RAGチャットボットで業務効率を爆上げ!導入時の課題と解決策や事例などを詳しく解説

- 社内ヘルプデスクの問い合わせ対応が膨大で、人的コストを削減したい方
- 顧客対応の属人化を解消し、均一な品質のサポートを提供したい方
- 既存のChatGPTを業務に活用したいが、セキュリティや情報漏洩が心配な方
営業アシスタントや社内ヘルプデスクの対応など、様々な分野で企業に導入されているチャットボットですが、国内で公開されている事例の8割以上がRAGを活用して構築されたチャットボットであることをご存知でしょうか。
このことからも、RAGは独自のチャットボットを構築する上で重要な技術であることがわかります。
この記事では、RAGの概要やRAGチャットボットの課題と解決策、導入事例について詳しく解説します。最後までお読みいただくとRAGチャットボットの魅力について理解できるので、ぜひ最後までご覧ください。
生成AIチャットボットに採用される「RAG」とは?
RAGとは、Retrieval-Augmented Generation(検索拡張生成)の略で、ChatGPTなどのAIモデルに外部のデータベースの検索機能を追加して回答の精度をあげる技術です。
RAGを活用すると従来のモデル以上に回答精度が高くなり、専門的な知識や複雑な情報などニーズに合わせた回答を高精度で出力することができます。
また、外部のデータベースから情報収集を行うことができるので、最新情報を入手したい時にも利用できるため、AIチャットボットを構築する際にRAGが導入されることが多いのが現状です。
なお、RAGについて詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。

生成AIチャットボットの開発手法3種

チャットボットの開発手法は様々ありますが、開発手法ごとにそれぞれ異なったメリットがあります。
ここでは代表的な開発手法3つとそれぞれの特徴について紹介します。
既成のチャットボットのカスタム
ChatGPTなどの既存のチャットボットをカスタマイズすることで、自分好みのチャットボットを開発することができます。
例えば、ChatGPTにはノーコードでチャットボットをカスタマイズできるGPTsというカスタム機能があり、この機能を活用すればプログラミング技術がないユーザーでも自分の要望通りの回答を行ってくれるオリジナルチャットボットを生成できます。
このように、既存のチャットボットに多少の手を加えて新しいチャットボットを開発できるため、開発コストを抑え、開発期間を短縮することができます。
スクラッチ開発×ファインチューニング
ゼロベースから開発を行うスクラッチ開発においては、ファインチューニングを活用して開発される場面も多くあります。
ファインチューニングとは、特定のデータを追加で学習させ、モデルのパラメーターを微調整する手法のことを指します。
このファインチューニングをスクラッチ開発する際に活用することで、ゼロの状態からの学習に比べ、短時間で高性能なモデルを構築することができるというメリットがあります。
スクラッチ開発×RAG
チャットボットのスクラッチ開発を行う際には、開発するモデルの回答精度を向上させるためにRAGを用いて開発を行うことがあります。
冒頭でもお伝えした通り、RAGを活用することでモデルの性能をあげるだけではなく、外部のデータベースから情報収集ができることから、最新情報などを考慮した回答を行うことができます。
ファインチューニングの場合は、最新情報を取り入れるためにはその都度修正対応が必要となりますが、RAGの場合は外部データの情報から最新情報まで取得できるため、手間が少なく精度の高い情報を提供可能です。
また、国内で公開されているチャットボットの約8割はRAGを活用して構築されていることから、RAGはチャットボット構築に最適な技術と言えるでしょう。
RAGチャットボットの課題と解決策
RAGチャットボットは性能も高く、外部データベースから情報を取得できるため、最新情報に基づいた回答を生成することが可能な便利なツールですが、まだまだ課題がたくさんあります。
次にRAGチャットボットの課題と解決策について見てみましょう。
十分な質の回答を提供できない
生成AIから出力される回答は、必ず正しい情報というわけではなく、ハルシネーションの発生や求めている回答と違う形式で回答が出力されることがあります。
解決策としては、入力プロンプトの工夫や検閲用のAIモデルの導入、人間によるファクトチェックなどを行うことで回答の質をあげることができますが、間違いが許されない場面ではチャットボットを使うことを避ける必要があるでしょう。
データの質と量が担保できない
RAGは外部データを読み込んで強化する手法のため、外部データの品質が低ければチャットボットから出力される情報の質も低くなります。また、データ量が少ない場合でも正しく回答できないケースが多くなり、使い勝手の悪いチャットボットになってしまいます。
このような事態を防ぐためにも、利用する外部データの前処理やノウハウ蓄積のフローを構築するなど事前に手を加えて、データの質を少しでも高める必要があるでしょう。
計算リソースが確保できない
RAGの実行には、検索と生成を組み合わせる高度な処理を求められるため、膨大な計算リソースが必要となります。特に、大規模なデータセットやリアルタイム処理を行う際には、スペックの高いハードウェアやクラウドサービスが必要になります。
そのため、RAGチャットボットを構築するためには、利用するデバイスやクラウドサービスのスペックを確認し、現状の設備で運用できる範囲で構築するか、理想のRAGチャットボットを構築するために設備をアップグレードするのかという判断が必要です。
十分なセキュリティ体制を構築できない
不正アクセスやプロンプトインジェクションによって、情報漏洩やデータの改ざん、システムの破壊など、膨大な被害を受ける可能性があります。そのため、アクセス制限やデータの暗号化、定期的なセキュリティ診断などを行う必要です。
また、近年では外部ネットワークとの通信が不要で、応答速度が早いエッジAIの導入を検討している企業も増えています。自社サーバーなどのネットワーク端末に直接AIモデルを実装するため、セキュリティ対策にもなり、通信費やサーバーのレンタル費用なども抑えることができます。
図表上のデータを回答に反映できない
RAGでは、図表付きのドキュメントや画像などの非構造化データをそのまま反映することができないため、活用するためにはデータにタグや注釈をつけるアノテーションが必要になります。
しかし、膨大なデータ量のアノテーションを行うには、人的リソースが足りない可能性もあるため、マルチモーダル系技術の進歩を待つか、外注業者へ依頼することも視野に入れる必要があるでしょう。
なお、RAGの前処理について詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。

RAGチャットボットを社内に定着させるまでの流れ

RAGチャットボットを導入し、効果的に活用している企業が多いことから、自社でもRAGチャットボットを取り入れたいと検討している企業も多いでしょう。
ここでは、RAGチャットボットを社内に定着させるまでの流れについてご紹介します。
データ設計
RAGチャットボットを構築するには、初期段階から想定される質問やそれに対しての模範回答を用意し、アプリケーションの方向性を決める必要があります。
これには、RAGチャットボットを利用したい分野の業務に精通したユーザーの知見が必要にありますが、想定される質問や模範回答が多ければ多いほど、目的に沿ったチャットボットの構築が可能です。
また、想定質問と模範回答データを用意することによって、RAGの回答精度の測定にも役立つため、より細かいアップデートが可能になります。
データパイプライン
データパイプラインとは、分析に利用するデータを組織全体から収集し、クレンジングなどを行う一連の処理手順のことで、様々なソースから大量のデータを収集することができます。
データパイプラインには、データのパターンを検証、要約、特定するためのさまざまなテクノロジーが含まれており、効率的にデータを集めることができるため、社内で使いやすいチャットボットを構築するためには、データパイプラインを活用することをおすすめします。
ユーザーフィードバック
RAGチャットボットを開発して社内に導入したとしても、ユーザーにとって使いづらいツールに仕上がっている場合、積極的にチャットボットを活用するユーザーは少なく、社内での利用率が低くなります。
社内での利用率をあげるためには、ユーザーにとって使いやすいツールにする必要があるため、ユーザーフィードバックを活用し、継続的な改善を行う必要があります。
そのため、チャットボットシステムを構築する際に、フィードバックを受けられるようなフォームを組み込んだり、ユーザーとのコミュニケーションからリアルな声をヒアリングする必要がでてくるでしょう。
UI設計
利用するユーザーの中には、PC操作が不慣れな方やIT技術に疎い方がいる可能性があるため、そういった方でも気軽に利用できるように、UI設計にも工夫が必要です。
誰でもわかりやすく直感的に操作が可能なUIを構築することができれば社内での利用率が高くなるので、UI設計においてもユーザーからのフィードバックがもらえる環境を整えておくことが大切でしょう。
社内ヘルプデスク・ノウハウ検索でのRAGチャットボット事例
最後に、社内ヘルプデスクやノウハウ検索でRAGチャットボットを活用している事例について紹介します。
鹿島グループ
土木建築やソフトウェア開発など幅広い事業を手がける鹿島グループでは、自社専用のチャットボットである「Kajima ChatAI」を構築し、鹿島グループ会社の従業員約2万人を対象に運用を開始しました。※1
情報漏洩等のリスク対策の観点から以前はChatGPTの業務利用を禁止していましたが、従業員の業務効率や生産性向上に繋げるために、Azure OpenAI Serviceを活用した入力情報が外部の学習に利用されない鹿島グループ専用AIモデルを構築。
2023年10月時点では、1日当たり平均1,000回以上質問され、鹿島グループ全体の業務の生産性向上に役立っています。
帝人
帝人グループでは、社内業務の効率化を目的としたグループ社員向けの生成AIサービス「chat テイジン」を導入しました。※2
chat テイジンは、入力情報が外部に漏洩しないクローズドな環境を構築し、社内用の認証システムと連動させているため、強力なセキュリティ対策が施されています。
また、サービス導入にあたって、ITリテラシーを高めるために生成AIに関するセミナーの実施や、社員同士で活用事例を共有するコミュニティを解説するなど、社内でchat テイジンが定着しやすい環境づくりを行っています。
パナソニック コネクト
パナソニックコネクトは自社内の業務効率改善のために、自社用の生成AIアシスタントサービスである「ConnectAI」を国内系列企業の全従業員13,400名に向けて展開しています。※3
このConnectAIは、生成AIチャットや社内文章の引用、不正利用者の検知など、様々な分野で活用されており、今まで9時間かかっていたアンケート分析の作業もたった6分に短縮させるなど、作業効率を大幅に上げていることも実績として公開されています。
なお、ConnectAIについて詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。

RAGチャットボットの普及で効率化される業務

社内にRAGチャットボットを導入までにいくつかハードルがあるものの、全社員が正しく効果的に利用できるようになれば、様々な業務を効率化できるだけではなく、新たな商品開発やアイデア出しなど、クリエイティブな分野でも利用することができるでしょう。
近年、国内でも生成AIを業務利用する企業が増えてきており、今後も導入する企業が増えることが予想されるので、検討している方はこれを機にRAGチャットボットなどの生成AIを導入してみてはいかがでしょうか。

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最後に
いかがだったでしょうか?
RAGチャットボットを導入する際には、設計からデータ管理、ユーザーフィードバックの取り込みまで、細部にわたる注意が必要です。自社に最適なRAG活用方法を探り、実現するための具体的なステップを共有します。
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