生成AI搭載型のチャットボットとは?種類や仕組み、注意点、おすすめサービスを紹介
急速に開発が進む「生成AI」を搭載したチャットボットサービスが数多く登場していることをご存じでしょうか。従来のテンプレートを答えるだけのチャットボットとは異なり、あらかじめ決められた質問もスムーズに読み取り、その場で適切な回答を作り出せる優れものです。
この記事では、生成AI搭載型のチャットボットの特徴やリスク、具体的なサービス、企業の導入事例について解説します。チャットボットを導入したい・すでに活用しているチャットボットの応答精度を上げたいと考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。
そもそもチャットボットとは?その種類や概要を解説
チャットボットとは、人と対話するかのように自動的に応答するプログラムです。コールセンターや企業サイトのFAQなど、カスタマーサポートの分野で主に利用されています。ここでは、チャットボットの主な種類とその特徴について見ていきましょう。
シナリオ型チャットボット
シナリオ型チャットボットは、あらかじめ定められたシナリオや選択肢に基づいてユーザーとの対話を行います。これらのボットは、特定の質問に対してあらかじめ準備された回答だけを答えることに特化しているため、柔軟な会話や未知の質問への適応はできません。たとえば、よくある質問への回答や、単純なタスク指示などに用いられます。
そのシンプルさから、初期コストや維持コストが比較的低い点がメリットです。しかし、学習機能がないため、人工無能と揶揄されることも。より幅広い回答をしてほしい場合には向いていないチャットボットです。
定形型AIチャットボット
定形型AIチャットボットは、自然言語処理技術を用いたより高度な会話が可能です。ユーザーが入力した内容を理解し、事前に準備された回答のなかから関連するものを探し出して返答します。そのため、複雑な質問や要求にも柔軟な対応が可能です。
たとえば、AppleのSiriやAmazonのAlexaなどがこのタイプに分類されます。ただし、回答内容はあらかじめ用意したテンプレートのみであるため、個別のケースに完全に対応することはできません。
生成AIチャットボット
生成AIチャットボットは、さらに発展した自然言語処理の技術が使われているため、テンプレートではない新たな回答を自ら生成する能力を持っています。ユーザーからのさまざまな質問やコメントに対して、その場で適切な回答を作り出すことが可能です。
柔軟な会話ができるため、複雑な質問への回答・さまざまなシチュエーションに合わせた応答を行うことができます。
生成AIチャットボットの要・LLM(大規模言語モデル)とは
生成AIチャットボットの核となるのがLLM(Large Language Models、大規模言語モデル)です。これは従来のAIモデルと異なり、巨大なテキストデータセットから言語の使用パターンを学習し、新しい文を生成できる言語モデルとなっています。
従来のAIモデルは、特定のデータに基づいた分類や回帰分析を行うことしかできませんでしたが、LLMは文脈を理解したうえで柔軟なテキストの生成が可能です。
なお、LLMについて詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。
→大規模言語モデル(LLM)とは?仕組みや代表例、サービス、できることを紹介
生成AI搭載型のチャットボットにしかできないこと
従来型のチャットボットには多くの強みがあります。
- ユーザーからの問い合わせに対し、迅速に回答ができる
- あらかじめ決められた答えを出すため、回答の質が担保できる
- 人間が対応する必要がなくなり、人件費削減につながる
しかし、生成AIを搭載することでさらに2点進化しました。
- テンプレートにない質問への回答
- 過去のやり取りの学習
ここでは、生成AI搭載型のチャットボットならではの強みについて解説します。
テンプレートにない質問への回答
生成AIは、従来型では対応が難しかったテンプレートにない質問にも、その場で適切な回答を生み出すことが可能です。大量のデータにもとづいた高度な言語理解能力により、抽象的な質問・特定のジャンルに偏ったコメントなどに対しても適切な応答ができます。
より人間らしい会話をおこなえるため、ユーザーとしても気軽に使いやすい点も生成AI搭載型チャットボットの大きな魅力です。
過去のやり取りの学習
生成AIは過去の対話を記憶して学習するため、ユーザーの質問傾向や回答の好みを把握し、より個別化された対応ができます。たとえば、ユーザーが過去に特定のサービスや製品に関して質問していた場合、チャットボットがその情報を記憶し、次回の対話で関連する新しい情報を回答することも可能です。
これにより、ユーザーニーズの把握と対応を自動でおこなえるため、効率的にユーザーの満足度を向上させることができます。
なお、AIチャットボットについて詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。
→AIチャットボットとは?仕組みやできることをAIエンジニアが徹底解説
生成AI搭載型のチャットボットの注意点
生成AI搭載型のチャットボットには多くのメリットがありますが、気をつけなければならないリスクも存在します。ここでは生成AI搭載型チャットボットで注意すべき3つの点について見ていきましょう。
敵対的プロンプト
敵対的プロンプトとは、悪意のあるユーザーがチャットボットを使って不適切な内容を生成させるリスクを指します。たとえば、犯罪の方法を尋ねたり、フィッシングメールの文案を作成させたりするなどです。
また、AIに社内の機密情報を不正に流出させる質問をする「プロンプトインジェクション」もあります。このようなリスクを防ぐためにも、敵対的プロンプトの種類や特徴を理解し、不適切な内容に対するフィルター・ブロック機能を設けるなどの対策をおこないましょう。
参考記事:敵対的プロンプト(Adversarial Prompting) | Prompt Engineering Guide
ハルシネーション
ハルシネーションとは、AIが誤った情報や存在しない事実を生成してしまう現象です。AIは膨大なデータをもとに応答を生成しますが、そのなかにある不正確なデータや誤解を招く情報を拾ってしまうとこのような現象が生じます。
これを防ぐためには、チャットボットが使用するデータソースの質を管理することや、AIの回答を正しい方向へ導く「知識生成プロンプティング」手法などが有効です。
コンプライアンス・倫理に反する回答
生成AI搭載型のチャットボットは、コンプライアンスや倫理に反する回答を生成する場合があります。これは、AIが不適切なデータセットから学習したり、敵対的プロンプトにより使用できない単語などを無理やり生成させたりすることが原因です。
これを防ぐためには、チャットボットのトレーニングデータの品質を高め、敵対的プロンプトを防ぐフィルタリングを設けるなどの対策が必要です。
生成AIチャットボット導入事例3選
ここでは、企業や行政のチャットボット導入事例をご紹介します。チャットボットの導入によってどのような結果がもたらされるのか、自社導入をイメージする際にぜひ参考にしてください。
事例①SMBCグループ
三井住友フィナンシャルグループは、ChatGPTを活用した独自のAIアシスタントツール「SMBC-GAI」を開発しました。
「SMBC-GAI」は、Microsoft Teamsの中に組み込まれチャットボット形式で社内全体に展開し、2秒に1回使用されるツールとして重用されています。SMBCグループ専用環境上のみで動作し、文章の作成、要約、翻訳、ソースコード生成など多岐にわたる業務を支援し、従業員の生産性向上を図ります。
参考記事:SMBCグループが独自に生み出したAIアシスタント「SMBC-GAI」開発秘話 | DX-link(ディークロスリンク)
事例②パナソニックコネクト
パナソニック コネクト株式会社は、OpenAIの大規模言語モデルをベースに開発した社内用AIアシスタントサービス「ConnectAI」の機能を拡張し、業務での活用を目的とした試験運用を開始しました。ConnectAIの運用を開始して3カ月経過した時点での利用回数は、1日5000回以上にのぼります。
従来3時間かかっていた「プログラミング業務におけるコーディング前の事前調査」が5分で完了したり、従来9時間かかっていた「社員を対象としたミーティングのアンケート分析」が6分まで短縮されたりと、業務効率化に大きく貢献しています。
参考記事:パナソニック コネクトが社内用AIアシスタントを機能拡張、10月以降にカスタマーサポート業務での活用へ
事例③京都市
京都市は、子育て施策に関する制度や手続きの問い合わせに対応するため、24時間365日サービスを提供する生成AIチャットボットを導入しました。
利用者からの自由入力されたテキストや選択肢を基に、子育て施策に関する行政サービスの手続きや制度に関する利用者からの問い合わせに対して、AIが最も適切と考えられる回答を自動的に表示します。対話形式でAIとやりとりをしながら、必要な回答を導くことが可能です。
このサービスにより、利用者は時間や場所に制限されずに、簡単かつ迅速に子育てに関する支援を受けられるようになりました。
参考記事:京都市:京都市AIチャットボットについて
なお、自社専用ボットの作り方について詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。
→【ChatGPT搭載】自社専用ボットの作り方3選!徹底検証
生成AIチャットボットが作れる国内のおすすめサービス5選
ここでは、生成AIチャットボットを作成できる国内のおすすめサービスを5つご紹介します。
無料でチャットボットを試せるトライアルを実施しているサービスや、初期費用がかからないサービスもありますのでぜひ参考にしてください。
hitobo
「hitobo」は、問い合わせ対応履歴からQ&Aを自動生成するのが特徴のAIチャットボットサービスです。メールやチャットなどの履歴を読み込ませるだけなので、簡単かつ素早くチャットボットを作ることができます。すでに言語学習済みのAIを搭載しているため表記ゆれに強く、未知の単語にも対応しやすいのもメリットです。
また、Q&Aの改善提案を自動でおこなう機能や、ダッシュボードで問合せを閲覧する機能など、人間が対応する部分のUIも充実しています。
開発会社 | アディッシュ株式会社 |
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特徴 | メール・チャットの履歴からQ&AやAIチャットボットを自動で生成 |
機能 | Q&A自動生成・管理、AIチャットボット、分析・レポート、FAQページ作成機能など |
料金プラン | 要問合せ※30日間無料トライアル有り |
サイト | https://hitobo.io/ |
Dialog Play
「Dialog Play」はTIS株式会社が提供するAI搭載型チャットボット作成サービスです。基幹システム・経費精算システム・勤怠システムのデータや各部門が持つ情報を統合してAIが学習し、自動的に問合せ内容から的確な答えを返すことができます。問合せ部門と各事業部門間での情報共有の仲介役をDX化するともいえるでしょう。
ノーコードで簡単に改善できるだけでなく、音声対話やTeams・Slack・LINEなどとの連携、分析レポート機能なども備えており、とても使いやすくなっています。
開発会社 | TIS株式会社(TIS Inc.) |
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特徴 | 対話型のUIで使いやすく、改善もノーコードで簡単 |
機能 | API・フロントチャネルとの連携、FAQ作成レコメンド、シナリオ作成自動化、分析レポートなど |
料金プラン | 要問合せ※30日間無料トライアル有り |
サイト | https://www.tis.jp/service_solution/dialogplay/ |
SmartRobot
「SmartRobot」は、台湾のインツミット株式会社が開発するAIチャットボットサービスです。Azure OpenAI Serviceを用いることで、ChatGPTの言語モデル技術をセキュリティに活用することができます。回答元とする組織内の文書ファイルをアップロードするだけでQ&Aが自動生成されるので、とても簡単にAIチャットボットを始めることが可能です。
セキュリティ機能の高さもあり、台湾では導入実績500社以上あり、主要銀行の80%が利用しているなど、とても人気のあるサービスとなっています。
開発会社 | インツミット株式会社 |
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特徴 | Azure OpenAI Serviceを活用したセキュアな運用が可能 |
機能 | Excelファイルインポート、各種SNS・Webページ・外部システムとの連携、分析レポート自動生成など |
料金プラン | 要問合せ |
サイト | https://www.ndensan.co.jp/smartrobot/ |
KARAKURI
「KARAKURI」は、カラクリ株式会社により提供されるAIチャットボットサービスです。AIチャットボット満足度No.1に選ばれたこのサービスは、生成AIと定型AIを組み合わせたハイブリッド型で運用されているのが特徴となっています。
このツールは、精度の高いAIチャットボットによって顧客の自己解決を促進するだけでなく、チャットボットで解決できない場合は有人チャットへスムーズに連携も可能です。UIがわかりやすく簡単な設定でFAQサイトの構築ができることから、多くの企業に導入されています。
開発会社 | カラクリ株式会社 |
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特徴 | 直感的に操作でき、柔軟にカスタマイズ可能。カスタマーサポートも充実 |
機能 | AIチャットボット、FAQとの一元管理、有人チャットツールなど |
料金プラン | 要問合せ |
サイト | https://karakuri.ai/ |
ChatPlus
「ChatPlus」は、アプリやホームページなどにチャットボットを埋め込むことができるサービスです。2023年11月には、ChatGPTを開発したOpenAIが提供する「GPT-4 Turbo」との連携機能をリリースして話題となりました。GPT-4 Turboは2023年4月までのデータを学習しているため、新しい情報もカバーしたAIチャットボットが利用可能になります。
初期費用0円・月額費用1,500円〜という導入のしやすさも魅力です。10,000社以上の導入実績があるため、様々な業界に対応するテンプレートを提供しており、誰でもすぐにAIチャットボットを作成・運用できます。
開発会社 | チャットプラス株式会社 |
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特徴 | 5,000種類以上のさまざまな機能が常にアップデート。10,000社以上の導入実績あり |
機能 | AI会話機能、シナリオ設定、Excel管理、レポート・データ分析、有人チャット、外部サービス・API連携、IPアクセス制限など |
料金プラン | 初期費用:0円 月額費用:1,500円〜 各種オプション:月額2,500円〜 |
サイト | https://chatplus.jp/ |
弊社のチャットボット開発について
弊社「株式会社WEEL」でも、生成AIチャットボットのPoC開発を承っております。貴社のご要望をお伺いしたうえで、業界特化型の生成AIチャットボットの開発が可能です。お問い合わせの自動対応であれば、工数のうち90%まで削減が目指せますよ。
なお弊社は「日本一透明性の高いAIプロフェッショナル集団」を目標と掲げており、初回知見共有・開発相談につきましては、無料とさせていただいております。この無料相談では、たとえば……
● 既製品を超える精度をだすための学習手法
● 無料で使える業務用AIツール
● 貴社のデータを資産に変える手段
といったIT業界のタブーまで、忖度なくお伝えしていく所存です!
開発会社 | 株式会社WEEL |
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特徴 | AWS様を含むセミナー経験 & 月間130万PV超えのメディア運営実績アリ!IT業界のタブーに切り込むナレッジまで共有 |
機能 | 業界特化知識を学習済み、営業判断、予定確認、メール文章生成、API連携、etc. |
料金プラン | 知見共有・開発相談:無料 開発費用:月額¥1,200,000〜(期間は2〜4ヶ月) |
サイト | https://weel.co.jp/company/service/ai-service |
なお、AIチャットボットの作り方について詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。
→AIチャットボットの作り方は?自社開発とツール活用の場合に分けて徹底解説!
生成AIチャットボットを活用しよう
この記事では、生成AI搭載型のチャットボットについて解説しました。
チャットボットにはシナリオ型・定形型AI・生成AIなどさまざまな種類がありますが、とくに生成AIチャットボットはLLMを活用した高度な応答能力を持っています。より人間らしい応答ができる生成AIを利用することでユーザーの満足度を大きく向上させることができるでしょう。
敵対的プロンプトやハルシネーション、倫理的な問題などのリスクに注意しつつ、生成AI搭載型のチャットボットを活用してみてください。
最後に
いかがだったでしょうか?
弊社では
・マーケティングやエンジニアリングなどの専門知識を学習させたAI社員の開発
・要件定義・業務フロー作成を80%自動化できる自律型AIエージェントの開発
・生成AIとRPAを組み合わせた業務自動化ツールの開発
・社内人事業務を99%自動化できるAIツールの開発
・ハルシネーション対策AIツールの開発
・自社専用のAIチャットボットの開発
などの開発実績がございます。
まずは、「無料相談」にてご相談を承っておりますので、ご興味がある方はぜひご連絡ください。
➡︎生成AIを使った業務効率化、生成AIツールの開発について相談をしてみる。
「生成AIを社内で活用したい」「生成AIの事業をやっていきたい」という方に向けて、生成AI社内セミナー・勉強会をさせていただいております。
セミナー内容や料金については、ご相談ください。
また、サービス紹介資料もご用意しておりますので、併せてご確認ください。