生成AIで研究開発が加速!活用方法・注意点・導入ステップを徹底解説

生成AI 研究開発 加速 活用方法 注意点 導入 ステップ 徹底 解説
押さえておきたいポイント
  • 文献調査や実験計画の自動化により、研究スピードと成功確率が向上
  • 機密情報漏洩やハルシネーションへの対策など、安全な運用ルールの策定が必須
  • ボトルネックを特定し、PoC(概念検証)から段階的に導入範囲を拡大

研究開発の現場で、生成AIが成果を上げていることをご存知でしょうか。ある企業では、特許調査の時間を80%も削減しています。

この記事では、研究開発における生成AIの活用方法や注意点、導入ステップを解説します。 最後まで読むことで、最適な活用方法が見つかり、開発スピードを向上させるヒントが得られます。ぜひご覧ください。

\生成AIを活用して業務プロセスを自動化/

目次

そもそも生成AIとは?

生成AIは、学習済みデータを基に、新しいテキスト、画像、プログラムコードなどを作り出します。今までのAIとの違いと、生成AIが研究開発の現場で注目されている理由を見ていきましょう。

従来のAI(機械学習)との違い

従来のAIと生成AIでは、データに対する動きが異なります。

従来のAIは、入力データを分析し分類・識別・予測することに特化していました。一方で生成AIは、学習データの特徴をとらえ、それを応用して新しい成果物を創造します。

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従来のAI生成AI
主な機能データの分類・予測新しいデータの創造
得意な処理異常検知・数値予測文章作成・画像生成
アウトプットラベル(正解)・数値テキスト・画像・コード
従来のAIと生成AIの比較

既存データの分析にとどまらず、0から1を生み出す点が、従来のAIとの違いです。

研究開発部門で生成AIが注目されている理由

研究開発の現場では、論文や特許の量が年々増加しており、すべてを把握することは不可能です。そのような研究開発の現場で生成AIは効率性創造性を両立できる可能性があり、注目されています。

膨大な文献から知見を抽出するだけでなく、人間が見落としていた視点や異分野の知見を組み合わせた仮説、過去のデータを参考にした有望な実験条件を提案できます。

情報処理や実験の効率化を生成AIに委ねることで、研究者は高度な検証や意思決定に集中できます。

なお、生成AIの社内導入について詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。

研究開発プロセス全体で考える生成AIの活用方法

生成AIは、研究開発の最初の段階から最後まで、さまざまな場面で役に立ちます。調査・発想から実験・評価、そして成果を形にするドキュメント化の3つの段階それぞれに合わせた活用方法を紹介します。

文献・特許調査、アイデア発想のサポート

研究開発の出発点となる情報収集仮説立案は、生成AIが得意とする分野です。調査・発想での生成AIの活用方法は以下のとおりです。

  • 膨大な論文や特許情報から、関連性の高い箇所を抽出・要約
  • 研究テーマに対する多角的な視点からの提案
  • 異分野の技術を組み合わせた新規アイデアの創出

生成AIによる網羅的な調査と多角的な視点の提供により、調査時間を短縮しつつ、研究者の知識量に依存しない広い視野でアイデア発想をサポートします。

実験プロトコルの自動生成・評価結果の要約

実験計画をつくったり、結果を解析したりするのにも、生成AIは役立ちます。

実験・評価での生成AIによるサポート内容は以下のとおりです。

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項目具体的な内容
条件の絞り込み過去データから成功確率の高い実験条件の候補を提示
手順書作成複雑な実験手順書の草案を作成
結果考察実験結果の数値を読み解き、想定される要因を挙げる
実験・評価でのサポート内容

生成AIによるデータ分析と提案を取り入れることで、試行錯誤の回数を減らし、手戻りの少ない実験工程を構築できます。

報告書・特許ドラフト・社内データベースの整理

研究結果の記録社内資料の整理にも、生成AIを活用できます。日々記録する実験ノートの断片的な情報から、形式の整った報告書や特許明細書のドラフトを短時間で作成することが可能です。

社内資料を整理し、検索しやすいデータベースへ加工する作業も効率化します。

事務作業にかかる時間を最小限に抑えることで、研究者は次のテーマの検討や深い考察といった本質的な活動に時間を充てられます。

研究開発で使える生成AIツール・技術

研究開発で生成AIを活用するには、汎用的なツールだけでなく、社内データと連携させる技術や、自律的に動く最新技術を使い分ける必要があります。

ここでは、研究開発の高度化に欠かせない3つの技術要素を解説します。

テキスト系LLM(ChatGPTなど)を使った文献・レポート業務の効率化

ChatGPTGeminiなどのテキスト系LLMは、導入のハードルが低く、即効性が高いツールです。ブラウザ上で手軽に利用でき、海外論文の翻訳や要約、実験用のPythonコード生成など、日常的なテキスト処理を高速化します。

専門用語の理解力も高く、研究者が自分専用の助手として対話しながら思考を整理することにも適しています。

まずはテキスト系LLMから導入し、業務の無駄を省くことから始めましょう。

RAG(検索拡張生成)で社内技術文書・実験データを活かす

汎用的なLLMは、社内の未公開データを知りません。そこで必要なのが、RAG(検索拡張生成)です。RAGは、社内の実験レポートや技術文書を参照させ、その内容に基づいて回答を生成する仕組みです。

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項目汎用LLMRAG
回答の根拠インターネット上の情報社内データ・実験記録
専門性一般論になりがち自社固有のノウハウを反映
情報の鮮度学習データ時点まで最新の社内データも反映
RAG導入のメリット

RAGの導入で、過去の失敗事例や熟練研究者のノウハウを活かせるようになり、組織全体の技術レベルを底上げできます。

エージェント型AIで「調べる→まとめる→登録する」を一連で任せる

最新のトレンドとして注目されているのが、AI自身が計画を立てて自律的にタスクをこなすエージェント型AIです。

従来の生成AIが質問に答えるだけだったのに対し、エージェント型AIは文献を検索し、要点をまとめ、社内データベースに登録するといった連続した作業を自動で実行します。

研究者が指示を一度出すだけで、複数のツールを操作して目的を達成してくれるため、定型業務の自動化レベルを引き上げる技術として期待されています。

生成AI導入で期待できる効果とROI

生成AI導入で期待できる効果とROI

生成AIの導入効果は、便利さではなく、具体的な数字や事業成果として測定すべきです。ここでは、業務時間の削減、開発工程の短縮、そして開発成功率の向上などの生成AIの導入で期待できる効果を紹介します。

研究者1人あたりの「情報処理時間」を削減できる

研究者は本来の研究活動以外に、文献調査、データ整理、報告書作成といった膨大な情報処理に時間を奪われています。生成AIを活用すれば、業務時間を削減できます。

三井化学では、自社で開発した生成AIチャットにより、社内の文献調査や技術調査、新しい用途の探索などの業務時間を80%削減しています。

創出された時間を、深い考察や新たな実験といった人間にしかできない業務に充てることで、研究開発全体の生産性が向上します。

実験回数・試作回数を圧縮できる(探索効率の向上)

生成AIによって、物理的な実験回数・開発期間を圧縮できます。

富士フイルムでは、マテリアルズ・インフォマティクスという機械学習手法に生成AIを組み合わせることで、化合物の構造予測からスコアリングまでを自動化しました。有望な候補化合物を絞り込むことで、従来、年単位かかっていた材料探索期間を数ヵ月に短縮しました。

実験の当たりをつける精度を高めることで、開発期間を短縮し、市場投入までのスピードを加速させます。

新規テーマ・新規事業の成功確率を上げられる

経営視点では、新規テーマ・新規事業の成功確率向上を気にしているのではないでしょうか。

新規事業や新素材の開発が失敗する原因の多くは、潜在的なリスクの見落とし既存概念への固執にあります。生成AIは、異分野の知見を組み合わせて、人間では気付かない意外な応用先やリスク要因を多角的に提示します。

見落としやバイアスなどの失敗する要因を減らすことで、プロジェクト全体の成功率を高める効果が期待できます。

研究開発で生成AIを使うときの注意点

生成AIは便利なツールですが、研究開発で使用する際には注意が必要です。機密情報の漏洩や誤情報の拡散、権利侵害といった問題は、信用を損なう恐れがあります。 

安全に活用するために押さえておくべき4つのリスク対策を解説します。

機密情報・未公開データを扱うときのセキュリティ

研究開発で扱うデータは、企業の競争力の源泉となる極秘情報です。 

一般的な生成AIツールに安易にデータを入力すると、学習データとして再利用され、競合他社へ間接的に情報が流出する可能性があります。

対策として、入力データが学習に利用されないオプトアウトの設定や情報の機密性が担保された環境を利用してください。

ChatGPTのオプトアウト設定
参考:https://chatgpt.com/

情報漏洩のリスクを物理的に遮断する環境整備が不可欠です。

生成結果のハルシネーションに気を付ける

生成AIは、事実とは異なる内容をあたかも真実かのように語るハルシネーションを起こすことがあります。 

特に専門性の高い研究分野では、実在しない論文や架空の実験データを生成する可能性があるため、注意が必要です。

生成AIの回答を鵜呑みにせず、情報源が実在するかどうかや内容が正確かどうかを研究者自身が確認する必要があります。生成AIの能力を過信せず、あくまで最終的な判断と責任は人間がもちましょう。

知的財産(IP)や著作権には注意が求められる

生成AIが作成した成果物に関する知的財産権の扱いは、依然として法的な議論が続いています。 生成AIが出力した文章やコードが、知らないうちに他者の著作権を侵害しているかもしれません。

また、生成AIのみで創造した発明は特許として認められないケースも多いため、人間がどの程度創作に関与したかを記録に残す必要があります。

権利侵害の回避と特許出願の両面から、運用ルールの策定と人間による創作的寄与の証拠となるプロンプトや修正履歴の保存が必要です。

研究倫理・バイアス・AIリスクを踏まえたガバナンス設計は必須

生成AIの学習データに含まれる偏見が、研究結果に予期せぬバイアスをもたらす可能性があります。 特定のデータセットに偏ったモデルの使用により、公平性を欠いた分析結果や倫理的に問題のある成果物が生成されるかもしれません。

こうしたリスクを管理するために、利用ガイドラインをつくり、生成AIの利用範囲や責任を明確にする仕組みが欠かせません。

技術的な有用性だけでなく、倫理的に問題がないか確認しながら利用を進めましょう。

なお、生成AIのリスク対策について詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。

研究開発部門での生成AI導入ステップ

生成AIの導入を成功させるには、いきなり全社展開するのではなく、段階的に進める必要があります。現場の混乱を避け、確実に成果を積み上げるための4ステップを解説します。

①現状の研究プロセスを棚卸しし、「ボトルネック」を見つける

最初のステップは、現在の業務フローを確認し、研究者の時間を奪っているボトルネックを特定することです。 

研究員へのヒアリングを通じて「文献調査に時間がかかりすぎている」「報告書のフォーマット修正が手作業」といった課題を洗い出します。

解決する課題が明らかになれば、どのツールをどこで活用すべきか、費用対効果の高い導入計画を立てられます。まずは「何に困っているか」を解像度高く把握することから始めます。

②小さなPoCテーマ(文献調査・報告書作成など)から始める

課題が特定できたら、いきなり大規模なシステムを入れるのではなく、特定のチームやタスクに限定した小規模な実証実験(PoC)を実施します。 

リスクが低く、効果を実感しやすい業務から着手しましょう。

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テーマ実施内容
文献の要約過去の論文を生成AIに読ませ、要点を抽出させる
コード生成実験データの分析用スクリプトを書かせる
翻訳業務海外の技術資料を日本語に翻訳する
初期導入におすすめのPoCテーマ

小さな成功体験を積み重ねることで、現場の心理的なハードルを下げ、徐々に本格導入へと展開していきます。

③成果の出た使い方を標準化し、全研究所・全拠点に展開する

PoCで有効性が確認されたら、組織全体へ展開します。 特定の研究者だけが使いこなせる状態では、研究所内での生成AIの活用効果は限定的です。効果的なプロンプト集業務別マニュアルを作成し、誰でも同じように生成AIを活用できる環境を整えます。

社内勉強会や事例共有会を開催し、ノウハウを横展開するのも有効です。個人の知見を組織全体へと共有することで、研究所全体の生産性が上がります。

④全社DXと連携し、事業部門・経営企画へ横展開

研究開発部門での生成AI導入の成功事例は、他部門のデジタルトランスフォーメーションを加速させます。

例えば、研究部門で蓄積した技術トレンド分析のノウハウは、経営企画部門の新規事業立案にも応用可能です。

研究開発部門だけで完結せず、事業部門や製造現場と連携し、社内全体でのデータ活用を目指します。事業部門や経営企画などへ横展開することで、企業としての競争力を強固なものにします。

生成AIで研究開発を加速し競争力を確保する

研究開発での生成AIの活用方法や注意点、導入ステップを解説しました。文献調査の効率化やアイデア発想のサポート、実験工程の自動化など、生成AIは開発スピードを高めるパートナーです。

セキュリティやハルシネーション、権利侵害などのリスク対策を講じ、小さなPoCから段階的に導入範囲を広げていきましょう。

自社が抱える悩みや課題に合わせた環境を構築し、研究者が創造的な業務に集中できる体制を築いていきましょう。

WEELが“失敗しないAI導入”を伴走します。

最後に

いかがだったでしょうか?

研究開発の生成AI活用は、文献・特許調査や報告書作成など「情報処理のボトルネック」から着手が効果的。社内データ連携(RAG)や運用ルール、検証フローまで含めて設計すると、PoCから全社展開まで失速しにくくなります。弊社では、そのサポートができます。

株式会社WEELは、自社・業務特化の効果が出るAIプロダクト開発が強みです!

開発実績として、

・新規事業室での「リサーチ」「分析」「事業計画検討」を70%自動化するAIエージェント
・社内お問い合わせの1次回答を自動化するRAG型のチャットボット
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生成AIを活用したプロダクト開発の支援内容は、以下のページでも詳しくご覧いただけます。
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監修者田村 洋樹

株式会社WEELの代表取締役として、AI導入支援や生成AIを活用した業務改革を中心に、アドバイザリー・プロジェクトマネジメント・講演活動など多面的な立場で企業を支援している。

これまでに累計25社以上のAIアドバイザリーを担当し、企業向けセミナーや大学講義を通じて、のべ10,000人を超える受講者に対して実践的な知見を提供。上場企業や国立大学などでの登壇実績も多く、日本HP主催「HP Future Ready AI Conference 2024」や、インテル主催「Intel Connection Japan 2024」など、業界を代表するカンファレンスにも登壇している。

投稿者

  • WEEL Media部

    株式会社WEELが運営する生成系AI関連メディア「生成AI Media」は、AIの専門家によるWebメディアです。 AIに特化した編集部がAIの活用方法、導入事例、ニュース、トレンド情報を発信しています。

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