爆速で簡単に生成AIアプリを開発できるノーコードツール「Dify」とは?!使い方や特徴、商用利用を徹底解説!
WEELメディア事業部LLMライターのゆうやです。
Difyは、米LangGenius, Inc.が提供している大規模言語モデル(LLM)を使ったアプリケーションの開発と運用を簡素化するためのオープンソースプラットフォームです。
RAGを使用したチャットボットやAIエージェント、ドラッグ&ドロップインターフェースを使用したAIワークフローをノーコードで構築できます。
Difyは、LangChainと同じような機能を備えていますが、こちらはより簡単に機能を実装できます。実際、Difyの公式ページにも「LangChainよりも本番環境に適しています」との記載があります。
今回は、Githubで3万以上のスターを獲得するほど大注目を集めているDifyの概要と使ってみた感想をお伝えします。
是非最後までご覧ください!
Difyの概要
前述でも触れた通り、Difyは大規模言語モデル(LLM)を使ったアプリケーションの開発と運用を簡素化するためのオープンソースプラットフォームです。運営会社は、2023年に設立された米国のAIテクノロジー企業であるLangGenius, Inc.という比較的新しい企業が運営しています。
このプラットフォームの大きな特徴は、RAGを使用したチャットボットやAIエージェント、ドラッグ&ドロップインターフェースを使用したAIワークフローをノーコードで構築できることです。
本来、LLMを使ったアプリケーション開発や運用を行う際には、AIに関する専門知識やプログラミング技術が必要となる場合がありますが、Dufyを活用すれば難しいコーディング作業が必要なく、視覚的にプログラムを構築することができます。
また、日本語にも対応しており、誰でも簡単に利用できるオープンプラットフォームといえるでしょう。
なお、LLMをカスタマイズできるLangchainについて知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
Difyの類似ツール
DifyはノーコードでチャットボットやAIエージェントを構築できる素晴らしいAIツールですが、Difyに似た類似ツールもたくさんあります。
今回は、Difyの類似ツールを5つピックアップしたのでそれぞれご紹介します。
GPTs
GPTsとは、ChatGPTをカスタマイズできる機能のことで、GPTsを活用すればオリジナルのチャットボットを作ることができます。
有料プランである「ChatGPT Plus」に加入していないと利用できないサービスですが、Difyと同じくノーコードで構築できるため、プログラミングスキルやコーディング作業が不要です。
また、構築したGPTsは「GPT Store」で公開することができ、他のユーザーへ簡単に共有することができます。さらに、まだ日本では未実装ですが、アメリカではGPTsをGPT Storeで公開することで収益を得ることもできるようになりました。
Langchain
Langchainとは、LLMを用いてアプリケーションを効率よく開発するためのフレームワークです。
例えば、Langchainを活用することで複数のAIモデルを統合することができます。
これにより、情報収集が得意なモデルとその情報を要約することが得意なAIモデルを組み合わせることで、AIモデルそれぞれのいいとこ取りの新しいAIモデルを作成することができます。
さらに、Difyのように処理を連鎖的に繋げることができるので、直感的な操作にも対応している点も人気があるポイントの一つでしょう。
n8n
n8nは、既存のサービス同士を直感的に繋げることができるため、業務を効率化したいユーザーにおすすめのオープンソースのローコード自動化ツールです。
例えば、プロジェクトを管理する立場の人であれば、メンバーからの進捗報告を確認し、それらを管理する必要があるとします。
本来であれば、手動でチャットツールを開き、進捗情報を確認して情報をまとめるという作業が必要になりますが、n8nを活用すれば、これらの動作を自動で行ってくれるようなツールを作ることができるようになります。
なお、n8nについて知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
Zapier
ZapierもDify同様にノーコードでワークフローを構築できるツールの一つです。
直感的に操作ができることからプログラミング技術も不要で、SlackやGmail、Googleスプレッドシート、SNSなど、約5000種類以上のアプリケーションと連携することが可能です。
これにより、さまざまな企業のルーティンワークを簡略することが可能になり、作業効率をあげることができるようになりました。
Coze
Cozeもノーコードでチャットボットを構築できるツールの一つです。
その他のツールと同じく、ドラッグアンドドロップで直感的に操作が可能かつ、必要な情報は自然言語入力で対応できるため、プログラミング技術がなくてもチャットボットを作ることができます。さらに、プロンプトの自動生成機能も搭載されているため、AIツールを使い慣れていない方でも、利用しやすいツールとなっています。
Difyの特徴
Githubで3万以上のスターを獲得するほど大注目を集めているDifyは、どのような特徴を持っているのでしょうか。まずは、Difyの特徴についてご紹介します。
オープンソースモデル
まず、大きな特徴としてあげられる点としては、オープンソースモデルなので無料で利用できるという手軽さでしょう。Difyの運営会社はLangGenius, Inc.という新しい企業ですが、米国の法律とデータポリシーを順守し、グローバルに多様なチームを持っており実態もしっかりしています。
上記のように運営元も明らかですし、利用規約もしっかりと明記されていることから、利用規約をしっかり守ることでオープンソースモデルであっても安心して利用することができます。
そのため、業務や個人的な目的であっても導入が容易なので、気になっている方は一度利用してみることをおすすめします。
直感的な操作が可能
ノーコード開発ツールは、生成AIが普及してから数多くリリースされました。しかし、コーディング作業は不要だったとしても、使いづらいUIだったり、多少専門知識がないと使えないというケースも少なくありません。
しかし、Difyに関しては誰でも使いやすいようにUIが工夫されていたり、ブロックを視覚的に繋ぐことでアプリケーションを構築できるので、専門知識がなくても複雑な処理を行えるAIアプリケーションを構築できます。
もちろん、初めから上手く動作するAIアプリケーションを構築できるとは限りませんが、処理される工程も視覚的に読み取ることができるので、出力結果を見ながら修正を行う際も、他のノーコード開発ツールと比べても容易な場合が多いでしょう。
様々なツールに対応したテンプレートを用意
Difyは直感的に利用できる使いやすさだけではなく、機能面も非常に充実しており、GPT-4oやGemini、Llamaなどクローズド、オープンソース問わず数百のLLMをサポートしています。
さらに、それぞれのLLMに対応したテンプレートも用意されているため、テンプレートをベースにチューニングを行えば、ゼロから構築するよりも簡単に好みのAIアプリケーションを作ることができます。
また、テンプレートに沿ってチューニングを行うことで、「何から始めていいかわからない」や「ゼロから構築するのは大変」、「どのような順番で構築すればいいかわからない」といった専門知識がない人が躓きやすい問題も解消できます。
このように機能面でも充実している点もDifyが人気であることの理由の一つでしょう。
日本語テンプレートのリリース
Dify自体は日本語対応していたため、言語の壁を感じることはありませんでしたが、テンプレートに関しては、日本語対応されておらず、日本人ユーザーからすると少し扱いづらい印象がありました。
しかし、2024年11月20日にはDify.AI Japanより、日本語テンプレートをリリースしたとの発表があり、今まで感じていた言語の壁を取り除くことが可能になりました。
これにより、日本でもDifyを活用して作成されたアプリがさらに増えていくことになるでしょう。
Difyの料金体系
Difyには、以下の「SANDBOX」「PROFESSIONAL」「TEAM」「ENTERPRISE」の4つのプランがあります。
利用料金 | モデルプロバイダー | メッセージクレジット | 構築できるアプリ数 | メッセージリクエスト | |
---|---|---|---|---|---|
SANDBOX | 無料 | OpenAI/Anthropic/Llama2/AzureOpenAI/Hugging Face/Replicate | 200 メッセージ/月 | 10 | 1日あたり500件 |
PROFESSIONAL | $59/月 or $590/年 | OpenAI/Anthropic/Llama2/AzureOpenAI/Hugging Face/Replicate | 5,000 メッセージ/月 | 50 | 無制限 |
TEAM | $159/月 or $1590/年 | OpenAI/Anthropic/Llama2/AzureOpenAI/Hugging Face/Replicate | 10,000 メッセージ/月 | 無制限 | 無制限 |
ENTERPRISE | 問い合わせ | OpenAI/Anthropic/Llama2/AzureOpenAI/Hugging Face/Replicate | 無制限 | 無制限 | 無制限 |
無料プランでも一通りの機能は使用することができ、リクエスト数やストレージ容量などに制限がある程度です。
そのため、まず機能を試してみたい方は無料プランで十分だと思います。
本格的にアプリ開発をしたい方や、チームで使用したい場合などはそれに応じた有料プランを選択することをおすすめします。
Difyの商用利用
冒頭でも説明している通り、Difyはオープンソースプラットフォームのため、基本的には商用利用が可能です。
しかし、下記のような場合は商用利用が制限されるケースがあるため注意が必要です。
- マルチテナントSaaSサービスの提供
- ロゴや著作権情報の削除・変更
上記に当てはまる場合は、Difyのビジネスチームに問い合わせをして商用ライセンスを取得する必要があります。
Difyの主な機能
Difyの主な機能として、「検索」「スタジオ」「ナレッジ」「ツール」の4つの機能があります。
これらの主な機能を理解することで、Difyをより効果的に利用できるようになるので、それぞれの機能についてご紹介します。
検索
検索機能では、Difyで利用可能なテンプレートが数多く公開されており、自分に合ったテンプレートを探すことができる機能です。
テンプレートをそのまま利用することもできますし、テンプレートを基に自分好みのツールを作ることもできるので、より簡単にツールを構築したいかは一度チェックすることをおすすめします。
スタジオ
スタジオ機能は、アプリケーションの構築や管理を行える機能で、Difyのメイン機能といっても良いでしょう。
スタジオ機能を立ち上げると、1からアプリを構築することもできますし、「テンプレートから作成」を選択すれば、検索機能で紹介したテンプレートを基に独自のアプリを構築することが可能になります。
ナレッジ
ナレッジとは、RAGなどで利用するPDFやExcelデータを登録、管理する機能です。
WEBページやNotion、データベースなど様々様式のデータに対応していて、データのラベルやタグ付けなどもナレッジ機能を使用して行います。
ナレッジ機能でラベル、タグ付け作業を行えば、アプリを構築する際に情報の検索や取得などを素早くできるため、構築するアプリの精度を上げるためにはナレッジに正確な情報を登録することが大切になってきます。
ツール
ツール機能では、GoogleやPerplexity、Slackなどといった外部のツールを連携するために使用する機能です。
例えば、Wikipediaから情報を収集できたり、DALL-Eを連携して画像生成を行えたり、YouTubeと連携することでYouTubeチャンネルの動画統計データを取得できたりと、いろんなことができるようになります。
Difyの使い方
Difyは、クラウドで利用する方法と、Dockerを利用してローカルで実装する方法の2種類あります。
それぞれの方法を紹介します。
クラウドで利用する方法
まず、以下のDify公式ページにアクセスします。
アクセス後、「始める」をクリックします。
すると、このようにログインが求められるので任意の方法でログインします。
ログインに成功すると、以下のようにDifyが使えるようになります。
クラウドで利用する場合は、ログインするだけで利用できるので非常に簡単です。
ローカルに実装する方法
ローカルに実装する場合は、Dockerが必要になります。
以下のリンクからDocker Desktopをあらかじめダウンロードしてインストールしておいてください。
まず、コマンドプロンプトで以下のコマンドを実行し、DifyのGithubリポジトリをクローンします。
git clone https://github.com/langgenius/dify.git
次に、Difyフォルダの中にあるDockerディレクトリに移動します。
cd Dify/docker
ここで以下のコマンドを実行します。
この際、Docker Desktopを起動している必要があります。
docker compose up -d
すると、このように環境の構築が始まるので、完了したら以下にアクセスして初期設定を行います。
初期設定では管理者アカウントの設定が求められますので、設定してください。
設定したアカウントでログインが求められますので、ログインすると以下のリンクからDifyを使用できるようになります。
これでDifyをローカルで使用できるようになりました。
ここからは、実際にチャットボットやAIワークフローを作成していきますが、その前に作成するアプリで使用する言語モデルのプロバイダーの設定が必要です。
設定は、右上の「設定」の中にある「モデルプロバイダー」で行います。
今回はOpenAIのモデルを使用したいので、OpenAIをセットアップします。
OpenAIにカーソルを合わせると、セットアップというボタンが出てくるのでクリックすると、API Keyの設定画面になります。
OrganizationとAPI Baseは空白でも問題ありません。
API Keyを入力して保存し、アクティブな状態になるとこのようにAPI-KEYの右側に緑のマークが表示されます。
これで設定は完了です。
早速アプリを作っていきましょう!
DifyでチャットボットとAIワークフローを作ってみた
それでは早速DifyでチャットボットとAiワークフローを作ってみましょう!
まずはチャットボットから作成します。
チャットボット
Difyでアプリを作成する際は、「最初から作成」か「テンプレートから作成」の2種類の方法を選択できます。
今回は「最初から作成」を選択して、簡単なチャットボットを作成します。
チャットボットを作成する際は、オーケストレーション方法を選択でき、簡単に設定できる初心者向けの「基本」と複雑で詳細な設定ができる上級者向けの「Chatflow」が用意されています。
今回は「基本」オーケストレーションを使用します。
チャットボットのアイコンと名前、説明を設定し作成をクリックすると、以下のような画面になります。
基本的な機能や使い方はGPTsに非常に似ていて、左側の手順の部分にシステムプロンプトを入力し、さらに変数やコンテキストを設定できます。
また、Difyが自動でチャットボットの設定を行ってくれる機能もあり、ターゲットや期待する能力等を入力するだけでそれに合わせたものを作成してくれます。
試しに、ターゲットをエンジニアに、「どのような問題をAIが解決できると期待していますか?」にコーディングと設定して、生成させてみます。
すると、このようにシステムプロンプトや変数を自動的に設定してくれます。
システムプロンプト
Your task is to write a code snippet in {{programming_language}} that accomplishes the following task: {{task_description}}.
You MUST ensure that your code is efficient, readable, and well-commented. Think step by step and break down the problem into smaller, manageable parts.
Ensure that your answer is unbiased and does not rely on stereotypes. Remember, you are an AI engineer assistant, and your role is to help engineers solve their coding problems.
エンジニアという設定が勝手にAIエンジニアなっている点が気になりますが、このまま使えそうなほどよくできた設定をしてくれています。
また、音声入力や引用の表示など、様々な機能を追加することができます。
では、現在の設定で以下のプロンプトを入力してみましょう。
I need to create hundreds of scripts, can I automate this in Python, etc.?
結果はこのようになりました。
結果はこちら
Yes, you can automate this process using Python. Here, I am providing a generic way to create multiple files using Python. I am using the os module of Python which provides functions for interacting with the operating system.
Please replace the placeholder_script_content variable with the content you want in your scripts.
This example creates python scripts (.py), but you can create scripts with any extension as needed.
import os
# Define the number of scripts you want to create
num_of_scripts = 300
# Define script content
placeholder_script_content = """
#!/usr/bin/env python3
def main():
print('Hello, this script is autogenerated.')
if __name__ == '__main__':
main()
"""
# Your directory where you want to place the scripts
directory = "/path/to/your/directory"
# Make sure the directory exists, if not, create it
if not os.path.exists(directory):
os.makedirs(directory)
# Loop through the range equal to the number of scripts you want to create
for i in range(num_of_scripts):
# Create full file path
file_path = os.path.join(directory, f'script_{i+1}.py')
# Create and open the file for writing
with open(file_path, 'w') as script_file:
script_file.write(placeholder_script_content)
print(f'Created {num_of_scripts} scripts.')
In this code:
We first define the total number of scripts we want to create (in this case 300).
We define a placeholder script content that will be written to each script file. Replace this with the script content you need.
We specify the directory where we want the scripts to be placed.
The script checks if the directory you defined exists, if not, it creates it.
Next, we start a loop to create the files. We create each file in the directory with a unique name (incrementing each filename by 1) and write the placeholder script content to it.
After all files are created, a message will be printed indicating the number of scripts created.
Remember, you should replace the paths, filenames and script contents with those suitable for your problem.
はい、Python を使用してこのプロセスを自動化することができます。ここでは、Python を使用して複数のファイルを作成するための一般的な方法を紹介します。Python の os モジュールを使用しています。このモジュールは、オペレーティングシステムとやり取りするための機能を提供します。
placeholder_script_content 変数を、スクリプトで使用する内容に置き換えてください。
この例では、Python スクリプト(.py)を作成していますが、必要に応じて任意の拡張子でスクリプトを作成することができます。
import os
# Define the number of scripts you want to create
num_of_scripts = 300
# Define script content
placeholder_script_content = """
#!/usr/bin/env python3
def main():
print('Hello, this script is autogenerated.')
if __name__ == '__main__':
main()
"""
# Your directory where you want to place the scripts
directory = "/path/to/your/directory"
# Make sure the directory exists, if not, create it
if not os.path.exists(directory):
os.makedirs(directory)
# Loop through the range equal to the number of scripts you want to create
for i in range(num_of_scripts):
# Create full file path
file_path = os.path.join(directory, f'script_{i+1}.py')
# Create and open the file for writing
with open(file_path, 'w') as script_file:
script_file.write(placeholder_script_content)
print(f'Created {num_of_scripts} scripts.')
このコードでは、
まず、作成するスクリプトの総数を定義します(この例では 300)。
各スクリプトファイルに書き込まれるプレースホルダーのスクリプトコンテンツを定義します。必要なスクリプトコンテンツに置き換えてください。
スクリプトを配置するディレクトリを指定します。
スクリプトは、指定したディレクトリが存在するか確認し、存在しない場合は作成します。
次に、ファイルを作成するためのループを開始します。ディレクトリ内に、一意の名前(ファイル名を1ずつ増やしながら)で各ファイルを作成し、プレースホルダーのスクリプトコンテンツをそこに書き込みます。
すべてのファイルが作成されると、作成されたスクリプトの数が表示されます。
パス、ファイル名、スクリプトの内容については、問題に応じて適切なものに置き換える必要があります。
非常に抽象的なタスクの説明でも、かなり詳細かつ分かりやすく回答を出力してくれました。
モデルはGPT-4を使用しているので、回答の正確性は全く問題ありませんね。
このようにDifyでは、非常に簡単にチャットボットを作成できます。
次に、AIワークフローも作成してみます。
AIワークフロー
AIワークフローについても、「最初から作成」か「テンプレートから作成」の2種類の方法を選択できます。
今回は、「最初から作成」を選択します。
ワークフローを選択して、名前等の設定をして作成します。
作成をクリックすると、このような画面になります。
この画面で右クリックして、「ブロックを追加」から目的に応じたブロックを追加できます。
今回は、Eメールの要約か、返信を行うワークフローを作成しました。
このワークフローでは、質問分類器でユーザの目的を分類した後、LLMで目的に合わせた回答を生成します。
実際に実行してみましょう。
以下のサンプルEメールを入力とします。
件名: 次回のプロジェクト進捗ミーティングについて
田中様、
お世話になっております。Lambレストランの山田です。
次回のプロジェクト進捗ミーティングについてご連絡いたします。7月10日(水曜日)15時から、オンラインで開催予定です。以下の内容を議題として予定しております:
前回のミーティングのフォローアップ
現在のプロジェクトの進捗報告
新たな課題と解決策の検討
その他
ミーティングのリンクは後日お送りいたしますので、参加のご準備をお願いいたします。
何かご質問やご要望がございましたら、お気軽にご連絡ください。
どうぞよろしくお願いいたします。
山田太郎
店長
Lambレストラン
yamada@example.com
03-1234-5678
まずは要約から。
開始すると、選択した目的に応じでワークフローが実行されていきます。
最終的な出力はこのようになりました。
件名: 次回のプロジェクト進捗ミーティングについて
田中様、
Lambレストランの山田です。次回のプロジェクト進捗ミーティングは7月10日(水)15時からオンラインで開催予定です。議題は以下の通りです:
1. 前回のミーティングのフォローアップ
2. 現在のプロジェクトの進捗報告
3. 新たな課題と解決策の検討
4. その他
ミーティングリンクは後日送付予定です。ご質問やご要望がありましたらご連絡ください。
よろしくお願いいたします。
山田太郎
店長
Lambレストラン
こちらもモデルにGPT-4oを使用しているので、正確性は申し分ないです。
次に返信を作成させます。
結果はこのようになりました。
件名: Re: 次回のプロジェクト進捗ミーティングについて
山田様、
お世話になっております。田中です。
次回のプロジェクト進捗ミーティングについてご連絡いただき、ありがとうございます。7月10日(水曜日)15時からですね。予定を調整して参加いたします。
議題についても確認しました。ミーティングのリンクをお待ちしております。
ご連絡いただき、ありがとうございました。引き続きよろしくお願いいたします。
田中
こちらも目的に応じたワークフローが実行され、そのまま使えそうな返信メールを作成してくれました。
このように、AIワークフローでは視覚的に自分がやりたいことを作成できるので、非常に便利な機能だと思います。
さらに、ツール等を組み込めばGoogle検索や画像生成等もできるようになるので、より高度で複雑なワークフローの構築も可能です。
気になった方は是非試してみてください!
RAGシステム
次に、簡単なRAGシステムを使ったアプリを作成していきます。
今回は、ChatGPTに考えてもらった「獣王の試練」という架空のゲームについての知識を持ったアプリを作成していきます。
まずは、上記画像のように「スタジオ」から、「初めから作成」を選択して、アプリを作っていきます。
今回は、「獣王の試練」という架空のゲームについて詳しいチャットボットを作っていくので、上記のような設定で作成していきます。
「アプリのアイコンと名前」の部分は空欄だと作成ができないため、今回は「獣王の試練」というアプリの名前で進めます。
入力が完了したら、右下の「作成する」ボタンを押してください。
そうすると、上記の画面に遷移したらアプリの作成画面の立ち上げが完了です。
次に、LLMをクリックすると、画面右側にLLMの詳細画面がでてきます。
今回は、「gpt-4o-mini」を利用していきますが、まず初めにハルシネーションを起こさないためにも、赤枠で囲っている「SYSTEM」欄に「それらしい回答を行わないでください」と入力しておきましょう。
これまでの設定を入れた段階で、作ったアプリに「獣王の試練というゲームについて教えてください」と指示してみました。
回答は、画像の通り下記のような回答が出力されました。
「「獣王の試練」というゲームについての具体的な情報は持っていませんが、一般的に「獣王」というタイトルはファンタジーやアクション要素を持つゲームに使われることが多いです。獣や王国をテーマにした冒険や戦闘が含まれている可能性があります。
もし具体的な内容や特徴について知りたい場合は、ゲームの公式サイトやプレイしている人のレビューをチェックするのが良いでしょう。また、ゲームのジャンルやプラットフォームなど、詳細な情報があれば、さらに具体的なアドバイスができるかもしれません。」
このように、現段階ではハルシネーションを起こさないように指示をしているため、明確な答えについては出力されませんでした。
では、次に正確な答えを出力できるように「ナレッジ」にて、参照元の情報を追加していきます。
まずは、①の「ナレッジ」をクリックし、②の「ナレッジの作成」をクリックします。
すると、上記のような画面に移動するので、「テキストファイルをアップロード」の部分に参照元となるテキストデータをアップロードします。
アップロードが完了したら、青色の「次へ」ボタンをクリックします。
次へを押すと、上記のような画面になりますが、特に今回は変更せず、デフォルト設定のまま進めます。
これで、参照元の情報のアップロードは完了です。
それでは、スタジオにある作成中のアプリ画面を再度開きます。
開いたら、「開始」と「LLM」を結ぶ線にカーソルを合わせると、①の「+」ボタンが表示されるためクリックします。
クリックすると追加できるブロック一覧が表示されるので、②の「知識取得」を選択します。
選択すると上記のように、「開始」と「LLM」の間に「知識取得」が追加されます。
「情報取得」をクリックし、ナレッジを追加していきます。
追加方法は簡単で、画面右端の「+」ボタンをクリックし、追加したいナレッジを選択するだけでOKです。
あとは、「LLM」に「知識取得」で設定した情報を取得できるように設定を行います。
まずは、①の「コンテキスト」欄をクリックし、②の「result」を選択します。
次に、「SYSTEM」欄に「以下のコンテキストから回答を生成してください」と指示を入力すれば、完成です。
試しに、冒頭で質問した内容と同じ文言で再度質問してみました。
回答は以下の通りです。
「『獣王の試練』は、アクションRPGジャンルのゲームで、PC、PlayStation、Xbox、Nintendo Switchなどの主要プラットフォームでの発売が予定されています。プレイヤーは「選ばれし者」として、かつて平和だった王国「アルカディア」を救うため、闇の勢力「シャドウリーパー」に立ち向かう使命を帯びています。
プレイヤーは古代の遺物「獣の心臓」を手に入れ、獣王の力を借りて冒険を進めます。旅の途中で出会う様々な獣たちとの絆を深めながら、王国の真実を探求します。サブクエストを通じて地域の問題を解決することで、新たなスキルや装備を手に入れることもできます。
物語はプレイヤーの選択によって多様に分岐し、複数のエンディングが用意されています。また、音楽やサウンドデザインにも力を入れており、壮大なオーケストラサウンドがゲーム体験を引き立てます。
『獣王の試練』は、深いストーリーと多彩なゲームプレイ要素を融合させた作品で、プレイヤーの選択が物語を形作る点が特徴です。」
次は、ちゃんとナレッジに登録した通りの情報で出力することができました。
このように、簡単にRAGシステムを使ったアプリを作成することができたので、興味のある方は、ぜひトライしてみてください。
論文解説の自動生成
次は、論文解説の自動生成アプリを作っていきます。
まずは、アプリを最初から作成するから、「テキストジェネレーター」を選択してください。
すると、上記の画面に移動します。
本来であれば、「接頭辞プロンプト」部分に任意のプロンプトを入力するのですが、今回は、自然言語からプロンプトを生成してみたいと思うので、赤枠の「自動」をクリックします。
画面が移動したら「指示」と書いてある赤枠に、どのようなアプリを作りたいのかを具体的に入力します。
入力は下記で試してみました。
「あなたはとても日本が上手です。
入力した論文を誰でもわかりやすいように解説した要約記事を作ってください
その記事の構成を提案してください
可読性を高めるために章構成を多用してしてください
指定された内容以外の要素は含まないでください」
あとは、「生成」ボタンを押して回答が出力されるまで待つだけでOKです。
出力されたプロンプトは下記の通りです。
「``` xml
<instruction>
あなたは以下の変数を使用して、論文をわかりやすく解説した要約記事を作成してください。
1. {{input_paper}}: 解説する論文の内容
2. {{target_audience}}: 誰に向けた要約記事か(例:学生、一般の人々など)
3. {{desired_length}}: 要約記事の長さ(例:500文字、1000文字など)
手順:
1. {{input_paper}}の内容を理解し、主要なポイントを抽出します。
2. 読者が理解しやすいように、章構成を多用して要約記事を作成します。
3. 各章には明確な見出しを付け、内容を整理します。
4. 可読性を高めるために、簡潔な文を使用し、専門用語は必要に応じて説明します。
5. 出力には指定された内容以外の要素を含めないでください。
6. 出力はXMLタグを含まない形式で提供してください。
</instruction>
<input>
{{input_paper}}
</input>
<output>
要約記事
</output>
<example>
例:
- {{input_paper}}: 「AIの進化とその影響」
- {{target_audience}}: 一般の人々
- {{desired_length}}: 1000文字
</example>
```」
出力された内容に問題がなければ、右下の「適用」ボタンを押して完了です。
「適用」をクリックした後には、上記の画面に戻ってくるので、あとは指示通りに入力を行えば、希望の論文を解説することができるようになります。
また、上記のポストのように「arXiv」という論文が保存されているサーバーにアクセスし、その情報を元に、論文を要約、解説するというアプリも作成可能なので、論文解説をもっと効率よく行いたい方は、挑戦してみてください。
Difyの活用事例
ここまでで、Difyの概要や特徴、使い方について解説してきましたが、Difyはなにができるの? と疑問に思う方もいるでしょう。そんな方に向けて、最後にDifyの活用事例について解説します。
①マニュアルの作成・共有
コンテンツの要約や翻訳、アイデアのブレーンストーミングなど幅広い領域で活躍するNotion AIを利用している方は多いのではないでしょうか。実は、そんな便利なNotion AIとDifyを連携することで、さらに業務を効率化することができます。
例えば、ご紹介したXの投稿にあるように、Difyでgithubのマニュアルを出力した後に「notionへ」とプロンプトを入力するだけで自動でNotion側に出力され、そのままNotion側で内容を編集することができます。
また、Notionは他ユーザーと共有が簡単にできるため、社内でNotionを利用している企業であれば簡単にマニュアルの共有をすることができるでしょう。
②長文の記事作成
記事を自力で書き上げる際には、文章をまとめる能力や念入りな下調べなどが必要なため、書き上げるまでに労力と時間がかかってしまいます。しかし、取り上げたXの投稿のように、Difyを活用すれば1万文字程度の記事も簡単に生成することができます。
Difyで記事をつくる際には、フローの設定やDSLと呼ばれる特定の問題領域やビジネスドメインに特化した言語を設定する必要がありますが、その作業さえ覚えてしまえば簡単に1万文字程度の記事を量産することができます。
また、作風や著者情報など記事に追加して欲しい項目も指定していくことで、他とは違うオリジナルの記事を生成することもできるでしょう。
③旅行会社での活用
海外ツアーやホテルを簡単に予約できるアプリ「NEWT」を運営する株式会社令和トラベルでは業務でDifyを活用しています。
例えば、自社サイトであるNEWT内に掲載されている旅行ガイド記事の制作にDifyが活用されており、実績として2ヶ月程度で、400記事以上の旅行記事を作成。人の力だけでは難しかった記事制作をAIがサポートすることで、多様性豊かな記事を数多く生み出すことができ、今では192か国をカバーする記事を作成できるようになりました。
記事数や数多くの国に対応した旅行ガイドを掲載できるようになったため、NEWTへの流入を増やすことができるようになり、記事表示回数も90%上昇させた実績があります。※1
④最新ニュースを取り入れたチャットボットの作成
ChatGPTなどの一部の生成AIは、最新の情報を取り込むことができず、質問に対して少し古い情報を出力する可能性があります。
しかし、DifyではGoogle検索やWikipediaなどの、最新情報を収集できる外部ツールとの連携が可能となるので、組み込み方次第で最新ニュースを取り入れたチャットボットの作成が可能です。
また、情報を要約するようなシステムと組み合わせることで、情報収集が簡単かつ迅速に行えるチャットボットを作ることができるでしょう。
⑤論文検索システム
Difyを活用すれば、論文検索システムを作ることができます。
それだけではなく、論文検索から論文の要約までノンストップで行えるアプリも作成可能なので、難しい論文からの情報収集も手軽にできるようになります。
また、上記のポストのように、専門分野に特化した論文検索アプリも作ることができるので、専攻している分野や興味のある分野の論文検索アプリを作ってみるのも良いでしょう。
⑥WEBページの内容要約アプリの開発
上記のポストのように、WEBページの内容を要約できるようなアプリの開発も可能です。
こちらのポストでは、WEBページのURLを入力することで必要な情報を取得し、取得した情報を基に、ChatGPTなどの生成AIを活用して要約を行うという仕組みになっています。
なお、ノーコード開発について知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
この記事では、この組み合わせのメリットとおすすめツールを紹介しています。
最後まで読むと、業務効率化のための具体的な手段がわかります。
続きを読む
Difyで手軽にAIアプリケーションを構築しよう!
Difyは、大規模言語モデル(LLM)を使ったアプリケーションの開発と運用を簡素化するためのオープンソースプラットフォームです。
このプラットフォームは、RAGを使用したチャットボットやAIエージェント、ドラッグ&ドロップインターフェースを使用したAIワークフローをノーコードで構築できます。
また、OpenAIやGoogleの最新モデルを使用できたり、Google Search、DELL·E、Stable Diffusionなどとの連携も可能であり、多種多様なAIアプリケーションを作成できます。
複数の料金プランが用意されており、用途に合わせて柔軟に選択可能なほか、無料プランでも基本的な機能はほぼすべて利用可能です。
皆さんもこの記事を参考にして、Difyでアプリケーションを構築してみてください!
生成系AIの業務活用なら!
・生成系AIを活用したPoC開発
・生成系AIのコンサルティング
・システム間API連携
最後に
いかがだったでしょうか?
「Dify」を活用すれば、ノーコードで効率的に生成AIアプリを構築可能。業務改善や新規サービス開発に役立つことでしょう。
株式会社WEELは、自社・業務特化の効果が出るAIプロダクト開発が強みです!
開発実績として、
・新規事業室での「リサーチ」「分析」「事業計画検討」を70%自動化するAIエージェント
・社内お問い合わせの1次回答を自動化するRAG型のチャットボット
・過去事例や最新情報を加味して、10秒で記事のたたき台を作成できるAIプロダクト
・お客様からのメール対応の工数を80%削減したAIメール
・サーバーやAI PCを活用したオンプレでの生成AI活用
・生徒の感情や学習状況を踏まえ、勉強をアシストするAIアシスタント
などの開発実績がございます。
まずは、「無料相談」にてご相談を承っておりますので、ご興味がある方はぜひご連絡ください。
「生成AIを社内で活用したい」「生成AIの事業をやっていきたい」という方に向けて、生成AI社内セミナー・勉強会をさせていただいております。
セミナー内容や料金については、ご相談ください。
また、サービス紹介資料もご用意しておりますので、併せてご確認ください。