生成AI導入でここまで変わる!業務効率化とコスト削減を成功させた導入事例9選

生成AIの導入は、単なる業務の効率化に留まりません。多くの企業が生成AIを活用することで、コスト削減や業績向上を実現しています。
この記事では、生成AIの導入がもたらす具体的なメリットと、コスト削減の実例を9つ紹介します。これらの事例を通じて、生成AIがどのようにビジネスの成功に寄与するかを理解していただけるでしょう。最後までお読みいただき、貴社に適したAI導入のヒントを見つけてください。
「効率化」だけじゃない!生成AI導入のメリット
生成AIは、人工知能の一種で、大量のデータを学習し、それを基に新しいデータやコンテンツを生成する技術です。具体的には、自然言語処理、画像生成、音声合成など、多岐にわたる分野で利用されています。
生成AIを導入するメリットとして以下が挙げられます。
コストの削減
生成AIを活用すれば、簡単なルーティン作業や時間のかかるデータ処理を自動化することができ、人的リソースを割くことなく業務を行うことができます。これにより、人件費や外注費といった固定コストを大幅に削減することができます。
さらに、生成AIを活用すれば人の手によって対応するよりも早く処理を行うことができるため、納期が短いプロジェクトなどでも活躍するでしょう。
データ解析能力の向上
商品開発やマーケティング、営業などほどんどの業務を行う上でデータ解析能力が求められますが、顧客データや行動データ、売上など、様々なデータを活用して総合的に分析を行うには時間がかかってしまいます。
しかし、生成AIを活用すれば、必要データと出力して欲しい内容を伝えるだけで、全てのデータをもとにした解析データを瞬時に出力することができます。これにより、今まで見えなかった情報が数値化されたり、新たな気づきに繋がることもあります。
しかし、人間的な感情の部分などについては弱い部分があるため、出力されたデータをもとに試行錯誤することで全体的なデータ解析能力を向上させることが可能です。
24時間365日稼働
生成AIは、システムに組み込んでしまえば24時間365日稼働することができるため、チャットでの問い合わせ対応やデータ整理など、様々なタスクを人がいない時間帯でも対応することができます。
これにより、お客様対応のスピードが上がり、トラブルにもすぐに対処できる可能性があるため、顧客満足度の向上にもつながります。
また、時差のある海外からの問い合わせにも24時間365日対応できるだけはなく、多言語対応が可能なため、導入することで幅広い層の顧客サポートを簡単に行うことができるのもポイントです。
新しいビジネスモデルの創出
新しいビジネスモデルを創出するためには、新しい視点のアイデアやそのアイデアを具現化するためのビジネスプランを作成する必要があります。
しかし、思うようにアイデアがでなかったり、どのようにビジネスプランを作成したらいいかわからないなどといった壁に阻まれて話が進まないこともあるでしょう。
そんな時に生成AIを活用すれば、アイデア出しからビジネスプラン作成などのサポートを行うことができるため、これまでにはなかった発想でビジネスモデルの創出ができるようになります。
これまでにない形のサービスを作ることで、新しい市場を開拓や他社との差別化も効果的に行えるでしょう。
競争力の強化
変化のスピードがどんどん早くなる今の時代、素早く対応できるかどうかが企業にとってとても大切なポイントです。
生成AIを使えば、情報を集めて分析し、行動に移すまでの流れをぐっと短縮できるため判断もスムーズに行えます。これにより、他社よりも早くトレンドを取り入れたり、新しいサービスを実現しやすくなるため、ビジネスの優位性を高めることができるでしょう。
このように、生成AIをうまく活用すれば効率アップやコスト削減だけでなく、競争力の強化を行うことが可能です。
生成AI導入によるコスト削減の事例9選
生成AI導入により業務効率化だけでなく、コスト削減効果も見込めます。
実際にコスト削減に成功した事例を9つ紹介します。
- NEC
- 株式会社サイバーエージェント
- 伊藤忠商事株式会社
- パナソニック コネクト株式会社
- 富士通株式会社
- 株式会社日本触媒
- 横須賀市
- 日清食品
- 株式会社ベネッセホールディングス
それぞれを見ていきましょう。
①NEC

NECは生成AIを2023年5月から社内業務に利用しています。主には社内チャットやWeb会議ツールなどの社内システムと連携し、利用者数約2万人、一日約1万回も活用されているとのことです。
実際に生成AIを導入したことで以下の効果がありました。
- 資料作成時間が50%削減
- 議事録作成時間が平均30分から約5分に短縮
- 社内システム開発のソースコード作成業務工数が80%削減
今後も、専門領域での活用とともに、社内利用で得たノウハウを利用し、課題解決と新しい企業価値創造に向けて独自の生成AIを進化させて提供していくようです。※1
②株式会社サイバーエージェント

株式会社サイバーエージェントは、OpenAI社が開発したChatGPTを活用し、デジタル広告のオペレーションにかかる作業時間の短縮を目指しています。従来では、広告効果を最大化するために細かな広告配信設定や効果に応じた運用改善やレポート作成など多くの作業が必要となり、月間で約23万時間もかかっていました。
ChatGPTを活用することで、約23万時間のうち30%にあたる約7万時間の削減を目指すとのことです。さらには、社員一人ひとりにAIアシスタントを導入し、さらなる生産性と品質向上の実現を図っています。※2,※3
③伊藤忠商事株式会社

伊藤忠商事株式会社と株式会社ブレインパッドは、ChatGPTなどの生成を用いて、企業の業務変革や新規ビジネス開発支援を行うために「生成AI研究ラボ」を共同設立しました。この結果、伊藤忠商事の全社員が生成AIを自由に活用できる環境が整備され、日常業務の生産性向上の検証を行っています。
具体的には、情報漏洩を防ぐためのIT環境整備や現場社員が使いやすいインターフェースやサポート体制を構築し、生成AIの実用化を目指していくという。将来的には、新規事業開発や伊藤忠グループの事業で生成AIを展開し、競争力を高めていく予定です。※4
④パナソニック コネクト株式会社

パナソニックコネクト株式会社は、OpenAI社が開発したChatGPTをベースに自社開発したAIアシスタントサービス「ConnectAI」を業務活用できるように試験運用を行っています。運用結果は以下のとおりです。
- サービス開始3か月の利用回数:26万回
- 一日あたりの利用回数:5,800回
- プログラミング業務(コーディング前の事前調査):従来は3時間→5分で完了
- 社内広報業務(約1,500件のアンケート結果分析):従来は9時間→6分で完了
他にもキャリアに関する内容や業務、アイディア出しに活用されていたようです。今後は保守・運用業務を効率化するためにカスタマーサポートへの適用から順次展開される予定。※5,※6
なお、パナソニックが開発した生成AIチャットについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

⑤富士通株式会社

富士通株式会社は、生成AI活用促進に向けて、2024年7月より企業ニーズに対応した特化型生成AIのフレームワーク提供を開始しました。各企業も生成AI導入が始まっていますが、大規模データの取り扱いが困難であったり、生成AIのコストや応答速度が満たせない、企業規則や法令への準拠が求められるなどさまざまな課題を持っています。これらの課題を解決するためにフレームワークを開発しました。
このフレームワークを活用することで以下のメリットを見込んでいます。
- 契約書順守チェック工数:30%削減
- サポートデスクの作業効率:25%向上
- 運輸業におけるドライバーの最適配置計画の策定時間:95%削減
今後も多様なニーズに対応し、企業の生成AI活用に対し強力に支援していくとのことです。※7
⑥株式会社日本触媒

株式会社日本触媒は、AI(アルゴリズム)を用いた生産計画最適化ソリューションを導入しました。2022年10月に姫路製作所で本格運用を開始し、3か月分の生産計画作成に1日かかっていたものが、30分で作成可能になりました。この結果、一部の人に偏っていた業務を平準化させられ、業務効率化を実現できたようです。
今後は、業務効率化でSAPのさらなる安定供給や省エネルギー、CO2排出量削減に寄与するだけでなく、他製品への展開を図るなど、デジタル技術・データを駆使したDXによる変革を推進していくとのことです。※8
⑦横須賀市

横須賀市では、令和5年4月20日からChatGPTを全庁で活用しその結果を報告しました。主な結果は以下のとおりです。
- 文書作成業務:1日あたり10分程度の短縮ができた
- 約8割の社員が「仕事の効率が上がる」「利用を継続したい」と回答
- 利用者ヒアリングの結果、業務短縮効果が認められた
- ChatGPTの利用用途に向かない「検索用途」での利用が約3割あった
- 6%程度の職員から概ね不適切な回答が返ってくると回答があった
1日あたり10分の文章作成時間短縮ができたため、年間(243日)は約40時間の短縮が見込まれ、庁全体では約22,700時間/年の効果が見込まれると報告しました。※9,※10
⑧日清食品

日清食品は、2023年4月25日より社内用のAIチャットbotとして自社開発した「NISSIN AI-chat powered by GPT-4 Turbo」を公開し活用しています。希望のあった部署から生成AIが活用され、成功事例や作成されたプロンプトを横展開することで、より効率的に業務効率化を進めているのが特徴です。
この結果、定量効果として年間作業工数が32,591時間も削減されると見込んでいます。その他、問い合わせ業務の作業工数が24%の削減も見られました。今後は引き続き社内業務の効率化を行うとともに、AI活用を前提とした業務プロセスの見直しを進めるとのことです。※11
⑨株式会社ベネッセホールディングス

株式会社ベネッセホールディングスは、株式会社メンバーズ、株式会社ビービットと共同で開始した生成AIとノーコードツールを活用したプロジェクトの効果を発表しました。効果は以下のとおりです。
- サイト制作コスト:4割減
- 制作期間:8週間から3週間へ短縮
- 人数体制:7割減
この結果から、生成AIとノーコードツールの組み合わせで業務効率化が可能となりました。今後は、業務プロセス変革により生産性向上と空いた時間・人員はより付加価値の高い業務へシフトし、顧客体験向上を図るとしています。※12
なお、生成AIと自社データ活用について詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。

生成AIを導入する際の注意点
非常に便利で、作業効率をあげることのできる生成AIですが、導入する際にはさまざまな注意点があります。
最後に、生成AIを導入する際の注意点についてご紹介します。
コストがかかる
生成AIは作業効率をあげることができ、簡単な業務を人から生成AIに置き換えることができるため、人件費などを抑えることができますが利用するためにはコストが発生します。毎月かかるシステムの利用費はもちろん、導入時には多額の初期コストが発生することも少なくありません。
そのため、導入する際には自社内での生成AIの活用方法を明確にすることで無駄な機能を省いたり、導入作業を外注する場合は数社から見積もりをもらう必要があります。
費用面だけではなく、永続的なサポート体制が整っているかどうかも合わせて確認する必要があるため、費用が安いところで決めるという考えではなく、総合的にみてコストパフォーマンスが高い外注会社を選択しましょう。
ハルシネーションの発生
生成AIは汎用性が高く非常に便利ですが、生成される回答が必ずしも正確というわけではなく、ハルシネーションを起こす可能性があるため注意が必要です。
もちろん、入力するプロンプトを工夫したり、根拠となる情報を事前に生成AIへ与えたりすることで、出力される情報精度をあげることはできますが、生成AIから出力された情報を全て鵜呑みにすると誤った情報の発信や思わぬトラブルに発展する可能性があるため、出力された情報が正しいかどうかは必ず確認しましょう。
情報漏洩リスク
生成AIはユーザーが入力した情報を学習データとして収集し回答の精度を上げていくため、生成AIを活用する際に個人情報や機密情報などの重要な情報を取り扱ったことが原因で情報漏洩を起こす可能性があります。
そのため、生成AIを活用して機密情報や個人情報などの重要な情報を取り扱いたい場合は、WEB上で利用できるサービスではなく、外部のサーバーを介さず動作するローカルLLMなどの利用を考えた方が良いでしょう。
生成AIを扱える人材の育成
生成AIを導入することで作業効率をあげることはできますが、生成AIの効果を最大限に生かすためには、生成AI扱える人材が必要です。
決まった用途で生成AIを活用する業界であればマニュアルを完備することで対応できますが、生成AIを使ったアイディアの創出や画像生成、コード生成など、クリエイティブな業務で利用する際は一人ひとりの技量で活用範囲が変わってくるでしょう。
そのため、生成AIを使って効率化やコスト削減を目指すには、生成AIを扱える人材の育成が必要となります。
生成AI導入による効果は効率化だけでなく、コスト削減も図れる
各企業への生成AI導入は、単なる業務の効率化にとどまらず、多岐にわたるコスト削減効果をもたらします。今回は以下の企業でのコスト削減事例を紹介しました。
- NEC
- 株式会社サイバーエージェント
- 伊藤忠商事株式会社
- パナソニック コネクト株式会社
- 富士通株式会社
- 株式会社日本触媒
- 横須賀市
- 日清食品
- 株式会社ベネッセホールディングス
これらの実例を参考に生成AI導入を検討してみてはいかがでしょうか。生成AIの活用によって、さらなるビジネスの成長と競争力の向上が期待できるでしょう。

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- ※4:ChatGPT等の生成AIを用いた企業の業務変革や新規ビジネス開発支援を行う「生成AI研究ラボ」の設立について
- ※5:パナソニック コネクトのAIアシスタントサービス「ConnectAI」を自社特化AIへと深化
- ※6:ConnectAI活用実績と今後の戦略
- ※7:世界初の技術で企業ニーズに対応した特化型生成AIを自動生成!エンタープライズ生成AIフレームワークを提供
- ※8:AI(アルゴリズム)を用いた生産計画最適化ソリューションを導入
- ※9:ChatGPTの全庁的な活用実証の結果報告と今後の展開(市長記者会見)(2023年6月5日)
- ※10:ChatGPT活用実証結果報告
- ※11:生成AI活用の取り組み
- ※12:生成AIを活用したWebサイト制作・運用改革によりコスト4割削減、制作期間を半分以下に短縮

【監修者】田村 洋樹
株式会社WEELの執行役員として、AI導入支援や生成AIを活用した業務改革を中心に、アドバイザリー・プロジェクトマネジメント・講演活動など多面的な立場で企業を支援している。
これまでに累計25社以上のAIアドバイザリーを担当し、企業向けセミナーや大学講義を通じて、のべ10,000人を超える受講者に対して実践的な知見を提供。上場企業や国立大学などでの登壇実績も多く、日本HP主催「HP Future Ready AI Conference 2024」や、インテル主催「Intel Connection Japan 2024」など、業界を代表するカンファレンスにも登壇している。