【ClipDrop】Stable Diffusionが無料で使える!使い方や料金体系、実際に使ってみた感想を紹介
画像生成技術の進化は、私たちのクリエイティブな表現の仕方を根本から変えつつあります。その最前線の一つを走っているのが、Stability AIが開発した「ClipDrop」です。
この記事では、ClipDropがどのようにして画像生成の新時代を切り開いているのか、その魅力と機能を紹介します。ClipDropが提供する様々なツールを通じて、あなたのクリエイティブなアイデアがどのように現実のものとなるのかを紹介していきます。
Stability AIのClipDropとは?
Stability AIが開発したClipDropは、最先端のAI技術を活用した画像生成・編集ツールです。このツールの目玉機能は、リアルタイムで高品質な画像生成を行うことが可能な点にあります。瞬時に高品質な画像を生成できる能力は、クリエイティブな作業を行う全ての人々にとって革命的な進展をもたらします。
ClipDropの画像生成機能は、「Stable Diffusion」という技術に基づいています。ユーザーが入力した単語から画像を創造する能力を持っており、従来の画像編集ソフトウェアでは不可能だったようなクリエイティブなビジュアルを生み出すことができます。
さらに、ClipDropはオブジェクト除去、背景除去、解像度アップスケール、再照明といった編集機能も提供しており、ユーザーは既存の画像を自分の想像する形に再構築することが可能です。
ClipDropは日本語で使用可能
ClipDropの大きな特徴として、日本語で使用できることが挙げられます。
以前は日本語に対応していませんでしたが、2024年1月4日現在では日本語に対応しています。
各機能の説明を日本語で見ることができ、プロンプトにも日本語を使えるので大変便利です。
他の画像生成AIの場合は日本語に対応していなかったり、個別の設定が必要だったりするので、使い勝手が良さそうですね。
ClipDropを使ってできること3選
ClipDropは画像の編集や生成に革新的なアプローチを提供するAIツールで、様々なツールが内蔵されています。
特に背景を消す・色を変更するなど編集機能が豊富に搭載されており、できることが非常に多岐にわたります。ここではClipDropの主にできることを3つ紹介いたします。
画像を生成する
テキストベースのプロンプトから高品質な画像を生成する「Stable Diffusion XL」の機能があります。このブラウザベースのサービスは、特に画像生成AIの初心者に最適で、直感的な操作で理想の画像を作り出すことが可能です。文章から画像を生成するだけでなく、画像を元にバリエーションを増やしたり、落書きをリアルな画像に置き換えることも可能です。
画像を編集する
写真やイラストの背景などをAI技術で自動的に補完し、画像サイズを拡大できる「Uncrop」というツールがあります。これにより、元の画像のサイズを保持しながら、風景などを追加して画像を拡張することが可能です。他にも、解像度を調整したり照明を調整、背景の変更、色や形の変更、人物や背景の合成なども行うことが可能です。
不要なものを削除する
画像生成によって生成した画像や、写真などの画像から不要なものを取り除く機能があります。取り除けるものは「写真から一本の木を取り除く」のみにとどまらず、背景を除去する・イラスト等からテキストを除去するといったことまで、除去できるものは多岐にわたります。
なお、他の画像生成AIについて知りたい方はこちらをご覧ください。
→【次世代画像生成AIまとめ】高速で超高品質の画像を作れる最強AIを8選紹介
ClipDropの機能一覧
ClipDropは、多彩な画像編集・生成機能を備えています。
主要な機能には、「Stable Diffusion XL」機能でユーザーはテキストからリアルな画像を生成する・「Uncrop」機能では、画像の背景をAIで自動的に補完しサイズを拡大する等があります。
ここではその機能を一覧にして紹介いたします。
Stable Diffusion XL / turbo
テキストで画像の内容を記述すると、そのテキストに基づいて1024×1024ピクセル(turboは512×512ピクセル)の画像を生成します。
シンプルなプロンプトでも高品質な画像を生成できるため、修飾語の組み合わせに頼らず利用できます。
現実に近い立体感や質感をより精緻に表現することができ、高い映像や画像のクオリティを持っています。
Uncrop
AIが生成する「アウトペインティング」ツールで、既存の写真や画像を補完するために背景を拡大することができます。
AIのテキスト画像変換モデルStable Diffusionをベースに開発されており、画像を再構成して視覚的なキャンバスを広げることで、あらゆる画像の比率を変更することができます。
Reimane XL
AIによって生成される「イメージ再構築」ツールで、1つの画像から複数のバリエーションを作成することができます。
Stability AIの新しいアルゴリズムによって作成され、オリジナル画像から入力画像の各ピクセルへの直接の依存をなくすことで、画像の再構築能力を次のレベルに引き上げ、大胆でユニークなバリエーションの出力を実現しています。
Stable doodle
手書きのイラストを画像に変換するツールです。Stable Diffusion XLの高度な画像生成技術と、強力なT2I-Adapterを組み合わせたもので、簡単にイラストから画像生成ができます。
2023年9月ごろまでは、無料でこちらの機能を使って画像生成をすることができたのですが、同年10月ごろより有料版でのみ生成可能になりました。
Cleanup
アップロードされた画像の一部を範囲指定することで削除し、違和感のないように補填することができるツールです。
Photoshopなどの画像編集ソフトでできるようなことが、簡単にWeb上でできるようになります。写真家や不動産業者、クリエイティブエージェンシー、Eコマースなど、さまざまな業界で活用可能と考えられます。
Remove background
Remove Backgroundは、写真から主要な被写体を驚くほど正確に抽出するツールです。アップロードされた画像の背景を削除できます。こちらは、言葉そのままの通りなのでイメージもしやすいと思います。
Relight
アップロードされた画像ファイルの光の当たり方や、その色合いを調節することができるツールです。画像にライトを配置し、大きさ・距離・色を設定することでそれに合わせたRelightをしてくれます。
カメラアプリについている調光機能が、より柔軟に使うことが可能になったイメージのツールです。
Image upscaler
アップロードされた画像の解像度を上げたり、よりサイズを大きくした画像を生成できるツールです。
低画質の画像をピクセル化することなく、高解像度の画像に変換します。また、ノイズを除去し、美しいディテールを復元することもできます。
Replace background
AIを使用してアップロードされた画像の背景を、指定したものに新しく作り変えることができるツールです。
シンプルな写真を撮って、素晴らしい写真撮影スタジオや火山、居心地の良いリビングルームにテレポート、なんてことも可能となるツールです。
Text remover
アップロードされた画像ファイルをAI技術を活用して画像内のテキストやウォーターマーク(ロゴなどの印字)を検出し、取り除くことができるツールです。
この機能は、「Remove background」でも文字は削除されますが、Text Removerを使用すると、より綺麗にテキストを消すことができます。
Sky replacer
AI技術を活用して画像内の空の部分を別の空の画像に置き換えることができるツールです。
同じ画像であっても、空によって雰囲気等も変わるので、一つの画像に対して様々なパターンの画像を作成したい場合におすすめの機能です。
Swap
高度なAI技術を使用して画像内の人物を別な人物に入れ替えるツールです。人物の表情を変えたい場合や、別な人物に入れ替えたい場合などにおすすめの機能です。
ClipDropの料金体系
ClipDropには3つの料金プランがあります。
- Freeプラン
- Proプラン
- APIプラン
それぞれの金額は、以下のとおりです。
Freeプラン | Proプラン | APIプラン | |
---|---|---|---|
年払い料金 | 無料 | 1365円/月 | 利用量によって変わる |
月払い料金 | 無料 | 1971円/月 | 利用量によって変わる |
- Freeプラン:Freeプランの場合、使用できる機能の制限・解像度が劣っている他、一日あたり生成・編集できる枚数が100枚までと限られています。
- Proプラン:Proプランではすべての機能が利用でき、高解像度の画像を生成できます。1日に生成できる画像数も「Stable Diffusion XL」が1500枚、他の機能は1日1000枚までです。
- APIプラン:APIプランは、ClipDropのAI機能を自分のプラットフォームやアプリケーションに統合したい企業や個人を対象にしたものです。このプランはクレジットシステムを採用しており、500クレジット(4,064円)〜1,000,000クレジット(1,472,120円)まで、様々なクレジットパッケージから選択できます。このプランは柔軟性があり、ClipDropのAI技術を自身のデジタル環境に活用したい方に適しています。
無料版と有料版の使用可能ツール比較
無料版(Freeプラン)と有料版(Proプラン)の使用可能ツールの違いは、以下のとおりです。(2023年1月4日現在)
使用可能ツール | 無料版(Freeプラン) | 有料版(Proプラン) |
---|---|---|
Stable Diffusion XL / turbo | × | 1500枚/日 |
Uncrop | 100枚/日・ウォーターマーク | 1000枚/日 |
Reimane XL | 100枚/日 | 1000枚/日 |
Stable doodle | × | 1000枚/日 |
Cleanup | 100枚/日 | 1000枚/日 |
Remove background | 100枚/日 | 1000枚/日 |
Relight | 100枚/日 | 1000枚/日 |
Image upscaler | 100枚/日 | 1000枚/日・最大16倍 |
Replace background | × | 1000枚/日 |
Text remover | 100枚/日 | 1000枚/日 |
Sky replacer | 100枚/日・ウォーターマーク | 1000枚/日 |
Swap | 100枚/日・ウォーターマーク | 1000枚/日 |
ウォーターマークは、生成された画像に表示される「ロゴ」です。
無料版のいくつかの機能では、画像に「ClipDrop」のウォーターマークが付いてしまいます。
使えない機能や制約があるとはいえ、無料版でほとんどの機能を使うことができるので、初めて使う分には十分と言えそうですね。
ClipDropの商用利用について
ClipDropで生成した画像は、商用利用しても良いのでしょうか?
結論、商用利用することは可能です。
商用利用は可能
ClipDropの利用規約には、以下のように書かれています。
ユーザーは、個人的または機密性のあるコンテンツは、利用者自身の責任においてダウンロード、保存、実行されることを認め、承諾するものとします。この点に関して、当社はいかなる責任も負いません。
ユーザーは、利用者の義務違反の結果として当社に対して提起される可能性のある請求や訴訟から当社を免責するものとします。利用者は、当社が被ったいかなる損失も補償し、その結果当社が負担することになるいかなる金額も弁済するものとします。
ざっくり要約すると「責任を持って、自己責任でコンテンツを使ってください」という意味です。
「商用利用可能」とは明記されていませんが、ほとんどの記事で商用利用しても良いとされています。
商用利用するときの注意点
商用利用する時には、注意も必要です。
利用規約には、このように書かれています。
ユーザーは、本サービスの一部としてアップロード、保存、または作成するあらゆる種類のコンテンツ(以下「コンテンツ」)について、単独で責任を負うものとします。
ユーザーは、本サービスを通じて、いかなるコンテンツ(このリストはすべてを網羅するものではありません)をダウンロードまたは作成することも禁じられています:
- 公序良俗を侵害するもの(ポルノ、わいせつ、下品、衝撃的、または家族向けでないもの、中傷的、侮辱的、暴力的、人種差別的、排外主義的、または修正主義的なもの)
- 第三者の権利を侵害するもの(コンテンツの侵害、人格権の侵害など)
- さらに一般的には、契約、法律、規制の規定に違反するもの
- いかなる形であれ、第三者に不利益を与えるもの、誤解を招くもの、欺瞞的なもの、違法、詐欺的、または欺瞞的な活動を提案または促進するもの
- 第三者のコンピュータシステムに有害なもの
「著作権や法律を守って使ってください」ということです。
生成AIを商用利用する際には、著作権の問題がついてまわります。
なお、生成AIの著作権問題&訴訟事例について知りたい方はこちらをご覧ください。
→ChatGPTの著作権問題を分かりやすく解説!訴訟事例や商用利用についても紹介
ClipDropで使えるモデル
ClipDropの画像生成AIには「Stable Diffusion」の技術が用いられていて、ユーザーが入力した単語から画像を創造する能力を持っており、高精度の画像生成が可能となっています。「Stable Diffusion」のモデルは2023年12月現在2つのモデルが利用可能となっています。
SDXL
Stable Diffusion XLは一番最初のモデルv0.9がβ版として、2023年6月27日に発表されたモデルです。v1.0の方がより深い黒とより明るい白の色調を含み、鮮やかさと全体的な色調の精度が強化されています。
SDXL Turbo
SDXL Turboの最大の特徴は、敵対的拡散蒸留(Adversarial Diffusion Distillation:ADD)と呼ばれる新しい蒸留技術を用いることで、1ステップでの画像生成を可能にし、画像の品質を維持しながらリアルタイムでテキストから画像への出力を生成できるモデルです。
結果としてSDXLの50ステップ構成にもわずか4ステップで上回る品質の画像を生成することが可能となりました。
ClipDropの使い方
最初にClipDropの公式ウェブサイトにアクセスします。サイトにアクセスしたら、右上にサインイン/サインアップがあります。
アカウント作成のためメールアドレス若しくはgoogleアカウントなどを求められますので、自身が利用する物を選択してください。
今回私はメールアドレスを選択しました。登録したメールアドレス確認メールが送付され、そこに書かれているSign inをクリックするとアカウント作成が終了します。これで利用可能となりました。
アカウントが作成できたら、ClipDropの様々な機能(画像生成、背景除去など)から使いたい機能を選択します。
選択した機能に応じて画像をアップロードしたり、テキストプロンプトを入力したりして利用します。
処理が完了したら生成・編集された画像を確認し、必要に応じてダウンロードしましょう。
ClipDropを実際に使ってみた
実際にClipDropを使ってみました。SDXL turboにて画像生成を行って、編集することにします。
『山の中を歩く熊』を生成してみました。が、本当に数秒もかからず画像が生成されました。
と言いますか、日本語を入力して変換している間にも山の画像などが表示されるほど早く処理されていました。確かにものすごく速い。
SDXL turboはプロンプトに対して一つの画像が生成されますね。
これをUncropを使ってアウトペインティングしてみましょう。
元の画像をペーストして、完成サイズを780×780ピクセルで行ってみましょう。
実際にアウトペインティングしてみた結果がこちら。最大4つ生成されるようですね。
正直な表現をするとペーストした画質が良すぎたのか、それ以外の画質がわずかに悪いように感じます。ですが、そこは調節すれば十分使える範囲だと思います。
切れていた熊の後ろ脚も自然な感じで生成されました。ただ、上の方の空?のようなぼやけてる部分は精度はいまいちに感じました。とはいえ、これは十分満足のいく結果です。
右下にClipDropのロゴがあったために、その周辺が変なのがはいりました。
おまけでtext removerでロゴ消しができるかも試しておきましょう。
結果は消す前と消した後の画像を並べて比較してみます。
うん。きれいに消えてそこそこ自然だと思います。手前なのにぼやけた感があるのが少し残念な部分です。
使った使用感は以上になります。皆様よろしければ試してみてください。
なお、SDXL Turboについて詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。
→【SDXL Turbo】Stability AIからリアルタイム画像生成AIが登場!性能を比較レビューしてみた
ClipDropは画像編集ツールは未来への可能性を持つ
ClipDropは、Stability AIが提供する革新的な画像編集・生成プラットフォームです。その多様な機能は、リアルタイムでの高品質な画像生成から背景除去、画像のアップスケーリング、再照明に至るまで、クリエイティブなニーズに幅広く応えます。
無料プランとProプランの料金体系は、個人からプロフェッショナルまでの利用者に適しており、SDXLとSDXL Turboモデルにより、高品質な画像生成が可能です。
ClipDropの使い方は簡単で直感的であり、アカウントを作成してすぐに高度な画像編集を始めることができます。このツールは画像生成と編集の分野において、さらなる発展の可能性を広げていくことでしょう。
最後に
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