AIに欠かせないNPUとは?GPUとの違いやメリット、搭載PCを徹底解説

- ディープラーニングなどのニューラルネットワークによるAI推論処理(Inference)を高速かつ低消費電力で実行するために設計された専用プロセッサ
- 自動運転や音声認識などのリアルタイム処理が求められるアプリケーションに大きく貢献
- CPUやGPUを介して計算するよりも効率的で消費電力を低く抑えられる
生成AIの能力が大きくなるにつれ、その処理に必要となる計算能力やリソースも膨大になります。これまでは、高速での並列処理が可能なGPU(Graphics Processing Unit)を用いて計算を行っていましたが、最近ではニューラルネットワークの計算に最適化されたNPU(Neural Processing Unit)が登場し、注目を集めています。
この記事では、NPUの基本とGPUとの違いについて詳しく解説します。また、NPU搭載のメリットやNPUを搭載したおすすめのパソコンも紹介しているため、ぜひ購入時の参考にしてください。
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NPUとは

NPU(Neural Processing Unit)は、ディープラーニングなどのニューラルネットワークによるAI推論処理(Inference)を高速かつ低消費電力で実行するために設計された専用プロセッサです。以下の点が主な特徴として挙げられます。
- ニューラルネットワークの高速処理
- 省エネルギー
- リアルタイム応答
高速処理を実現するNPUの搭載により、自動運転や音声認識などのリアルタイム処理が求められるアプリケーションに大きく貢献します。また、ニューラルネットワークの計算に特化しているため、CPUやGPUを介して計算するよりも効率的で消費電力を低く抑えられます。バッテリー駆動のデバイスの長時間稼働などにも役立ちます。
ローカル環境でのAI計算が増加し、WindowsのCopilot+ PCや、AppleのApple Intelligenceのように、大規模モデルを直接動かすことを前提にNPUが組み込まれたデバイスが急速に増えてきています。
さらに、近年では、NPUはPCだけでなく、iPhoneやiPadに搭載されているApple Neural Engineや、Pixelシリーズに採用されているTensor G3などの形でスマートフォンやタブレットにも広く搭載されています。
これによって、顔認証、写真の自動補正、音声アシスタントといった処理をクラウドに送信せず、端末内だけでリアルタイムに実行できるようになりました。
なお、ローカルLLMについて詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。

GPUとは
GPU(Graphics Processing Unit)は、もともと画像や映像を高速に描画するために設計されたプロセッサです。大量の並列処理を高速に実行できる能力を持つため、ゲームや科学技術におけるシミュレーション計算など幅広い分野で利用されています。
GPUは高い並列処理能力を持ち、ニューラルネットワークの膨大な行列演算にも応用可能であったため、AI領域でも広く活用されてきました。GPUの大量のコアは、ディープラーニングの学習や推論において計算速度を大幅に向上させました。
NPUとGPUの違い
NPUが登場する前は、高速での並列処理に長けたGPUがAIモデルの学習や推論に用いられてきました。そのため、NPUとGPUの違いを明確に捉え難い面もあるでしょう。AIの普及継続を今後も支えるには、GPUとNPUの使い分けが効率的なシステム運用に欠かせません。
GPUとNPUの主な違いを以下の表にまとめました。
| GPU | NPU | |
|---|---|---|
| 特性 | 多数のコアを持ち、大量のデータを並列に処理できる | ニューラルネットワークの計算に最適化された並列処理を行う |
| エネルギー効率 | NPUより低い | 高い |
| 得意な処理 | 高精度な浮動小数点演算(FP32/FP16など)を使った汎用的な数値計算 | INT8 / INT4 などの低精度整数演算で大量の行列演算を並列処理し、電力効率を最優先する |
| 主な用途 | ゲーム、映像処理、科学技術計算 | AI推論、画像・音声認識など |
このように、NPUはGPUを完全に置き換える存在ではなく、AI推論専用アクセラレータとしてGPUやCPUを補完する立ち位置にあります。
大規模モデルの学習はGPUが担当し、学習済みモデルをPCやスマホ上で動かす部分をNPUが受け持つことで、全体として効率のよいAIシステムが構成できるかと思います。
NPUの性能を表す『TOPS』とは?
NPUのカタログを見ていると、『40TOPSのNPUを搭載』といった表記をよく目にするかと思います。
このTOPS(Tera Operations Per Second)とは、プロセッサーが1秒間に何兆回の演算を実行できるかを表す指標で、AI向けNPUの生の処理性能を比較するときの目安になります。
特に、Microsoftが定義しているCopilot+ PCでは、次のような要件を満たすことが求められています。
- 40TOPS以上の性能を持つNPU
- メモリ16GB以上
- ストレージ256GB以上
- 対応CPU/SoC(Snapdragon Xシリーズ、Intel Core Ultra シリーズ2、Ryzen AI 300 など)
NPUを搭載するメリット
NPUはニューラルネットワーク計算に特化したプロセッサであり、AIの高性能化や社会への普及拡大によって導入が加速しています。例えば、インテルはNPUを搭載した次世代ノートパソコン用のSoC『Intel Core Ultra シリーズ2(開発コード:Lunar Lake)』を2024年9月24日からグローバルで販売開始しており、NPU性能は40〜48TOPSとされ、Copilot+ PCの40TOPS要件を満たす設計になっています。
NPUはGPUのような幅広い計算に適用できる汎用性はありませんが、AIタスクの実行に欠かせない存在となるでしょう。ここでは、NPUを利用する主なメリットを3つ紹介します。
CPUへの負荷を減らすことができる
NPUはCPUやGPUと同時に搭載され、それぞれのプロセッサが得意領域のタスクを処理し合うことで効率的なシステムを実現できます。ニューラルネットワークの処理には複雑で膨大な計算が伴うため、CPUを使うと他のタスクが遅延するなど、システム全体のパフォーマンスが低下します。
そこで、ニューラルネットワークの学習や推論に関する処理をNPUに任せCPUの負荷を低減できれば、CPUはOSの管理やアプリケーションの実行、入出力制御などに注力できるようになります。NPUを搭載すると、AI関連の計算を効率的に処理しながらシステム全体の性能向上や効率化、安定化をもたらすと期待されます。
たとえば、Web会議の背景ぼかしやノイズ除去、自動字幕といった処理をNPUにオフロードすると、CPUやGPUの使用率が抑えられ、ファンが回りにくくなったり、同じ会議時間でもバッテリーの減りが少なくなったりします。
セキュリティリスクを抑えることができる

NPUを搭載したデバイスでは、AIに関する処理をローカル環境で完結できるため、クラウドなど外部環境にデータを送信する必要がありません。そのため、データ送受信中の不正アクセスなどを回避でき、クラウド上での処理に比べてセキュリティリスクを低減できます。
また、顧客や従業員などの個人情報を含むデータの漏洩リスクも抑えられ、各国の法規制にも対応しやすくなる利点があります。
近年、サイバー攻撃の多様化に伴い、セキュリティ機能が強化され、それによりCPU使用率が上がっています。そこで、NPUにこの処理を実行させることでセキュリティを強化しながらCPUの使用率を下げ、効率的なシステムの実現を可能にします。
インターネットが使えない環境でも利用できる
NPUを搭載したデバイスでは、インターネットに接続していなくてもAI関連の処理を実行できます。スマートフォンなどの顔認証や音声認識は、オフラインでも処理できなければ役に立ちません。
クラウドシステムとの情報の送受信が不要であり、データ送受信に伴う処理の遅延もありません。IoTデバイスや車載システムなどにも採用され、リアルタイムの処理を可能にします。
但し、利用できるモデルサイズに制約がある、モデルのアップデートに手間が掛かるなどの点には注意が必要です。
NPU搭載のPC5選
AIを利用するアプリケーションなどニューラルネットワークの計算をローカル環境で行うには、NPUを搭載したパソコンを利用するのがおすすめです。さまざまなメーカーからNPU搭載のパソコンが発売されていますが、どのパソコンを購入すべきか悩む方もいるでしょう。ここでは、おすすめのパソコンを5つ紹介します。
【DELL】Inspiron 14 Plus
Inspiron 14 Plusは、最大21時間のバッテリー駆動が可能で持ち運びやすいノートパソコンです。Qualcomm® Hexagon™ NPUを搭載し、オンデバイスAIによる電力効率の大幅な向上、バッテリーの長時間持続を実現しています。また、CPUには最大12コアのQualcomm® Oryonを、GPUにはQualcomm® Adreno™ GPUを備え、ビジネスからクリエイティブな作業まであらゆる用途において高いパフォーマンスを発揮します。
搭載するSnapdragon X Elite / X PlusのHexagon NPUは、最大約45TOPSクラスの性能を持ち、Copilot+ PCのNPU要件(40TOPS以上)も満たしています。Windowsの新しいAI機能をフルに活用したい人向けのモバイルノートといったイメージです。
プレゼンテーションや動画作成などの作業をAIを用いて効率的に行えるため、仕事の生産性向上に大きく役立つでしょう。
【HP】 EliteBook 1040 G11
EliteBook 1040 G11は、あらゆる場所で作業を可能にする高い耐久性と性能を持つノートパソコンです。高性能なCPUとGPU、NPUをタスクに応じて使い分け、AIアプリケーションを利用した生産性向上をサポートします。
HP Power Managerによりバッテリーの状況を常時監視し、最適な制御により長時間の作業を可能にします。また、電源につなげば30分で最大50%まで急速充電できます。
強固なセキュリティにも対応しており、AIが未知のマルウェアなどの脅威からパソコンを守ります。
CPUにはIntel Core Ultraシリーズを搭載しており、内蔵NPU『Intel AI Boost』がWeb会議の背景ぼかしやノイズ除去、音声認識などのAI処理をCPUから切り離してくれます。
ビジネス向けの堅牢性に、AIによる生産性向上を組み合わせたい企業ユーザーに適した1台です。
【ASUS】 Zenbook S 14
Zenbook S 14は、ASUSの独自技術が詰め込まれた軽量薄型のノートパソコンで、AIを最大限活用するための強力なデバイスです。インテル® Core™ 7 Ultra プロセッサーを搭載可能で、NPUとの組み合わせによりテキスト・画像生成や動画編集など優れたAIパフォーマンスを実現します。
インテル® Core™ 7 Ultra プロセッサーに内蔵されたNPUは、第1世代でおおよそ10〜11TOPSクラスの性能を持ち、テキスト・画像生成や動画の簡易編集など日常的なAIアシスト用途には十分な余力があります。
高い性能を持ちながらも厚さ1.1cm、重量約1.2kgと軽量で持ち運びに便利です。素材はASUSが開発したCeraluminum™(セラルミナム)で、強度と耐久性があり摩耗に強いという特徴があります。
今後、Core Ultra シリーズ2(Lunar Lake)搭載モデルが登場すれば、40TOPS以上でCopilot+ PC要件を満たす構成も選べるようになると考えられます。
【Lenovo】 ThinkPad T14s Gen 6 Snapdragon
ThinkPad T14s Gen 6 Snapdragonは、ビジネス現場での生産性向上を図る目的で設計されたノートパソコンです。QUALCOMM HEXAGON NPUは毎秒45兆回もの演算を行い、AIのパフォーマンスを支えます。GPUには、QUALCOMM ADRENOを搭載し、消費電力を抑えながら鮮やかなグラフィックを実現します。
MICROSOFT COPILOTを使えば、デバイス内のファイルの検索や画像生成、会議の翻訳などこれまで多大な時間を要していた作業を短時間で完了でき、生産性の向上を実感できるでしょう。
【Panasonic】 Let’s note FV5
Let’s note FV5は、NPUを搭載したインテル® Core™ Ultra プロセッサーを採用し、ローカル環境で生成AIを利用可能なノートパソコンです。また、CPUの性能を最大化する独自の制御方式「Maxperformer®」により、最適な放熱とCPUの電力制御を実現します。
14.0型で画面比率が3:2のディスプレイはウェブサイトやビジネス文書の閲覧に適しており、広視野角液晶により複数人での作業もしやすいデザインです。
なお、AI PCについて詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。

NPU搭載PCの選び方チェックリスト
最後に、『NPU搭載PCが気になるけれど、どこを見ればよいか分からない』という方のために、選定時のチェックポイントを整理します。
① 利用したいAIアプリがNPUに対応しているか
すでに使っている動画編集ソフトや画像編集ソフト、Web会議ツールなどがNPU最適化に対応しているかを確認します。
対応アプリが少ないうちは、NPUのメリットをフルに感じにくい点に注意しましょう。
② メモリ容量はできれば16GB以上
Copilot+ PCの要件とも揃うように、16GB以上を基本ラインと考えると安心です。
同時にブラウザやOffice、開発環境などを立ち上げるなら、余裕を見て32GBも検討しましょう。
③ NPU性能だけでなく、GPU・ストレージもチェック
軽いAIアシストが中心ならNPU重視で問題ありませんが、動画編集や3D制作、ゲームもこなしたい場合はGPU性能の方がボトルネックになりがちです。
ストレージは最低でも256GB、可能なら512GB以上あると、AIモデルや素材ファイルを置く余裕が生まれます。
④ 予算と用途のバランス
予算が限られている場合、NPU非搭載の高性能CPU/GPU構成の方が幸せなケースもあります。
一方で、今後数年はAI機能を積極的に使いたいなら、多少高くてもNPU搭載機を選んでおくと買い替えサイクルを伸ばしやすくなります。
以上のチェックリストを意識しながら、「自分はクラウドAI中心か」「ローカルAIも重視するか」を整理しながら、最適な1台を検討してみてください。
NPU搭載のパソコンでAIを効率的に活用し、生産性を高めよう

AI技術の発展やAIアプリケーションの普及に伴い、ニューラルネットワークの処理を専門的に処理するプロセッサを搭載することでシステム全体の効率を向上させるようになってきました。
これまではクラウド上で計算を実行していましたが、NPUの登場でローカル環境でも生成AIなどの処理を容易に実行することが可能になりました。GPUでの実行に比べて電力消費低減やセキュリティの強化などメリットも多く、NPUを搭載したパソコンも増加しています。
ビジネスにおいて生産性の向上は成長の鍵であり、AIの活用は避けて通れません。NPUを搭載したパソコンで効率的にAIを活用し、競争力の強化につなげてみてはいかがでしょうか。
最後に
いかがだったでしょうか?
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