vLLMとは?仕組み・インストール・使い方・Ollamaとの違いを徹底解説

vLLM とは 仕組み インストール 使い方 Ollama 違い 徹底 解説
押さえておきたいポイント
  • vLLMはPagedAttentionと連続バッチ処理で高スループットなLLM推論を支えるOSSの推論・サービングエンジン
  • OpenAI互換APIやDockerを利用でき、本番向けのLLM推論基盤を構築しやすい
  • Ollama・llama.cppと得意分野が異なり、同時利用者数やハードウェアを基準に選ぶことが重要

vLLMは、LLMの推論を高速・効率化するオープンソースの推論・サービングエンジンです。PagedAttentionや連続バッチ処理により、本番環境で力を発揮します。とはいえ、「Ollamaと何が違うのか」「Dockerでどう導入するのか」と疑問に思う方もいるでしょう。

この記事では、vLLMの仕組み・インストール方法・OpenAI互換APIの使い方・企業での活用シーンを解説します。最後まで読めば、推論基盤の選定ポイントを整理できます。

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tamura

監修者田村 洋樹

株式会社WEEL代表取締役 / 累計25社以上のAIアドバイザリーを担当 / 企業向けセミナー・大学講義でのべ10,000人超に登壇 / 日本HP・インテルなど、大手企業主催カンファレンスへの登壇実績多数。AI導入支援・生成AIを活用した業務改革のプロとして、アドバイザリー・PM・講演者など多面的な立場から企業を支援中。

目次

vLLMとは?OSSで生まれた背景と役割

vLLMは、学習済みLLMを効率よく動かすためのオープンソースの推論・サービングエンジンです。モデルを学習させる仕組みではなく、推論時のメモリ管理とリクエスト処理を最適化する基盤として使います。

vLLMの概要(PagedAttentionを実装したOSS推論エンジン)

vLLMはUC BerkeleyのSky Computing Labで開発され、現在は大学・企業を含む幅広いコミュニティが開発するオープンソースソフトウェア(OSS)です。vLLM公式ドキュメントでも、研究室発のプロジェクトから多数の組織が参加するオープンソースプロジェクトへ成長したことが説明されています。

コードはApache License 2.0で公開されており、商用システムにも組み込みやすい一方、実行するモデルのライセンスは別途確認が必要です。中核技術のPagedAttentionに加え、Hugging Faceモデルとの連携やOpenAI互換APIも備えています。

従来の推論処理が抱えていたKVキャッシュの課題

LLMはトークンを1つずつ生成するとき、過去のトークンから計算したKey・Value(Attentionで過去の情報を参照する際に使う計算結果)をKVキャッシュとして保持します。毎回計算し直す必要を減らせる一方、入力や生成の長さに応じてKVキャッシュは大きくなり、GPUメモリを圧迫しやすいのが難点です。

従来型のサービングでは、各リクエストに連続したメモリ領域を大きめに確保すると、実際には使わない領域や断片化が生じます。その結果、空き容量が残っていても新しい要求を載せにくく、同時処理数の伸びを妨げます。vLLMではKVキャッシュを小さなブロック単位で扱い、こうした無駄を抑える設計です。

vLLMの仕組み(PagedAttention・連続バッチ処理)

vLLMの中核は、KVキャッシュを効率よく管理するPagedAttentionと、実行中のバッチへ要求を順次入れる連続バッチ処理です。メモリと計算資源の両方を使い切りやすくすることで、高負荷なLLMサービングを支えます。

PagedAttentionによるメモリ管理の効率化

PagedAttentionによるメモリ管理の効率化

PagedAttentionは、OSの仮想メモリにある「ページング(データを小さな単位に分けて管理する仕組み)」の考え方をKVキャッシュ管理へ応用した仕組みです。1つのリクエストのKVキャッシュを固定長のブロックに分け、論理ブロックと物理メモリを対応付けることで、必要な分だけ割り当てる設計になっています。

vLLM開発チームは、従来のシステムでは断片化や過剰予約によって60〜80%のメモリが無駄になる場合があるのに対し、PagedAttentionではその無駄を4%未満に抑えられると報告しました※1。

PagedAttentionの原論文では、KVキャッシュのメモリ浪費を抑え、同じGPUでより多くのリクエストを処理できる設計が示されています。

連続バッチ処理(Continuous Batching)による高速化

連続バッチ処理(Continuous Batching)は、静的なバッチの全リクエストが終わるまで待つのではなく、処理が終わった枠へ新しいリクエストを順次入れる方式です。GPUを遊ばせる時間を減らしやすく、同時アクセス時のスループット向上につながります

LLMでは、同じバッチ内でも出力トークン数がリクエストごとに異なります。短い生成が終わったあとに空いた計算枠を次の要求へ回せるため、固定バッチより資源を使い切りやすいのが特徴です。vLLMではPagedAttentionとこのスケジューリングを組み合わせ、高負荷な推論サーバーを効率化します。

対応モデル・量子化への対応

2026年8月時点、vLLMは200を超えるモデルアーキテクチャに対応しています。Llama・Qwen・Gemma・Mistral・DeepSeek・Phiなどに加え、マルチモーダルや埋め込み向けモデルも含まれます。最新の対応状況は対応モデル一覧で確認してください。

量子化の選択肢はFP8・INT8・INT4・GPTQ・AWQなどです。GGUFも利用できますが、2026年8月時点のGGUF公式ガイドでは専用のvllm-gguf-pluginへ移行し、実験的で最適化途上とされています。本番採用前には、必要な機能との互換性を検証しましょう。

vLLMのメリットと導入に向くケース・向かないケース

vLLMの強みは、多数のリクエストを効率よく処理するための設計が最初から組み込まれていることです。GPUメモリの利用効率とバッチ処理を改善できるため、LLMをAPIとして社内外へ提供する場面で選択肢になります。

vLLM導入のメリット

主なメリットは、高いスループット(一定時間内に処理できる量)・GPUメモリ利用効率・OpenAI互換APIによる連携のしやすさです。PagedAttentionでKVキャッシュの無駄を抑え、連続バッチ処理で空いた計算枠へリクエストを追加できるため、同時アクセスが増えたときもGPU資源を活用しやすくなります

また、テンソル並列・パイプライン並列など分散推論の仕組みを利用でき、大きなモデルを複数GPUへ分けて載せる構成も可能です。単純に1リクエストだけを最速にするというより、一定の応答速度を保ちながら処理件数を増やしたい用途で価値が出やすいでしょう。

導入に向いているケース・向いていないケース

vLLMが向いているのは、社内AIチャット・RAG・AIエージェントなど、多数のユーザーから継続的に推論要求が入る本番環境です。大規模モデルを複数GPUで配信する場合や、OpenAI互換APIを共通インターフェースにしたい場合にも適しています。

一方、1人で小さなモデルを時々試すだけなら、vLLMは構築・運用がやや重い場合があります。WindowsやMacで手軽にローカルLLMを触りたいならOllama、CPUやApple Siliconを含む幅広い環境で軽量に動かしたいならllama.cppも候補です。性能だけでなく、同時利用者数・運用体制・使用ハードウェアを基準に選ぶと判断しやすくなります。

vLLMのインストール・使い方

vLLMはPython環境へインストールする方法と、公式Dockerイメージを使う方法が代表的です。検証ではPython、環境差を減らして配備したい場合はDockerという分け方が分かりやすいでしょう。

インストール手順(pip・Docker)

2026年8月時点の公式Quickstartでは、NVIDIA GPU環境はpip(Pythonのパッケージをインストール・管理するツール)で直接導入でき、環境管理にはuv(Pythonのパッケージや実行環境を高速に管理するツール)が推奨されています。pipの基本形は以下です。CUDA・PyTorchの対応条件は変わりやすいため、導入前に公式ガイドを確認してください。

コマンド

pip install vllm

Dockerでは、公式のvllm/vllm-openaiイメージを利用できます。NVIDIA GPUで起動する最小構成例は以下です。ホスト側ではNVIDIA Container Toolkitなどの準備が必要です。

コマンド

docker run --gpus all --ipc=host -p 8000:8000 \
  vllm/vllm-openai:latest \
  --model Qwen/Qwen3-0.6B

なお、2026年8月時点の公式GPUガイドではLinuxが基本で、Windowsはネイティブ対応ではなくWSLの利用が案内されています。Dockerの詳細は公式Dockerガイドを確認してください。

OpenAI互換APIサーバーとしての起動・利用方法

OpenAI互換APIサーバーとしての起動・利用方法

インストール後はvllm serveでモデルを指定すると、OpenAI互換APIサーバーを起動できます。既存のOpenAI SDKは、base_urlをvLLM側へ変更するだけで接続でき、アプリ側の変更を最小限に抑えられます。

コマンド

vllm serve Qwen/Qwen3-0.6B --api-key token-abc123

コード

from openai import OpenAI

client = OpenAI(
    base_url="http://localhost:8000/v1",
    api_key="token-abc123",
)

response = client.chat.completions.create(
    model="Qwen/Qwen3-0.6B",
    messages=[{"role": "user", "content": "vLLMについて一言で説明して"}],
)

print(response.choices[0].message.content)

上記はOpenAI互換APIサーバーの公式ガイドと同じ接続方式です。実際の本番環境では、APIキーだけに頼らず、TLS・リバースプロキシ・認証や監視を含めて公開範囲を設計しましょう。

vLLMとOllama・llama.cppとの違い

vLLM・Ollama・llama.cppはいずれも自社環境やローカル環境でLLMを動かせますが、得意分野が異なります。vLLMは高スループットなサーバー運用、Ollamaは導入の手軽さ、llama.cppは幅広いハードウェアと軽量さを重視すると整理しやすいでしょう。

比較表で見る特徴・向いている用途の違い

スクロールできます
比較項目vLLMOllamallama.cpp
主な設計目的高い同時実行性を重視したLLM推論・サービングモデル取得・管理・ローカル実行を手軽にまとめる幅広いハードウェアで軽量にLLMを実行
向いている用途社内AI・RAG・推論APIなどの本番運用ローカル開発・検証・小規模なAPI利用PC・エッジ・組み込み・CPU中心の実行
同時処理の特徴PagedAttention・連続バッチ処理・分散推論並列リクエスト処理に対応(設定で並列数を調整可能)連続バッチ処理・並列デコードにも対応
セットアップドライバー・Python・コンテナなど環境設計が必要インストーラーとollama runで始めやすいバイナリ取得またはビルド。設定自由度が高い
ハードウェアNVIDIA・AMD・Intel GPU、CPU、TPUなどWindows・macOS・LinuxでCPU・GPUを利用CPU・CUDA・Metal・Vulkanなど幅広く対応
モデルの扱いHugging Face系モデルや各種量子化に対応モデルライブラリからollama pullで取得しやすいGGUFを中心に量子化モデルを扱いやすい
OpenAI互換API対応一部APIに対応対応
vLLM・Ollama・llama.cppの特徴の比較

Ollamaはollama runでモデル取得から実行まで進めやすく、Ollamaの公式ドキュメントでもOpenAI APIの一部との互換性があるとされています。llama.cppはCPU・Apple Silicon・GPUなど幅広い環境とGGUF量子化を得意とします。

vLLMは分散推論や高い同時実行性を重視した機能が豊富です。ただし、llama.cpp公式GitHubもOpenAI互換サーバー・連続バッチ処理・並列デコードに対応しています。単純な「個人用・本番用」の二分ではなく、負荷試験と運用要件を判断軸にするのが適切です。

他のオープンソースLLMも比較したい方は、以下の記事も参考になります。

企業でのvLLM活用シーン

企業でのvLLM活用シーン

企業でvLLMを使う典型例は、自社管理のLLMをAPI化し、社内サービスから共通で呼び出す推論基盤です。RAGやAIエージェントの生成部分をvLLMに集約すると、モデル・GPU資源・アクセス制御を一元管理しやすくなります。

自社LLM基盤・RAGとの組み合わせ

RAGでは、社内文書やナレッジベースから関連情報を検索し、その内容をLLMへ渡して回答を生成します。vLLMは検索そのものを行う製品ではありませんが、RAGの「生成」を担当する推論バックエンドとして組み込むことが可能です。

OpenAI互換APIを使えば、OpenAI形式の接続先を指定できるアプリにも組み込みやすくなります。アクセスが増えた場合は複数GPUへの分散やバッチ処理を調整し、社内チャット・問い合わせ支援などの応答基盤へ拡張できます。

ローカルLLMとRAGの構成を詳しく知りたい方は、以下の記事で構築方法やクラウド型との違いを解説しています。

導入時によくある課題(セキュリティ・機密保持の観点)

機密情報を外部クラウドへ送れない場合、自社ネットワークやオンプレミス環境にモデルとvLLMを配置する構成が選択肢になります。データの送信先を自社管理下に置けることは、外部クラウドAPIとの大きな違いです。

ただし、自社運用にすれば自動的に安全になるわけではありません。APIの認証・認可やTLS、ネットワーク分離は必要です。

併せて、ログへのプロンプト保存方針・モデルファイルの入手元・脆弱性対応も決めておきましょう。vLLMのAPIを社内外へ公開する場合は、推論性能と同じくらいアクセス制御・監視が重要です。

よくある質問

vLLMの利用にGPUは必須ですか?

いいえ、GPUは必須ではありません。2026年8月時点のCPU向け公式ドキュメントではx86・Arm CPU向けの推論・サービングも案内され、GPU以外のアクセラレータにも対応が広がっています。

ただし、高いスループットを狙う本番用途ではGPUを使う構成が中心です。CPUでは対応モデル・量子化・機能や性能が異なるため、利用するハードウェアの対応表を確認してください。

vLLMは商用利用できますか?

はい、vLLMのコードはApache License 2.0で公開されており、ライセンス条件を守れば商用利用できます。ただし、vLLMで実行するモデルのライセンスは別です。モデルによって商用利用・再配布・用途などに条件があるため、採用前にモデルカードやライセンス本文を確認してください。

vLLMでLLM推論基盤の構築・最適化を進めよう

vLLMは、PagedAttentionと連続バッチ処理を軸に、LLMの推論を高スループットで提供するためのOSSです。OpenAI互換APIやDocker、分散推論にも対応しており、RAGや社内AIサービスの推論バックエンドとして活用できます。

一方、軽い検証ではOllamaやllama.cppのほうが扱いやすいケースもあります。同時利用者数・モデル規模・ハードウェア・セキュリティ要件を整理し、実負荷でベンチマークしたうえでvLLMを選定すると、推論基盤を無理なく最適化できるでしょう。

最後に

vLLMを使った推論基盤の構築や運用体制の設計でお困りの際は、AI活用支援の実績が豊富なWEELの無料相談をご活用ください。貴社の要件に合わせた最適な推論基盤づくりを専門スタッフがサポートします。

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