【CodeMender】AIが脆弱性を自動修正?Google発のAIエージェントを徹底解説

CodeMender AI 脆弱性 自動修正 Google発 AIエージェント 徹底解説
押さえておきたいポイント
  • Google発のAI搭載のコードセキュリティエージェント
  • Gemini Deep Thinkの高度な推論能力を活用し、ソフトウェアの深刻な脆弱性を自動で修正するよう設計
  • 2025年10月時点で研究開発中の技術であり、一般開発者が自由に利用できる形で公開はされていない

ソフトウェアの脆弱性を発見して修正する作業は、開発者にとって困難で時間のかかる課題です。従来の自動検出手法を使っても、すべてのバグを人間が対処するのは容易ではありません。

こうした状況の中、2025年10月6日にGoogle DeepMindが新しいAIエージェント「CodeMender」を発表しました!

CodeMenderは、大規模言語モデルを活用して、ソフトウェアのセキュリティ向上を自動化する画期的な取り組みとして注目を集めています。

高度なAIの力でコード中の脆弱性を自律的に見つけ出し、すぐさま修正パッチを作成・適用することで、開発者の負担を大きく軽減することを目指しているようです。

そこで本記事では、CodeMenderの特徴やライセンス情報、活用イメージをご紹介します。

ぜひ最後までご覧ください!

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目次

CodeMenderの概要

CodeMenderの概要
参考:https://deepmind.google/discover/blog/introducing-codemender-an-ai-agent-for-code-security/

CodeMenderはGoogle DeepMindが開発したAI搭載のコードセキュリティエージェントです。

最新の大規模言語モデルであるGemini Deep Thinkの高度な推論能力を活用し、ソフトウェアの深刻な脆弱性を自動で修正するよう設計されています。

このエージェントは、単に既知のバグに対処するだけでなく、コード全体を調べて、将来起こり得る脆弱性の根本原因を取り除くことにも注力しています。言い換えれば、CodeMenderは「リアクティブ(事後対応)」と「プロアクティブ(予防対応)」の両面から包括的にコードセキュリティを強化する画期的なアプローチを取っています。

リアクティブな側面では、新たに発見された脆弱性にすぐにパッチを適用し、被害を未然に防ぐことができます。

一方、プロアクティブな側面では、既存のコードを安全な構造やAPIに書き換えることで、バッファオーバーフローなど脆弱性のクラスごとコードベースから根絶することを目指しています。

例えば、DeepMindは、CodeMenderを用いて画像圧縮ライブラリlibwebpのコードにセーフティアノテーション(-fbounds-safety)を追加するデモを行い、将来的にバッファオーバーフロー攻撃が不可能になることを確認しています。

このアプローチによって、CodeMenderは、「発見された脆弱性をすぐ直すことができる」と同時に、「潜在的な弱点を予防する」役割を果たしています。

CodeMenderの特徴

CodeMenderの大きな特徴は、高度なAIモデルの「思考力」と伝統的なプログラム解析ツールを組み合わせた自律型エージェントである点です。

単一のLLMではなく、様々な専門ツールを駆使して、コードの状況を深く理解・検証しながら修正を行います

まず挙げられるのが、深い根本原因分析(Root Cause Analysis)能力です。

CodeMenderは、Geminiという強力なLLMの推論力を用い、静的解析、動的解析、差分テスト、ファジング、SMTソルバーといった高度なプログラム解析技法を組み合わせて、脆弱性の本質的な原因を突き止めます。表面的なエラー症状だけでなく、バグを引き起こしたコードパスや、データフロー上の深層的な欠陥まで洗い出すため、修正もより確実になります。

次に、自動パッチ生成と自己検証(Self-validated Patching)です。

CodeMenderは、検出した問題に対して最適な修正コードを自律的に生成し、直接コードに適用します。しかし、コードセキュリティにおいて修正自体が新たな不具合を生まない保証が重要です。そこで、このエージェントは“批評家”役のサブエージェントを使った入念なチェックを行います。

具体的には、LLMベースのクリティークツールが修正前後のコード差分をハイライトし、機能やセキュリティに悪影響がないか考えます。

さらに、LLMジャッジと呼ばれる自動レビュー機構で、提案パッチが機能面でも退行(レグレッション)を引き起こしていないか、スタイルガイドに反していないか、セキュリティ的に本質的な問題を解決できているかといった多面的な基準で検証されるのが特徴です。

このように、CodeMenderは、マルチエージェントシステムとして動作し、必要に応じて自ら問題点を修正するセルフコレクション(自己修正)も行います。

検証過程で何らかのエラーやテスト失敗を検知すると、エージェント自身がフィードバックをもとにパッチを改良し、再度検証を実施します。最終的に品質基準を満たした高品質なパッチだけが、人間のレビューに回される設計になっているので、重大なミスが人の目に触れる前に排除されるような仕組みになっています。

CodeMenderのライセンス

現在、CodeMenderは研究開発中の技術であり、一般開発者が自由に利用できる形で公開はされていません

そのため、明確なライセンス形態もまだ公表されておらず、現時点では、ユーザーがソースコードやツールを入手して利用するといったことはできません

ただし、Google DeepMindの公式発表によれば、「いずれすべての開発者が利用できるツールとしてCodeMenderを公開したい」と述べられており、将来的にはオープンソースあるいは無料ツールの形で提供される可能性が高いと考えられます。

CodeMenderの活用イメージ

CodeMenderの活用イメージ
参考:https://deepmind.google/discover/blog/introducing-codemender-an-ai-agent-for-code-security/

CodeMenderは、単一の脆弱性修正にとどまらず、開発フロー全体にも価値をもららすと考えられます。実際に活用できそうなシーンを3つご紹介します。

OSSメンテナンスの自動化

CodeMenderを活用することで、OSS内の依存関係やコードを定期的にチェックし、危なそうな書き方を見つけたら、安全な書き方に直した提案を自動で作ってくれるようになると思います。

テストやビルドも先に通してくれるので、内容を確認して、問題なさそうであればそのまま反映する。といったことも可能になりそうです。通知に追われることなく、運用保守の負担を軽減できます。

企業内のレガシー刷新

例えば、古いC/C++コードにある危ないAPIや初期化の漏れなどを見つけて、影響範囲を確認しながら、安全な形式やAPIへ少しずつ置き換えることもできると思います。

停止しづらいサービスでも、小規模な修正を積み重ね、動作確認まで自動で支援してくれるため、無理のないペースで堅牢化を進めることができます。大掛かりな作り直しを避けられるのがメリットですね。

CI/CDでの継続的な防御

例えば、プルリクが出たら差分をすぐに確認して、「どこが心配か」「どう直せるか」を根拠とともに教えてくれるようにできると思います。

夜間に全体を自動スキャンしておくと、問題の発見から修正までが早くなって、ゼロデイ攻撃などのサイバー攻撃に狙われるまでの時間を最小化することができます。そのため、開発者は安心して新機能開発に集中できるようになります。

まとめ

CodeMenderは、AI技術によってソフトウェアの安全性を確保する革新的なエージェントです。

自動で脆弱性を発見・修正し、さらには将来的な問題を予防するというアプローチは、従来の手法にはなかったスピードと包括性を備えています。

特徴のセクションで紹介した通り、CodeMenderはLLMの性能と高度なプログラム解析を組み合わせ、人間さながらの判断力賢さでコードの不具合を修正します。

性能面でも、修正パッチの質や適用プロセスの信頼性で高い評価を得ており、AIが生成したコードが現実のプロダクトで採用される時代が到来しつつあることを感じさせてくれます。

今後の情報アップデートにも期待が高まりますね。

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最後に

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  • WEEL Media部

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