AIコードレビューとは?メリットやおすすめツール、企業の活用事例を徹底解説

AIコードレビューとは メリット おすすめツール 企業の活用事例
こんな方におすすめ
  • 自社のIT業務に生成AIを導入・活用したい人
  • コードレビューの効率化や自動化に関心がある人
  • チーム全体の作業効率を改善したい管理職

WEELメディア事業部AIライターの2scです。

みなさん!人手が回せない「コードレビュー」はAIに任せる時代が到来しています!

生成AIの発展・普及にともない、ソースコードの作成や解説が一部自動化できるようになった昨今。コードレビューを自動化してくれるツールも次々と登場していて、すでに国内のIT企業でもその導入・活用が進んでいるんです!

当記事では、そんなAIによるコードレビューを徹底解説。そのメリット・デメリットから、具体的なツールや企業導入事例までを余すところなくお伝えしていきます。

完読いただくと、国内企業共通のお悩み「IT人材不足」について、解決の糸口が見つかる……かもです。

ぜひぜひ、最後までお読みくださいね!

目次

AIコードレビューの概要

作成者以外のスタッフにソースコードを検証・フィードバックしてもらう作業「コードレビュー」に、新たな手法が登場しています。それがAI(人工知能)を活用した「AIコードレビュー」です。

このAIコードレビューは、生成AI(なかでも、LLM / 大規模言語モデル)や従来型の機械学習などなど、各種AI技術を使ってコードレビューを自動化するソリューションの総称。より具体的には、以下の手法を含んでいます。

AIコードレビューの具体的手法
  • ソースコードの構造・文法を実行なしで検証して問題を検出する「静的解析」
  • 過去のソースコードと比較して問題を洗い出す「パターン認識」
  • LLMによる「ソースコードの改善案生成」
  • LLMによる「レビュー結果の要約・説明」

このAIコードレビューなら、人間ですら見逃す問題を一瞬で検出したり、初級エンジニアの補佐・教育を自動化したりといったことが可能。生成AIの台頭以降、国内外問わず企業での導入が進んでいます。

従来手法比でのAIコードレビューのメリット

まずは、従来の人力で行うコードレビューと比べたときの、AIコードレビューのメリットについて5点ご紹介します。以下、詳しくみていきましょう!

人手不足・負担の軽減

AIを使った自動コードレビューは、ITの開発現場における人手不足・負担を軽減してくれます。具体的にAIコードレビューなら、基本のエラーチェックからコード改善案の生成、レビュー内容の説明までコードレビューの作業全般を代行・自動化可能。加えて、24時間体制で稼働できるため「ひとり情シス」等、IT人材不足が慢性化している一般企業に大きな恩恵をもたらしてくれそうです。

作業時間の短縮

人の手でソースコードのエラーチェック・改善を行う場合、数時間〜数日単位の作業時間が必要でした。

対して、AIコードレビューなら、同様の作業内容がものの数分程度で完了してしまいます。人間によるダブルチェックは必要ですが、それでもコードレビューにかかる作業時間を大幅に短縮できるでしょう。

加えて、LLMによるAIコードレビューの場合は、ソースコードの変更点を自然言語で説明・要約して作成者や他のスタッフに引き継ぐところまで自動化が可能。そして、余剰分の人手はより高度な業務に回せるため、開発にかかるトータルの作業時間まで短縮が目指せます。

レビューの属人化解消・画一化

AIとくにLLMによるコードレビューの場合、高いITスキルを持った人材に依存(属人化)することなく、ソースコードの検証が可能となります。さらにRAGを使えば、企業内のレギュレーション / ベストプラクティス / 過去のソースコード…etc.を参照した上での自動コードレビューが実現。各人のスキル・ノウハウを問わず、画一的なコードレビューが行えるでしょう。

初歩的なミス・ケアレスミスの軽減

膨大なソースコードを学習したLLMによるAIコードレビューの場合、初歩的な記述ミスや見落としがちな問題も高精度で検出可能。たとえ膨大なソースコードであっても、集中力を切らさずに、以下のような初歩的なミス・ケアレスミスを発見してくれます。

  • 変数の宣言忘れ
  • 関数の細かな記述ミス
  • 無限ループ
  • 例外処理漏れ
    …etc.

AIコードレビューのあとに、人間によるダブルチェックも行うことで、確実にソースコードのエラーがなくせそうです。

エンジニアのスキル向上

LLMによるAIコードレビューなら、エラー検出にとどまらず、チャット形式でのコードの提案・解説・フィードバックも行えます。初級エンジニアは自身が書いたコードについて、即時でフィードバックが受けられるため、効率的にITスキルが磨けるでしょう。また、LLMならではの他人視点かつ多角的なフィードバックは、上級エンジニアのさらなるスキルアップにも貢献してくれそうです。

なお、コード生成AIについて詳しく知りたい方は下記の記事も合わせてご確認ください。

従来手法比でのAIコードレビューのデメリット

続いては、従来の人力で行うコードレビューと比べたときの、AIコードレビューのデメリットについても2点だけお伝えします。以下、LLMならではの「ハルシネーション」から詳細をどうぞ!

ハルシネーションのリスク

AIとくにLLMによるコードレビューには、抜け漏れや誤ったフィードバック(ハルシネーション)が含まれることもあります。なかでもメジャーではない言語やニッチな要件、複雑な処理を含むソースコードの場合は、一層の注意が必要です。適宜、「AIコードレビュー後のダブルチェック」など、人力での対策を徹底しましょう。

利用時の制限やコスト

LLMを使ったAIコードレビューの場合、検証・添削するソースコードの長さ(=トークン数)に応じて、制限や従量課金があります。要件・目的に応じて、コンテキストウィンドウ(=入力できるトークン数)が大きいモデルや無料で使えるオープンソースモデル等、LLMを使い分けるとよいでしょう。

なお、生成AI全般のリスクについて詳しく知りたい方は下記の記事も合わせてご確認ください。

AIコードレビュー用のツールおすすめ5選

ここからは、AIコードレビュー機能を備えたツールについて、おすすめのものを5つご紹介します。以下、オープンソースのものから詳細をみていきましょう!

PR-Agent(Qodo Merge)

「PR-Agent(Qodo Merge)」は、Codium AI(Qodo)が送るLLM搭載のAIコードレビューツール。こちらはLLMを自前で用意するオープンソース版とCodium AI(Qodo)からLLM込みで使えるWeb版とがリリースされています。(※1)

参考:https://github.com/Codium-ai/pr-agent

このPR-Agent(Qodo Merge)の魅力としては……

PR-Agent(Qodo Merge)の魅力
  • GitHubやGitLabのPull Request(PR)と連携可能
  • 自然言語でソースコードのレビュー / 改善 / 質問…etc.を提供
  • オープンソース版はGPTやClaudeのほかLlamaにも対応、ローカル環境上でセキュアに運用可

以上のとおり。その他詳細は、下表のようになっています。

詳細
搭載AIモデル・GPTシリーズ
・Claudeシリーズ
・Cohere社のLLM
・Llamaシリーズ
サポート言語Python…etc.
連携先・GitHub
・GitLab
・Bitbucket
・Azure DevOps
おもな機能・セルフホスト
・コード形式でのコード説明
・自動レビュー
・コードの提案
・チェンジログの更新
・類似の課題検索
 …and more!
料金プラン【オープンソース版】
無料
【Web版】
Developer:無料
Teams:月額19ドル(年払いで月額15ドル)
Enterprise:ASK

PR-Agent(Qodo Merge)は、さまざまなユースケースに合わせて導入できるのが一番の魅力でしょう。

GitHub Copilot

GitHubが送るLLM搭載のコーディングアシスタント「GitHub Copilot」も、有料のEnterpriseプラン限定ではありますが、AIコードレビュー機能を備えています。(※2)

参考:https://docs.github.com/ja/copilot/using-github-copilot/code-review/using-copilot-code-review

このGitHub Copilotの魅力としては、以下のとおりです。

GitHub Copilotの魅力
  • GitHubやVS Codeなど、メジャーな開発環境を幅広くサポート
  • OpenAIのフラッグシップモデル「OpenAI o1 / o1-mini」にも対応
  • チャット形式でコードの提案・解説が可能

GitHub Copilotの詳細については、下表をご覧ください。

詳細
搭載AIモデル・GPT-4o
・Claude 3.5 Sonnet
・o1(有料限定)
・o1-mini(有料限定)
サポート言語C# / Go / Java / JavaScript / Markdown / Python / Ruby / TypeScript
連携先・GitHub
・VS Code
 …etc.
おもな機能・チャット形式でのコード説明
・コード候補の提供
・コードレビュー
・Pull Requestへの変更内容追記(Enterprise限定)
・ストレージ(500MB〜)
料金プランFree:無料(コードレビュー不可)
Team:月額4ドル
Enterprise:月額21ドル

なお、GitHub Copilotについて詳しく知りたい方は下記の記事も合わせてご確認ください。

Code Rabbit

「Code Rabbit」もLLM搭載のAIコードレビューツールになります。(※3、4)

参考:https://www.coderabbit.ai/

Code Rabbitの魅力は……

Code Rabbitの魅力
  • ユーザーからのフィードバックを学習
  • GitHubのPull Request上で、コードの変更内容とその影響の要約・説明を提供
  • Azure OpenAI / AWS Bedrock / Vertex AI…etc.に対応しており、幅広いLLMが選択可能

このようになっていて、その他詳細は下表のとおりです。

詳細
搭載AIモデル・GPTシリーズ
・Geminiシリーズ
・Claudeシリーズ
 …and more!
サポート言語Python…etc.
連携先・GitHub
・GitLab
・Azure DevOps
おもな機能・セルフホスト
・Pull Requestの要約
・コード変更提案
・チャット形式でのコード説明
料金プランFree:無料
Lite:月額12ドル
Pro:月額24ドル

以上、Code Rabbitは

Amazon CodeGuru Reviewer

クラウド大手AWSからも、AIコードレビューツール「Amazon CodeGuru Reviewer」が登場しています。(※5、6、7)こちらはセキュリティ上の問題の検出に特化していて、その魅力は下記のとおりです。

Amazon CodeGuru Reviewerの魅力
  • セキュリティ脆弱性の検出に特化
  • セマンティックな(コードの意図を捉えた)分析が可能
  • AWSだけでなく、GitHubやBitbucketもサポート

なお、Amazon CodeGuru Reviewerの詳細については下表もご確認ください。

詳細
搭載AIモデルN/A
サポート言語Java / Python
連携先・AWS CodeCommit
・Bitbucket
・GitHub
・GitHub Enterprise Cloud
・GitHub Enterprise Server
・Amazon S3
おもな機能・自動コードレビュー
料金プラン従量課金制
最初の10万行:10万行あたり10ドル
追加の10万行:10万行あたり30ドル
同一リポジトリでの2回目以降:10万行あたり10ドル

以上、Amazon CodeGuru Reviewerは他のAIコードレビューツールとの併用にうってつけ。凡ミス・ケアレスミスの検出はLLM系のコードレビューツールに任せつつ、セキュリティ対策はAmazon CodeGuru Reviewerで行うといった使い分け方ができそうです。

SonarQube

「SonarQube」もAIコードレビューツールのひとつです。(※8)こちらの詳しい魅力については以下をご覧ください。

SonarQubeの魅力
  • 生成AIが出力したコードのレビューに特化
  • オンプレミス / クラウド / サーバー / Docker…etc.幅広いデプロイの形式に対応

その他SonarQubeの詳細は下表も要チェックです。

詳細
搭載AIモデルN/A
サポート言語Java / C# / PHP / Python…and more!
連携先・GitHub Actions
・GitLab CI/CD
・Azure Pipelines
・Bitbucket Pipelines
・Jenkins
おもな機能自動での静的コードレビュー
料金プランFree:無料
Team:月額65ドル
Enterprise:ASK

こちらも他のLLM系AIコードレビューツールとの併用に適性がありそうです。

AIコードレビューの企業活用事例3選

最後に、国内企業におけるAIコードレビューツールの活用事例を3つお届けします。まずは、DMM.com Groupでの事例から詳しくみていきましょう!

DMM.com Group

「DMM.com Group」のプラットフォーム開発本部では、複数サービスのソースコードを単一のGitHub Repositoryで管理するにあたってPR-Agentを導入。(※9)初回のコードレビューをPR-Agentに任せることで、「凡ミス・ケアレスミスの検出率UP」「Pull Request上でのレビュー内容の共有を自動化」などの成果を挙げています。

株式会社キカガク

「株式会社キカガク」は、Code RabbitによるAIコードレビューを活用しています。(※10)こちらも初回のコードレビューをAIに任せており、わずかながらも業務効率化が実感できているそう。玉石混交ではありますが、実用的なコードレビューが得られたとのことです。

株式会社リセ

契約書AIレビューツール等を手がける「株式会社リセ」も、初回のコードレビューにCode Rabbitを活用しています。(※11)こちらでは当初、新人エンジニアのスキルUPを目的としてAIコードレビューを導入していたのですが、ベテランからもレビュー内に対する好評の声が上がっていたそう。結果として、3ヶ月の試験運用後もAIコードレビューが社内に定着しています。

なお、システム開発全般での生成AI活用事例について詳しく知りたい方は下記の記事も合わせてご確認ください。

「AIコードレビュー」で効率化とスキルUPを両立!

当記事では、注目を集める「AIコードレビュー」について、そのメリット・具体的なツール・企業活用事例をお届けしました。以下にてもう一度、AIコードレビューのメリットを振り返っていきましょう!

AIコードレビューを導入するメリット
  • 人手不足・負担の軽減
  • 作業時間の短縮
  • レビューの属人化解消・画一化
  • 凡ミス・ケアレスミスの軽減
  • エンジニアのスキル向上

生成AIの進歩にともない、AIコードレビューでも人力でのコードレビューに近いフィードバックが得られるようになってきています。その証左として、すでに国内でも実際の業務にAIコードレビューを活用している企業が続々登場中。今後、AIコードレビューは「IT人材不足の救世主」となってくれるかもしれません。

最後に

いかがだったでしょうか?

AIコードレビューの導入が、IT人材不足や属人化の課題解消をどのようにサポートできるのか…さらに深く知りたい方は次の一歩を踏み出してみてください。

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投稿者

  • 2sc

    テクニカルライター 大学時代はアリの生態を研究。 ラボで唯一、Pythonを使ってデータ分析を効率化していた。 現在はライターとして、オウンドメディアや学術記事の執筆に当たっている。

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