生成AIを使ったアノテーションとは?メリットと活用方法、注意点を徹底解説
WEELメディア事業部リサーチャーのいつきです。
生成AI開発において欠かせないアノテーションですが、学習データのラベル付けやタグ付け作業を面倒に感じている方も多いのではないでしょうか。実は、アノテーションの工程自体にも生成AIを活用できるので、コストや時間的リソースを節約したいのであれば利用しない手はありません。
そこで今回の記事では、生成AIを使ったアノテーションについて詳しく解説していきます。最後まで目を通していただくと、生成AIをアノテーションに活用するメリットやデメリットを理解できるので、アノテーションを生成AIに任せるかどうかの判断ができるようになるはずです。
ぜひ最後までご覧ください。
なお弊社では、生成AIツール開発についての無料相談を承っています。こちらからお気軽にご相談ください。
アノテーションの概要
生成AIにおけるアノテーションとは、学習させるデータにラベルやタグをつける作業のことです。画像であれば位置・大きさ・色などに分けて整理していきます。
アノテーション次第で生成AIの品質が大きく変わってくるため、生成AIの開発を行うなら確実に理解しておきましょう。
以下では、アノテーションをする理由や種類を解説していきます。
アノテーションをする理由
生成AI開発でアノテーションをするのは、生成AIの学習データの品質を高めて、本番利用する際の性能を向上させるためです。アノテーションでタグ付けしたデータを生成AIが理解することで、正確なデータを学習させられます。
また、アノテーションなら生成AIの学習効率を高められるので、データ処理に多くのコストがかかりません。生成AI開発のコストを削減する手段としても有効です。
参考記事:アノテーションとは?AI・機械学習との関係と活用事例や作業方法も解説
アノテーションの種類
アノテーションの種類は、以下のように分けられます。
- テキストデータ
- 画像・動画データ
- 音声データ
まず、テキストデータのアノテーションでは、テキスト内の単語や意味を検出して分類分けするのが一般的です。ほかにも、文法や感情を理解できるものがあるなど、テキストデータのアノテーションだけでもその種類は豊富に分かれています。
画像・動画データのアノテーションは、物体検出や領域抽出などに細かく分かれており、画像や動画内の特定の物体や領域を検出できます。さらに、目印の検出もできるので、画像・動画データのアノテーションの性能は計り知れません。
一方、音声データのアノテーションでは、音量や音の種類で分けるものに加え、音の意味や感情で分けるものも存在します。文字起こしなどに使用させるモデルなら、「えー」「あのー」などの不要な言語を理解できるのも特徴です。
参考記事:アノテーションとは?意味やAI機械学習に欠かせない作業の種類を解説
なお、生成AIツールの開発について詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。
→【生成AI×開発】AI担当者が気になる生成AIツール開発の情報まとめ
アノテーションもできる生成AI
アノテーションは生成AIの品質を高めるために必要な工程ですが、この工程自体も生成AIで効率よく行えます。多くの企業がアノテーション用の生成AIをリリースしているので、テキストや画像などの種類に応じて適切なサービスを利用しましょう。
当サイトでもおすすめのアノテーションAIをピックアップしてみたので、以下のサービスもチェックしてみてください。
無料で利用したいならMicrosoftが提供している「Microsoft VoTT」がおすすめです。ただし、ダウンロードの必要があるので、Web上でアノテーションを行いたいなら、「FastLabel」や「harBest Data」を利用しましょう。
アノテーションに生成AIを使うメリット3点
アノテーションに生成AIを使うと、以下3つのメリットが受けられます。
- コストが削減できる
- 時間・工数も削減できる
- AI開発のハードルが下がる
時間やコスト面の負担を減らせるので、多くの方にとってメリットがあります。
以下でそれぞれのメリットを詳しくみていきましょう!
コストが削減できる
アノテーションができる生成AIには、元々必要なデータが蓄積されているので、アノテーションを効率よく行えます。また、手動でアノテーションを行う場合に比べて人が行う作業が減るので、相対的に人件費の削減が可能です。
削減できたコストを使えば、さらに高性能な生成AIを開発できますね!
時間・工数も削減できる
アノテーションに生成AIを使えば、データのラベル分けやタグ付けを自動化できるので工数が減ります。さらに、人が手動でアノテーションするよりも早く仕上げてくれるので、作業時間の削減も可能です。
生成AIをいち早くリリースして、自社業務の効率化や新たな事業の立ち上げを行いたい方は、ぜひ生成AIの力を借りてみてください。
AI開発のハードルが下がる
ここまで、生成AIでアノテーションすることによりコストや時間を削減できることを解説しましたが、これらのメリットによって相対的にAI開発のハードルが下がります。
生成AIの開発を少ない時間やコストで実現できるようになるので、中小規模の事業者にとって大きなメリットといえるでしょう。また、専門知識がなくてもアノテーションできるようになるので、人材が足りていない企業でも問題ありません。
アノテーションの生成AIサービスを提供している会社のなかには、業務委託に対応しているケースもあるので、AI開発のハードルをより下げたいのであれば利用してみるのもおすすめです。
アノテーションでの生成AI活用時の注意点3つ
アノテーションで生成AIを活用する際は、以下3つの注意点が存在します。
- 文化的偏見を含むリスク
- モデル学習に使われるリスク
- ハルシネーションのリスク
これらの注意点は、開発する生成AIの品質に関わってきます。
それぞれの注意点を解説していくので、ぜひ参考にしてみてください。
文化的偏見を含むリスク
生成AIの普及に伴い、生成AIによる文化的偏見の露呈が度々問題になっています。とある画像切り抜きAIは黒人よりも白人の顔を好み、男性よりも女性の顔を好んだことで物議を醸しました。
このような文化的偏見を含ませてしまうと、生成AIの品質が悪化するのはもちろん、最悪の場合はユーザーの気持ちを害してしまいます。文化的偏見が出力結果に出ないよう、出力テストなどを繰り返しながら細心の注意を払いましょう。
参考記事:AI の偏見と文化的固定観念: 影響、制限、緩和策
モデル学習に使われるリスク
生成AIは提供されたデータを学習することで、日々精度を向上させています。アノテーション用の生成AIも例外ではないため、アノテーションのために提供したデータがトレーニングに利用される可能性は否定できません。
秘匿性の高い情報をモデル学習に使われると、自社にとって大きな不利益になる恐れがあるので、提供データの学習有無は事前に確認しておきましょう。
ハルシネーションのリスク
ハルシネーションとは、AIが幻覚を見ているかのように「もっともらしい嘘」を出力する現象のことです。とくに、AIチャットボットが普及した初期段階で多くみられ、ChatGPTを開発したOpenAIが訴訟される問題にまで発展しました。
生成AIを使ってアノテーションした場合もハルシネーションが起きるリスクがあるので、一般公開する前に出力結果を十分にテストしておきましょう。
なお、生成AIのリスクとその対策方法について詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。
→生成AIの企業利用・開発のリスクとその対策を解説!開発失敗事例も紹介
アノテーションでの生成AI活用方法5選
アノテーションにおける生成AIの活用方法を5つまとめました。
- 物体検出
- セグメンテーション
- ランドマークアノテーション
- 画像分類
- テキスト分類
以下で、それぞれの活用法を詳しく解説していくので、生成AIを開発する際の参考にしてみてください。
物体検出
物体検出とは、画像や動画内の物体を検出できる技術のことです。画像や動画のアノテーションでよく利用されています。
アノテーションで物体検出をすることにより、画像や動画内に「何が写っているのか?」という情報を識別して分類できるので、アノテーションに欠かせない技術といっても過言ではありません。
物体検出のアノテーションは、おもに自動運転技術や工場の検品作業などに活用されています。
参考記事:物体検出のアノテーションとは|「物体検出の手法」や「できること」について解説
セグメンテーション
セグメンテーションとは、特定の領域を指定してタグ付けを行っていく作業のことです。複数のオブジェクトを検出する物体検出とは異なり、セグメンテーションでは特定のオブジェクトのみを抽出します。
おもな活用事例としては、顔認証や外観検査システムなどが挙げられるでしょう。
参考記事:セマンティックセグメンテーションとは?AI開発におけるセグメンテーションの種類と活用事例
ランドマークアノテーション
ランドマークアノテーションとは、顔認証のAI開発によく使われるもので、目・鼻・口などの各パーツを点で指定してタグ付けを行う作業のことです。
ランドマークアノテーションのなかでは「キーポイントアノテーション」というものもあり、骨格を検出することで人物の姿勢を特定するのに役立ちます。
生成AI開発では3Dモデルに骨や関節を入れる作業(リギング)を行うことがありますが、このランドマークアノテーションを活用すれば、もう手動で3Dモデルに関節を入れる必要がありません。
なお、リギング用AIツールについて詳しく知りたい方は、以下の記事を合わせてご確認ください。
参考記事:【最新AIツール一覧】生成AIツールをフル活用した最先端の仕事術
画像分類
画像分類とは、1枚の画像にタグ付けを行っていくシンプルなアノテーション手法のことです。たとえば、犬が写っている写真に対して「写っているのは犬なのか?」といった基準でタグ付けをしていきます。
なお、画像分類の技術は、顔認証や異物検知などで活用されています。
参考記事:AI(ディープラーニング)による画像分類とその活用法【初級者向け】
テキスト分類
テキスト分類では、テキストデータに対して以下のようにラベル付けするアノテーション手法があります。
- 人物や場所などの単語を抽出
- テキストの意図を抽出
- テキスト内の感情を抽出
- テキストの文法構造を理解
テキスト分類のアノテーションは、SNSなどで活用されています。特定のワードを抽出し、トピック別に投稿を表示させる機能が代表例です。
企業で活用すれば、SNSユーザーの中からアルバイト意欲のあるユーザーを抽出することもできます。
参考記事:SNSのテキスト分類アノテーション、追加データセットにより再現率が50%近く向上【需要抽出×AI】
アノテーションでの生成AI活用事例
生成AIの「GPT-4V」をアノテーションで利用した事例があったのでご紹介します。
さようなら、画像アノテーション企業……
GroundingDINO + SAM + OpenAI Vision APIによる完全自動画像ラベリング
上記の投稿者は、以下の合わせ技で生成AIを活用することで、写真内のメルセデス・ベンツの部分に「mercedes」とアノテーションをつけています。
- GroundingDINO & GPT-4V API:画像から所定の物体だけを検出する
- SAM / Segment Anything Model:物体とそれ以外の境界線を引く
この技術をマスターすれば、もう画像アノテーションを外部企業に委託する必要はなくなりますね!
外注費をカットできるだけでなく、自社メンバーのスキルアップにもつながるので、ぜひ真似してみてください。
なお、GPT-4V APIのおすすめ活用事例を知りたい方は、以下の記事を合わせてご確認ください。
関連記事:【GPT-4V APIのおすすめ活用事例】OpenAIの最新モデルを使ったヤバい使い方10選
生成AIをアノテーションに活用しよう
アノテーションは、生成AIの動作を安定させるうえで重要な工程です。手動で行うとかなりの労力を必要としますが、生成AIを活用すればアノテーションの工程を効率化できます。
ほかにも、アノテーションで生成AIを活用すると以下3つのメリットを受けられます。
- コストが削減できる
- 時間・工数も削減できる
- AI開発のハードルが下がる
ただし、以下のような注意点も存在するので、生成AIの取り扱いには細心の注意を払いましょう。
- 文化的偏見を含むリスク
- モデル学習に使われるリスク
- ハルシネーションのリスク
なお、生成のアノテーションでは、以下5つの活用方法が存在します。
- 物体検出
- セグメンテーション
- ランドマークアノテーション
- 画像分類
- テキスト分類
実際にアノテーションで生成AIを活用している企業も増えてきているので、生成AI開発を効率よく行うためにも利用を検討してみてください!
生成系AIの業務活用なら!
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・システム間API連携
最後に
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