について解説します。最後までお読みいただくと、各国のAIに対する姿勢について最新の情報を把握できるはずです。
ぜひ最後までご覧ください。
日本におけるChatGPT規制の最新情報
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日本は、世界各国の動きに比べて、ChatGPTを比較的自由に利用できる雰囲気が漂っています。
日本のChatGPTに対する姿勢を示す出来事としては、2023年4月に開かれた衆院内閣委員会が挙げられます。このとき、松野博一官房長官がChatGPTについて「現状、規制する考えない」と述べたことは多くのメディアが取り上げました。※1
また、日本では、内閣府主導で「AI戦略会議」というものが定期的に開かれ、AI技術の利活用と安全性についての議論がおこなわれています。
ただし、一部の大学や企業はChatGPTの使用を禁止するなど、日本国内すべての機関がChatGPTを認めているわけではありません。
今回は、以下4つの分野に分けて、日本国内におけるChatGPTの規制状況を解説していきます。
- 政治分野
- 教育分野
- クリエイター分野
- ビジネス分野
まずは、ChatGPT規制の命運を握る政治分野の動向からチェックしていきましょう!
政治分野
政治分野においては、ChatGPTで要機密情報を取り扱うことはできないものの、利用目的や利用範囲を申請して承認されれば、各省庁の職員も利用できるとしています。
これは、2023年9月に発表された「ChatGPT 等の生成 AI の業務利用に関する申合せ(第2版)」に記載されている内容です。※2
元々は「日本の国会でも将来的に補助ツールとしてChatGPTを使う可能性がある」と見解を述べていましたが、デジタル相の平将明氏が日本のAI規制のあり方を問題提起するなど、その動きは少しずつ変化を見せています。※3
教育分野
教育分野は、その重要性と影響力から常に社会の注目を集めています。
そして、ジェネレーティブAIの導入も例外ではありません。
日本では、東京大学・京都大学・上智大学などが、ChatGPTの使用に関するガイドラインや見解を示し、使用に関する注意喚起を行っています。※4
注意喚起の主な内容は、講義の課題などで作成するレポートをChatGPTなどで作成することに対するリスクについてです。
ジェネレーティブAIの教育への導入は、教育現場の労働負担の軽減や学習補助の強化といった利点をもたらします。
しかし、学生が宿題や課題をAIに代行させるといった不正行為への懸念もあるのです。
これらの懸念や活用の方針について、文部科学省は「大学・高専における生成 AI の教学面の取扱いについて」という文書を作成して関係機関に公表しました。
こちらの文書でも、学生がレポート等の成果物を生成AIで作成することは生徒の学びを阻害するとしており、適切な範囲で利用することを推奨する内容が書かれています。
クリエイター分野
デザインやイラストの分野では、「画像生成AI」への関心が急速に増しています。
画像生成AIは、テキストから自動的に絵やイラストを作成する技術です。この技術の発展と普及に伴い、その適正利用と法的枠組みへの需要が増大しています。
2023年4月27日には、「クリエイターとAIの未来を考える会」という団体が記者会見を開き、画像生成AIの適切な使用や法整備を求める声明を出しました。
この団体は、イラストレーターや漫画家など約30人のクリエイターで構成されています。彼らは、多くの画像生成AIがインターネット上の画像を無断で収集・複製し、機械学習に用いるため、クリエイターの著作権が脅かされていると主張しました。
対策として、イラスト投稿サイト「pixiv」を運営するピクシブ社は、利用規約を改訂。AIによって生成された作品にはその旨を明記するよう要請しています。※5
なお、クリエイター分野では、イラストのAI学習を妨げる「emamori」というサービスが一時期話題になりました。
作成したイラストに特殊な電子透かし・ノイズを挿入することで、著作物が無断に学習されることへの抑止力となっていたのです。しかし、提供元のSnackTime社がコストの観点からサービスを継続できなくなり同サービスは2025年1月で終了しています。※6
そのため、この問題に対する規制についての議論は、今後も続きそうです。
クリエイターと画像生成AIの利用者が共存する方策を見つけられるよう、業界全体の理解と協力が求められます。
ビジネス分野
ビジネス領域でのジェネレーティブAIの利用は早い段階から注目されていました。
しかし、虚偽情報の拡散・情報漏洩・著作権侵害など、ビジネスにおける利用にはさまざまなリスクが伴います。そのため、企業はジェネレーティブAIを使う際の規制やルールを自主的に定める必要が大半です。こういった課題に対処するため、一般社団法人日本ディープラーニング協会はジェネレーティブAIの利用ガイドラインを公開しています。※7
このガイドラインは「データ入力時の注意点」と「生成物の利用に関する注意点」の2パートからなり、ジェネレーティブAIの安全な利用に必要な知識と手法を提供しています。
元々は2023年5月に公開された本資料ですが、2023年10月には改訂版の第1.1版が公開され、2024年2月には画像編も公開されました。
ガイドラインを参考にしつつ、企業自身が独自のポリシーを策定することで、新たな価値創造とリスク管理のバランスを達成することが可能となります。
これらの取り組みを通じて、より多くの企業がジェネレーティブAIを安全かつ効果的に利用し、その可能性を引き出すことを期待します。
なお、日本における生成AIのガイドラインを詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
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海外におけるChatGPTの規制状況
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ここからは、海外におけるChatGPTの規制状況をご紹介します。
今回紹介するのは、以下8つの国についてです。
- イタリア
- ドイツ
- フランス
- イギリス
- アメリカ
- カナダ
- 中国
- ロシア
各国でChatGPTに対する姿勢に差があるのは明白です。
それぞれの国の事情を把握したい方は、参考にしてみてください。
イタリア
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イタリアでは、2023年3月にChatGPTへのアクセスを全面的に禁止していましたが、同年4月にOpenAI社による改善措置を受けて、ChatGPTへのアクセス規制を解除しています。※8
元々、イタリアの個人情報保護機関(IDPA)は、ChatGPTの使用には個人情報漏洩のリスクが伴うとして禁止していました。しかし、ChatGPTが個人データの取り扱いに対する改善策を導入したのをきっかけに、当局は調査を続けるとしながらもChatGPTの使用を容認しています。
後術しますが、イタリアを含むEU域内では「AI規制法」が施行されているので、生成AI利用のリスクに対する厳格な体制が敷かれているのも事実です。
ドイツ
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ドイツを含むEUの主要機関「EU議会」において、以前から議論されてきた「AI規制法」が2024年5月に可決され、同年8月から施行されています。※9
これは、生成AI利用のリスクに対する責任を明確にするのが主な目的で、もし違反して生成AIによってなんらかの損害を顧客に与えると、罰則が与えられるといった内容です。
罰則は、最大で3,500万ユーロ又は年間世界売上高の7%の罰金としており、これはEU域内にAIシステムを提供する域外企業も対象となるため、日本の企業も他人事ではいられません。
ただ、ドイツ国内ではChatGPTの規制に対して賛否両論があるようで、ドイツの一流紙Die Zeit(ディーツァイト)のWebサイトには署名記事も掲載されていました。※10
フランス
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EU加盟国のフランスも、ドイツやイタリアと同様に「AI規制法」が敷かれており、生成AIを利用する際には厳格なルールを守る必要があります。
ただ、国としてChatGPTの利用を規制しているということはなく、「AI規制法」を遵守している限りは使用を許可しているのが特徴です。
ちなみに、日本の一部の企業や大学がChatGPTの使用を規制しているように、フランスでも名門大学パリ政治学院(Sciences Po)でChatGPTの使用を禁止しています。※11
その目的は、不正行為や盗作を防止するためだそうです。
AIの使用を許可するか、禁止するか。まさに「WithAI時代」における教育のあり方が問われている状況です。今後の展開から目が離せませんね!
イギリス
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イギリスでは、ChatGPTの使用に規制をかけてはいないものの、その利用法について具体的な留意点を定めています。※12
イギリスの情報保護機関(ICO)が英国のGDPRを念頭に置いて、法的責任やデータ管理者としての義務を示す内容となっています。
具体的には、以下の内容が明記されているとのこと。
- 法的根拠の明確化
- データ管理者としての責任を果たすこと
- リスク評価を実施すること
なお、イギリスの労働年金省(DWP)ではChatGPTの利用を全面的に禁止するなど、一部の機関ではChatGPTを規制しています。※13
アメリカ
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アメリカでは、ChatGPTに対する明確な規制は設けていないものの、そのリスクに対する措置として連邦および州単位でさまざまな動きを見せています。
まず、連邦の動きではバイデン政権時の2023年10月に発令された「AIの安心、安全で信頼できる開発と利用に関する大統領令」が有名です。※14
この大統領令の内容は、「AI利用のリスクを指摘し、官民それぞれが説明責任を果たすべき」といった見解を述べたものです。
また、カリフォルニア州では独自にAI規制法を可決させるなど、生成AI利用時における責任の所在を明らかする動きが活発になっています。※15
なお、トランプ新政権になってからも、OpenAIのサム・アルトマン氏がAI利用に対する過度な規制を避けるよう訴えるなど、ChatGPTや生成AIの利用を巡ってはさまざまな動きを見せています。※16
現状は、州レベルでバラバラにルールを定めている状況ですが、今後は連邦レベルで統一した規制が進むかもしれません。
カナダ
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カナダでは、消費者庁(OPC)がOpenAIに対する調査を開始したとの情報が入りました。
これは、個人情報の無断収集・利用に関する苦情がきっかけとなっています。
なお、2024年11月には、カナダの大手報道機関5社が自社の記事をChatGPTの学習に利用されたとして、およそ数千億円にもおよぶ損害賠償を請求しています。※17
これらの動きから、今後カナダ国内でもChatGPT利用に対する規制が進みそうです。
中国
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中国は、ChatGPTの使用を完全に規制しています。OpenAI側も中国側からのアクセスをブロックしているので、中国国内からはChatGPTを完全に利用できない状況です。※18
中国がChatGPTの使用を禁止したのは、ChatGPTの回答が中国政府の見解と異なるからとのこと。「中国経済は構造的な問題がある。」といった内容の回答を出力したのが原因と考えられています。
ただ、こうした中国の規制が功を奏したのか、中国国内における生成AI開発の動きは活発です。ChatGPTに匹敵するほどの性能を持つ大規模言語モデル「DeepSeek」の登場で、米NVIDIAなどのAI関連株が暴落するなど、大きな事件も起こりました。
ロシア
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ロシアにおいてもChatGPTの使用が禁止されている状況です。中国と同様、OpenAI側もロシアからのアクセスをブロックしています。※19
2023年11月にモスクワで開催されたAIカンファレンス「Artificial Intelligence Journey 2023」において、プーチン大統領がChatGPTなどの生成AIモデルに対する見解を示しました。
ここでは、「ChatGPTのトレーニングに使用されるデータセットは英語に偏っており、ロシア文化を消し去る可能性がある」と述べたようです。※20
そのため、ロシアは海外のAI技術に依存することなく、国内のAI技術の発達に力を注いでいます。AIセンターとして指定した国内の主要大学6校に最大10億ルーブル(およそ11億米ドル)の連邦補助金を支給するなど、その本気度は凄まじいです。
各国でChatGPTが規制される理由とは
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各国でChatGPTの使用が規制されるのは、以下の4つが主な原因です。
- 機密情報が漏れるリスクがある
- 著作権侵害のリスクがある
- 道徳や倫理に背いた回答をする可能性がある
- 嘘の情報を出力(ハルシネーション)する可能性がある
とくに、国の重要機関や各企業では機密情報を取り扱っているので、外部に漏れれば大きな損害が出かねません。
以下でそれぞれのリスクについて詳しく解説していきます。
機密情報が漏れるリスクがある
ChatGPTをはじめとした生成AIは、入力された情報をトレーニングに利用することがあるため、チャットで機密情報を入力すると外部に漏れる危険性があります。
実際に、2023年4月には韓国のエレクトロニクス企業のSamsung(サムスン)社がChatGPTに機密情報を入力してしまい、設備データや会議音声が流出する事件が起こりました。※21
こうしたリスクを防ぐために、各国ではChatGPTをはじめとした生成AIを利用する際の留意点などを国内で共有しています。
著作権侵害のリスクがある
ChatGPTは、インターネット上にある膨大な情報を学習していますが、著作物として保護されている作品も例外ではありません。
そのため、ChatGPTが出力したテキストや画像が意図せずに著作物と類似してしまい、著作権を侵害として損害賠償を請求されるリスクがあります。
こうした著作権侵害への対策として、ChatGPTなどの生成AIを利用する企業側の責任を明確にする動きが各国で広がっています。
道徳や倫理に背いた回答をする可能性がある
ChatGPTが出力する情報には細心の注意が払われているとはいえ、どうしても道徳や倫理に背いた回答をする可能性は排除できません。
そのため、差別的な発言や意図しない政治的見解を述べてしまうケースがあります。こうしたリスクから、いくつかの国ではChatGPTの使用を完全に禁止しているケースがあるほどです。
ChatGPTで出力したテキストや画像を公開する際は、こういったリスクへの対策として、ファクトチェックの徹底が求められます。
嘘の情報を出力(ハルシネーション)する可能性がある
ChatGPTは、嘘の情報を一見もっともらしく出力するハルシネーションという現象を引き起こすリスクがあります。
生成AIの利用を規制しなければ、嘘の情報がインターネット上に溢れかえる危険もあるため、放置はできません。
そのため、ChatGPTをはじめとした生成AIの正しい使用方法を国内で周知し、利用者が正しくChatGPTを使いこなす必要があります。
なお、生成AIのセキュリティリスクについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご確認ください。
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ChatGPTの規制状況について今後も各国の動向に注目しよう!
ChatGPTの規制状況について本記事でも解説しましたが、その姿勢は各国で異なります。一部の国では完全に使用を禁止しているものの、多くの国ではChatGPTの使い方に注意を払い、正しく使うよう周知しているケースが多いです。
ただ、ChatGPTの規制状況は刻一刻と変化しているのも事実です。ChatGPTや生成AIに対する各国の動向に注目して、いち早く対応できるように準備しておきましょう!
- ※1:松野博一官房長官、ChatGPT「現状、規制する考えない」
- ※2:ChatGPT 等の生成 AI の業務利用に関する申合せ(第2版)
- ※3:AI法整備「日本だけ取り残される」 活用と規制のはざまで
- ※4:ChatGPTでリポートは不正? 東大、京大、上智など続々と見解
- ※5:pixiv、AI巡る規約改定 「作品をAIに学習させた」&「投稿者の不利益になる」満たす行為を禁止
- ※6:イラストのAI学習を妨げる「emamori」サービス終了へ 「コストの観点から継続難しく」
- ※7:生成AIの利用ガイドライン
- ※8:イタリア、ChatGPTの一時禁止を解除 使用条件満たす
- ※9:EU AI規則の概要
- ※10:EU議会が可決した「AI規制法」、ドイツ国民から賛否両論:第50回
- ※11:フランス名門大、チャットGPTの利用を禁止 不正や盗作防止へ
- ※12:イギリス当局、生成AI利用の留意点公表 法的責任明記
- ※13:A pro-innovation approach to AI regulation: government response
- ※14:米国におけるデジタルガバメントの現在地
- ※15:米カリフォルニア州で新たなAI規制法が州上院司法委員会を通過
- ※16:「予測可能なAI規制を」 オープンAI、トランプ新政権に政策提言
- ※17:カナダ大手紙など5社がオープンAI提訴…チャットGPTの学習で著作権侵害、賠償金数千億円か
- ※18:中国が対話型AIを警戒、「ChatGPT」は使用停止に…政府見解と異なる回答で
- ※19:OpenAIがロシア・中国・北朝鮮などサポート対象外の国からのアクセスを無期限でブロックすると発表
- ※20:プーチン大統領、ロシア独自AI開発に言及 西側の独占に懸念
- ※21:サムスン、機密情報をChatGPTにリークして大問題に
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