プロンプトエンジニアリングとは?14の手法と記述のコツ・活用例を解説

プロンプトエンジニアリングとは?14の手法と記述のコツ・活用例を解説
押さえておきたいポイント
  • プロンプトエンジニアリングとは、生成AIへの指示や情報の与え方を設計・改善する取り組み
  • 目的・条件・出力形式を具体的に伝え、業務に合う回答へ近づけることが基本
  • 推論モデルでは不要な手法もあるため、モデルと用途に応じた使い分けが重要

プロンプトエンジニアリングは、生成AIへの指示や情報の与え方を工夫し、目的に合う回答へ近づける取り組みです。営業資料の作成や問い合わせ対応など、日々の業務にも活用できます。ただし、推論モデルでは、従来のテクニックが不要な場合もあるのです。

プロンプトエンジニアリングとは?14の手法と記述のコツ・活用例を解説

この記事では、基本のコツと代表的な手法、職種別の活用例や注意点を解説します。最後まで読むと、業務とモデルに合うプロンプトを考える際の判断基準がわかるでしょう。

\生成AIを活用して業務プロセスを自動化/

tamura

【監修者】田村 洋樹

株式会社WEEL代表取締役 / 累計25社以上のAIアドバイザリーを担当 / 企業向けセミナー・大学講義でのべ10,000人超に登壇 / 日本HP・インテルなど、大手企業主催カンファレンスへの登壇実績多数。AI導入支援・生成AIを活用した業務改革のプロとして、アドバイザリー・PM・講演者など多面的な立場から企業を支援中。

目次

プロンプトエンジニアリングとは?

「プロンプトエンジニアリング」とは、生成AIが目的に合う内容を出力できるよう、指示や入力情報を設計・改善する取り組みです。AWSも、生成AIを望ましい出力へ導くプロセスとして説明しています。

対象はChatGPTだけでなく、文章・画像・音声などを生成するAI全般です。業務の目的や条件、参照資料を伝え、出力を確かめながら指示を調整します。単に質問文を長くすることではなく、必要な情報と評価基準を明確にすることがポイントです。

プロンプトエンジニアリングはなぜ必要なのか?

指示や条件が曖昧な場合、LLMから意図と異なる回答が返ってくることがあります。まずは下記の「悪いプロンプト」をご覧ください。

休暇はまずまずでした。テキストの印象を教えてください。

この例では「テキストが示す範囲」や「印象の伝え方」などの説明が不十分。そこでプロンプトエンジニアリングの手法で、プロンプトを書き直してみると……

テキストを中立、否定的、または肯定的に分類してください。
テキスト: 休暇はまずまずでした。
所感:

以上のとおり、ラベルの付いた具体的な文章に変わりました。これが「LLMにとって良いプロンプト」なのです。

また、事実と異なる内容を生成する「ハルシネーション」は、プロンプトを工夫しても完全には防げません。次の項目から、回答を目的に近づける具体的なコツや手法を見ていきましょう。

プロンプトエンジニアリングの基本のコツ

まず押さえたいのは、目的・役割・出力形式・作業の順序を伝えることです。難しい手法を覚える前に、仕事を依頼する相手へ説明するつもりで、必要な条件を整理しましょう。以下の入力例は、業務で使う場面を想定して作成したものです。

目的と条件を具体的に書く

生成AIへの依頼では、誰に向けて、何を、どの条件で作るのかを具体的に伝えます。「わかりやすく説明して」だけでは、対象読者や必要な詳しさが伝わりません。

社内向けの説明資料なら、読者の知識量と伝えたい内容を先に決めましょう。文字数や使ってよい資料も指定すると、回答を評価しやすくなります。資料にない内容は「不明」とするように伝えることも大切です。

背景を全て詰め込む必要はありません。出力に影響する条件を選び、指示と参照資料を見出しで区切って示してください。

生成AIを初めて使う営業担当者向けに、議事録要約の使い方を200字以内で説明してください。専門用語を使う場合は短い説明を添えてください。

役割と読み手を指定する

役割の指定は、回答の視点や説明の詳しさをそろえる方法です。「営業研修の担当者として」など、仕事と結びつく役割を与えると、期待する切り口を伝えやすくなります。

役割に加えて読み手も指定しましょう。新入社員向けの資料と経営者向けの提案書では、必要な説明や表現が異なります。「新人がそのまま使える」といった利用場面も判断の手がかりです。

ただし、「専門家として」と書くだけで、内容が正しくなるわけではありません。役割は表現や観点の指定と考え、事実確認は別に行ってください。

あなたは営業研修の担当者です。初めて商談に臨む新入社員向けに、顧客の課題を確認する質問を5つ作ってください。

出力形式と必要な項目を指定する

回答をそのまま業務へ取り込みたい場合は、表の列名や回答に含める項目まで指定します。「整理して」だけでなく、「担当者・期限・対応内容の3列の表にして」と伝える方法です。

必要な形式が決まっていれば、抜けている項目を見つけやすくなります。議事録から期限を抽出するときは、記載がなければ「未定」とするなど、情報がない場合の扱いも指定しましょう。

文字数や形式の指定も、必ず守られるとは限りません。提出前に文字数と項目を確認し、機械処理する場合は形式のチェックも行ってください。

次の議事録から、担当者・期限・対応内容を抽出して表にしてください。議事録に記載のない担当者や期限は「未定」とし、推測で補わないでください。

複雑な作業は段階を分けて依頼する

複数の判断が必要な仕事では、途中の成果物を確認しながら次の作業を依頼する方法が役立ちます。例えば提案書なら、課題の整理、構成の作成、本文の作成という順序です。

まず課題の整理だけを依頼し、認識の違いを直してから構成へ進みましょう。前提がずれたまま長文を作る手戻りを抑えられます。途中で人が判断する必要のある業務に向く進め方です。

これは、生成AIに内部の思考過程を細かく説明させることとは異なります。確認すべき成果物を区切り、人が判断するタイミングを設けてください。

まず、添付の商談メモから顧客の課題と未確認事項を抽出してください。提案書の構成や本文は、私が内容を確認してから作成してください。

プロンプトエンジニアリングのテクニック14選

プロンプトエンジニアリングは、目的・条件・出力形式を伝えるために今も役立ちます。一方で、推論モデルに段階的な思考を促す指示を加えても、必ず性能が上がるわけではありません。以下では14の手法を紹介し、WEELで実際に試した結果と使い分けの目安をまとめます。

検証は2026年10月25日にChatGPT(GPT-6)で行いました。パラメータの比較のみGoogle AI StudioのGemini 3.8 Flashを使っています。特定の問題での実施結果であり、全ての業務で同じ効果が得られることを示すものではありません。

推論モデルでは段階的な思考を促す指示が性能を下げる場合もあるとOpenAIは案内しています。ただし、今回の比較では逆効果は確認していません。

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手法使い分けの目安今回の結果
Zero-Shot今も有効:基本の指示レビュー3件を全件正しく分類
Few-Shot今も有効:基準・形式の例示3件とも正解。例なしとの正答数の差なし
CoT推論モデルでは追加不要・逆効果の可能性答えのみの例でも説明付きの例でも96個
Zero-Shot CoT推論モデルでは追加不要・逆効果の可能性通常指示でも段階的な指示でも96個
Self-Consistency用途次第:複数回答の集計5回答が96個で一致。改善効果は未確認
知識生成用途次第:前提の整理結露の説明に露点が追加。通常回答も正解
ToT用途次第:候補の比較・探索複数候補を検討して24になる式を作成
方向性刺激今も有効:重点の指定要約の重点は変化。担当者の補完に注意
マルチモーダルCoT用途次第:画像からの処理を分割転記と計算に成功。一括質問も正解
APE今も有効:候補を評価して選ぶ考え方3案とも5件正解。採用案の決定には至らず
変数の使用今も有効:固定指示と入力の分離2通で宛名・商品・日付・配送会社を反映
パラメータ設定・用途次第Low・Highが各3回正解。速度は未測定
ReAct今も有効:検索結果を受けた追加調査通常情報と当日の未確認事項を区別
RAG今も有効:資料を根拠にした回答条文番号を提示。記載なしの事項も回答
プロンプトエンジニアリングの14手法の使い分けと検証結果

Zero-Shotプロンプティング

「Zero-Shotプロンプティング」は、回答例を示さず、指示と対象データを渡す方法です。「Zero」は例の数を指し、学習していないモデルを使うという意味ではありません。

今回は、商品レビュー3件を「肯定的」「否定的」「中立」に分類し、「番号:分類」だけを返すよう指定しました。ChatGPTは3件とも正しく分類し、指定した出力形式にも従っています。

今回のように評価が明確な文章では、例を追加する前から必要な結果を得られました。まず短い指示で試し、判断基準や形式が伝わらない場合に説明を補うとよいでしょう。

回答例を与えず、3件のレビューを正しく分類したChatGPTの画面
参考:https://chatgpt.com/

Few-Shotプロンプティング

Few-Shotプロンプティングは、入力と望ましい回答の組を複数示す方法です。独自の分類基準や書き方を、説明だけでは伝えにくい場合に利用します。

検証では、肯定的・否定的・中立の分類例を1件ずつ加え、Zero-Shotと同じレビュー3件を分類させました。結果は同じく全件正解で、「番号:分類」の形式も保たれています。

今回は例を追加したことによる正答数の改善は見られませんでした。例を使う際は、実際に扱う文章に近いものを選び、指示と例の分類基準が食い違わないようにしてください。

3種類の分類例を示し、商品レビューを正しく分類したChatGPTの画面
参考:https://chatgpt.com/

Chain-of-Thought(CoT)プロンプティング

CoTプロンプティングは、途中の説明を含む解答例を示す手法です。原論文では、計算や常識推論などの課題で効果が報告されています。

検証では、在庫計算の例に答えだけを示す場合と、計算式・説明も示す場合を比較しました。どちらも最後の問題に「96個」と正しく回答し、この問題では説明付きの例による差は確認できませんでした。

推論モデルに長い解答例を加えれば、必ず精度が上がるわけではありません。OpenAIも段階的な思考を促す指示は不要で、性能を下げる場合があると案内しています。確認用の計算式が必要なら、回答に含める項目として指定しましょう。

答えだけの例を示した在庫計算で96個と回答した画面
参考:https://chatgpt.com/
計算式と説明を含む例を示した在庫計算で96個と回答した画面
参考:https://chatgpt.com/

Zero-Shot CoTプロンプティング

Zero-Shot CoTは、解答例を示さず、段階的に考えるよう促す手法です。原論文では「Let’s think step by step」という指示を用いています。

今回は同じ在庫計算に対し、通常の指示と段階的に考える指示を比較しました。どちらも答えは96個で、追加指示による正答の変化はありませんでした。

推論モデルでは、この一文を付けることを標準手順にする必要はありません。まず問題・条件・出力形式を明確にし、結果を確認してください。今回の比較では逆効果も確認しておらず、「付けると必ず悪化する」とまではいえません。

例や段階的な指示を加えずに在庫数96個と回答した画面
参考:https://chatgpt.com/
段階的に考える指示を加えて在庫数96個と回答した画面
参考:https://chatgpt.com/

Self-Consistency(自己整合性)を伴うCoT

Self-Consistencyは、同じ質問に対する複数の推論経路の最終回答を集計し、多数決で答えを選ぶ手法です。解き方の例を複数示すFew-Shot CoTとは区別されます。

今回は考え方を簡易的に試すため、同じ在庫問題に5回答を得て結果を集計しました。全て96個となり、多数決でも96個が選ばれました。正答は120−18+3−24+15=96と検算できます。

ただし、繰り返し質問するだけでは推論経路の多様性を保証できません。今回は誤答を多数決で修正した例でもないため、精度向上の証明ではなく回答の一致を確認した結果として扱います。

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最終回答回答数採用する答え
96個5/596個
表 同じ在庫問題に対する5回答の集計
在庫数96個と計算式を示した5回答中の代表画面
参考:https://chatgpt.com/

知識生成プロンプティング

知識生成プロンプティングは、質問に関連する知識を生成し、その内容を追加の入力として回答に使う手法です。原論文では、生成した知識を常識推論の問題へ活用しています。

検証では、冷たいコップの外側に付く水滴について、水蒸気と結露に関する知識を先に生成しました。その知識を渡して質問すると、水滴の由来を空気中の水蒸気と説明し、露点にも触れています。

通常の質問でも結露と正しく答えていたため、今回は知識の追加で正誤が変わったわけではありません。生成した知識にも誤りはあり得るので、重要な内容は資料と照合してから使いましょう。

コップの水滴に関する回答の前に水蒸気や結露の知識を生成した画面
参考:https://chatgpt.com/
生成した知識を入力し、水滴の由来を説明させた画面
参考:https://chatgpt.com/

Tree of Thoughts(ToT)プロンプティング

ToTは、複数の候補を評価し、必要に応じて前の分岐へ戻りながら解決策を探す手法です。1つの解き方を続けるだけでなく、探索の進め方を設計します。

今回は4・7・8・8を1回ずつ使って24を作る課題で、候補の生成・展開・評価を順番に指示しました。最終的に「(7−(8−4))×8=24」という正しい式が得られています。

これはToTの考え方をチャットで試した例であり、論文の探索プログラムを再現したものではありません。今回は候補から正解に到達したため、前の分岐へ戻る操作の効果までは確認していません。

ToTの検証画面
24を作る問題について最初の計算候補を複数示した画面
参考:https://chatgpt.com/
展開した候補を評価し、次に検討する候補を選んだ画面
参考:https://chatgpt.com/
4と7と8と8を1回ずつ使い24になる式を得た画面
参考:https://chatgpt.com/

方向性刺激プロンプティング

方向性刺激プロンプティングは、キーワードなどのヒントで生成内容の重点を指定する手法です。原論文では小さなモデルがヒントを生成しますが、今回は人がヒントを加えて試しました。

会議メモを80字以内に要約する課題で、「操作マニュアル」「社員向け研修」「担当者」を重視する指示を追加しました。通常の要約は84字、指定後は74字となり、売上や倉庫整理の話題が外れています。

ただし、通常の要約と指定後の要約のどちらにも、原文で明示されていない研修の担当者を佐藤さんと読める表現がありました。重点を指定できても事実の正確さは別途確認が必要です。文字数だけでなく、担当者や日付も原文と照合してください。

80字以内の要約に対し84字の文章を出力した通常指示の画面
参考:https://chatgpt.com/
重点キーワードを加え、74字の要約を出力した画面
参考:https://chatgpt.com/

マルチモーダルCoTプロンプティング

マルチモーダルCoTは、文章と画像を組み合わせて答えに至る根拠を扱う手法です。原論文では、根拠の生成と回答の推論を分けた構成を提案しています。

今回はその考え方を参考に、表画像の読み取りと増加率の計算を分けて指示しました。7月・8月の販売数は全て正しく転記され、計算結果は商品Aが10%、Bが25%、Cが5%となっています。

一度に質問した場合も商品B・25%と正答したため、分割による精度向上は確認できませんでした。一方、読み取った値を途中で確認できるので、転記と計算のどちらに誤りがあるかを点検しやすくなります。

マルチモーダルCoTの検証画面
検証に使用した商品A・B・Cの7月と8月の販売数の表
参考:https://chatgpt.com/
画像の表から商品A・B・Cの7月と8月の販売数を転記した画面
参考:https://chatgpt.com/
転記した販売数から増加率を計算し、商品Bが最大と回答した画面
参考:https://chatgpt.com/

自動プロンプトエンジニアリング(APE)

APEは、LLMが指示文の候補を複数作り、スコアで最もよいものを選ぶ手法です。指示文を生成するだけでなく、評価と選択までを含みます。

今回は分類ルールを固定し、簡潔なA案・役割を与えるB案・条件と出力例を示すC案を作成しました。同じレビュー5件で試すと、全案が5件とも正解し、出力形式も守られています。

この検証では優劣が付かなかったため、最適な案が決まったとはいえません。実運用では別のレビューでも比較し、正答数・形式違反・指示文の長さなどを確認して選びます。今回は候補生成と手動評価までを試した結果です。

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案構成正答数形式違反
A簡潔な指示5/5なし
B役割とルール5/5なし
C条件と出力例5/5なし
表 3案を同じレビュー5件に適用した結果

プロンプトの改善を支援する公式ツールにも、提供終了や移行の予定があります。2026年10月26日時点の状況は次のとおりです。

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公式ツールできること提供状況・注意点
OpenAI Prompt Optimizer指示文を改善。データセットの評価結果も利用データセット連携版は終了対象。Evalsは2026年10月31日に既存の評価が読み取り専用となり、11月30日に終了予定
Anthropic Prompt Improver(旧機能)Claude向けの指示文改善を支援旧Workbenchと実験的な改善APIは2026年8月17日に終了。過去の紹介記事の手順は利用できない
Claude ConsoleのPlaygroundプロンプトを変更してモデルの応答を試す現行の試行環境。自動最適化ツールではなく、保存履歴やプロンプト評価機能も非対応
表 プロンプト改善・試行に関する公式機能の提供状況
分類ルールを変えずにA・B・Cの3案を作るよう依頼した画面
参考:https://chatgpt.com/
A案で5件のレビューを正しく分類した画面
参考:https://chatgpt.com/

変数の使用

変数を使う方法は、固定の指示文と毎回変わる情報を分ける工夫です。顧客名・商品名・発送日・配送会社などの入力欄を決めておくと、同じ条件で文章を作れます。

検証では、この4項目を差し替えて発送完了メールを2通作成しました。宛名や商品名などはそれぞれの情報が反映され、指定していない到着予定日は補われていません。本文は改行を除くと99字・100字で、120字以内でした。

通常のチャットでは、波括弧で囲んだ入力欄が自動的に置換されるわけではありません。下のひな形を使う際は、各欄を実際の情報へ置き換えてから入力してください。

【入力用ひな形(各欄を実際の情報に置換)】

クリックで表示
{顧客名}様への発送完了メールを、丁寧な文体で120字以内に作成してください。
商品名:{商品名}
発送日:{発送日}
配送会社:{配送会社}
記載されていない到着予定日は推測しないでください。
田中様宛てにノートセットの発送完了メールを作成した画面
参考:https://chatgpt.com/
入力情報を差し替え、鈴木様宛てにペンケースの発送完了メールを作成した画面
参考:https://chatgpt.com/

パラメータの指定

パラメータの指定は、画面やAPIの設定で生成時の動作を調整する方法です。文章で設定値を書くことと、実際の設定を変更することは異なります。

今回はGoogle AI StudioのGemini 3.8 Flashで、Thinking levelをLow・Highに切り替えました。3・3・8・8で24を作る同じ問題を各3回試すと、全て「8÷(3−8÷3)=24」という正しい式を返しています。

この問題では設定間の正答数に差はありませんでした。処理時間や使用トークン数は測定していないため、速度・費用の比較はできません。なお、同モデルの移行ガイドではtemperatureなどの非推奨となった設定を削除するよう案内されています。

スクロールできます
Thinking level試行数正答数
Low3回3/3
High3回3/3
表 Thinking level別の計算問題の結果
Gemini 3.8 FlashのThinking levelをLowに設定し正答した画面
参考:https://aistudio.google.com/
Gemini 3.8 FlashのThinking levelをHighに設定し正答した画面
参考:https://aistudio.google.com/

ReAct

ReActは、推論と行動を交互に繰り返して答えを導く手法です。検索や外部ツールから得た情報を踏まえ、次に何を調べるか判断します。

検証ではChatGPTのウェブ検索を使い、札幌市の公式サイトから月曜日に開館する図書館を探しました。続いて2026年11月2日の利用可否を追加確認すると、通常の開館情報と当日の確認ができていない点を分けて回答しています。

結果は開館の見込みを示すにとどまり、当日の利用を確定できたわけではありません。これは検索結果を受けて追加調査する流れの実践例です。ChatGPT内部で原論文と同じReActが動いていることを検証したものではありません。

ReActの検証画面
札幌市の公式情報を検索し、通常の月曜日に開館する図書館を調べた画面
参考:https://chatgpt.com/
特定日の利用可否について追加調査し、確認の限界を示した画面
参考:https://chatgpt.com/
休館日カレンダーの未確認事項と参照した公式情報を示した画面
参考:https://chatgpt.com/

RAG(Retrieval Augmented Generation、検索拡張生成)

RAGは、外部資料を検索し、取得した内容を生成AIへ渡して回答を作る仕組みです。モデルが学習した知識だけに頼らず、社内資料などを根拠として利用します。

コードを書かずに資料を参照させる方法として、ChatGPTへのファイル添付やプロジェクト機能があります。今回は検証用の備品貸与規程を添付し、条文番号を付けて回答するよう指定しました。

対象者・貸与期間・延長申請の条件は条文番号付きで示され、修理費の負担者については「資料に記載がありません」と回答しています。これはファイル参照の実践例であり、内部の検索処理まで確認したものではありません。回答と引用箇所は原文と照合して利用してください。

添付した備品貸与規程を参照し、条文番号と記載のない事項を示した回答画面
参考:https://chatgpt.com/

プロンプトエンジニアリングの活用例

業務への応用では、成果物を使う相手と確認する項目を決めると、依頼内容を具体化しやすくなります。以下は導入実績や効果測定の報告ではなく、営業・マーケティング・カスタマーサポート・人事での利用を想定した活用例です。

営業で商談の質問と提案のたたき台を作る

営業では、商談で確認する質問や提案のたたき台を作る用途が考えられます。顧客の業種、把握している課題、自社サービスの特徴を伝えると、検討の前提をそろえられます。

まず不足情報を整理し、その後に質問案や提案の構成を作る順序がおすすめです。確認できていない顧客の事情は、事実として書かせないようにしましょう。入力する商談情報も、社内ルールで認められた範囲に限ります。

価格や納期など、顧客への約束に関わる内容は担当者の確認が必要です。生成した文章をそのまま送信せず、商談の準備資料として活用してください。

法人営業の担当者として、以下の商談メモから顧客の課題と未確認事項を整理し、次回確認する質問を5つ作成してください。価格や納期は推測で補わないでください。

マーケティングで訴求案を比較する

マーケティングでは、同じ商品の複数の訴求案を比較する作業に活用できます。ターゲット、商品の確認済みの特徴、掲載先を指定し、異なる切り口の案を出してもらう方法です。

案ごとの狙いも示させれば、採用する理由を検討しやすくなります。「新規顧客向け」と「既存顧客向け」のように、読み手を変えて比較することも可能です。根拠のない性能や実績を加えない条件を添えましょう。

生成AIが選んだ案が、実際に高い成果を出すとは限りません。公開後の反応を確認し、必要に応じて文章や訴求軸を見直してください。

以下の商品情報だけを使い、初めて購入する方向けの見出し案を5つ作ってください。各案は30字以内とし、狙う訴求軸を別欄に記載してください。未確認の効果や実績は書かないでください。

カスタマーサポートで返信案を作る

カスタマーサポートでは、対応マニュアルに基づく返信案の作成が活用の一例です。問い合わせの要点、参照してよい資料、回答の口調を指定して依頼します。

返金や交換など判断が必要な内容は、適用条件をマニュアルで確認させましょう。資料に答えがない場合の対応も、あらかじめ決めておくことが大切です。必要な情報が不足しているなら、確認質問の案を作らせる方法もあります。

返信文の自然さだけでなく、案内内容が規程と一致しているか確認してください。送信前に担当者が判断し、必要に応じて専門部署へ引き継ぎます。

添付の対応マニュアルを根拠に、以下の問い合わせへの返信案を作成してください。返金の可否を確認できない場合は断定せず、担当者への確認が必要な点を返信案とは別に示してください。

人事で研修資料と社内FAQを整える

人事では、新入社員向けの研修資料や社内FAQのたたき台を作る場面に活用できます。対象者の知識量、説明する制度、参照する規程を指定する方法です。

規程の説明を依頼するときは、原文の条件や例外を省かないように伝えましょう。わかりやすさを優先しすぎて、利用条件が変わってしまうことを防ぐためです。回答には参照した見出しを付けると、担当者が確認しやすくなります。

評価情報や健康情報などを、必要なく入力しないことも大切です。公開前には担当部署が内容を確認し、規程の更新に合わせて資料も見直してください。

添付の備品貸与規程をもとに、新入社員向けのFAQを5つ作成してください。適用条件や例外を省略せず、回答ごとに根拠となる見出し名を付けてください。

プロンプトエンジニアリングの注意点

プロンプトを工夫しても、回答の正確さや安全性が保証されるわけではありません。業務に取り入れる際は、出力の確認、入力情報の管理、外部データに含まれる不審な指示への対策を組み合わせましょう。目的に合う結果かどうかを、人が判断する工程も必要です。

ハルシネーションを完全には防げない

ハルシネーションは、生成AIが事実と異なる内容を、もっともらしく出力する現象です。詳しい指示や参照資料を与えても、誤りを完全に排除できるわけではありません。

数値・固有名詞・制度・製品仕様など、判断に影響する情報は原資料と照合しましょう。出典URLがあっても、リンク先が実在し、回答の内容を裏付けているか確認する必要があります。

評価には、正解がわかる問題と答えが資料にない問題の両方を用意してください。正答率だけでなく、情報が不足する場面で適切に「わからない」と答えられるかも確認できます。

入力する情報と利用環境を確認する

業務情報を入力する前に、そのサービスと契約で扱ってよい情報かを確認してください。学習への利用、保存期間、アクセスできる方の範囲などは、利用するサービスや設定によって異なります。

顧客名や連絡先など、作業に不要な情報は削除しましょう。機密情報を扱う場合は、会社が承認した環境と手順を使用することが基本です。匿名化したつもりでも、複数の情報から個人や企業を特定できる場合があります。

また、回答を別のツールへ送る仕組みでは、送信先も確認が必要です。入力から出力の共有まで、誰がどの情報を扱うかを整理してください。

プロンプトインジェクションに備える

プロンプトインジェクションは、外部の文章や資料に埋め込んだ指示で、生成AIを意図しない動作へ誘導する攻撃です。検索結果や添付ファイルも、その入口になり得ます。

対策では、外部資料を参照データとして扱い、業務上の指示と区別します。ただし、「不審な指示を無視して」と書くだけで、安全性を保証することはできません。

ツールが使える環境では、権限を必要最小限にし、送信や削除などの重要な操作に確認手順を設けましょう。回答に使う情報と、実行してよい操作を分けて管理することが大切です。

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プロンプトエンジニアリングに関するよくある質問

ChatGPTの「プロンプト」とは?

ChatGPTのプロンプトとは、回答や処理を求めるために入力する指示や質問などのことです。目的に応じて、役割・前提情報・出力形式・回答例などを加えます。

ChatGPTでのプロンプトのコツは?

ChatGPTの能力を引き出すプロンプトのコツとしては、下記が挙げられます。

  • 簡潔に記述する
  • 具体的に記述する
  • 箇条書き・マークダウンの見出し記号(#)などでセクションを分ける
  • 一発生成を狙わず、複数回のやり取りで修正をかける
  • ChatGPTのペルソナ・役割を指定する
  • 事前情報・回答例を記述する

資格や検定はありますか?

関連資格として、生成AIの基礎知識や活用時の注意点を学ぶ「生成AIパスポート」などがあります。ただし、資格の取得と、業務に合うプロンプトを設計できることは別です。

受験を考える際は、試験の対象範囲と、自分が身に付けたい能力を照らし合わせてください。実務では、正解例を用意して回答を比較し、改善点を説明できる経験も役立ちます。

プロンプトエンジニアの仕事内容や必要なスキルについては、こちらの記事をご覧ください。

どうやって学べばいいですか?

まずは、公式ガイドを読み、身近な業務で指示を少しずつ変えて試す方法がおすすめです。OpenAIやAnthropicのガイドなら、モデルに合う書き方を確認できます。

要約や分類など、良し悪しを判断しやすい作業を1つ選びましょう。目的・条件・出力形式を指定したうえで、回答例を追加した場合との違いを記録します。モデルや設定、入力資料もそろえると、比較しやすくなります。

体系的に学ぶには、書籍や講座も選択肢です。ただし、モデル固有の説明は公式資料で確かめ、学んだ手法が自分の用途でも必要か判断してください。

プログラミングの知識は必要ですか?

チャット画面で指示を工夫するだけなら、プログラミングの知識は必須ではありません。まずは業務の目的を整理し、必要な情報と回答形式を伝えられることが大切です。

ファイルを参照させて質問したり、回答を見て指示を調整したりする作業も、画面上で行えます。自分で正解を判断できる課題から取り組みましょう。

一方、APIで大量のデータを処理する場合や、自社システムへ組み込む場合には、開発やデータ管理の知識が必要になります。ノーコードのサービスを使う場合も、参照権限や回答の評価方法は設計してください。

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