フレーム問題とは?ChatGPTなどの生成AIに伴う問題をわかりやすく解説

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WEELメディアリサーチャーのいつきです。

突然ですが、みなさんはフレーム問題とは何かご存知でしょうか。

フレーム問題とは、生成AI(人工知能)が問題解決の際に関連性のない情報まで考慮してしまい、処理能力を超えて機能停止してしまう現象のことです。

今回は、このフレーム問題の原因や解決方法について詳しく解説していきます。最後まで目を通すと、これまでより生成AIを使いこなせるようになったり、実用的な生成AIを開発できるようになるはずです。

ぜひ最後までご覧ください。

目次

フレーム問題とは?

フレーム問題とは、生成AI(人工知能)が問題解決の際に本来関係ない情報まで考慮してしまい、処理能力を超えて機能停止してしまう現象のことです。処理能力が有限のロボットには、現実に起こりうる問題全てに対処できないことを示しています。

フレーム問題自体は、1969年にジョン・マッカーシー氏とパトリック・ヘイズ氏が論文のなかで提唱したのが始まりです。※1

なお、フレーム問題の「フレーム」とは枠のことを指しています。特定の問題を解決する際に、その事柄に関連する内容を1つの枠に見立てているのです。

フレーム問題の代表例

フレーム問題の代表例には、以下の2つが存在します。

  • 電話帳
  • 爆弾とロボット

以下で早速みていきましょう。

電話帳

電話帳は、フレーム問題の提唱者であるジョン・マッカーシー氏とパトリック・ヘイズ氏が示した例の1つです。

電話帳の概要

「人間Pが人間Qの電話番号を調べて電話する」という状況を想定しています。

この状況で、人間だったら電話帳でQの電話番号を調べて電話するだけなので単純な処理で済みますが、生成AIの場合は「Qの番号を調べた後もまだQはその番号を使用している」といった前提条件をいちいち説明しなければなりません。

その結果、計算量が膨大になって処理できなくなります。

電話帳は、ジョン・マッカーシー氏とパトリック・ヘイズ氏がフレーム問題について提唱した論文で述べた最初の例です。フレーム問題に関するほかの例も電話帳を参考に紹介されています。

爆弾とロボット

爆弾とロボットは、哲学者のダニエル・デネット氏が紹介したフレーム問題の例の1つです。

爆弾とロボットの概要

物語の中のロボットは、部屋に置かれた荷物を安全な場所に運ぶようプログラムされています。しかし、その荷物には爆弾が取り付けられていました。

ロボットは爆弾の存在を察知し、「荷物を運べば爆弾も一緒に移動する」と判断します。そこでロボットは、どの行動が安全かを考え始めるのですが、「荷物を持ち上げても部屋の色は変わらない」など、無関係な事実までいちいち検討してしまい、思考が膨大な計算に陥ります。その結果、爆弾が爆発してしまいます。

この例は、AIが「何が関係していて、何が関係ないか」を適切に選別できないこと、すなわちフレーム問題の本質を表しています。

なお、生成AIについて詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。

フレーム問題の具体例

フレーム問題の身近な例には、以下のようなものがあります。

  • 自動運転
  • 掃除ロボット
  • 医療分野

フレーム問題について、より理解を深めたい方は参考にしてみてください。

自動運転

自動運転技術には、走行中の周囲の車・人・信号・天候といったあらゆる情報を認織して判断するプログラムが組まれています。そのため、自動運転は生成AIのフレーム問題の影響を受けやすい例として有名です。

実際に、名古屋大学が自動運転プロジェクトを実施した際にフレーム問題が原因と思われる事故が起きました。実験車両が豊田市の市道を走っている際に、後ろから車が追い越しに来ているにも関わらず実験車両が右に寄ったことで接触しています。※3

自動運転は便利な反面、こういった危険性もあるため、フレーム問題の解決は永遠の課題といえます。

掃除ロボット

掃除ロボットは、部屋の中で家具や障害物を避けながら効率よく掃除する必要があります。しかし、どの情報が掃除に関係し、逆にどの情報が関係ないのかを判断できなければフレーム問題に直面します。

たとえば、「ゴミを吸い取っても壁や床の色は変わらないか」「ロボット自体が動くことで床は摩耗しないか」などの余計なことまで考え始めるとキリがありません。

動作が遅くなったり、誤作動を起こしたりする原因になりうるため、フレーム問題の解決が求められます。

医療分野

AIを用いた診断支援では、患者の症状や検査結果から病気を特定しますが、関係のない情報まで考慮すると診断が複雑化します。

たとえば、咳の症状があっても「季節」「話し声のトーン」など診断に無関係な情報を処理し始めると、効率が落ちます。重要な症状に集中するための枠組み作りがフレーム問題の鍵です。

なお、医療現場における生成AIの活用方法について詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。

フレーム問題の原因

フレーム問題の原因は、以下の5つが考えられます。

  • そもそも人間自体も未解決
  • 膨大な学習データが必要
  • 分析に膨大なコストが必要
  • 破局的忘却
  • ブラックボックス問題

解決策を練るためにも、まずは原因から把握していきましょう。

そもそも人間自体も未解決

フレーム問題は、AIに限らず人間にとっても根本的に解決されていない課題です。とはいえ、日常的に人間が余計なことを考慮したことをきっかけに、情報処理が追いつかなかくなっている場面はほとんどありません。

この問題については、人工知能研究者の松原 仁氏によると、「人間もフレーム問題に直面してはいるものの、擬似的に解決していると考えられる」とのことです。※5

擬似的に解決するというのは、人間が一度決めた枠のなかから無理やり答えを引き出しているといった事象を指しています。

つまり、人間もフレーム問題を完全に解決できていないため、それを生成AIが実現するのは難しいといえます。

膨大な学習データが必要

生成AIが与えられた指示と関連性のある情報を判断するためには、膨大な学習データが必要です。

たとえば、「椅子の上にある本を持ち出す」といった指示を受けた際、「壁にかけてある時計はそのままでよい」といった、人間であれば言われなくてもわかるような情報を事前にプログラムしておかなければなりません。

ありとあらゆる状況に備えて無数の情報を学習させるのは困難なため、フレーム問題は今だに解決に至っていないといえます。

分析に膨大なコストが必要

現実世界では変化し得る要素が非常に多いため、AIが全てを考慮して行動を決めようとすると、計算量が爆発的に増えます

たとえば、ある行動が周囲に与える影響をすべて検討しようとすると、関連しない事象まで処理する必要が生じます。その結果、分析に膨大な計算コストや金銭的なコストが必要になるわけです。

この課題を解決するためには、重要な情報だけに注目する「選択的な分析能力」が求められます。

破局的忘却

破局的忘却とは、新しいデータを学習した際に、過去に学習した内容をリセットして忘れてしまう現象のことです。この問題が原因で、AIが学習済みのフレーム(判断基準)を維持できず、今後の行動や判断に活かせなくなります。

破局的忘却が起きることでフレーム問題に直面しやすくなるため、破局的忘却への対策も併せておこなう必要があります。

ブラックボックス問題

ブラックボックス問題とは、生成AIの判断プロセスや基準が人間にわからなくなってしまう現象のことです。生成AIが膨大な学習データを保有して、自律的に答えを導き出すことがブラックボックス化の原因と考えられています。

たとえば、自動運転車が事故を起こした原因を探りたいものの、「どうしてこのような判断をしたのかわからない」といった状況になってしまうため、その後も同じ事故が起きてフレーム問題に陥ってしまうということが考えられます。

フレーム問題の解決策

フレーム問題の解決策としては、以下の6つが期待できます。

  • 情報の優先順位付け
  • 異なる学習方法の併用
  • 知識ベースの拡充
  • ヒューリスティクスの活用
  • コグニティブ・ホイール的発想
  • 強化学習

それぞれの解決方法を詳しく解説していくので、ぜひ参考にしてみてください。

情報の優先順位付け

AIが扱う情報は膨大であるため、どの情報が現在の目標達成に必要かを判断し、優先順位を付けることが不可欠です。

ジョン・マッカーシー氏とパトリック・ヘイズ氏がフレーム問題について提唱している論文でも、状況(situation)や流動的事実(fluent)の形式化を通じて、状態変化に関する推論を効率化する方法を提示しています。※1

これは、すべての事実を等しく処理するのではなく、変化する可能性のある情報に注目するという考え方であり、優先順位付けの基礎となります。

異なる学習方法の併用

フレーム問題の例として「爆弾とロボット」を紹介していたダニエル・デネット氏は、生成AIが「意味のある情報」に気づくためには、多様な視点からの学習が必要であると述べています。※2

たとえば、シンボリックAIによる論理的推論と、ニューラルネットワークによるパターン認識のような異なる学習手法を併用することで、AIはより広いフレームを獲得し、無関係な情報の切り捨てが可能になります。

知識ベースの拡充

ジョン・マッカーシー氏とパトリック・ヘイズ氏の論文では、現実世界に関する豊富な知識ベースを生成が保持して、それを通じて行動を決定するべきであると強調されています。※1

十分な知識ベースがあれば、AIは行動の結果を予測し、関連性の低い情報を無視する判断が可能になるためです。

つまり、AIが意味のある判断を下すには、知識の「幅」と「深さ」の両方が不可欠であり、これこそがフレーム問題の本質的な解決に直結すると考えられます。

ヒューリスティクスの活用

ヒューリティクスとは、人間が普段から無意識におこなっている「経験や先入観に基づいて、ある程度正解に近い答えを見つける思考法」のことです。

「爆弾とロボット」で紹介したダニエル・デネット氏も、「すべての可能性を逐一検討する」のではなく、人間が使っているような経験則(ヒューリスティクス)に基づいて迅速に判断することの重要性を述べています。※2

生成AIがヒューリティクスを活用できれば、フレームを選択する際のコストを削減でき、より柔軟かつ実用的な思考が可能になるはずです。

コグニティブ・ホイール的発想

コグニティブ・ホイールとは、ダニエル・デネット氏がフレーム問題を説明するために使った比喩表現のことです。「新しいAIの認知アルゴリズムを作るときに、“完璧な車輪”を発明しようとして、結局うまく走らない自転車を作ってしまう」という意味で使われています。※2

この比喩が示すのは、理論的に完璧な仕組みを追求するよりも、実際に“うまく回る”認知の仕組みを作ることの重要性です。人間の思考は、すべてを厳密に計算するわけではなく、文脈や経験に基づいて柔軟に判断します。

生成AIにも同様の「実用的に機能する認知機構」が求められるというのが、コグニティブ・ホイール的発想です。
つまり、フレーム問題を乗り越えるには、現実的で柔軟な思考戦略をAIに組み込むことが鍵となるのです。

強化学習

強化学習とは、生成AIが試行錯誤を繰り返しながら、価値を最大化する行動を学習する機械学習の手法のことです。

AIは環境と相互作用しながら「行動 → 結果 → 報酬」のサイクルを繰り返し、どの行動が望ましいかを経験から学んでいきます。

この仕組みは、フレーム問題の解決にも有効とされています。なぜなら、AIが試行錯誤を通じて「どの情報に注目すればよいか」「何が無関係か」を経験的に見極められるようになるからです。

明示的にフレーム(判断基準)を与えなくても、AI自身が最適なフレームを構築し、無駄な情報を切り捨てる判断力を獲得していきます。

さらに、強化学習は時系列的な変化への適応力も高いため、環境の変化や新しい状況にも柔軟に対応できるのも特徴です。こうした特徴から、強化学習はフレーム問題解決に向けた鍵を握っているといえます。

なお、生成AIの学習方法について詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。

フレーム問題の今後に注目しよう!

フレーム問題とは、生成AIが指示とは関係ない事象まで考慮することで、処理が追いつかなくなる現象のことです。身近な例として、自動運転や掃除ロボットなどが挙げられます。

フレーム問題は永遠の課題といえますが、もし解決できれば以下のようなことが実現します。

【フレーム問題を解決するとできること】

  • これまでよりも少ない計算コスト・金銭的コストで生成AIを開発できる
  • 自動運転などの生成AIを使った技術・サービスの安全性が向上する
  • 生成AIがより実用的に使える

フレーム問題を解決できれば、開発者・利用者の双方にメリットをもたらします。フレーム問題については、さまざまな議論がおこなわれて解決に向けた取り組みが進んでいるため、生成AIを開発・利用するものとして今後の動向をチェックしておきましょう。

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最後に

いかがだったでしょうか?

フレーム問題の解決は、生成AIの実用化に向けた大きな課題です。適切な情報選別と効率的な意思決定を可能にする技術を取り入れれば、より高度なAI開発が可能になります。

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投稿者

  • いつき

    高卒6年目にして独立開業した、フリーランスのWebライター。 ChatGPTをはじめ、多くのAIツールを使いこなした経験を基に、AIメディアの記事を執筆中。 複数のWebメディアに在籍し、ライター・ディレクター業務をマルチにこなす。

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