生成AIに学習させる方法!生産性を向上させるAIの学習方法をわかりやすく解説
生成AIは学習させることで、より精度の高い回答を出力してくれるようになりますが、肝心の学習方法がわからないという方は多いのではないでしょうか。生成AIの学習方法を知っているのと知らないのとでは、業務の生産性に大きな差が出るといっても過言ではありません。
そこで今回は、生成AIの学習方法についてわかりやすく解説していきます。最後まで目を通していただくと、自身で生成AIに学習させてより効率的にタスクをこなせるようになるはずです。
ぜひ最後までご覧ください!
方法次第では生成AIに学習させることも可能
生成AIは、開発者にしか学習させられないと考えられやすいですが、方法次第では利用者側でも学習させられます。
まず、生成AIはディープラーニングと呼ばれる技術を使い、膨大なデータを基にパターンを学習しているのが特徴です。
その後、特定の目的に応じた調整が必要な場合にはファインチューニングが実施され、特定のタスクや領域に合わせた精度の高い生成が可能になります。
また、外部の知識ベースを参照して信頼性が高い情報を生成する、RAG(Retrieval-Augmented Generation)と呼ばれる学習方法も存在します。
生成AIに学習・引用させる方法を紹介
生成AIに学習・引用させる方法には、以下の3つがあります。
- Few-Shotプロンプティング
- RAG
- ファインチューニング
それぞれの特徴や仕組みを紹介していくので、ぜひ参考にしてみてください。
Few-Shotプロンプティング
Few-Shotプロンプティングとは、LLMのプロンプトに学習範囲外の知識を挿入する手法のことです。LLMにいくつかの例を事前に提示することで、LLMが知らない単語についても回答を生成できるようになります。
CSVファイル・PDFファイル・URLの提示もこれに該当するので、知らずに実行している方も多いのではないでしょうか。
以下に具体的な例を挙げてみます。
今回の場合は英語で表示されてしまいましたが、「ゲームに勝ったとき、みんなでfarduddleを始めました。」という文章を出力してくれました。
ただ、この手法は厳密には学習ではないので覚えておきましょう。
RAG
RAGとは、外部のデータベースと連携してテキストを生成する技術のことです。ユーザーの質問(クエリ)に対して、関連する情報をデータベースから検索し、検索した情報を基に回答を生成してくれます。
最新の情報に基づいた回答も可能になるため、古くて間違った情報を出力してしまう心配もいりません。
なお、より高度な技術としてRAG Fusionというものも存在します。「LLMによる追加質問の生成」と「リランキング」の工程を加えることにより、さらに専門性の高い内容にも回答できるのが魅力です。
ファインチューニング
「ファインチューニング」とは、事前トレーニング済みのAIモデルに微調整を加えて、特定のタスクに特化した処理能力を向上させる手法です。LLMのモデルそのものに、知識や文体を学習させる方法ともいえます。
よくRAGと混同されがちですが、両者は生成AI自体に学習させるかどうかといった違いがあります。再トレーニングするファインチューニングに対し、RAGはデータベースだけ与えて生成AIに学習はさせていません。
なお、ファインチューニングについて詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。
生成AIの各学習方法でできること・メリット
生成AIの各学習方法でできること・メリットを以下にまとめました。
- 学習範囲外の事実についての回答
- 特定のタスク・文体への特化
- ハルシネーションの軽減
それぞれの学習方法を取り入れることで、生成AIの精度や応用力が向上します。
以下でメリットを詳しく紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
学習範囲外の事実についての回答
Few-Shotプロンプティングを活用することで、生成AIは提示された例から新しい事実や概念を学習し、それに基づいて応答を生成できます。
学習範囲外のトピックに対する対応力が向上するので、予め学習されていない情報にも柔軟に対応できるのが魅力です。これにより、専門的な質問や新しいトピックへの迅速な対応が可能となるため、応用範囲が広がります。
特定のタスク・文体への特化
ファインチューニングにより、生成AIは特定のタスクや文体に適応します。特定分野の専門的な文章作成や、特定の書き方や表現スタイルに沿った生成が実現され、より精度の高い結果が得られるのがメリットです。
プラットフォームごとにそれぞれ適している文体は異なりますが、こういった問題に柔軟に対応できるのがポイントです。
ハルシネーションの軽減
ハルシネーションを軽減するためには、RAG技術が効果的です。外部データベースから正確な情報を取り込むことで、AIは信頼性の高い情報を提供して、誤った内容を含むリスクを低減できます。
なお、ハルシネーションとは、生成AIがまるで幻覚のように虚偽の情報を出力する現象のことです。生成AIを利用する際の課題として、しばしば取り上げられています。
生成AIの各学習方法の注意点・デメリット
生成AIに学習させると、多様なメリットがある一方で、速度・コスト・正確性に関するデメリットも存在します。
おもなデメリットを以下にまとめました。
- 回答速度の低下
- 開発・維持のコスト
- ハルシネーション
それぞれの注意点やデメリットを理解して、正しく対処しましょう。
回答速度の低下
生成AIは、学習モデルが複雑化するほど、処理に時間がかかり回答速度が遅くなる傾向があります。
とくに、ファインチューニングや大規模なデータ参照が必要なRAG(知識を検索して利用するプロセス)を利用する場合は、応答速度に影響が出るので注意しましょう。
学習させるデータ量が多すぎるのがおもな原因のため、本当に必要なデータに絞って学習させることが大切です。
開発・維持のコスト
生成AIのファインチューニングやRAGを実装・運用するには、高度な技術や大規模なデータセットが必要です。開発やモデルの維持には多大なコストがかかるため、小規模なプロジェクトには向きません。
なお、Few-Shotプロンプティングはプロンプトを工夫するだけなのでコストは発生しませんが、学習方法としては弱いです。本格的に生成AIを学習させる際は、ある程度予算に余裕を持ってプロジェクトを進めましょう。
ハルシネーション
RAGなどでハルシネーションを軽減できるとはいえ、完全になくなるわけではありません。とくに、学習データに偏りがある場合や、Few-Shotプロンプティングなどの簡易な方法では、誤った情報が生成される可能性があります。
あらかじめ、ハルシネーションのリスクについて理解しておき、ファクトチェックを徹底するなどの対策が有効です。
全ての学習方法に対応した生成AI4選
ここでは、Few-Shotプロンプティング・RAG・ファインチューニングの全てに対応したLLMを紹介します。
今回紹介する生成AIは、以下の4つです。
- GPT-4o
- Gemini 1.0 Pro
- Claude 3 Haiku
- Llama3
それぞれの生成AIの特徴や学習方法に関連する情報を紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
GPT-4o
GPT-4oは、今や知らない人のほうが珍しいChatGPTに搭載されているAIモデルです。GPT-4の時点でFew-ShotプロンプティングとRAGに対応していたのですが、GPT-4oになってからファインチューニングもできるようになりました。
100万トークンあたり25ドルといった別料金が発生しますが、ChatGPTの精度を高めるためには最適な手段です。
すでに、DistylAIがGPT-4oをファインチューニングして利用しており、意図の分析や思考の連鎖などのタスクで高いパフォーマンスを発揮しています。
なお、GPT-4oについて詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。
Gemini 1.5 Pro
Googleが提供しているGemini 1.5 Proも、Few-Shotプロンプティング・RAG・ファインチューニングの全てに対応しています。
Few-Shotプロンプティングそのままチャットに入力するだけで対応可能で、RAGとファインチューニングに関してはAPIを利用することで対応可能です。
RAGとファインチューニングは、Google Colab上でGemini APIを呼び出して利用できるので、気になる方は試してみてください。
なお、Geminiについて詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。
Claude 3 Haiku
Claude 3 Haikuは、Anthropicが提供しているLLMで、軽量ながらも高速なパフォーマンスを実現している点が特徴です。こちらのモデルもFew-Shotプロンプティング・RAG・ファインチューニングの全てに対応しています。
ほかのLLMと同様、Few-Shotプロンプティングは公式Webサイトのチャット上から利用できますが、RAGとファインチューニングに関してはAPIを通じて設定する必要があります。
なお、Claude 3について詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。
Llama3
Llama3は、Meta社が提供しているLLMです。8Bモデルと70Bモデルが公開されていますが、70Bの微調整モデルは、Gemini Pro 1.5をも凌ぐ性能を備えています。
なお、Llama3も本記事で紹介したすべての学習方法に対応しており、より専門性の高いタスクを実行できます。Python環境・外部のデータセット・ライブラリなどがあれば、RAGやファインチューニングも対応可能です。
なお、Llama3について詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。
生成AIの学習における下準備の方法も紹介
生成AIに学習させる際は、以下の下準備が必要です。
- 前処理
- アノテーション
それぞれの下準備を実施するのとしないのとでは、RAGやファインチューニングを実施したあとのAIモデルのパフォーマンスが大きく変わってきます。
以下でそれぞれ紹介するので、この機会に覚えておきましょう。
前処理
前処理とは、統一感のないデータをAIにとって扱いやすい形に加工する工程のことです。回答精度や予測精度を高められるのがメリットのため、ファインチューニングやRAGを実施する際には欠かせません。
前処理にはいくつか種類がありますが、記号や重複箇所を削除するデータクレンジングや表記揺れを統一する正規化などがあります。
アノテーション
アノテーションとは、それぞれのデータに対して意味付けやラベル分けなどをする工程のことです。テキスト・画像・動画・音声など、さまざまな形式のデータに対応したアノテーション手法が存在します。
アノテーションを実施すると、AIモデルがビッグデータを効率的に管理・活用できるようになり、動作が安定するのがメリットです。ファインチューニングやRAGを実施する前にアノテーションをおこなうことで、より高精度なAIモデルが出来上がります。
なお、アノテーションについて詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。
生成AIの学習方法を理解して業務の効率化を加速させよう!
生成AIを学習させれば、より精度が高まるほか、特定のタスクに特化した専門性の高いAIモデルに仕上げられます。
生成AIの学習方法として、よく利用されているのは以下の3つです。
- Few-Shotプロンプティング
- RAG
- ファインチューニング
各手法を取り入れて生成AIを学習させると、以下のようなメリットを受けられます。
- 学習範囲外の事実についての回答
- 特定のタスク・文体への特化
- ハルシネーションの軽減
反対に、以下のようなデメリット・注意点もあるので覚えておいてください。
- 回答速度の低下
- 開発・維持のコスト
- ハルシネーション
なお、生成AIに学習させたいと考えている方は、以下のAIモデルを利用するのがおすすめです。
- GPT-4o
- Gemini 1.0 Pro
- Claude 3 Haiku
- Llama3
これら4つのモデルはすべての学習方法に対応しているので、より広範囲のタスクに対応できるようになります。
AIモデルをそのまま使用しているときに、回答の不正確さなどが気になる方は、一度生成AIの学習を試してみてください。
最後に
いかがだったでしょうか?
生成AIの学習方法を理解することで、貴社のプロジェクトの生産性を大幅に向上させることが可能です。効率的な学習戦略でAIを最大限に活用し、業務改善を加速させましょう。
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