現場が劇的に変わる!ゲーム業界でも進む生成AI活用とは?できること・導入メリット・活用事例を詳しく解説

- 企画・ラフアートの作成やデバッグ作業などを生成AIで効率化
- パッチノートやお知らせ文の骨子も作成可能
- 生成AIの導入で新しいゲーム体験を実現
私たちが普段気軽に遊んでいるゲームを開発するには、多くの人手や莫大な時間がかかっています。そんな、ゲーム業界でも昨今生成AIの導入が進んでおり、注目を集めていることをご存知でしょうか?
今回は、ゲーム業界における生成AIの活用方法をはじめ、実際の導入事例などについてご紹介します。最後までお読みいただくと、ゲーム業界での生成AIの活用方法について詳しく理解できるため、ぜひ最後までお読みください。
\生成AIを活用して業務プロセスを自動化/
そもそも生成AIとは?
昨今、注目を浴びている生成AI(ジェネレーティブAI)について何となくは理解しているものの、できることや従来のAIとの違いがわからない方もいらっしゃるでしょう。
生成AIについて理解を深めることで、さまざまな業務で活用できるようになるため、まずは生成AIの概要について説明します。
従来のAIとの違い
生成AIと従来のAIの違いは、簡単に説明するとAI自身が新しいコンテンツを生み出せるかどうかです。
従来のAIは、与えられたデータから正しい答えや分類・予測などを自動的に行いますが、生成AIはそこから一歩進み、学習した内容をもとに新しい文章や画像、音声など今までになかったものを自ら生成する能力を持っています。
生成AIで行えること
前述の通り、生成AIは学習した内容をもとに下記のようなものを生成することができます。
- 文章生成
- 画像生成
- 音声生成
- 動画生成
- コード生成 etc.
簡単なプロンプトでも生成できますが、条件や事前情報を盛り込むほど精度が高まります。
ゲーム業界で生成AIが注目される理由

ゲーム開発には企画・制作・運営まで工程が多く、一つのゲームを発売するまでに時間とコストがかかります。
また、インターネットの普及によりソフトを購入してローカル環境で楽しむものだけではなく、オンライン対戦や定期的なアップデートが求められるなど、時代に合わせた運営型タイトルの増加により、効率化と品質維持の両立が大きな課題となっています。
その中で生成AIは、企画作成やプログラム開発など、負担の大きい業務の補助ができるとしてゲーム業界でも注目を集めています。
なお、ゲームAIについて詳しく知りたい方は下記の記事も合わせてご覧ください。

生成AIの導入でゲーム開発はどう変わるのか
生成AIは今までになかったものを自ら生成する能力を持っており、プロンプト次第では多くの工程で活用できます。次に、工程別に生成AIの導入でゲーム開発がどう変わるかについて見てみましょう。
企画・ゲームデザインのプロセスの変化
企画段階では、「どんなストーリーにするか」「どんなゲームシステムにするのか」といったアイデアを膨らませる必要がありますが、生成AIを活用すれば設定条件を与えるだけで複数の企画案を同時に出せるため、アイデアの幅が大きく広がります。
もちろん最終判断は人間が行う必要がありますが、生成AIが出したたたき台をベースにブラッシュアップしていくことで、企画作成などの業務を効率化できるだけではなく、今まで思い浮かばなかった面白いアイデアが生まれることもあるでしょう。
アート・コンテンツ制作フローの変化
ラフアートやバリエーション制作は時間がかかりますが、生成AIを活用することで背景・UI・装飾などのコンテンツ制作をスピーディかつ大量に作成することができます。
それにより、方向性のすり合わせや社内レビューが格段に速くなり制作スピードをあげることができるだけではなく、イラストレーターの業務負担も軽減することができます。
プログラム開発・QAのプロセスの変化
全てのプログラム開発を生成AIに一任するにはリスクが大きいですが、コード補完や検証支援、テストケースの生成といった部分的に活用することで業務負担を減らしつつ、開発スピードをあげることができます。
そのほかにも、動作チェックや想定されるバグの洗い出し作業、見落としがちな部分のサポートまで行うことも可能なため、プログラムの完成度を高めるためにも役立ちます。
ライブ運営・マーケティングの変化
ライブ運営においては、告知文やパッチノートなど定型文書が頻繁に発生しますが、生成AIを活用することで文章のたたき台を瞬時に作成することができます。
マーケティング分野についてはSNSへの投稿内容の作成だけではなく、口コミの分析などにも活用できるため、さまざまな分野で業務負担を軽減することができます。
具体的なゲーム業界の業務における生成AI活用例
ゲーム業界の業務では、生成AIが活躍する場面がたくさんあります。次に、具体的なゲーム業界の業務における生成AIの活用例についてご紹介します。
世界観・ストーリー・キャラクター案の生成
世界観やストーリー、キャラクターを作り込む際は、色々な案を考えるところから始まり、その案で進められるのか議論を行いながら作り上げられます。
しかし、生成AIにテーマや制約条件を入力すれば、世界観設定やストーリーの骨子、キャラクター案を瞬時に出力することができます。
そのため、生成AIを活用することで効率的にストーリーやキャラクターなどの要素を決めることができます。
そのほかにも、アイデアが出ずに行き詰まった際にも作り上げたい世界観や設定などを生成AIに指示することで、数パターンの案を瞬時に出力することが可能です。
クエスト・レベルデザイン案のパターンやアイデア出し
ゲームを長く遊んでもらうためには、ゲーム内イベントやキャンペーンを定期的に行う必要がありますが、アイデアが思い浮かばずにイベント開催時に苦労するということもあるでしょう。
しかし、生成AIを活用することで、クエスト構成やレベルデザインのアイデアを複数生成することができるため、今までになかった発想から新しい企画を生み出すことができます。
また、「大枠は決まっているけど、細かいバリエーションが欲しい」といったシーンでも生成AIを活用すれば瞬時に複数パターンを生成できるため、アイデア出しの際にも役立ちます。
企画書・ピッチ資料など書類・帳票などの下書き作成
企画書やピッチ資料は、内容そのものよりも、構成を考えたり文章を整える工程に時間がかかってしまうことが多いですが、生成AIを活用すれば、構成や文章の下書きを短時間で作ることができます。
もちろん、最終的なデザインの調整や言い回しは人間による調整が必要ですが、白紙の状態から作成するよりも大幅に作業効率をあげることができます。
なお、業務効率を高める生成AIを活用した企画書の作り方は下記の記事を参考にしてください。

競合タイトル・レビュー情報・SNSの声の要約と分析
運営や改善を考えるうえで、競合タイトルの分析やレビュー、SNSの声などの情報はとても大切ですが、量が多すぎてまとめるにも時間がかかってしまいます。
生成AIを使えば、大量のテキスト情報を収集し要約することができるため、どんな点が評価され、どんな不満が多いのかなどのレポートを効率的に作成することができます。
なお、ChatGPTを活用したデータ分析について詳しく知りたい方は下記の記事を参考にしてください。

背景・小物・UIなどのラフアートやデザインなど生成
アート制作では、最初の方向性を決めるまでに多くのラフアートが必要になりますが、ゼロから大量のラフアートを作り出すには時間がかかってしまいます。
生成AIを使えば、背景や小物、UIのラフアートはもちろん、キャラクターの表情やポーズ案なども簡単に作成することが可能です。
もちろん、生成AIで生成したデザインをそのままゲーム利用するという使い方もできますが、リスクも存在するため完成品を作るというよりも、「どの方向が良さそうか」を探るための材料集めとして利用されています。
なお、画像生成AIについて詳しく知りたい方は下記の記事を参考にしてください。

ボイス・BGM・SEのモックなどの音源生成
ボイスやBGM、SEといった音響演出は、臨場感やシーンの演出効果を高めるために欠かせない存在ですが、開発段階で用意をすることが難しく、音響イメージをチーム全体に共有することが難しい場合もあります。
そのため、生成AIで音源のモックを生成すれば、演出の方向性をチーム内で共有しやすくなり、完成形のイメージ違いを防ぐことができます。
なお、音楽生成AIの中でも特に性能が高いSunoに関しては下記の記事をご覧ください。

お知らせ文・パッチノート・運営レターの文章生成
イベント告知やパッチノートなど、ゲームを運営していくためには、文章作成業務が発生します。
これらの文章もゼロから作るには時間がかかってしまいますが、生成AIを活用して文章の骨子を作成することで、業務効率をあげることができます。
また、文章作成後の誤字脱字のチェックや懸念点なども、生成AIを活用すれば瞬時に行うことができるので、作業効率をあげつつ文章の品質をあげることができます。
なお、生成AIを活用した文章生成に関しては、下記の記事をご覧ください。

その他の生成AIを活用したおすすめ業務効率化テクニック4選
![]() 見積作成 過去の見積例を参考に、見積もり案を生成。成約率&生産性UPが期待できる。 生成AI×見積作成の解説はこちら | ![]() 購買業務 生成AIを使うことで属人化や情報整理の負担といった慢性的な課題を解決できる可能性がある。 生成AI×購買業務の解説はこちら |
![]() プロジェクトマネジメント 生成AIをプロジェクトマネジメントに取り入れることは、成功率を高めるための有力な選択肢のひとつ。 生成AI×プロジェクトマネジメントの解説はこちら | ![]() 事業計画作成 事業計画書の作成も生成AIに任せれば、すぐにハイクオリティなものができあがる。 生成AI×事業計画の解説はこちら |
生成AIの導入方法はこちらをチェック

ゲーム業界における生成AIの活用事例
これまで、ゲーム業界における生成AIの活用方法などについて紹介してきましたが、日本を代表するゲーム制作会社でも実際に生成AIを取り入れている事例があります。
次に、日本のゲーム業界における生成AIの活用事例についてご紹介します。
カプコン

モンスターハンターやストリートファイターなどを手がけるカプコンは、高品質な作品を生み出し続けるため、生成AIを始めとする新技術を積極的に活用しています。
例えば、ゲーム内で利用するオブジェクトは1つのタイトルあたり数千から万単位で存在し、それぞれに複数のアイデアが必要なため、最終的には数十万のアイデアを考える必要がありました。
そのため、従来の方法では膨大な手間や時間がかかっていましたが、生成AIを活用することで、高速化・効率化を実現させました。
KONAMI

メタルギアやパワフルプロ野球で有名なKONAMIは、Nintendo Switch 2専用ソフトのアイドル育成系ゲーム「シャインポスト Be Your アイドル!」において、「歌唱AI」を導入しています。
歌唱AIとは、要するに声優の音声データを学習した音声生成AIのことで、ゲーム本編のライブシーンは全てこの歌唱AIが利用されています。
この歌唱AIを利用することで、育成状況やキャラクターの緊張度や喉の調子など、育成キャラクターのその時のコンディションに合わせたライブシーンを再現できるため、よりリアルな育成体験ができるようになりました。
バンダイナムコ

パックマンや太鼓の達人でお馴染みのバンダイナムコは、膨大な映像資産を自然言語から検索できるAI基盤構築を行いました。
映像データはGeminiなどを用いながらメタデータ化が行われ、視覚情報やセリフ情報、テキスト情報などといった情報もそれぞれ抽出。検索用の構造化データとしてタグを作成し、情報別に格納などを行うことで、シーンやセリフ、テロップなどの情報から欲しい映像を検索できるシステムを構築しました。
これにより、映像制作やデバッグ業務におけるシーンを探し出す作業の効率化に成功しました。
スクウェア・エニックス

ドラゴンクエストやファイナルファンタジーなどを手がけるスクウェア・エニックスは、ゲーム開発者から出る質問に回答するための生成AIチャットボットや、コードを自動生成できる仕組みの導入など多くの場面で生成AIを活用しています。
これにより、作業効率をあげることに成功しただけではなく、プログラマー以外の開発者でも簡単にゲームのデータを作成できるようになりました。
ゲーム企業が生成AIを導入するときのステップ
ゲーム開発のように工程が複雑で職種ごとの役割が明確な現場では、導入の進め方を間違えると「結局使われなくなった」という結果になってしまうことが多いです。ここでは、ゲーム業界で生成AIを導入する際に押さえておきたいポイントを、ステップごとにご紹介します。
現状の開発・運営フローとボトルネックの棚卸し
まず、生成AIを導入するにあたって、現状の開発・運営フローとボトルネックとなっている業務の棚卸しが必要です。
例えば、
- 企画初期のアイデア出しに時間がかかっている
- 仕様書や企画書の作成に手間取っている
- デバッグの確認作業が追いついていない
など、まずは部署ごとに時間を取られている作業や属人化している作業を整理し、生成AIに代替できそうな業務を洗い出していく作業が必要となります。
小さなPoCテーマ(テキスト・アイデア出し・QAなど)の選定
生成AIの導入は、いきなり大規模な部分から始めるのではなく、失敗しても影響の少ない業務(Pocテーマ)から活用するのがおすすめです。
例えば、
- 企画会議用のアイデア出し補助
- イベント告知文やパッチノートの下書き作成
- QA項目やテストケースのたたき台作成
など、生成AIが得意で誰でも扱いやすい分野から導入することをおすすめします。
このように、誰でも利用できるような小さな業務から生成AIを導入を行い、業務効率が上がり、社員の負担が軽くなったのかなど変化を確認します。
工数削減・品質・売上などのKPI設定と効果検証
生成AIの導入を進める際には、必ずKPIを設定しておきましょう。
KPIを設定せずに導入を進めると、どれだけ業務が効率化できたかわかりづらく、業務改善も思うように進まない可能性があります。
KPIの例としては、
- 作業時間がどれくらい短縮されたか
- アウトプットの品質にどんな変化があったか
- 修正回数や手戻りが減ったか
など、実感しやすい指標や数値化できるKPIなどを設定することで、目に見えて効率化できた部分が確認できます。
うまくいった使い方の標準化と、他タイトル・他部署への展開
生成AIを業務に組み込むためには、うまくいった使い方を標準化させるために、使い方を共有する必要があります。
共有方法は、社内マニュアルを作成したり、便利だったプロンプトを誰でも入力できるプロンプト共有リストを作成して日々アップデートを行うなどさまざまあるため、共有できる環境を構築することが大切です。
なお、生成AIの導入で業務効率とコスト削減に成功した事例について詳しく知りたい方は、下記の記事も合わせてご確認ください。

よくある質問(FAQ)
生成AIの導入で変わるゲーム業界
今やゲーム業界においても生成AI技術の導入が進んでいますが、現時点では生成AIのみでゲーム作成・運用など全てを自動化することは難しいです。
しかし、今回ご紹介した歌唱AIのように、ゲームの進行状況に合わせてキャラクターの状態が変わるなど、生成AIをゲームに掛け合わせることで、今まで実現が難しかったリアルな状況をゲームで作り出すことができるようになりました。
さらに、今後はプレイヤーの行動や癖をもとに難易度や演出が変化するなど、一人ひとりに合わせた体験を提供するゲームも増えていく可能性があるため、生成AIは開発効率を高めるだけでなく、ゲーム体験そのものの在り方を広げてくれる可能性も秘めているのではないでしょうか。

最後に
いかがだったでしょうか?
企画・アート・QA・運営文まで、生成AIでどこから工数を削り、どこで品質を守るか。弊社のサポートでは、ゲーム開発に効く導入ステップと社内ルール、KPI設計を短時間で整理することが可能です。
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【監修者】田村 洋樹
株式会社WEELの代表取締役として、AI導入支援や生成AIを活用した業務改革を中心に、アドバイザリー・プロジェクトマネジメント・講演活動など多面的な立場で企業を支援している。
これまでに累計25社以上のAIアドバイザリーを担当し、企業向けセミナーや大学講義を通じて、のべ10,000人を超える受講者に対して実践的な知見を提供。上場企業や国立大学などでの登壇実績も多く、日本HP主催「HP Future Ready AI Conference 2024」や、インテル主催「Intel Connection Japan 2024」など、業界を代表するカンファレンスにも登壇している。




