【Mistral AIのLe Chat】ChatGPTの対抗馬である大規模言語モデルを解説
WEELメディアリサーチャーのいつきです。
2024年2月、フランスのMistral AI社が対話型AI「Le Chat」をベータ版として公開しました。Mistral AIのLe Chatは、Open AIのChatGPTの対抗としても注目されている大規模言語モデルです。
今回は、Mistral AIのLe Chatの概要や特徴、使い方などについて解説していきます。
最後までお読みいただくと、最新のLLMの情報をいち早くキャッチできるため、今後の生成AI導入における選択肢が広がること間違いありません。
ぜひ最後までご覧ください。
Mistral AIの「Le Chat」とは?
Mistral AIの「Le Chat」とは、同社が提供しているMistral Large/Smallといったモデルを搭載している大規模言語モデルです。2024年2月にベータ版が公開され、誰でも無料で利用できます。
特にChatGPTの対抗馬として注目されており、テキスト入力による対話が可能な点が共通しています。
なお、Mistral AIは元GoogleのDeepMindメンバーなどが立ち上げたフランスのAIベンチャー企業です。Le Chatについては、今後企業向けの有料版を提供する予定があることも公表しています。
Mistral Largeにつて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
Mistral AIのLe Chatでできること
Mistral AIのLe Chatでできることを以下にまとめました。
- 日本語でのテキスト生成
- マルチモーダル入力
- 多彩なモデルの選択
それぞれの詳しい情報を解説していくので、利用を検討している方は参考にしてみてください。
日本語でのテキスト生成
Mistral AIのLe Chatでは、日本語でのテキスト生成ができます。どんなに高性能な生成AIでも、日本語で使えなければ使いにくいため、これは嬉しいポイントです。
もちろん、入出力ともに日本語に対応しており、日本語が不自然ということもないので安心してください。
マルチモーダル入力
Mistral AIのLe Chatは、マルチモーダル入力に対応しています。ようは、テキストだけでなく、画像の入力にも対応しているということです。
使い方は簡単で、チャット画面で入力欄の横にあるモデル名をタップして「Pixtral」を選択。その後に横のクリップマークを選択して、画像ファイルを選ぶだけです。
多彩なモデルの選択
Mistral AIのLe Chatでは、多彩なモデルが用意されています。以下にモデルの一覧とその機能をまとめました。
- Mistral Large 2:Mistral AIの最新LLMで最高の推論能力を搭載
- codestral:コーディングタスクに特化
- Mistral Nemo:高速かつコスパに優れたモデル
- Pixtral:テキスト・画像入力に対応したマルチモーダルAI
こなしたいタスクに応じて、最適なモデルを選択しましょう。
Mistral AIのLe Chatでできないこと
Mistral AIのLe Chatでは、以下2つのことができません。
- ブラウジング
- 画像・動画の生成
それぞれの詳細を解説していくので、ぜひご確認ください。
ブラウジング
Mistral AIのLe Chatでは、ChatGPTなどで使えるブラウジング機能が使えません。ブラウジングとは、生成AIがWebページにアクセスしたり、そこから情報を得て回答内容に反映したりする機能のことです。
基本的に生成AIは学習した時点でのデータしか備えていないので、最新の情報には対応できません。しかし、ブラウジング機能を使えば最新の情報にも対応できるようになるので、生成AIとしての回答精度は大幅に向上します。
画像・動画の生成
Mistral AIのLe Chatは、画像や動画の生成ができません。チャットAIの筆頭であるChatGPTにはこれができるので、大きなマイナスポイントといえます。
ただ、Le Chatは画像入力には対応できているので、今後画像や動画の生成に対応する可能性は十分にあります。
なお、ChatGPTで動画を生成する方法について詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。
Mistral AIのLe Chatの料金プラン
Mistral AIのLe Chatは、すべての機能を無料で使えます。現状は無料のプランしかないため、プランの選択肢自体がありません。
ただし、現状はベータ版で展開されているにすぎないので、今後正式リリースする際は有料プランが登場する可能性もあります。Mistral AIは、今後Le Chatの企業向けに「Le Chat Enterprise」プランを提供することも公言しているので、今後の進展を待ちましょう。
Mistral AIのLe Chatの使い方
ここからは、Mistral AIのLe Chatの使い方を紹介していきます。
会員登録の手順と回答生成の手順をそれぞれ解説していくので、ぜひ参考にしてみてください。
会員登録の手順
まずは、公式サイトにアクセスして「ログイン」をクリックします。
その後に出てくるログイン画面で「サインアップ」を選択して、会員登録を済ませましょう。GoogleアカウントやMicrosoftアカウントでの登録も可能なため、わざわざメールアドレスやパスワードを設定しなくても登録できます。
サインアップを済ませると、プライバシーポリシーへの同意やアカウントの種類の選択が求められます。
ここまで済ませれば、会員登録は完了です。
回答生成の手順
まずは、公式サイトのトップページ右上からLe Chatを開きます。
その後、上記画像のようにポップが出てきますが、おもに利用規約への同意を求められているので同意をしましょう。
利用規約への同意を済ませると、早速Le Chatが使えるようになります。
Mistral AIのLe Chatを使ってみてChatGPTと比較!
同じ大規模言語モデルとして、ChatGPTとLe Chatの性能比較が気になっている方は多いと思います。そこで、筆者が実際に両チャットAIを使って性能を比較してみましたので、ぜひ参考にしてみてください。
長文の要約
まずは、大規模言語モデルが得意とする長文の要約で比較してみます。
ここでは、多摩大学が公開している生成AIに関する論文から一部を抜粋して、生成AIの歴史に関する情報を要約させてみました。
まずは、Le Chatの要約結果です。
次は、ChatGPTで要約した結果もみていきましょう。
パッと見で違いがわかると思いますが、ChatGPTのほうが適度に改行が入っていたり、太字が使われたりしていて見やすいです。
ただ、Le Chatの要約結果も第一次から第三次のブームまでの流れが繋がっていて、要約としては理解がしやすいと感じました。
メールの原案生成
ここでは、以下のプロンプトを入力して、メールの原案生成能力を両AIチャットで比較していきます。
取引先の担当者に今日の打ち合わせのお礼を述べるメール文を作って
まずは、Le Chatのメール原案から見ていきます。
次は、ChatGPTのメール原案です。
両チャットを比べてみると、Le Chatが難しい言葉遣いをしているのに対し、ChatGPTは簡単で読みやすい文章になっています。また、ChatGPTは2案を同時に生成して提案してくれているので、選択肢が多いのも魅力です。
ただ、Le Chatも文章としては丁寧さが伝わるので、そのまま取引先に送っても十分なクオリティといえます。
コーディング
コーディングタスクの精度を両チャットで比較するために、以下のプロンプトを入力してみます。
ファイルの読み込みを行うプログラムをPythonで作成して
まずは、Le Chatから見ていきましょう。
次は、ChatGPTのコーディング結果です。
今回は簡単な内容のコーディングなので、どちらも問題なく出力できています。コードを提示したあとに解説を入れる流れもまったく同じでした。
検閲機能の検証
多くの生成AIには、特定のKWが入力されたときにテキストや画像の生成を拒否する検閲の機能が備わっています。例えば、犯罪を手助けするようなKWや公序良俗に反する指示などです。
ここでは、両モデルにそういったKWをプロンプトに含めて、検閲機能を検証してみようと思います。チャットで大麻の製造方法について聞いてみました。
まずは、Le Chatの出力結果です。
次にChatGPTの出力結果を見てみます。
どちらのチャットAIもしっかりと検閲機能が働いて、回答を拒否していますね!
Le Chatにおいては、回答できない理由についても丁寧に回答していました。今回の結果から、Le Chatも安心して利用できるチャットAIだとわかります。
なお、ChatGPTについて詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。
Mistral AIのLe Chatを使ってみよう
Mistral AIのLe Chatは、ブラウザ上で動作するチャット型のAIサービスです。ChatGPTと似た性質を持っており、さまざまな機能を備えています。
そんなMistral AIのLe Chatにできることを以下に再度まとめました。
【KWでできること】
- 日本語でのテキスト生成
- マルチモーダル入力
- 多彩なモデルの選択
当記事でも実際にChatGPTと性能比較した結果を解説しましたが、一部のタスクではChatGPTに迫る精度を発揮しています。
ただし、ChatGPTと比較すると使える機能が少なく、まだまだ精度が劣るので、今後のアップデートに期待しましょう。
今ならベータ版を誰でも無料で使えるので、まずは試しに使ってみてください。
最後に
いかがだったでしょうか?
「Le Chat」をはじめとするチャットボットを導入すれば、社内のコミュニケーションや顧客サポートの効率化が期待できます。
また、RAG(Retrieval-Augmented Generation)を活用してデータを学習させることで、自社専用のチャットボットを構築することも可能です。
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