保険業界が生成AIで変わる!企業の活用事例や導入するメリットを解説

保険業界 生成AI 企業の活用事例 導入するメリット
こんな方におすすめ
  • 生成AIを導入して業務効率化や収益向上を目指している方
  • 営業支援や顧客対応の効率化に関心がある営業担当者
  • 保険業界でAIを活用したいと思っている方

近年、生成AIはさまざまな業界で活用されており、保険業界もその例外ではありません。

顧客対応の効率化や営業支援、リスク評価の最適化など、日常の多岐にわたる業務に利用されることで、業界全体の生産性向上に大きく貢献しています。

また、各業務工程の自動化が進み、限られた人的資源の有効活用も可能になります。この記事では、2025年現在、保険業界での生成AIの活用事例を企業別に詳しく紹介し、導入のメリットや課題、将来的な展望について考察します。

最後まで読めば、あなたの日常業務の効率化にも役立つヒントがたくさん得られるはず!まずはご自身の職場でもできそうなことから、少しずつ取り組んでみてください。

目次

保険業界でも活躍中の生成AI

生成AIの導入により、保険業界でも様々な業務効率化が期待されています。

例えば、契約手続きの迅速化や顧客対応の精度向上はもちろん、AIを活用することで、意思決定のスピードアップや競合との差別化、新たな技術・営業ノウハウの蓄積などが可能となり、業界全体の成長を促進してくれます。

さらに、生成AIを取り入れた企業の中には、将来的に新たなスタートアップ企業との連携を強化し、より柔軟なサービスを展開することも可能になりました。

加えて、AIの活用による生産性アップにより、収益向上の機会を生み出しやすくなり、保険商品の開発スピードの飛躍的な向上も期待されています。

特に、AIが蓄積した膨大なデータを活用することで、顧客の行動予測がより正確になり、ターゲティング広告やリスク評価においてより高い精度を実現できるようになりました。

保険業界で生成AIにできること

生成AIは保険業界のさまざまな業務に貢献しています。

ここからは実際の保険業界で、生成AIになにが求められ、業務効率化のため具体的にどの様に活用されているのかを詳しく解説します。

顧客対応の効率化・自動化

まず挙げられるのが、チャットボットの導入です。チャットボットとは、ラインやメッセンジャーなど、企業の問い合わせフォームへの書き込みに対し、AIが自動で返信してくれるシステムのことです。

これにより顧客対応の効率化が実現され、問い合わせ対応の自動化も進んでいます。見込み客の取りこぼしも減り、少ない人員で業務の効率化が可能になりました。

営業の支援・自動化

営業社員が、営業活動以外で時間を取られるのが、契約書の作成や請求処理などの事務作業です。

このような面倒な事務作業の大半をAIで自動化することで、営業スタッフは新規顧客の開拓や既存客のサポートに十分な時間を使えるため、業務全体の効率化が進んでいます。

これにより、AIを導入した保険会社では、社員の働き方改革と同時に、顧客満足度の向上やコスト削減も実現しています。

提案の最適化

また、既存の顧客データをもとにAIが瞬時に最適な提案を行うことが可能となり、成約率の向上も期待されています。これまでは知識や経験の差から、熟練した社員の方が比較的成約率が高い傾向にありました。しかし、既存データとAIの活用により、若手社員でもベテラン外交員と遜色ない提案が可能となり、営業成果が出せるようになるケースも出てきました。

書類チェックの効率化

さらに、保険業界につきものなのが、契約書や約款、保険の申込書といった重要書類です。

これらをAIで自動チェックすることにより、社員の業務負担が大幅に軽減されるのはもちろん、人間では見落としがちな細かなミスにも事前に気づけるようになり、業務の適正化やリスク評価の精度向上にも貢献しています。

リスク評価・査定の最適化

自動車保険では、自動車に搭載したセンサーで、顧客の走行距離や速度パターンなどの運転データを取得できるため、リスク評価の精度が格段に向上しています。そのため、優良ドライバーにより有利な保険料率を提案できるなど、日々進化しています。

このような個別リスクに応じた料率設定は、生命保険や医療保険にも応用が可能なため、今後革新的な保険商品の開発につながることが期待できます。

不正検知の精度向上

さらに、AIによる不正検知システムの精度向上により、保険金詐欺のリスクを軽減することが可能になりました。

そのため、企業の信頼性向上のメリットのほか、AIによる顧客対応の適正化が進み、顧客一人ひとりの生活設計やニーズに応じたサービスの提供が実現できます。

たとえば、AIが過去の顧客の問い合わせ履歴を分析し、より的確な回答を提案できるため、満足度の向上にもつながります。

なお、広告業界のAI活用事例について詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。

保険業界での生成AIの活用事例17選

ここからは大手の各保険会社が、生成AIを活用してどのような業務改善を行っているか、各社の公表資料を参考に具体的な取り組み事例をまとめてみました。ぜひこの中から、御社の業務改善のヒントを見つけてみてください!

明治安田生命

(株)ELYZAとカラクリ(株)の2社と連携し、生成AIを活用した業務効率化を実現しています。

ELYZAのAIシステムを導入し、年間約55万件の電話対応メモを自動作成し、作業時間を約30%削減。対応者ごとに微妙に異なっていた表現も統一でき、分かりやすさが向上しました。

さらに、カラクリの技術を活用したQ&Aの自動作成システムにより、メンテナンス作業を約40%短縮。人が見落としがちな情報の補完も可能となり、業務の精度向上と負担軽減を達成しました。※1

SBI⽣命

SBI生命は、コールセンターのAIセルフボットをGPT-4oに、ITサービスデスクのAIオペレーターをClaude 3 Haikuにバージョンアップし、検索や自動案内の速度を向上しました。

また、独自開発の「VOCSS」により、通話記録の自動文字起こしと要約を実現し業務時間を大幅に削減しました。今後もAI活用の範囲を広げ、業務効率化と顧客対応の質向上を目指します。※2※3

アフラック生命保険

アフラック生命はBCGとの共同で、生成AIを活用した業務支援システム「Aflac Assist」を2023年12月に本格導入。業務効率化とサービス向上を推進しています。

社内情報の検索と営業支援、コールセンター業務の効率化の3機能を展開し、2024年4月時点で全社員の約50%が、資料の検索や作成時間を30~40%も短縮しています。

同年9月からは代理店にも導入し、グループ全体で更なる生産性向上を目指しています。※4※5

日本生命

(株)ナウキャストと協働し、生成AIを活用した社内アプリを開発・公開しました。

Azure OpenAIやAmazon Bedrockを活用し、社内情報検索機能を構築。社内ディスカッションも実施し、要約機能や顧客ニーズに基づくレポート検索機能も追加しました。

これにより、提案活動の高度化や業務効率化を実現でき、今後も生成AIを活用した資産形成支援の強化を目指しています。※6

朝日生命

朝日生命では、社内業務の効率化と生産性向上のため、PKSHA Workplaceの照会回答システムを導入し、生成AIを活用したRAG技術の検証を開始しました。

AIチャットボットが社内ドキュメントを検索・回答し、自己解決範囲を拡大。有人対応へのシームレスな移行も可能です。

2025年4月には本社と営業所間のAI窓口設置を目指し、情報検索業務の削減と生産性向上を進めています。※7

楽天生命

楽天生命は、以下のAI活用サービスを展開しています。

まず、代理店向けの専用端末にChatGPT APIを導入し、営業活動の支援や事務効率化を実現しています。

もう一つは、契約者向けのハイブリッド型AIチャットボットで、FAQと連携した自然な対話型サポートを提供することで、従来より柔軟な対応が可能となり、顧客サービスの質が向上しました。

セキュリティ面ではMicrosoft Azureを活用し、利便性と安全性の両立を実現しています。※8

住友生命

住友生命は、生成AIチャットシステム「Sumisei AI Chat Assistant」を1万人の職員向けに導入し、業務の生産性向上と顧客サービスの強化を図っています。

Microsoft Azureの「Azure OpenAI Service」を活用し、独自のプロンプト雛形や社内認定制度を導入。営業職員向けのAI顧客情報管理システムも運用開始し、営業の質向上と新サービスの創出を加速しています。※9※10

オリックス生命

オリックス生命は、AIモデル「バーチャルアンダーライティング」を活用し、傷病を理由に保険加入が難しかった顧客向けに「新引受査定ルール」を構築。

保険会社のビッグデータを基にシミュレーションを行い、特別条件なしでの引受範囲を拡大。2023年10月から運用を開始し、約90%のケースで無条件引受が可能となる見込みです。

今後もAIと社内データを活用し、多くの顧客により良い保障を提供していく方針です。※11

かんぽ生命

かんぽ生命は、企画業務の生産性向上を目的に、(株)グラファーの法人向け生成AIプラットフォーム「Graffer AI Studio」を導入。

2023年6月から独自の生成AIアプリを用いた実証実験で有効性を確認し、同年10月から本社の企画・開発部署で先行導入を始め、資料作成やアイデア創出に活用しています。

今後は対象部署を拡大し、将来的には社内情報を活用した業務効率化も視野に入れています。※12

フコク生命

フコク生命グループでは、AI技術を活用した顧客サービスの強化の一環として、ファンコミュニティ「THE MUTUAL⁺」で、生成AIによる全自動ファシリテーション機能を導入してユーザー間の対話を促進しています。

また、フコクしんらい生命では「PKSHA Voicebot」を活用して24時間365日の自動音声応答サービスを開始しました。今後も両社でAIを活用した顧客体験の向上と業務効率化を推進していく方針です。※13※14

太陽生命

太陽生命は2024年、生成AIを活用した生命保険募集の実証実験を複数実施しました。

また、ネオス・NSDとの実験では情報収集・データ連携や保険プランの自動修正を検証し、NTT Comとの実験ではD-ID社のAIアバターを活用した営業手法を検証しています。

現状、反応速度のズレやハルシネーション等の課題はあるものの、今後、商用利用に向けた具体的な検討を進める方針です。※15※16

東京海上日動

東京海上日動は、AIの導入に関して3つの取組みを示しています。

1つ目は対話型ツールの「AI Search Pro」の導入で、これは代理店からの照会をAIが自動回答してくれるシステムです。

2つ目は、中小企業向けの営業支援ツール「マーケットインナビ」で、顧客との対話から経営課題を抽出し、適切な保険商品や解決策の提案が可能になりました。

3つ目は、日本発のAI企業で世界的にも注目されている、Sakana AI社との資本提携により、業務プロセスの効率化を目的としたツールやサービス開発のための共同研究を行うとしています。※17※18

あいおいニッセイ同和

あいおいニッセイ同和損保では、生成AI関連で2つの取り組みを展開しています。

1つ目は(株)Archaicと共同で、知的財産権侵害や情報漏洩等のリスクを補償する国内初の「生成AI専用保険」を開発しました。

もう1つは(株)野村総合研究所と共同で、保険募集文書の点検を自動化するAIツールを開発。審査・点検業務を50%削減し、年間約4,000時間の業務効率化を見込んでいます。※19※20

三井住友海上(MS&AD)

三井住友海上では、NECと協同で2つの生成AI施策を展開しています。

事故対応業務では、通話内容を自動でテキスト化・要約するシステムを開発し、2024年内に全国センターへの導入を目指しています。

また社内向けチャットツール「MS-Assistant」に、損保業務の専門的な照会応答機能を追加し、商品・事務手続きマニュアルへの問い合わせを自動化しました。

これにより、顧客対応の品質向上や新たな価値提供への時間創出を実現しています。※21※22※23

第一生命

第一生命は、主に2つの生成AIを活用しています。

1つ目は、LINEのチャットサービス「ICHI-to-Chat」で、顧客がAIと雑談しながら保険について考えることが可能。これまで1万人以上が利用し、73%が満足と回答しています。

2つ目は、(株)エクサウィザーズと連携したAI活用プラットフォームを活用し、レポートや書類作成業務の効率化を実現。企業全体で生産性の50%向上を見込んでいます。※24※25

損保ジャパン

損保ジャパンでは、LINEを活用した保険金請求サービスにAIチャットボットを導入しています。

車両保険と傷害保険で、24時間365日体制で事故受付から保険金の支払案内までの自動化を実現。これにより、従来は営業時間内のみだった対応が、最短30分で手続きが完了します。

また、顧客の状況に応じて有人対応への切り替えも可能で、今後は修理工場の紹介やレンタカーの手配など付帯サービスの拡充も予定しています。※26

イーデザイン損保

イーデザイン損保は、2つの革新的なAIを試験・活用しています。

1つ目はNTTコムとの共同で、自動車保険の車両入替業務向けのバーチャルコンシェルジュを開発し、実証実験で実用化の目処を確認しています。

2つ目は、RAG技術を活用した事故対応サービス向けの業務支援ツールを導入。社内マニュアルや約款解釈、FAQなどを即座に参照可能となり、保険金支払いの迅速化と顧客体験の向上を実現しています。※27※28※29

なお、不動産業界の生成AI活用事例について詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。

保険業界における生成AI導入時の課題

保険業界での生成AIの活用は、業務効率化や顧客サービス向上に大きな可能性を秘めています。しかし、実用化に向けては複数の重要な課題があり、慎重な対応が必要です。

回答・処理の信頼性

まずは、生成AIが提供する情報の正確性の確保が、最も重要な課題です。特に保険金の支払いや契約の可否などの判断が、誤った情報や不適切な処理により行われた場合、顧客に深刻な問題を引き起こす可能性があります。

そのため、AIの出力結果を最終的に人間が確認・検証する二重チェック体制の構築が必要不可欠です。

導入・定着コスト

生成AIシステムの構築には、初期投資に加えて、継続的なメンテナンスや更新費用が発生します。

これに加え、従業員のAI活用スキルの向上やセキュリティ・倫理面での教育など、継続的な支援や研修も必要なため、これらに見合う費用対効果を得るため、担当者による綿密なリサーチや協力企業の選定、導入計画の立案、社内での着実な実行が鍵となります。

意思決定の透明性

保険業務におけるAIの判断プロセスについては、いつでも顧客や監督機関の求めに対して説明が可能でなければなりません。

特に保険金の支払いや契約承認の判断など、契約の根幹に関わる重要事項の判断根拠を、客観的かつ明確に示せることが大切で、そのための社内監査体制やガイドラインの整備が求められてます。

保険業界と生成AIの未来

今後、保険業界における生成AIの活用はさらに広がることが予想されます。

特に、AIエージェント技術の発展で、より高度なカスタマーサポートが可能になるほか、エッジAIの普及により、リアルタイムでのリスク評価や契約手続きの効率化などが期待されています。

さらに、情報検索機能の最適化が進めば、より迅速かつ正確な情報提供も可能となり、業務のさらなる効率化が実現されるでしょう。加えて、ブロックチェーン技術とAIの組み合わせにより、契約の透明性の確保や不正リスクの低減も期待されています。

なお、金融業界のChatGPT活用事例について詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。

生成AIの活用・普及により、保険業界は更なる進化

このように、生成AIの導入は保険業界に大きな変革をもたらし、業務の効率化や顧客対応の向上に貢献しています。

具体的には、

  • 社内情報の検索や書類作成の自動化
  • 顧客対応の自動化、商品提案の最適化
  • 代理店との業務の円滑化、効率化
  • 新商品の開発や業務改善アイデアの創出と共有
  • 契約関連書類のチェックの自動化
  • 顧客同士のコミュニケーションの円滑化

など、様々な場面で活用されており、今後、AI技術の進化とともに、対象となる業務範囲も拡大していくことでしょう。

ただし、保険業界は法的・内部的な規制が厳しいため、企業ごとにAI活用の適正化を推進するのはもちろん、業界全体のルール作りも必要となるため、引き続き現場の実情に即した情報の共有と幅広い議論が必要になるでしょう。

サービス紹介資料

生成系AIの業務活用なら!

・生成系AIを活用したPoC開発

・生成系AIのコンサルティング

・システム間API連携

最後に

いかがだったでしょうか?

生成AIの活用で、保険業界の業務効率化や顧客対応の高度化が進んでいます。競争力を高めるために、自社に最適なAI導入プランを検討しませんか?

株式会社WEELは、自社・業務特化の効果が出るAIプロダクト開発が強みです!

開発実績として、

・新規事業室での「リサーチ」「分析」「事業計画検討」を70%自動化するAIエージェント
・社内お問い合わせの1次回答を自動化するRAG型のチャットボット
・過去事例や最新情報を加味して、10秒で記事のたたき台を作成できるAIプロダクト
・お客様からのメール対応の工数を80%削減したAIメール
・サーバーやAI PCを活用したオンプレでの生成AI活用
・生徒の感情や学習状況を踏まえ、勉強をアシストするAIアシスタント

などの開発実績がございます。

まずは、無料相談にてご相談を承っておりますので、ご興味がある方はぜひご連絡ください。

➡︎生成AIを使った業務効率化、生成AIツールの開発について相談をしてみる。

生成AIを社内で活用していきたい方へ
無料相談

「生成AIを社内で活用したい」「生成AIの事業をやっていきたい」という方に向けて、生成AI社内セミナー・勉強会をさせていただいております。

セミナー内容や料金については、ご相談ください。

また、サービス紹介資料もご用意しておりますので、併せてご確認ください。

参考記事

投稿者

  • 晋平大竹

    生成AIの登場に大きな衝撃を受けたWebライター。好きなAIツールは、ChatGPTとAdobeFirefly。AIがこれからの世界を良い方向に導いてくれると信じ、正しい&有益な情報を発信し続けています!

  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次