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【OpenAIを超える可能性】Metaのオープンソース戦略がAI業界を塗り替えるのか!?

7月19日に発表した大規模言語モデルLlama2など、現在Metaは強力なAIプロダクトを多く発表しています。

その勢いは、巨大テック企業GAFAMの中で最大と言っても過言ではないほどです。

Metaが生成系AI市場でここまで存在感を発揮できるのは、Metaのオープンソース戦略にあるのかもしれません。

今回の記事では、Metaに焦点を当てて、これまでに開発したAIツールの紹介や、生成系AI市場でのゴール、そしてMetaの戦略について解説していきます。ぜひ、最後までご覧ください!

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目次

Metaが開発したAIプロダクト

MetaはとてつもないスピードでAIプロダクトを発表しています。

直近のLlama2を筆頭に、AI sandbox、Animeted Drawings、Segment Anything Model(SAM)などなど、大量にあります。

ここでは、その中でも3つ厳選をしてご紹介します。

Llama2

まず、外せないのはオープンソースで公開されたLlama2でしょう。

Metaが2023年7月19日に公開したLlama 2は、大規模な言語モデルで、商業的な目的での利用も許可されており、無償で提供されています。

Llama 2は7B、13B、70Bの3つのパラメータ数を持つバージョンが存在し、その高いパフォーマンスから、大いに期待されています。

前回、Metaが2023年2月に発表した初代Llamaは、パラメータ数がそれほど多くないにも関わらず、GPT-3と同等のパフォーマンスを示したことから、新たに公開されたLlama 2はGPT-4と同等のパフォーマンスを持つ可能性があると予想されています。

また、MetaはLlama 2の会話専用バージョン、Llama 2-Chatも同時にリリースしています。これはLlama 2を特別に調整したもので、ChatGPTと同様に、自然言語を用いた人間との対話を可能にすることを目指しています。

Llama 2の利用は、MicrosoftのクラウドプラットフォームであるAzureで優先的に可能となっていますが、AWSやHugging Facesなど他のプロバイダーでも利用可能です。

ただし、月間アクティブユーザーが7億人を超える製品にLlama 2を導入する場合は、Metaからライセンスを取得する必要があるとされています。

AI Sandbox

引用:https://www.facebook.com/business/news/introducing-ai-sandbox-and-expanding-meta-advantage-suite

次に紹介するのは、5月11日に発表されたAI Sandboxです。

AI Sandboxは、広告主向けの生成AI(ジェネレーティブAI)機能のテスト環境です。

同時に発表された、広告自動化ツール「Meta Advantage」と併せ、AIを使ってビジネス向け広告のパフォーマンスを向上させるツールになっています。

新しいツールや機能の初期バージョンをテストできる環境で、広告のテキストをより魅力的なものにしたり、広告クリエイティブの一部を改善したりすることが可能になります。

広告主が提供する広告コピーを基に、複数のバージョンのテキストを生成し、これにより、広告主は特定の客層に対して異なるメッセージを打ち出すことができます。

また、背景生成機能を用いて、テキスト入力から背景画像を生成することが可能です。広告主はより迅速にさまざまな背景を試すことができ、クリエイティブ資産を多様化することにもつながります。

AI Sandboxは現在、少数の広告主を対象に機能改善のためのフィードバックを収集しており、7月あたりからアクセスを徐々に多くの広告主に拡大し、今年後半にはこれらの機能の一部を製品に追加する予定です。

Animated Drawings

Animated Drawingsは4月14日にリリースされた、手描きのキャラクターをアニメーションに変換するAIツールです。

オープンソースプロジェクトとして公開されており、GitHubからダウンロード可能です。このツールは、物体検出、ポーズ推定、画像処理ベースのセグメンテーション手法を用いて、手描きの絵をデジタル化し、アニメーションにします。

また、Webベースのツール「Animated Drawings Demo」も公開されています。これは、クリエイターが絵をアップロードし、AIモデルが推定した結果を確認したり修正したりでき、アニメーションとして出力できるツールです。このツールのユーザーフローの一環として、データを研究に活用してよいとするオプションが用意されており、データセットの確保とモデルの改善を目指しています。

Animated Drawingsは、頭と体と手足がはっきりしていれば、かなり雑な落書きでもアニメーションに変換できます。また、ブラウザから無料で体験することができ、詳細なオプションを設定したい場合は、GitHubからダウンロードして利用することも可能です。

Segment Anything Model(SAM)

最後は、「Segment Anything Model(SAM)」です。

Segment Anything Model(SAM)は、画像内のあらゆる物体を識別するためのAIモデルです。

画像セグメンテーションという技術を用いて、画像内のさまざまな物体を識別します。例えば、果物が入った箱の写真がある場合、SAMは果物と箱を識別できます。

一般的なオブジェクトの概念を学習し、さまざまな画像や動画の中のあらゆるオブジェクトに対してマスクを生成することができます。これにより、写真内のオブジェクトをきれいに切り出すことが可能です。また、10億枚以上の高品質なデータセットを使って学習したことで、幅広いユースケースに対応できる汎用性の高さも特徴です。水中写真や細胞顕微鏡など、未知の領域の画像に対しても追加の学習なしですぐに適用できます。

また、Metaは「Segment Anything 1-Billion mask dataset(SA-1B)」という大規模データセットも公開しました。これは、権利問題がクリアでプライバシーが保護された約1,100万枚の画像をもとに作成されたデータセットで、11億以上の高品質かつ多様なオブジェクトを含んでいます。

これらのツールは、セグメンテーションの民主化を目指すとしてMetaが取り組んでいるSegment Anything Projectの一部で、ユーザーの視線に応じてオブジェクトを選択して操作する、コラージュや動画編集時に画像を抽出する、研究において動物や物体を認識し映像内で追跡するなど、幅広い市場や用/途での活用が期待されています。

このほかにもMetaは様々なAIツールを発表しています。

では、Metaがここまで多くのツールを開発している理由はなんでしょうか?

次に、Metaが生成系AI市場に力をいれる目的を探っていきます。

なお、GAFAMのAI事情について知りたい方はこちらをご覧ください。
AppleGPTが登場!?せっかくだからGAFAMの最新AI情報もまとめてみた

Metaが生成系AI市場に力をいれる目的

Metaがここまで生成系AI市場に力をいれる目的はなんでしょうか?Metaは、社名をFacebookから変更をしたことで、メタバースを事業の柱としている印象が強いと思います。

昨年10月末にMeta Quest Proを発表しました。これはビジネス利用を想定したVRヘッドセットで、VRやMRを活用したミーティングやコラボレーション作業、クリエイティブワークなどに威力を発揮します。

参考文献:「Meta Quest Pro」で仮想空間内の「Magic Keyboard」を使って文字入力!

しかし、Metaのメタバース収益化への道のりは遠く、企業体質や管理体制への批判が高まっているそうです。

業績の悪化

Metaがメタバースに参入を決めたのは、業績の悪化が理由の1つだと言われています。昨年時点で2四半期連続減収、株価70%超下落しており、ザッカーバーグCEOは22年7〜9月期の決算発表では以下のように発表しました。

「一部のチームは有意義に成長するが、その他のほとんどは来年にかけて変わらないか、縮小する」
「全体として2023年末の組織規模は、現在とほぼ同じか、若干縮小する見通しだ」

この業績の悪化には、主要事業であるFacebookからの減益があります。2021年3月に始まったAppleのプライバシー規制強化でユーザーデータの取得が困難になったことで、広告のターゲティング精度が低下し、広告主が離れてしまいました。

Metaは売り上げの98%が広告収益であり、影響が大きかったのです。

そのための活路として、メタバース参入を決めたのですが、前述したようにそれもうまく行っていない状況です。

これを受けて、業績を回復する次の手として、Metaは生成系AI市場に活路を見出しているとも考えられます。

生成系AI市場での目的

実はMetaは、OpenAIよりも早く独自のAIチャットボットを公開していました。

昨年、人間を相手にしてさまざまな話題の対話を自然言語で実行するチャットボットである「Blender Bot」をリリースしました。

続けて、ChatGPTが登場する2週間前には「Galactica」と呼ばれるAIチャットボットを公開しています。

しかし、爆発的に広まったGPT3.5とは異なり、どちらも世の中に広まることができず、むしろ誤った情報を出力することで大批判を受けてしまいました。そのため、Metaは高いAI技術を持つものの、これまで生成系AIで存在感を発揮できずにいたという状況です。

とはいえ、Metaは10年以上前からAI業界に力を入れていくことは公言しており、上記のAIプロダクトのリリースからも、まだまだこれからでしょう。

これを踏まえて、Metaが生成系AI市場で狙っていることは2つ考えられます。

  • 生成系AIとメタバースの融合
  • 生成系AI市場のリーダーになること

です。

1つずつ解説していきます!

生成系AIとメタバースの融合

まず、生成系AIとメタバースとの融合については、マークザッカーバーグ本人が言及しています。

「人々がメタバースに移行すれば、仮想アイテムを作るための生成系ツールが必要になるだろう」

と語ったそうです。

前述したように、Metaは社名を変更するほどメタバースに力を入れており、これまで多額の投資をしてきています。加えて、VR関連のハードウェアやソフトウェアのブランドであるOculusを買収したり、VRゴーグルをリリースしたりしており、メタバースにおいてはかなりアドバンテージがあります。

仮にMetaが生成系AIとメタバースを融合することができれば、他者にはない強みを獲得できるでしょう。

生成系AI市場のリーダーになること

Metaがもう一つ狙っていることは、生成系AI市場のリーダーになることです。メタバースとの融合を目指す過程で生成系AI市場でリーダーになることは必然です。

Meta社内では、AI搭載の製品を開発し、それを早くユーザーに直接届けることを目標としており、マークザッカーバーグはその技術の一部を、最終的にメタバースに取り入れたいと考えているそうです。

また、投資家との電話会議では「Metaのゴールの一つは、生成系AI市場のリーダーになるために研究を積み重ねること」と語っていたらしいです。

今回のLlama2の発表でMetaは生成系AI市場において大きく注目をされる存在となり、まずは生成系AI市場のリーダーになるという目標に着実に進んでいます。

参考文献:【大課題】なぜ、メタは生成系AIブームに乗り損ねたのか

しかし、昨年のAIチャットボットの失敗などがありましたが、Metaはどのような戦略で目標を達成しようとしているのでしょうか?

Metaの生成系AI市場における戦略

公式にMetaの戦略は公開されていませんが、これまでのMetaの動きやAIプロダクトから戦略を分析してみました。

OSS開発

結論から言うと、MetaはOSS(オープンソースソフトウェア)開発をしていくことで、市場で有利に立とうとしていると考えられます。

Metaはこれまで多くのAIプロダクトをオープンソース化してきました。例えば、先日公開したばかりのLlama2はオープンソースですし、既に紹介したAnimated Drawingsもオープンソースプロジェクトです。

他にも、Pythonベースの科学計算パッケージであるPytorchや、ユーザーインタフェース構築のためのJavaScriptライブラリであるReactなどが、オープンソースプロジェクトとして一般に公開されています。

プロダクトをオープンソースにする利点はいくつかあります。

1. コミュニティの力を利用できる:オープンソースは、世界中の開発者がプロジェクトに貢献することが可能です。これにより、新しい機能の追加やバグの修正が迅速に行われ、ソフトウェアの品質が向上します。

2. 透明性の確保:ソースコードが公開されているため、その動作を詳細に理解することができます。これは、ソフトウェアがどのように動作するか、または特定の問題がどのように解決されているかを理解する上で重要です。

3. カスタマイズの自由:オープンソースソフトウェアは自由にカスタマイズすることが可能です。これにより、特定のニーズに合わせてソフトウェアを調整することができます。

Llama2はまさにこの3つの利点が評価されており、現在多くのプログラマーがLlama2を利用して開発を行っています。

Googleの見解

Googleから流出した内部資料によれば、生成系AI市場のシェアを取るために必要なことは「オープンソース」だとされています。

参考文献:「オープンソースは脅威」「勝者はMeta」「OpenAIは重要ではない」などと記されたGoogleのAI関連内部文書が流出

Googleは、2023年3月にMetaが発表したばかりの大規模言語モデル「LLaMA」のデータが突如としてインターネット上に流出し、誰でもダウンロード可能な状態になったことを指摘しています。

流出はしてしまったものの、オープンソースのイノベーションのほとんどはMetaのアーキテクチャの上で起こっているので、Metaがその技術を直接自社の製品に取り入れることが可能になりました。

一方、競合となるOpenAIは、自社プロダクトをオープンソース化していません。これに対して、同じくオープンソース化していないGoogleは「オープンソースに対する姿勢においてGoogleと同じ間違いを犯している」とし、「Googleがオープンソースの選択肢を取ることで、OpenAIが姿勢を変えない限り、先手を打つことができる」と主張しています。

Googleですらもオープンソースの重要性を語っている中、既にいくつものプロダクトをオープンソースプロジェクトにしているMetaは大きくアドバンテージをとっているといえます。

先日、Llama2をTwitterで発表した際に以下のような発言をしていました。

「We believe an open approach is the right one for the development of today’s Al models.=私たちは、今日の Al モデルの開発にはオープンなアプローチが適切であると信じています。」

この発言からも、MetaがOSS開発を推進していくことで、生成系AI市場のリーダーになろうとしている可能性がかなり高いと考えられます。

各企業が生成系AI市場の覇権を握ろうとしている中で、MetaのOSS開発はその勝ち筋となるのか、今後のニュースに注目です。

参考文献:「オープンソースは脅威」「勝者はMeta」「OpenAIは重要ではない」などと記されたGoogleのAI関連内部文書が流出

なお、Googleが開発したAIについて知りたい方はこちらをご覧ください。
10分で分かるGoogle Gemini日本語版の使い方解説!最新活用事例10選も紹介

まとめ

Metaは、生成系AI市場での存在感を増すために、OSS戦略を採用してると考えられます。最近発表した大規模言語モデルLlama2をはじめ、AI SandboxやAnimated Drawingsなど、多くのAIプロダクトをオープンソース化しています。

これにより、世界中の開発者がプロジェクトに貢献し、ソフトウェアの品質向上や新機能の追加が可能となります。また、オープンソース化による透明性の確保とカスタマイズの自由は、ユーザーにとって大きなメリットです。

メタバースと生成系AIの融合を目指すMetaの戦略は、生成系AI市場のリーダーになることと、オープンソースの力を活用することにあります。

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投稿者

  • Hiromi Sai

    ChatGPTメディア運営 / テクニカルライター リベラルアーツ専攻。大学休学中は、Webマーケティング会社のマネージャーとしてライター、ディレクター100名のマネジメントをする。南米のチリとタイでの長期居住歴を持つ。

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