生成AIをカスタマーサポートで活用する方法!企業の導入事例や注意点を解説

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さまざまなサービスが展開され、多くの業種で心強いツールとして導入が進んでいる生成AI。特に、生成AIと相性の良いカスタマーサポートにおいては、多くの企業で導入されています。

チャットボットを利用した自動返信やトークスクリプトの生成、対応補助など企業ごとに導入している機能は違うものの、確実に業務効率の改善や顧客満足度を高めていることは間違いありません。

今回は、生成AIがカスタマーサポート業務においてどのように利用されているかについて解説します。

目次

カスタマーサポート・サービスと生成AI

カスタマーサポート業務において生成AIとの連携は相性がよく、多くの企業で導入が進んでいます。まずは、生成AIと従来のAIとの違いについて解説したうえで、現在のカスタマーサポートの生成AI導入率についてご紹介します。

生成AIと従来のAIの違い

従来のAIは、事前に学習させたデータの中から最適な回答を出力する技術で、入力されたデータに対して「Yes」か「No」で出力したり、数値の予測といった単一のタスクしか実行することができませんでした。

それに対し生成AIとは、オンライン上の様々な情報から学習し、文章や画像、音楽の生成など新しいコンテンツを生成することが可能で、よりマルチでクリエイティブなデータを出力することができます。

生成AIの導入が進むカスタマーサポート

各業界で生成AIを業務に組み込む流れが進んでいますが、特に進んでいるのがカスタマーサポートです。デロイト トーマツが2023年8月8日に公開したニュースリリースによれば、日本企業のコンタクトセンターAI導入率は約50%まで伸びていることがわかりました。

AIが進化し続け、さまざまな活用方法が見出されている今、積極的に導入を考えている企業は多いです。将来的にはAI導入が当たり前となり、今ある仕事の半数がAIに置き換わるという未来もそう遠くないでしょう。

参考資料:デロイト トーマツ調査、日本企業のコンタクトセンター AI導入率が約50%に伸びるも、成果創出には苦戦

カスタマーサポートにおける生成AIのメリット

前述の通り、カスタマーサポート業務における生成AI導入率は約50%と高いことがわかりましたが、いったいどのようなメリットがあるのでしょう。ここでは、カスタマーサポートにおける生成AIのメリットについてご紹介します。

新人の教育&業務補佐ができる

カスタマーサポートにおける新人教育をするためには管理者によるモニタリングが必要で、一人ひとり毎日フィードバックすることは難しいです。

しかし、AIの応対品質判定機能を利用することで言葉遣いや会話スピードなど、複数の項目から分析が可能かつ、一件ごとにフィードバックできるので効率的に新人教育ができます。

対応履歴の分析がしやすい

従来であれば電話を受けたオペレーターは、話した内容を対応履歴としてデータベースに登録します。この作業は人によって入力方法が違ったり、一部会話が抜けてしまうというケースもあり、対応履歴の分析に時間がかかることもしばしばありました。

しかし、生成AIを利用すれば音声データをテキストデータに変換するだけではなく、問い合わせ内容の要約なども同時に行うことができます。入力フォーマットも変わらず、記載漏れも起きないので分析をする際に非常に役に立ちます。

コストを抑えつつ生産性を高めてくれる

簡単な問い合わせ対応を生成AIに任せることで、オペレーターの人数を減らすことができます。それに加え、イレギュラーな対応内容で生成AIでは処理ができない場合でも、オペレーターに切り替わる段階ですでに第一切り分けが完了しているため応対時間の短縮にもなります。

このように、生成AIを利用すれば人件費の削減や応対時間の短縮など、コストの削減が可能です。削減したコストを製品やサービスの開発に充てることで、さらなる利益に繋がることもあるでしょう。

人手不足&負担が軽減できる

単純な内容やよくある質問は過去に対応したデータが多く、生成AIに学習させることで代替えすることが可能です。それにより、オペレーターは単純な問い合わせに対しての対応が不要となり、一人当たりの対応数も減らせるため、オペレーターの負担や人員不足の軽減に繋がります。

また、オペレーターの対応数を減らすことにより、ヒューマンエラーの防止にも繋がります。

顧客対応の品質が向上する

生成AIを利用することにより、営業時間にとらわれることなく24時間問い合わせが出来たり、多言語にも対応できるため、海外からの問い合わせがスムーズに行えたりと機会損失の防止に繋がります。

さらに、生成AIは学習した大量のデータから効率的に処理することが得意なため、パーソナライズした精度の高い情報を迅速に提供できるので、顧客満足度の向上にも貢献します。

カスタマーサポートへの生成AI導入時の注意点

業務効率を上げ、顧客満足度の向上にも貢献できる生成AIですが、導入するためにはいくつか注意しなければならないことがあります。注意点を理解することで、思わぬトラブルの発生を未然に防ぐことにつながるので、しっかりと注意すべきポイントを押さえておきましょう。

誤情報・誤字は人間がチェックする

生成AIの開発は日々進んでおり、生成AIの回答レベルも数年前と比べれば向上しています。しかし、まだまだ生成AIはハルシネーションを起こす可能性があるため、生成AIの生み出す回答をすべて鵜呑みにするのは危険です。

誤情報や誤字の配信は思わぬトラブルに発展する可能性があるので、最終的には人間によるチェックが必要です。

社内情報を扱う場合はAPIを経由する

生成AIは、入力されたデータなどを学習に利用するため、社内情報を取り扱うカスタマーサポート業務で使用するには情報漏洩の恐れがあります。そのため、社内情報を取り扱う場合は入力データが学習されないAPI経由で利用しましょう。

API経由で利用するには、工数によってコストが膨らむ可能性がありますが、構築の際に工数とコストのバランスに注意しつつ、セキュリティ面を強化する必要があるでしょう。

RAGのアルゴリズムにこだわる

RAGとは、LLMと外部のデータベースや情報源を結びつける技術で、現在のカスタマーサポート業務では主流となっているアルゴリズムです。

RAG型は、質問文の意味的に近い文章をマニュアルや過去のログから検索し、検索結果を質問者へ出力するという流れで処理されます。そのため、質問者が欲している情報を提供できるようになりました。

しかし、質問の内容と解決策が意味的に近くない場合は、有効な解決策が出力されない可能性があります。そのため、あらかじめ質問と回答をセットにして保存しておくことが重要となります。

参考記事:生成AIと定型文で実践!カスタマーサポートの新メール対応術と最新事例

プロンプトは具体的に書く

より正確で、求めている情報を出力するためにはプロンプトを具体的に書く必要があります。

例えば、「エラーが発生したので解決したい」と入力した場合、エラーコードの一覧や該当のエラーコード以外の解決策が出力されたりと、本当にほしい情報が出力されない可能性があります。

そのため、生成AIから本当にほしい情報を出力したい場合は、「●●エラーが発生したため、解決策を教えてください」のように、具体的なプロンプトを入力する必要があります。

なお、プロンプトについて詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。
プロンプトエンジニアリングマスターWiki!ChatGPTの必須テクニック16選

カスタマーサポートで生成AIができること

ここまで、生成AIを導入するメリットや注意点について解説してきましたが、実際にどのようなシーンで生成AIは活用されるのでしょうか。カスタマーサポートにおける生成AI活用方法についてご紹介します。

チャットボット

チャットボットとは、設置したチャットの返信をロボットが自動で行う機能のことです。従来のチャットボットは人間が設定したルール範囲内での回答しかできず、質問者がほしい情報までたどり着かないこともしばしばありました。

しかし、AI搭載のチャットボットであれば学習したデータから、回答を生成してくれるためより幅の広いサポートが可能となりました。生成AIの回答は現時点でチャットのみですが、いずれは電話応対が可能なボイスボットも実現するでしょう。

なお、チャットボットについて詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。
生成AI搭載型のチャットボットとは?種類や仕組み、注意点、おすすめサービスを紹介

VoC・対応履歴の分析

VoC(Voice of Customer=お客様の声)や対応履歴はサービス品質向上や新たなアイディアのヒントとなることが多く、これらの分析は非常に重要です。しかし、大量の問い合わせが来る企業の場合、そのすべてのVoCや対応履歴を手動で仕分け、分析するには相当なリソースを割く必要があります。

生成AIを利用すれば、VoCや対応履歴からキーワードの出現回数や相関関係など、有益な情報を抽出することができます。これにより、仕分け時間が削減し、分析作業に集中することができます。

トークスクリプトの作成・対応補佐

生成AIを活用することで問い合わせ内容をもとに、リアルタイムでトークスクリプトを作成できるので、対応時間を大幅に短縮することが可能です。

また、経験の浅い新人が対応する場合でも、生成AIが重要な情報や解決策をトークスクリプトとして生成してくれるため、サポートの品質を全体的に向上させることができます。

FAQ作成・修正

生成AIは過去の対応履歴からお客様からのよくある質問などを抽出し、必要なFAQやナレッジ記事などの提案が可能です。それだけでなく、マニュアルやカタログなどのテキストデータから自動でFAQを作成することもできます。

さらに、その他サービスで利用している生成AIの学習データのもととなる回答のパターンの生成にも使うことができます。

社内書類の要約

カスタマーサポート対応は、対応スピードを上げることで顧客満足度を高めることにつながります。そのためには、サービスや商品などをしっかり理解し、わかりやすく説明する技術が必要です。しかし、マニュアルやカタログといった社内書類をすべて読み解くには時間がかかり、時には理解がすることが難しい場合もあるでしょう。

生成AIを利用すれば社内書類の要約をすることができるので、重要な部分だけ抽出し効率よく理解を深めることができます。

カスタマーサポートでの生成AIの企業導入事例

ここまで、カスタマーサポートと生成AIについて見てきましたが、実際にはどのように導入されているのでしょうか。最後に、カスタマーサポートでの生成AIの企業導入事例を3つご紹介します。

【株式会社JALカード】生成AIを導入して「よくあるご質問」ページを快適に!

株式会社JALカードは「よくあるご質問」ページにAI搭載FAQ検索システムを導入。これにより、自然文検索やタグ検索が可能となり、今まで以上に直感的かつ、スピーディーに疑問を解決できるようになりました。

また、検索されたキーワードや選択されたタグ情報はAIによって学習されるため、徐々に話し言葉でも検索が可能になるなど、日々サイトが成長するため、使えば使うほど利便性が向上する仕組みを整えました。

参考記事:JALカード、CX向上にサイシードのAI搭載のFAQシステムを導入

【キンコーズ・ジャパン株式会社】生成AIを導入して社内問い合わせを効率的に!

800名近くの従業員からの社内問い合わせが殺到し、ITヘルプデスクの業務はその対応に追われる日々。そんな環境を変えるため生成AIを導入したところ、ITヘルプデスクへの問い合わせは体感で50%以下まで削減することに成功しました。

生成AIの主な活用方法としては、チャットボットでの自動返信、問い合わせ先の一本化、FAQの活用の3つで、同じ質問に対して同じ回答を繰り返すというストレスから解放されました。

参考記事:ITヘルプデスクへの社内問い合わせを50%削減。問い合わせ先を一本化し対応効率の向上に成功

【アサヒビール株式会社】生成AIを導入して社内情報検索を簡単に!

アサヒビールは生成AIを用いた社内情報検索システムを試験的に導入。現在は一部の社員を対象に運用を開始しているが、将来的にはアサヒグループ社内に点在している技術情報を整理し、効率よく取得できる仕組みを整備している。

また、テキストファイルだけではなく、ファイル内の文章や画像を含めた総合的な検索が可能なため、さらなる業務効率アップを目指しています。

参考記事:アサヒビール、生成AIを活用した社内情報検索システムを導入、商品開発や業務効率化に活用

弊社のAIツール開発について

弊社では、AIツールの開発を承っております。

  • PoC開発:既存のモデルを流用して、業務用AIツールを開発
  • ソリューション開発:ゼロ(基盤モデル)から、AI搭載型システムを開発

過去の開発事例としては

【PoC開発の事例】
● 専門領域における試験問題作成の代替
● カスタマーサポートの代替
● 業界特化知識保有のチャットボットの作成

【ソリューション開発の事例】
● 人事評価の代替
● お問い合わせの自動対応機能
● 研修用補助AIの作成
● デジタルクローンの作成
● 自動追加学習機能

以上のとおり、業界特化型のAIツールをおもに手がけています。

なお弊社コンサルティングの期間や料金につきましては、下表をご覧ください。

PoC開発ソリューション開発
期間2〜4ヶ月4ヶ月〜
内容・データ処理
・環境構築
・プロトタイプ開発
・検証
・コードの提出
・検証結果報告
AIプロトタイプの内容+
・システムの要件定義書作成
・AIシステムの開発
・社内システムとの連携
・AIシステムの実装
・運用
見積もり額¥ 2,400,000 ~ 4,800,000¥ 13,200,000 ~

まずは無料相談で、貴社のお困りごとをお聞かせください。「解決できる無料AIツールはないか?」といった、開発以外の解決策も含めて共有させていただきます。
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生成AIをカスタマーサポートに活用しよう!

いかがでしたでしょうか。生成AIを使うことで定型文の自動返信機能はもちろん、社内資料へのアクセスがスムーズに行えるなど業務効率を改善してくれます。

それだけではなく、トークスクリプトを瞬時に作成させたり、リアルタイムで対応補佐を行い顧客満足度向上へ貢献したりなど、生成AIは可能性を秘めています。

これからも、さまざまなサービスが開発され、生成AIは私たちの業務をサポートする重要なツールとなっていくでしょう。そんな時代に取り残されないように、今から生成AIについて知識を蓄えておくことも重要なのではないでしょうか。

最後に

いかがだったでしょうか?

弊社では

・マーケティングやエンジニアリングなどの専門知識を学習させたAI社員の開発
・要件定義・業務フロー作成を80%自動化できる自律型AIエージェントの開発
・生成AIとRPAを組み合わせた業務自動化ツールの開発
・社内人事業務を99%自動化できるAIツールの開発
ハルシネーション対策AIツールの開発
自社専用のAIチャットボットの開発

などの開発実績がございます。

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投稿者

  • 晋平大竹

    生成AIの登場に大きな衝撃を受けたWebライター。好きなAIツールは、ChatGPTとAdobeFirefly。AIがこれからの世界を良い方向に導いてくれると信じ、正しい&有益な情報を発信し続けています!

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