生成AIによる教育業界の業務効率化!導入事例、リソース不足を解消する方法をご紹介
WEELメディア事業部リサーチャーのいつきです。
教育業界で働いている方のなかには、長時間労働や教員不足といった業界特有の困りごとを抱えている方も多いのではないでしょうか。しかし、近年台頭してきた生成AIを使えば、困りごとも解消できる可能性があります。
そこで今回の記事では、教育業界において生成AIが活躍する場面や導入事例をご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
最後まで目を通していただくと、生成AI導入のアイデアが浮かで、課題も解決に近づくはずです。
ぜひ最後までご覧ください。
教育業界が抱える問題
教育業界が抱える問題の代表例は以下のとおりです。
- 教員不足や長時間労働
- 生徒ごとのレベルに合わせた教育指導ができない
- 授業以外の雑務が多い etc.
とくに、教員不足は業界としても大きな課題です。上記画像は文部科学省が作成した「教師不足」に関する実態調査に関する資料の一部ですが、令和3年始業日時点では小中学校だけでも2,086人の教員が不足しています。
また、教員不足によって教師1人あたりにかかる仕事量は増えているので、長時間労働で悩んでいる教師や学校も少なくありません。こうした現状が悪循環となり、教師を目指す方も減っている状況です。
ただし、授業の準備やその他雑務などは生成AIで効率化することも可能なため、うまく活用すれば教育業界特有の悩みを解決できるかもしれません。
当記事では、教育業界における生成AIの活かし方や実際の導入事例などを解説していきます。
なお、生成AIと教育業界の関係について詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。
教育業界で生成AIが活躍する場面
生成AIは、教育業界における以下4つの場面で活躍が期待できます。
- 個別指導
- 教師の負担低下
- 高度な語学学習
- 外国籍の生徒への対応
これらの場面で生成AIを使いこなせば、教師1人あたりの業務負担が減るはずです。
以下で詳細を解説していくので、ぜひ参考にしてみてください。
個別指導
教育業界の課題として、生徒のレベルに合わせた教育指導ができないというものがありますが、生成AIを使用すればこの課題を解決できる可能性があります。
データ分析を得意としている生成なら、生徒一人ひとりの学習データを分析し、その理解度や進捗に基づいてカスタマイズされたアドバイスを提供できるからです。
たとえば、特定の科目でつまずいている生徒には、その生徒に合った補足説明や練習問題を自動的に提示し、学習を支援できます。また、得意分野ではさらなる挑戦を促すアドバイスを行い、学びの意欲を高めることが可能です。
教師の負担低下
生成AIを教育現場で使用すれば、以下のような業務も自動化・効率化できます。
- 面談などの日程合わせ
- 教材の生成
- 採点業務 etc.
これらの業務を効率化できると、教師の負担低下にもつながるので、長時間労働等の課題を解決可能です。もっと広い視点でみると、教師の働き方が改善されれば、教師不足の現状も徐々に解決に向かうことも期待できます。
また、教師はよりよい授業の考案や生徒とのコミュニケーションにより多くの時間を割けるのも大きなメリットです。結果として、教育の質の向上につながります。
高度な語学学習
生成AIを使用すると、語学学習において以下のメリットがあります。
- 多国籍の言語を勉強できる
- 英会話ができる
- さまざまな言い回しを勉強できる etc.
生成AIのなかには、音声入力や音声出力に対応したものもあるので、1人で英会話の練習もできます。生成AIが適切な文法や発音の指導を行ってくれるので、即座に修正ポイントを把握できるのが魅力です。
また、生成AIは多言語に対応しているので、英語以外にもさまざまな言語を学ぶことで、より実践的な言語スキルを効果的に習得できます。これにより、生徒は高度な語学能力を短期間で習得することが可能です。
外国籍の生徒への対応
教師や周りの生徒が外国籍の生徒の母国語を理解できていないがために、コミュニケーションに課題を抱えているケースが多々あります。
本来、すべての生徒にとって教育の機会が平等であるべきですが、外国籍の生徒に対してはその平等性を確保できていないのが現状です。
しかし、生成AIは多言語対応が可能で、生徒の母語での学習支援や説明を提供できます。たとえば、授業内容や教材をリアルタイムで翻訳したり、外国語での指導をサポートしたりすることで、言語の壁を超えた教育を実現可能です。
また、AIは生徒の文化的背景を考慮した個別の学習プランを作成し、適切なサポートを提供できます。これにより、外国籍の生徒もスムーズに学習に取り組めるので、彼らの教育機会の平等性が確保できるというわけです。
教育業界に生成AIを取り入れた導入事例
教育業界に生成AIを取り入れた導入事例として、以下の3つの機関をご紹介します。
- 事例①立命館大学
- 事例② 愛媛大学教育学部附属中学校
- 事例③ つくば市立みどりの学園義務教育学校
それぞれの事例を確認すれば、自分たちの環境で生成AIを活かせるアイデアが見つかるかもしれません。
詳細を解説していくので、ぜひ参考にしてみてください。
事例①立命館大学
立命館大学は、生命科学部の英語授業に「ChatGPT」と機械翻訳を組み合わせた学習ツール「Transable」を試験導入しています。※1
学習ツールの仕組みとしては、機械翻訳が直訳した文章をChatGPTが自然な文章に訳して、さらに翻訳した文章を解説してくれるとのこと。
実際の授業では、直訳が難しい日本語を自力英訳・機械翻訳・Transableによる英訳を実施し、どの方法で英訳されたかを予想するといった使われ方をしています。
授業を受けた生徒によると、ChatGPTによる英訳は日本語の細かいニュアンスまでしっかり伝わるとコメントするなど、その手応えを感じているようです。
事例② 愛媛大学教育学部附属中学校
愛媛大学教育学部附属中学校では、授業中の生徒の質問に対して、一部ChatGPTで返信を行う取り組みを実施しています。※2
理科の実験にて水溶液の性質を学んだあと、最後の振り返りとして生徒が入力した感想や質問に対して、ChatGPTが瞬時に返答しているそうです。
以下、やり取りの一部を例として共有します。(実際の入力内容とは異なる可能性があります)
生徒:「マグネシウムがお酢に溶けたのはどういった変化が起きていたのか」
ChatGPT:「マグネシウムがお酢に溶けると、マグネシウムが酸化され、水素ガスが発生します。この反応は『酸化還元反応』と呼ばれます」
生徒:「実験がうまくいかず、今後改善したい」
ChatGPT:「実験の改善を考えているという姿勢、素晴らしいです。このようなチャレンジ精神を持っていることは理科学習で大切なことです。引き続き頑張ってください!」
質問に対して回答している様子は想像できると思いますが、2番目の生徒を鼓舞するような文章には驚きを隠せません。まるで本当に先生が励ましてくれているかのような文章なので、生徒のやる気を維持することにも繋がりそうです。
教師の負担削減にもつながるので、ぜひ真似してみてください。
事例③ つくば市立みどりの学園義務教育学校
つくば市立みどりの学園義務教育学校は、文部科学省のリーディングDXスクール生成AIパイロット校に指定されている学校です。教師向けに生成AIの利用について研修を繰り返し、今では授業でも生成AIを活用しています。※3
実際に授業で使用したシーンとして、道徳の授業が挙げられるとのこと。「むねにとげがささる」という意味について生徒に説明する際に、まずは生成AIに生徒が質問して、生徒が生成AIに触れる機会も確保しています。
ほかにも、国語の授業の題材としてよく使われる、「走れメロス」のメロスの心情を理解する目的でも生成AIが使われています。
ここで紹介した事例から、つくば市立みどりの学園義務教育学校では教師の仕事を効率化するだけでなく、生徒が生成AIに触れるという目的に特化していることがわかりますね!
なお、ChatGPTを教育現場で活用する方法を詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご覧ください。
生成AIを活用して教育業界の困りごとを解決しよう
生成AIは、教育業界において以下の場面で活躍が期待できます。
- 個別指導
- 教師の負担低下
- 高度な語学学習
- 外国籍の生徒への対応
これらの場面で生成AIが活躍すれば、教育業界全体で抱えている、教師不足や長時間労働などの問題が徐々に解決に向かっていくはずです。
実際に、以下3つの事例を筆頭に、すでに生成AIを授業に取り入れている教育機関も存在します。
- 事例①立命館大学
- 事例② 愛媛大学教育学部附属中学校
- 事例③ つくば市立みどりの学園義務教育学校
これらの事例や考え方などを参考にしながら、ぜひ自分たちの職場でも生成AIの導入を検討してみてください。
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