「ワンオペ解雇」の原作者に聞いてみた!生成AIを活用したヒット小説の”意外な”作り方
企業のIT面を支える情シススタッフのみなさんなら、『え、社内システム全てワンオペしている私を解雇ですか?』をご存知ですよね!バナー広告に出てくる、優秀なコスプレエンジニアの漫画です!
この度はその原点、つまり小説版『ワンオペ解雇』の著者である、下城米雪(かしろめ・ゆき)さん(@naro_shogakusei)へのインタビューが実現!その内容を、記事2本立てでお届けしていきます。
その前半となる当記事では、『ワンオペ解雇』の制作秘話からお聞きしていきます。
クリエイターはもちろん、情シススタッフも必見の記事です!ぜひ、最後までお読みください。
後編はこちらからご確認ください!
今回は『ワンオペ解雇』の作者・下城米雪さん!
今回インタビューさせていただくのは、下城米雪(かしろめ・ゆき)さん。企業のIT部門に勤める傍ら、大人気作品である……
「小説家になろう」のヒューマンドラマジャンル、Kindleストアのライトベルジャンルでそれぞれ1位を獲得した大人気ライトノベル。現在、コミカライズ版も販売中!
を手掛けた作家さんです!しかも、こちら『ワンオペ解雇』の制作にあたっては……
小説のタイトルとあらすじを分析し、投稿サイト「小説家になろう」「カクヨム」における読者の評価を予測してくれるAIツール
→なろうRaWiのサイトはこちら
なろうRaWiというAIツールを開発!タイトルや本文の執筆に役立てていらっしゃいます。
何を隠そう、こちらの『ワンオペ解雇』は今、WEEL社内で大流行中!会社で購入して、スタッフ一同で読ませていただいています。
ということで下城米さん、本日はよろしくお願いします!
こちらこそ、よろしくお願いします!
早速なんですけど、下城米さんのほうから自己紹介をいただいてもよろしいでしょうか?
小学生(概念)です!
おぉ……X(旧Twitter)の雰囲気そのままなんですね。
そうです。X(旧Twitter)では世界平和を願ってますね。
学業(概念)と両立しながら執筆した『ワンオペ解雇』
まずは下城米雪さんの小説家としての活動内容から、詳しく掘り下げていきます。気になる学業(概念)とのペース配分について、さっそくお聞きしていきましょう!
学業(概念)と執筆活動のペース配分
下城米さんは学業(概念)と執筆活動の両立は難しいかと思いますが、どのようなペース配分を取っていらっしゃいますか。
難しいことは何もしてないです。毎日、空き時間を使って普通に執筆しています。1日が24時間あって、学業(概念)は、せいぜい8時間じゃないですか。あと16時間も残ってますから、楽勝です。
お答えいただき、ありがとうございます!
小説執筆での生成AI活用法
下城米さんは小説の執筆でも、生成AIを使っていらっしゃいますか?
はい。ただ現段階では、小説の企画に使うぐらいですかね。
小説の方向性を決める際、ときたま生成AIに頼るんです。その先の執筆については、まだ期待に耐えうるモデルが出てないので、自分でやっちゃいますね。
やっぱり、流れを考えるのが一番難しいんですよ。
なるほど。ちなみにお使いの生成AIは、ChatGPTなんでしょうか?そうだとしたら、GPT-3.5かGPT-4のどちらが便利なんですかね。
私はChatGPTユーザーで、主にGPT-3.5を使ってますね。
それは、GPT-4よりもGPT-3.5のほうが生成速度で勝っているからでしょうか?
そうです。それに小説執筆の場合に限ると、GPT-3.5とGPT-4とでクオリティがあまり変わらないので。
確かにそうかもしれませんね。新しいことを調べる場合はGPT-4のほうがが圧倒的なんですけど、創作の場合はあまり変わらないかもです。
作中「真のプログラマ塾」について
そういえば下城米さんの著書『ワンオペ解雇』関連で、お聞きしたいことがあります!
はい、何でしょうか?
作中「真のプログラマ塾」では、Pythonコードを平易な文章に変えて教えるくだりがあったと思うんです。これって、下城米さんの実体験に基づく教え方だったりしますか?
はい!後輩がたくさんいますので、何回か教えを繰り返していくうちにたどり着いた最適解ですね。
やっぱり、そうだったんですね!
僕もJavaScriptを初心者さんに教える際、その方法で教えたことがあるんですよ。だからITエンジニアは皆、同じ考え方にたどり着くのかなということで印象に残りましたね。
言うなれば、プログラミングはプログラミング言語への翻訳ですもんね。日本語を英語にするのと同じ感覚です。
確かに!だからLLMとも結構相性がいいのかな、と思ったりもしました。
「えがおー(๑˃̵ᴗ˂̵)」はライフハック
『ワンオペ解雇』の小説第1巻を読んでいて感じたことなんですけど……
「プログラミングを楽しく学ぼう」という考えが作品の背景にあるなと。あとX(Twitter)のほうでも、たびたび「えがおー(๑˃̵ᴗ˂̵)」と投稿なさってますよね。
はい!
それって全部、下城米さんの人生観に基づくものなんでしょうか?
どちらかというと、ライフハックですね。
モヤモヤした気分のときにSNSがあると、書かなくてもいいことまで書きそうになっちゃうじゃないですか。そんなときに一言「えがおー(๑˃̵ᴗ˂̵)」と投稿しちゃえば、モヤモヤがすべて消えますね。
これ、炎上しないためのライフハックです!おすすめなので、明日から試してみてください。
じゃあ僕も、「えがおー(๑˃̵ᴗ˂̵)」って投稿しちゃおうかなぁ……
いいですよ。TLをニコニコさせましょう!
なろうRaWiについて
続いて、下城米雪さんが手掛けたAIツール「なろうRaWi」について、開発に至った経緯をお聞きしていきます。まずはその動機から、詳しくお答えいただきましょう!
なろうRaWiの開発動機
作家活動から派生して、「なろうRaWi」についても質問があります。なろうRaWiを開発された動機について、お教えいただいてもいいですか?
はい!自分の小説を本気でヒットさせたいなと思い、開発に至りました。
執筆活動のほうが先だったんですね。もっと詳しくお聞きしても?
当初は小説投稿サイトのランキングを徹底的に研究していたんですよ。そうすると、ランキングがとにかく読みにくい。UIが見づらかったり同じ作品ばかりが並んでいたりと、とにかく不満点がありましたね。
そこでAIにヒットしそうな小説を探してもらおうと思い至り、なろうRaWiを開発しました。いろいろあって最終的には、タイトルとあらすじを評価するツールになってますけどね。
なるほど、そうだったんですね!
なろうRaWi開発の流れ
なろうRaWiの中身についても、可能な範囲でお話を伺いたいです!
まずモデルの学習データは、投稿サイト「小説家になろう」のAPIから集めてこられたのでしょうか?
そうです!規約でスクレイピングが禁止されているので、そこは準拠してAPIを使っています。日々APIから情報を取得・保存して、定期的にモデルを更新しているんですよ。
そうなんですね。なろうRaWiのAIモデルは、ゼロから開発なさったんでしょうか?それとも既存のLLMがベースになっているとか……
難しい質問ですね。脆弱なサーバーでも動くものを探していたので、いろんなモデルを組み合わせたり改造したりしていました。だから、CPUでもかろうじて動きますよ。
どちらかというと、データ処理の部分にいろんな工夫がありますね。
ありがとうございます。今までのお話をまとめると、ご自身のなかに問題解決への強い意欲があって、創意工夫の果てになろうRaWiが出来上がっていたと。そういうことですよね!
そのとおりです。かっこいい言い方をすると「嫌だなって思ったことを放置しなかった」わけですからね。
自分が不満を感じなくなるものをつくろうとしたら、もっといいのができちゃったんです。ITエンジニアらしいですよね。
確かに、エンジニア冥利に尽きる瞬間です!
なろうRaWiの機能について
『ワンオペ解雇』のタイトルも、なろうRaWiに相談して決められたんですよね。
まさにその通りです!AI発案のタイトルでヒットするって、たぶん世界初のことだと思いますよ。
すごい!そのRaWiの機能って、リリース当初はどんなラインナップだったんですか?
もともとは、作品ランキングの最新情報だけでした。
ですので、あとから機能を追加していきましたね。
そうなんですね。
当初は小説投稿サイトよりも見やすいランキングを作ることが、目標だったんです。ただ、ランキングのほうはユーザー受けしなくて消えてしまいましたね。
だから今は、タイトル診断がなろうRaWiのメイン機能になっています。
悔しい思いを経験なさった上で、世の中に評価されるものを作っていらっしゃるんですね。
そうなんですよ。
なろうRaWiを共同開発した相棒
そういえば、なろうRaWiって下城米さんがおひとりで開発なさったんですか?
いいえ。私1人で開発してたわけじゃなくて、もう1人の友達と共同で進めていますね。
ちょうど『ワンオペ解雇』の鈴木くんみたいな、相棒がいらっしゃるんですね。
その2人体制の共同開発って、どういう分担で進めていったんですか?
タイトル診断機能のAIは相棒が開発しました。それ以外は全て私です。
なるほど。下城米さんはフロントやサーバー周りを担当したわけですね。
はい、その通りです。
RaWiにはタイトルを生成する機能もありますよね。このAIは下城米さんの担当なんですか?
はい、それは私が作りました。
そうなんですね!てっきり分業形式でAIと他の部分が綺麗に別れていると思ってました。
分業というよりは、競争の感覚ですね。AIについては、ほぼ同時に着手して、良かったほうを採用する感じでした。タイトル診断については、相棒に勝てなかった……
良い関係性ですね。ツーカーな感じがすごく良いです!
まさに個人開発って感じの環境ですよね。
学校のほうも、その個人開発を推奨してくれているのがまた良いなぁ……
生成AI時代のクリエイターのあり方
小説家として絶賛ブレイク中の下城米雪さんに、創作分野の未来についても予想していただきます。今後、生成AI・汎用人工知能(AGI)はどのように活躍していくのでしょうか?
生成AI時代の創作活動
今後、創作の世界でも生成AIが台頭することってあり得ますかね?
それについては、生成AIの台頭でより創作が捗ると思います!
例えば現時点のなろうRaWiだと、タイトルとあらすじの評価を返すだけですよね。評価の意味は、人間が考えないといけないんです。
それが生成AI時代になってくると、適当な思いつきを入力するだけでアイデアがもらえるんじゃないかなと思ってます。見落としている点を生成AIが教えてくれて、それがアイデアにつながる感じですね。
最近だと、ChatGPTを執筆に活用した小説が芥川賞を受賞していましたよね。
『東京都同情塔』ですね。
だから生成AIを使いこなせている方は、やっぱりアイディアをもらってるんじゃないかなと思います。
汎用型人工知能は「天才クリエイター」
では、生成AIの進化形・汎用型人工知能(AGI)が台頭した場合はどうなんでしょうか?
私は、AGIと人間を区別していません。だからAGIという名の作家が誕生するんだと思います。
世の中には多くの天才クリエイターが存在しますが、その中にAGIが加わるイメージですね。
なるほど!それなら、AGIだけで作品が完成する事例とかも出てきそうですよね。
大いにあり得ると思います。
そこまで進歩しちゃうと、もはや人間の入る余地ってありませんよね。生身のクリエイターはどうなってしまうのでしょうか……
AGIが優れた作品を出したとしても、他の作品が無価値になることはありませんよね。だから、今まで通りだと思いますよ。
ただ、AGIを使うことで、クリエイターの生産性は格段に向上すると思います。アナログに拘る方にとっては、厳しい時代になるでしょうね。
次回「生成AI時代の情シス」について聞いてみた!
今回は下城米雪さんへのインタビューの前半、『ワンオペ解雇』の制作秘話をお届けしました。生成AI時代への洞察やSNSのライフハック「えがおー(๑˃̵ᴗ˂̵)」など、元気がもらえる内容でしたね。
さて次回はインタビューの後半!ITエンジニアとしても活躍中の下城米雪さんに、「生成AI時代の情シスのあり方」をお聞きしていきます。
こちらからご確認ください!
最後に
いかがだったでしょうか?
弊社では
・マーケティングやエンジニアリングなどの専門知識を学習させたAI社員の開発
・要件定義・業務フロー作成を80%自動化できる自律型AIエージェントの開発
・生成AIとRPAを組み合わせた業務自動化ツールの開発
・社内人事業務を99%自動化できるAIツールの開発
・ハルシネーション対策AIツールの開発
・自社専用のAIチャットボットの開発
などの開発実績がございます。
まずは、「無料相談」にてご相談を承っておりますので、ご興味がある方はぜひご連絡ください。
➡︎生成AIを使った業務効率化、生成AIツールの開発について相談をしてみる。
「生成AIを社内で活用したい」「生成AIの事業をやっていきたい」という方に向けて、生成AI社内セミナー・勉強会をさせていただいております。
セミナー内容や料金については、ご相談ください。
また、サービス紹介資料もご用意しておりますので、併せてご確認ください。