Azure OpenAI Serviceの導入事例11選!業務効率を革新的に高める活用方法を解説

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ChatGPTなどの生成AIを業務に取り入れることに興味があるものの、具体的にどのように活用できるかわからないという方もいるのではないでしょうか。Microsoft社のAzure OpenAI Serviceは、OpenAI社の強力なAIモデルにアクセスできるサービスです。

この記事では、Azure OpenAI Serviceの導入事例を紹介します。実際の企業での具体的な導入事例を通じて、生成AIがどのように業務改善に役立つかを探りましょう。

目次

Azure OpenAI Serviceの特徴

参考:https://azure.microsoft.com/ja-jp/products/ai-services/openai-service

Azure OpenAI Serviceとは、Microsoft社のAzureクラウドプラットフォーム上で、OpenAI社が提供するGPT-4oやGPT-4 Turbo with Visionなどの強力なAIモデルにアクセスできるサービスです。

APIを開発しているためOpenAI社のサービスとの互換性も確保されており、Azureのセキュリティ機能を利用しながら高度なAIを活用できます。顧客データは、生成AIモデルのトレーニングに使用されません。

Azure OpenAIで利用できるモデルはGPTだけでなく、画像生成用のDALL-E、音声からテキストへの文字起こしなどが可能なWhisperもあります。価格は各モデルで異なります。

2024年7月時点では、Azure OpenAI ServiceはMicrosoft社の限られた顧客のみに提供されており、利用したい場合は専用フォームから申請が必要です。

なお、Azure OpenAI Serviceに関してより詳しく知りたい方は下記の記事を併せてご覧ください。

Azure OpenAI Serviceの導入事例

話題の生成AIを事業に導入し、事業を改善したいという企業は多いでしょう。しかし、どのような形で生成AIを企業活動に生かせるのか、具体的なアイデアが浮かばないという悩みも耳にします。

Microsoft社はパートナー企業と連携し、Azure OpenAIの活用をサポートしています。ここでは、11の導入事例を紹介します。

事例① 三菱重工業株式会社

多様なビジネスドメインを有する三菱重工業株式会社では、社内に蓄積したノウハウやデータを活用するデジタルイノベーションブランド「ΣSynX(シグマシンクス)」を2021年に創設しました。その一環である発電プラント向けソリューション「TOMONI」は、遠隔監視による顧客との連携強化、制御の高度化、スマート保全の3つの機能を提供しています。

その後、AIによる進化を目指してChatGPTを利用した「TOMONI TALK with ChatGPT」をリリースし、生成 AI を活用した業務改善を実現しました。将来は、TOMONI TALK with ChatGPTに蓄積されたデータを利用して「TOMONI Copilot」を開発する構想もあります。※1

事例② 第一三共株式会社

第一三共株式会社が目指すDX「ABCDX」は、日常業務の変革「AX」、業務プロセスの変革「BX」、会社文化の変革「CX」を三位一体で行い、変革を図っています。ChatGPTなど生成AIの登場後、利用指針を策定して全社に周知し、自社独自の社内向け生成 AIプラットフォーム「DS-GAI」の開発に着手しました。製薬企業では日常的に機密情報を多く取り扱うため、情報管理の徹底が重要でDS-GAIにも厳重なセキュリティ対策が求められます。Azure OpenAI ServiceにはコンテンツフィルタリングシステムやセキュアなAPI認証が可能な仕組みがあり、利用者の安心感にもつながっています。

グループ全体の600人以上が毎日利用するサービスとなり、アンケート結果では8割以上の回答者が業務の生産性と精度が向上したと回答しています。今後は更にAI活用の高度化を目指し、Copilot for Microsoft 365の導入検討などを行っています。※2

事例③ 株式会社JERA

株式会社JERAは、国内発電電力量の約3割を供給するエネルギー企業です。発電用の燃料調達や発電設備の運用保守などを行っています。脱炭素化に向けた化石燃料に頼らないエネルギー供給、少子高齢化に伴う労働人口の減少などの課題解決に向け「JERAゼロエミッション2050」に挑戦しています。また、発電所運営のノウハウなどをデータベース化し、データドリブンなオペレーションとメンテナンスを目指しています。

その中で、デジタルツインとメタバースの技術をかけ合わせたインダストリアルメタバースと生成AIの技術を活用した「エンタープライズナレッジアドバイザー(EKA)システム」を開発しました。Azure OpenAI Service を活用して過去のデータからトラブル解消法を検索し、自動翻訳する機能を搭載しています。※3

事例④ 西日本旅客鉄道株式会社

西日本旅客鉄道株式会社では、各職場でデジタルツールの活用促進による業務課題の解決を進めています。鉄道システムの変革を推進するため、Power PlatformとAzure OpenAI Serviceを組み合わせたMIRAIを開発しました。

駅の機械設備にトラブルが生じた際の対処は現場の担当者の経験に依存します。対処方法が不明な場合はコールセンターに連絡して指示を仰ぎますが、保有する設備は約340種、約46,000台と膨大であるため、迅速に解決するには関係者は幅広い知識を身につけなければなりません。

MIRAIは、トラブルに関する簡単なキーワードを入力するだけで対応方法を提案。知識が薄い担当者が勤務している時間帯でも、迅速にトラブルへの対応が可能になりました。※4

事例⑤ 合同会社DMM.com

DMMグループはAIを用いた業務効率改善を目指し、Azure Speech to TextとAzure Open AI Serviceを導入しました。コールセンターでの顧客対応時の音声を自動でテキスト化し、生成AIで要約します。その結果をVOCとしてサービス向上に生かしています。

問い合わせ対応後の後処理の時間がこれまでより27%削減され、今後は半分程度まで削減できると目論んでいます。VOC分析作業の効率化により、月68時間の工数を削減でき、解決すべき問題点も明確になりました。※5

事例⑥ 株式会社LIFULL

不動産や住宅情報サービス「LIFULL HOME’S」を提供する株式会社LIFULLは、生成AIも積極的に事業に活用しています。野村不動産ソリューションズと共同で開発した一般ユーザー向けのAIサービス「AI ANSWER Plus (ベータ版)」は、Azure OpenAI Serviceを基盤に開発されました。

当初ChatGPTを利用して開発した接客サポートAIなどは、安定性や安全性への懸念がありました。新たに導入したAzure OpenAI ServiceはChatGPTよりも安定性や回答精度が高く、セキュリティ関連の書類が整備されているため高く評価されています。※6

事例⑦ 株式会社デンソー

国内自動車部品メーカーである株式会社デンソーは、新しい領域の技術開発を加速させています。その中でも注目なのは、人間と柔軟に協働できるロボットの開発です。その頭脳にはAzure OpenAI Serviceを導入し、口頭での指示で作業を自律的に実行できるまでになっています。

今後はロボットが社会で活躍の幅を広げていくと期待されていますが、プログラミング知識を持つ人材確保は容易ではありません。また、複雑な作業や突発的な状況にも対応するには、これまでのような事前に作られたプログラムで動くだけでは不十分です。Azure OpenAI Serviceを活用したシステムでは、生成AIが事前に与えられたロボットの動きの中から総合的に判断し、ロボットの自律的な動作を実現しています。※7

事例⑧ 株式会社リクルート

株式会社リクルートが運営する代表的な旅行予約サイト「じゃらん」では、生成AIを活用した対話型ユーザーインターフェースの実装試験が行われています。じゃらんなどの旅行予約サービスは年々価格競争が激化しており、競争力強化には新たな価値創造が必要です。

じゃらんでは、ユーザーニーズを迅速に把握する目的で生成AIの検討を開始し、安定性やデータの安全性の観点でAzure OpenAI Servicveの導入を決めました。生成AIは、ユーザーが入力したテキストの内容を分析してエリアの魅力を伝えるアピール文を生成します。その後、条件に合致した宿の魅力を伝えるアピール文を生成して宿泊先を提案します。ChatGPTに比べて回答に必要な時間は、約3分の1です。※8

事例⑨ 日清食品ホールディングス株式会社

DXを推進している日清食品グループでも、業務への生成AIの活用が始まっています。2023年に生成 AI 導入に向けたプロジェクトを立ち上げ、Azure OpenAI Serviceの導入と独自環境を構築することを決定しました。情報漏洩の危険性が低く、既にMicrosoft 365やPower Platformを活用していた為です。

2023年5月には営業部門の業務でシステムの利用が開始され、日清食品製品の特徴を生かした意外性のある食べ方のアイデアをAIに複数考えてもらうなど、スーパーマーケットなどへの提案に生かしています。同年11月には約7割の営業担当者が活用するまでになりました。その後マーケティングなど他の部門でも導入が進んでいます。※9

事例⑩ スズキ株式会社

スズキ株式会社では生成AIが登場する以前からAI活用の議論が始まっており、2018年ころから一部業務で導入されていました。ChatGPTの登場後は、アンケートの自由記述など高度な言語処理や分析が可能になり導入が検討されましたが、情報漏洩のリスクが懸念点でした。そのためセキュリティ面に強みを持つAzure OpenAI Serviceが採用されました。

2023年3月には、ガイドラインの策定と誰もが利用できるユーザーインターフェースを備えたウェブアプリケーションを作成し、全社展開を実施しています。一問一答型チャットアプリ、26人の仮人格同士が議論を行うアプリなどさまざまなアイデアが具現化されました。今後、AIの活用により単純作業やルーチン ワークに必要な工数を約80%削減できると期待されています。※10

事例11 田辺三菱製薬株式会社

田辺三菱製薬株式会社では、成長戦略を支えるデジタル化への投資とデジタル基盤の構築に取り組んでいます。本社機能から研究開発、工場、サプライチェーンなど幅広い領域でDXの取り組みが進められている中で、セキュリティの担保が強く求められています。特にクラウド基盤上でのセキュリティ対策が重視されました。

Microsoft Defender for CloudとMicrosoft Sentinelを活用して、クラウドポリシーの策定と監視の仕組みを構築しています。クラウド上の運用状況をダッシュボードで一元管理でき、異常が発生したときはセキュリティアラートを自動的に出します。しかし、全て英語であるため、Azure OpenAI Serviceでメッセージを翻訳し、内容を要約できるようにしました。対策が必要な理由や放置のリスクも同時に表示するため、インシデントの確認作業は年間550時間も削減されました。※11

なお、Azure OpenAI Serviceを使った自社データの活用方法について詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。

Azure OepnAI Serviceの導入で業務効率改善や新しい価値創造に取り組みましょう

Azure OepnAI Serviceは、OpenAI社の強力なAIモデルにアクセスできる便利なツールです。既に複数の企業がAzure OpenAI Serviceを活用して業務の効率化や新たな価値創造を実現しています。

Azure OpenAI Serviceの強みは、セキュリティの確保、データガバナンス、安定した高速なレスポンスです。ChatGPTを単独で利用するよりも企業にとってさまざまな利点があります。

2024年月時点では利用には申請が必要で誰でも使えるツールではありませんが、今後も多くの企業がAzure OpenAI Serviceを活用し、AIによる革新的な取り組みを進めるでしょう。

参考記事
サービス紹介資料

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投稿者

  • 晋平大竹

    生成AIの登場に大きな衝撃を受けたWebライター。好きなAIツールは、ChatGPTとAdobeFirefly。AIがこれからの世界を良い方向に導いてくれると信じ、正しい&有益な情報を発信し続けています!

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