【Qwen3‑MT】92言語を高速・高精度に繋ぐ次世代翻訳LLMを徹底解説!

Qwen3 MT 92言語 高速 高精度 繋ぐ 次世代 翻訳LLM
押さえておきたいポイント
  • Qwen3ファミリーの翻訳タスク向け派生モデル
  • 92言語対応と翻訳メモリ機構で実務レベルの契約書の翻訳も高品質化
  • Apache 2.0ライセンスで改変・再配布・商用利用も自由

2025年7月25日、アリババ・クラウドは多言語翻訳に特化した最新モデル「Qwen3‑MT」をリリースしました!

Qwen3-MTは、Qwen3ファミリーの技術をそのまま受け継ぎつつ、翻訳タスク専用に数兆規模の多言語・対訳トークンで追加学習が行われたモデルです。

従来モデルでは難しかった専門用語やドメイン固有表現の再現、文脈に沿った語調コントロールといった課題を解消しているとのこと。

最大の特徴は、対応言語92言語のカバー範囲の広さと、用語介入・ドメインプロンプト・翻訳メモリという3つのカスタマイズ機構を標準装備している点です。

本記事では、Qwen3-MTの性能や料金プラン、使い方まで徹底解説します!

ぜひ最後までご覧ください。

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目次

Qwen3-MTの概要

Qwen3‑MTは、Qwen3シリーズの「thinking / non‑thinkingモード統合フレームワーク」を翻訳タスク向けに最適化した派生モデルです。

参考:https://huggingface.co/spaces/Qwen/Qwen3-MT-Demo

学習データには、ニュース・法律・ITドキュメントなどの複数ドメインのパラレルコーパスを含んだ数兆トークン規模のデータセットを採用し、強化学習による品質チューニングもなされています。

対応言語は、インド・ヨーロッパからシナ・チベット語、アフロ・アジア各国語まで計92言語で、世界人口で換算すると95%以上をカバーしています。

用語介入という機能では、ユーザー定義の辞書をすぐに反映することができて、ドメインプロンプト機能では、契約書や医療レポートのような専門ジャンルに合わせてスタイルや訳語選択を調整することが可能となっています。

さらに、翻訳メモリ機構を備えていて、同一/類似文の翻訳をする際に、一貫した出力をしてくれます。

また、推論APIは、OpenAI互換のエンドポイントでも提供されているため、既存の翻訳ワークフローにかんたんに組み込める点も魅力ですね。

Qwen3-MTの性能

公式ブログの自動評価では、中英・英独の「WMT24ベンチマーク」と「社内多ドメインセット」で測定が行われています。翻訳されたテキストが参照翻訳とどれだけ一致しているかを数値で表す「BLEU」、機械翻訳における学習可能な⾃動評価尺「COMET」の双方で、GPT‑4.1‑mini・Gemini‑2.5‑FlashQwen3‑8Bを軒並み上回りました。

参考:https://qwenlm.github.io/blog/qwen-mt/

また、GPT-4.1やGemini-2.5-Proなどの大型モデルと比べても、数ポイント以内のスコア差に収まっており、翻訳レイテンシは、軽量なMoE構造によって約30〜40%短縮されています。

さらに、中国語・英語・日本語・アラビア語など10言語におけるプロの翻訳者によるダブルブラインドという試験も行われており、「受容率」「優秀率」いずれも最高値をマークしています。

Qwen3-MTの強みは、専門用語を多く含んだ医療や法律ドメインで、誤訳率が従来モデル比で約35%減っている点です。こうした結果から、Qwen3‑MTは「大規模言語モデル並みの品質」と「中小規模モデルの実行コスト」を両立した新たな選択肢と言えそうです。

なお、大規模言語モデルについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

Qwen3-MTのライセンス

Qwen3‑MTは、他のQwen3シリーズと同様に、Apache License 2.0で公開されています。

つまり、商用サービスへの組み込みやモデルの再学習、改変した派生物の再配布まで幅広く許可されている点が特徴です。一方で、もしAPI経由で利用する場合は、Alibaba Cloud Model Studioの利用規約に従う必要がありますので注意しましょう。

利用用途可否
商用利用⭕️
改変⭕️
配布⭕️
特許使用⭕️
私的使用⭕️
参考:https://github.com/QwenLM/Qwen3

Qwen3-MTの料金プラン

Qwen3-MTの公式APIには、品質重視のqwen‑mt‑plusと、速度・コスト重視のqwen‑mt‑turboの2つが用意されています。どちらも月間50万トークンの無料枠が付与されるので、小規模検証から始められるのがありがたいですね。

特にturboプランは、出力100万トークンあたり0.49ドルと、従来の汎用LLM翻訳のAPI料金と比較しても破格となっています。

スクロールできます
プラン入力価格(USD/百万トークン出力価格(USD/百万トークン)最大入力最大出力無料枠
qwen‑mt‑plus2.46ドル7.37ドル2,048トークン1,024トークン500,000トークン(180日間)
qwen‑mt‑turbo0.16ドル0.49ドル2,048トークン1,024トークン500,000トークン(180日間)
参考:https://www.alibabacloud.com/help/en/model-studio/machine-translation

翻訳は入出力両方でトークン課金されるため、長文を大量に扱う場合はコスト最適化も重要です。APIコールの設計次第で課金額が大きく変わる点を押さえておきましょう。

Qwen3-MTの使い方

Qwen3-MTの使い方は、「デモサイト」「OpenAI互換エンドポイント」「DashScope Python SDK」など様々ですが、今回はデモサイトとDashScope Python SDKでの利用方法と簡単な実行例をご紹介します。

デモサイト

HuggingFaceデモサイトModelScopeデモサイトアリババクラウドModel Studio(アカウントが必要)と3つ選択肢があります。HuggingFace経由の方法が1番お手軽で簡単に試すことができます。Alibaba Cloud Model Studioでの利用にはアカウントが必要ですが、翻訳結果と合わせてトークン使用量なども確認できるため、本番に近い形で試したい方はアリババクラウド経由での方法をおすすめします。

代表して、HuggingFaceデモサイトはこんな感じ。

下部にあるExsamplesの中から選択するだけで翻訳されます。

Source Language、Target Languageタブをクリックすると、92言語をプルダウン形式で選択することができます。

長文の翻訳にも問題なく対応できます。

日常シーンであれば、このHuggingFaceデモサイトで十分に対応可能です。

DashScope Python SDK

まずは、DashScope APIを取得する必要がありますので、Alibaba Cloud Model Studioコンソールへログインします。初めてアクセスする場合は「Activate Model Studio」をクリックして無料枠を有効化してください。

上記画像のあと、Model Studioコンソール → Playground → APIキーページでActivateを有効化すると、以下画像のように新規APIキーを作成できます。

「View」 をクリックすると1回だけキー全文が表示されます。クリップボードへコピーして安全なパスワードマネージャー等に保存してください。(※画面を閉じると二度と全文は見られなくなり、新規発行が必要になります。)

キーはデフォルトで無期限になっていますが、不要になったら「Delete」 を押して削除しておくと安心です。

APIキーの取得が完了したら、任意の環境で以下コマンドを実行してSDKを用意します。

pip install dashscope

 続いて、以下のようにbase_urlとapi_keyを指定してクライアントを生成し、実行します。

import dashscope

dashscope.base_http_api_url = 'https://dashscope-intl.aliyuncs.com/api/v1'
dashscope.api_key = "sk-xxxxxxxxxxxxxxxx"   # あなたのAPIキー

msg  = [{"role": "user", "content": "翻訳したい原文をここに入力"}]
opts = {"source_lang": "auto", "target_lang": "English"}

resp = dashscope.Generation.call(
    model="qwen-mt-turbo",
    messages=msg,
    result_format="message",
    translation_options=opts
)
print(resp.output.choices[0].message.content)

今回は「翻訳したい原文をここに入力」をそのまま英語翻訳した結果「Enter the original text you want to translate here.」が出力として返ってきています。

無事に疎通確認が取れたので、デモサイトでも試した1,000文字程度の長文を翻訳させてみます。ちなみに長文は米国移民局(USCIS)公式サイトのスペイン語版学習資料ページから参照しています。

import dashscope

dashscope.base_http_api_url = 'https://dashscope-intl.aliyuncs.com/api/v1'
dashscope.api_key = "sk-xxxxxxxxxxx"   # あなたのAPIキー

msg  = [{"role": "user", "content": "Preguntas de educación cívica del Examen de Naturalización A continuación encontrará 100 preguntas y respuestas de educación cívica (historia y gobierno de EE.UU.) del examen de naturalización. El examen de educación cívica es un examen oral durante el cual el oficial de USCIS le hará 10 de estas 100 preguntas. El solicitante debe contestar correctamente 6 de las 10 preguntas para aprobar la sección de educación cívica del examen de naturalización. En el examen de naturalización, algunas respuestas varían y pueden cambiar por motivo de elecciones o nombramientos. Los solicitantes deben tener conocimiento de las respuestas actuales a estas preguntas. Los solicitantes deben contestar estas preguntas con el nombre del oficial o funcionario que sirve en el puesto al momento de su entrevista con USCIS. El oficial de USCIS no aceptará una respuesta equivocada. Aunque USCIS reconoce que podría haber otras respuestas correctas a las 100 preguntas sobre educación cívica, recomendamos al solicitante responder usando las respuestas que se proveen aquí."}]
opts = {"source_lang": "auto", "target_lang": "Japanese"}

resp = dashscope.Generation.call(
    model="qwen-mt-turbo",
    messages=msg,
    result_format="message",
    translation_options=opts
)
print(resp.output.choices[0].message.content)

今回はスペイン語を自動検出して、難なく日本語へと翻訳してくれました。精度もいい感じです。

さらに専門的な内容であったり、実務レベルの契約書などのテキストも精度高く翻訳してくれると思います。

なお、生成AIを利用した自動翻訳の活用法について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。

まとめ

Qwen3-MTは、92言語対応というカバー範囲の広さに加え、用語介入・ドメイン最適化・翻訳メモリという3つの武器を持ったモデルです。

Apache 2.0ライセンスでオンプレ運用も可能で、APIコストも低く、180日間の無料枠まで用意されています。実務レベルの契約書、技術ドキュメント、字幕制作など幅広い用途で使えそうですし、MoE構造による高速推論は、もしかしたらスマホアプリやチャットボットなどのリアルタイム性が求められる場面でも威力を発揮してくれるかもしれません。

気になる方は、本記事を参考にぜひ試してみてください!

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最後に

いかがだったでしょうか?

Qwen3-MTは実務レベルの翻訳、専門ドメインが必要なシーンでの翻訳にも適したモデルです。

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投稿者

  • WEEL Media部

    株式会社WEELが運営する生成系AI関連メディア「生成AI Media」は、AIの専門家によるWebメディアです。 AIに特化した編集部がAIの活用方法、導入事例、ニュース、トレンド情報を発信しています。

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