【IDM-VTON】バーチャル試着ができる有能AIの性能を徹底解説!試着してみた感想も紹介!

IDM-VTON バーチャル試着 有能AI 性能 徹底解説 試着してみた感想 紹介

WEELメディア事業部リサーチャーのいつきです。

突然ですが、みなさんはバーチャル試着用生成AIIDM-VTON」をご存知でしょうか。IDM-VTONは、人物モデルと服装の画像をそれぞれアップロードするだけで、バーチャル試着体験ができる便利なAIです。

ユーザーは実際に試着することなく、さまざまな服装を試せるので、今後はブティックを中心にファッション業界で普及していくでしょう。

今回の記事では、IDM-VTONの概要やその仕組みについて掘り下げて解説していきます。

最後までお読みいただくと、今後のファッション業界で広く普及していくであろうAI技術をいち早く知れるので、新規・既存問わずさまざまな事業に活かせるかもしれません。

ぜひ最後までご覧ください。

目次

バーチャル試着用生成AI「IDM-VTON」とは?

参考:https://idm-vton.github.io/

バーチャル試着用生成AI「IDM-VTON」は、その名のとおり、人物モデルと服装の2枚の画像を用意するだけでバーチャル試着体験ができるAIです。画像を選んでアップロードするだけなので、難しいプロンプト入力などは必要ありません

なお、上記の画像は、モデルに着せている衣服に一貫性があることを示しています。トップスのデザインをすべて同一にできているので、それぞれの比較が容易です。

自分が実際に試着することなく、その服装が似合うかどうかを判断できるので、オンラインショッピングが主流になりつつある現代にピッタリの技術といえますね!

IDM-VTONを構成する3つのパーツ

参考:https://idm-vton.github.io/

IDM-VTONは、以下3つのパーツが構成しています。

  • 人物画像を生成する「TryonNet」
  • 衣服の重要な特徴を反映する「IP-Adapter」
  • 衣服のその他特徴を反映する「GarmentNet」

これら3つのパーツがそれぞれ補完し合うことで、バーチャル試着体験を可能にしているというわけです。

以下でそれぞれのパーツの役割を詳しく解説していくので、仕組みが気になる方はぜひ参考にしてみてください。

人物画像を生成する「TryonNet」

「TryonNet」は、人物画像を処理するメインのUNetです。人物画像の潜在変数のノイズ潜在変数をセグメンテーションマスク・マスク画像・Denseposeに連結させています。

また、この後紹介する「IP-Adapter」から衣服に関する情報を受け取っているのも特徴。衣服のその他特徴を反映する「GarmentNet」からも情報を受け取り、最終的な生成画像に特徴を反映させているのも「TryonNet」です。

複数の役割があり理解が難しいところですが、結局のところIDM-VTONの機能をメインで支えているのが「TryonNet」だということだけは覚えておいてください。

衣服の重要な特徴を反映する「IP-Adapter」

「IP-Adapter」は、衣服の重要な特徴を反映するための画像プロンプトアダプタです。衣服に関するプロンプトを処理したあと、「TryonNet」にその特徴を情報として伝える役割を担っています。

また、ユーザーの体の姿勢を正確に予測し、その姿勢に合わせて服の画像を調整する役割があるのもポイント。衣服の細かな特徴や後術する「GarmentNet」の役割ですが、衣服の特徴をメインで形作っているのは「IP-Adapter」です。

衣服のその他特徴を反映する「GarmentNet」

「GarmentNet」は、「IP-Adapter」の対応範囲外にあたる、衣服の細かな特徴を反映しているネットワークです。服のシワや影を自然な見た目にするなど、本当に細かい部分の調整を担当しています。

なお、「GarmentNet」で衣服の特徴を反映したあとは、「TryonNet」にその特徴を伝えているのがポイント。この工程を経て、最終的に生成画像を出力しています。

なお、大規模言語モデル(LLM)の仕組みについて詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。

IDM-VTONの従来比ですごいところ

IDM-VTONの従来比ですごいところは、画像の忠実度と信頼性が大幅に向上している点です。従来モデルとの違いがわかりやすいよう、公式ページでも4つの組み合わせで生成画像を比較していました。

参考:https://idm-vton.github.io/

上記画像を見ればわかるとおり、従来モデルは人物の特徴は反映できているものの、衣服の特徴が反映できていないものがほとんどです。1番左の「HR-VITON」においては画像がぼやけてしまっています。

一方、IDM-VTONは人物モデル・衣服の両方をほぼ正確に反映できているといっても過言ではありません。

従来モデルは高い忠実度と細部の保存の両方を達成するのに苦労していましたが、IDM-VTON は衣服と人物の両方の画像に詳細なテキストプロンプトを提供することで、生成画像の完成度を高めています。

なお、生成AIに対する効果的なプロンプトを詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてお読みください。

IDM-VTONのライセンス・料金体系

IDM-VTONのライセンスは「CC BY-NC-SA 4.0 license.」に基づいて提供されています。

「IDM-VTONのライセンス」とは、直訳すると「表示 – 非営利 – 継承」という意味で、商業的な利益を伴わない学術研究および実用的な説明目的のためのみ使用してよいということです。※1

つまり、IDM-VTONは現状商業目的で使用することは許可されていません。

なお、IDM-VTONは現状、無料と有料2つの料金プランが存在するので、予算や機能を考慮して好きなほうを選べます。

以下にそれぞれの料金プランの違いをまとめました。

プランFreeAdvanced
料金無料19ドル/月
特典バーチャル試着体験
4モデル
全身
無制限の使用
Outfit Anyoneのフル機能
フェイススワップ
高品質
高い正確性
独自のモデルをアップロードする
背景の交換
衣服に対する要求が低い
スーツに最適
全身

バーチャル試着体験だけなら無料プランで十分できますが、有料プランはさらに高品質で画像を生成できたり、便利な機能を多数搭載していたりします。

まずは無料プランで使い勝手を確認し、気に入ったら有料プランに切り替えるのがおすすめです。

IDM-VTONを使ってバーチャル試着してみた!

筆者も実際にIDM-VTONを使ってバーチャル試着を試してみたので、使い方を共有していきます。

使用手順は以下のとおりです。

  1. 衣服の選択
  2. 人物写真のアップロード
  3. 試着画像の生成

なお、無料版なら、登録不要かつPlaygroundで手軽に試せるのでおすすめです。

以下でさまざまな組み合わせで試した結果を共有するので、ぜひ参考にしてみてください。

操作1.衣服の選択

参考:https://idmvton.com/ja/playground

まずは衣服を選択します。衣服の選択は画面真ん中の「Garment」の下にある選択肢から選びました。

選択後は以下の画像のように表示されます。

参考:https://idmvton.com/ja/playground

画像の下にはプロンプトの入力欄もあるので、プロンプトで服装の特徴を指定することも可能です。

操作2.人物写真のアップロード

参考:https://idmvton.com/ja/playground

次に、人物の画像をアップロードします。アップロードする際は、画面左側の真ん中にあるアップロードボタンを押してください。

なお、人物の画像をアップロードするのが面倒な方は、下にある選択肢から選んでアップロードすることもできます。

筆者がExamplesの1番左に配置されている女性を選択しました。

操作3.試着画像の生成

最後に試着画像の生成を実行します。下にスクロールすると「Try-on」というボタンが出てくるので、クリックして画像の生成を開始してください。

ボタンを押してしばらくすると、以下のように人物画像と衣服の画像を組み合わせた画像が生成されました。

参考:https://idmvton.com/ja/playground
参考:https://idmvton.com/ja/playground

画像が縦に長かった関係で2枚に分けていますが、確かに人物画像と衣服の特徴が合致していることがわかります。

ここまでは基本的な使い方を試したので、以下からは少し実験してみたものを共有していきます。

実験1.着物の試着

参考:https://idmvton.com/ja/playground

今後は着物を衣服の画像としてアップロードしてみました。生成されたのが以下の画像です。

参考:https://idmvton.com/ja/playground
参考:https://idmvton.com/ja/playground

正直なところ、着物は人物モデルにあまりフィットしておらず、不自然な見た目になってしまいました。トップスとボトムスに分かれていない着物だと、人物モデルの特徴に合わせるのが難しかったのかもしれません

このあたりは今後の課題ですね。

実験2.アニメ系画像を使った試着

参考:https://idmvton.com/ja/playground

次は、アニメ系画像を使ってバーチャル試着を体験してみます。

ちなみに、上記でアップロードしているアニメ系画像は、「Stable Diffusion WebUI」を使って生成AIで作成しました。

参考:https://stablediffusionweb.com/ja/WebUI

実際に生成してできた試着画像が以下のとおりです。

参考:https://idmvton.com/ja/playground
参考:https://idmvton.com/ja/playground

首元に選んだ衣服画像の一部が反映されていますが、それ以外は人物画像が元から着用していた衣服のままです。実験結果として、アニメ風の人物画像ではバーチャル試着ができないとわかりました。

ただ、今後アップデートされる過程で対応できるようになる可能性もあるので、バーチャル試着用生成AIの進化に期待しましょう。

なお、生成AIがファッション業界にもたらす影響について詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。

IDM-VTONでバーチャル試着体験をしてみよう

IDM-VTONは、人物画像と衣服の画像をアップロードするだけで、手軽にバーチャル試着体験ができる便利な生成AIです。

バーチャル試着ができる仕組みとして、以下3つのパーツが重要な役割を担っています。

  • 人物画像を生成する「TryonNet」
  • 衣服の重要な特徴を反映する「IP-Adapter」
  • 衣服のその他特徴を反映する「GarmentNet」

なお、IDM-VTONのライセンスは「CC BY-NC-SA 4.0 license.」に基づいて提供されているため、現段階では商用利用ができません

ただ、プランは無料と有料の2種類があるので、研究目的で個人的に楽しむ分には無料で使えて便利です。

プランFreeAdvanced
料金無料19ドル/月
特典バーチャル試着体験
4モデル
全身
無制限の使用
Outfit Anyoneのフル機能
フェイススワップ
高品質
高い正確性
独自のモデルをアップロードする
背景の交換
衣服に対する要求が低い
スーツに最適
全身

IDM-VTONの使い方自体は難しくなく、以下たったの3ステップでバーチャル試着体験が可能です。

  1. 衣服の選択
  2. 人物写真のアップロード
  3. 試着画像の生成

本記事で実施した着物やアニメ風画像での試着は対応していませんでしたが、現実的な画像であればある程度の組み合わせに対応しているので、ぜひ利用してみてください。

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投稿者

  • いつき

    高卒6年目にして独立開業した、フリーランスのWebライター。 ChatGPTをはじめ、多くのAIツールを使いこなした経験を基に、AIメディアの記事を執筆中。 複数のWebメディアに在籍し、ライター・ディレクター業務をマルチにこなす。

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