AI開発環境とは?種類・選び方とおすすめツール5選を徹底解説

AI開発環境 とは 種類 選び方 おすすめ ツール 5選 徹底 解説
押さえておきたいポイント
  • AI開発環境は「ローカル・クラウド・ノーコード」から目的に合わせて選ぶのが基本
  • クラウド環境ならGPUのない普通のPCでもブラウザだけでAI開発を始められる
  • セキュリティ重視ならローカル、手軽さ重視ならクラウドと使い分けるのがコツ

AI開発環境とは、機械学習や生成AIのモデルを開発・実行するためのハードウェアやソフトウェア、クラウドサービス一式のことです。

総務省が公表している「令和元年版情報通信白書」によると、生成AIを「積極的に活用している」または「活用予定がある」と回答した国内企業は49.7%にのぼります(2024年度調査)。

近年では、ノーコードツールやAIツールが普及してきたこともあり、自社でAI開発を行えるのも要因の1つとして考えられるでしょう。実際、システム開発のサポートを行っている弊社のもとにも、多くの企業様からご相談をいただいております。

ただし、AIの開発をしたいが、開発の流れや必要な環境がわからないという方も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、AI開発環境の種類や選び方、開発の流れ、おすすめツール5選までをわかりやすく解説します。最後まで読んだ方は、AI開発に必要な流れや環境を理解し、自社の業務にAIを組み込むことで業務の生産性や売上を向上させることができます!

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目次

AI開発環境とは?

AI開発環境とは?

AI開発環境とは、機械学習や生成AIのモデルを開発・学習・運用するために必要な、ハードウェア・ソフトウェア・クラウドサービスなどをまとめた基盤のことです。計算処理を担うGPUなどの機材、開発言語のPythonやフレームワーク、そして実際に手を動かす開発ツール一式がこれにあたります。

環境の整え方しだいで、開発のスピードやコスト、扱えるデータの規模は大きく変わります。まずは「自分のPCで動かすのか、それともクラウドを使うのか」という大きな選択肢があることを押さえておきましょう。

AI開発環境の種類

AI開発環境は、大きく分けて次の4種類があります。それぞれ特徴や向いているケースが異なるので、まずは全体像をつかみましょう。

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種類特徴メリット向いているケース代表的なサービス・ツール
ローカル環境(自分のPC・社内サーバー)手元の機材に開発環境を構築するデータを外部に出さずに使える・月額費用がかからない機密データを扱う・長期間使い続けるPython+Anaconda、Docker
クラウド環境(AWS・GCP・Azure)クラウド上のGPUやサービスを借りて開発する高性能GPUをすぐ使える・構築の手間が少ない大規模な開発・リソースを柔軟に増減したいVertex AI、Amazon SageMaker、Azure Machine Learning
ブラウザ完結型ブラウザだけでコードを書いて実行できる環境構築が不要・無料枠でGPUも使えるまず手軽に試したい・学習用途Google Colab、Google AI Studio
ノーコード・ローコード環境GUI操作中心でコードをほぼ書かずに開発するプログラミング知識が少なくても使える現場主導ですばやく検証したいNeural Network Console、Create ML
AI開発環境の種類と特徴の比較

4種類のなかでも、まずはブラウザ完結型やクラウドで気軽に試してみて、扱うデータや規模が決まってからローカルやハイブリッドを検討するのがおすすめです。いきなり高価なGPUをそろえる必要はありません。

AI開発環境の選び方

どのAI開発環境が最適かは、何を重視するかで変わってくるでしょう。そこで、こちらでは目的別に、ローカルとクラウドのどちらを選ぶべきかを早見表で整理しておきましょう。

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こんな目的・お悩みおすすめの環境ワンポイント
まずは無料でAI開発を試したいクラウド(ブラウザ完結型)Google Colabなら登録だけでGPUも試せる
大規模・高精度なモデルを本格開発したいクラウド(GPU)/ハイブリッド必要なときだけ高性能GPUを借りてコストを最適化
社外に出せない機密データを扱いたいローカル(社内サーバー)データを外部に送らずセキュリティを確保しやすい
自社の仕様に合わせて細かく作り込みたいローカル/ハイブリッド自由に構成できるぶん、運用の手間は増える
プログラミングなしで現場主導で進めたいノーコード・ローコードGUIで試作し、本格化したらクラウドへ移行
チーム全員で同じ環境を再現したいクラウド/Dockerで標準化環境差による「動かない」を防げる
目的別・AI開発環境の選び方 早見表

迷ったときは「データを社外に出せるか」で考えると判断しやすいです。出せるならクラウド、出せないならローカルを起点に検討しましょう。

AI開発のフロー

AI開発は、おおまかに目的を決める→環境を選ぶ→環境を構築する→運用・改善するという4ステップで進みます。特に環境の構築手順は、ローカルとクラウドで流れが異なります。まずは全体像を確認しましょう。

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ステップやることポイント
①目的を明確にするAIで解決したい課題・ゴールを決める費用対効果を数値で見積もる
②開発環境を選ぶローカルかクラウドかを決める手軽さ重視ならクラウド、機密重視ならローカル
③環境を構築する選んだ環境にツールやライブラリを用意するローカルとクラウドで手順が異なる
④運用・改善する学習・評価を行い、本番運用後も精度を改善する小さく試してから本格運用へ
AI開発環境を構築する4ステップ

4ステップのうち、つまずきやすいのは②の環境選びです。前述の早見表とあわせて、自社の目的に合う環境をここで固めておきましょう。

STEP

目的を明確にする:解決したい課題から逆算する

最初に「AIで何を解決したいのか」を具体的に決めます。ここが曖昧だと、導入後に成果が出ず、コストだけがかかってしまいます。「問い合わせ対応を半分に減らす」のように、できるだけ数値で目標を立てましょう。

STEP

開発する環境を選ぶ:ローカルかクラウドか

次に、開発する環境を選びます。手軽さやコストを重視するならクラウド、機密データやカスタマイズ性を重視するならローカルが向いています。詳しくは前述の「AI開発環境の選び方」を参考にしてください。

STEP

環境を構築する

ローカル環境の場合

自分のPCや社内サーバーで開発する場合は、次の流れで進めます。

  1. Pythonをインストールする
  2. 仮想環境を作り、有効化する
  3. TensorFlowやPyTorchなど必要なライブラリを入れる
  4. データを学習させ、精度を評価する

環境を自由に作り込める反面、GPUなどの機材は自分で用意する必要があります。

クラウド環境の場合

クラウドを使う場合は、機材を用意せずに開発を始められます

  1. クラウドサービス(Google ColabやGoogle Cloudなど)に登録する
  2. ノートブックや仮想マシンを起動する
  3. ブラウザ上でコードを書き、学習・評価を行う
  4. 完成したモデルを公開・運用する

高性能なGPUを必要なときだけ借りられるため、初期費用を抑えやすいのが魅力です。

STEP

運用・改善する:精度を高め続ける

開発したAIは、社内システムと連携して本番運用します。運用後もデータの追加学習やチューニングを行い、精度を改善し続けることが大切です。最近のクラウドサービスには自動でチューニングを支援する機能もあり、運用後の精度管理がしやすくなっています。

おすすめのAI開発ツール5選

AI開発ツールには、コードを書いて開発する「フレームワーク」、ブラウザだけで使える「クラウド型」、コードをほぼ書かない「GUI(ノーコード)」があります。こちらでは、無料で始められて初心者にも扱いやすい5つを厳選して紹介します。

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サービス名種類特徴料金体系
scikit-learnフレームワークPythonで使える定番の機械学習ライブラリ。分類・回帰・予測に強い無料(OSS)
TensorFlowフレームワークGoogle発のディープラーニング基盤。研究で人気のPyTorchと並ぶ2大フレームワーク無料(OSS)
Google Colabクラウド(ブラウザ完結型)ブラウザだけでPythonを実行。無料枠でGPUも使える入門の定番無料〜(Pro 月11.99ドル)
Create MLGUI(ノーコード)Apple製。Mac上で画像・音声・テキスト識別モデルをGUIで作成できる無料(Xcodeに付属)
Neural Network ConsoleGUI(ノーコード)Sony製。ドラッグ&ドロップでニューラルネットワークを設計できるWindows版は無料/クラウド版は従量課金
おすすめのAI開発ツール5選 比較表

5つとも無料で始められるのが嬉しいポイントです。迷ったら、環境構築なしで試せるGoogle Colabから触ってみるのがおすすめです。

生成AIを使ったツール開発について知りたい方はこちらをご覧ください。

scikit-learn

参考:https://scikit-learn.org/stable/
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サービス名scikit-learn
機能・特徴Pythonを使用して機械学習が行えるAI開発ツール。さまざまな機械学習のアルゴリズムをクラスとして用意している。
料金体系無料
日本語対応なし
サイトhttps://scikit-learn.org/stable/
scikit-learnの概要

scikit-learnは、Pythonを使用して機械学習が行えるオープンソースAI開発ツール(フレームワーク)です。さまざまな機械学習のアルゴリズムがクラスとして用意されているいわば「AI開発の七つ道具」で、AI開発初心者でも手軽に機械学習が試せます。

分類や回帰といった処理を得意としているので、スパム検出や画像認識、株価を予測するツールを開発する際におすすめのツールです。

TensorFlow

参考:https://www.tensorflow.org/?hl=ja
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サービス名TensorFlow
機能・特徴TensorFlowはGoogleが開発したオープンソースのAI開発ツール。多次元のデータ構造をスムーズに処理することが可能で、画像認識や音声認識システムの開発が行える。
料金体系無料
日本語対応あり
サイトhttps://www.tensorflow.org/?hl=ja
TensorFlowの概要

TensorFlowはGoogleが開発したオープンソースのAI開発ツール(Python用ライブラリ)です。多次元のデータ構造をスムーズに処理することが可能で、画像認識や音声認識システムの開発が行えます。

また、オープンソースで提供されているのでツールを利用するのに費用もかかりません。さまざまなフレームワークが用意されているため、構成要素を繋ぎ合わせるだけでもモデルを作成できます。

Google Colab

Google Colabの公式サイト
参考:https://colab.research.google.com/
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サービス名Google Colab
種類クラウド(ブラウザ完結型)
特徴ブラウザだけでPythonを実行できるGoogleの開発環境。無料枠でGPUも使える
料金無料〜(Pro 月11.99ドル、Pro+ 月49.99ドル)
公式サイトhttps://colab.research.google.com/
Google Colabの概要

Google Colabは、ブラウザだけでPythonを実行できるGoogleのクラウド開発環境です。面倒な環境構築が不要で、無料枠でもGPUを使えるため、AI開発の入門に最適です。

書いたコードはGoogleドライブに自動保存され、URLを共有すればチームでの共同作業も簡単。最近はGeminiを使ったコード補完なども追加され、初心者からプロまで幅広く使われています。

Create ML

参考:https://developer.apple.com/jp/machine-learning/create-ml/
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サービス名Create ML
機能・特徴Appleが開発したMac向けのAI開発ツール。画像識別・音声識別・テキスト識別など、さまざまな機械学習モデルから選択してAI開発が行える。
料金体系無料(Xcodeに付属)
日本語対応あり
サイトhttps://developer.apple.com/jp/machine-learning/create-ml/
Create MLの概要

Appleが開発したMac向けのAI開発ツールです。画像識別・音声識別・テキスト識別など、さまざまな機械学習モデルから選択してAI開発が行えます。

また、MacのCPUや外付けGPUを使用してAI開発を高速化できるのも特徴。iPhoneのカメラとMacのマイクによるContinuity機能を使用し、モデルをプレビューすることも可能です。

Neural Network Console

参考:https://dl.sony.com/ja/
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サービス名Neural Network Console
機能・特徴SONYが開発したAI開発ツール。コーディング無しのドラッグ&ドロップで、簡単にニューラルネットワークを設計できる。
料金体系Windows版は無料/クラウド版は無料枠+従量課金
(最新の時間単価は公式サイトを確認)
日本語対応あり
サイトhttps://dl.sony.com/ja/
Neural Network Consoleの概要

Neural Network Consoleは、SONYが開発したAI開発ツールです。コーディング無しのドラッグ&ドロップで、簡単にニューラルネットワークを設計できます。

また、豊富なライブラリが用意されているので、学習済みのAIモデルを活用できるのも魅力です。画像認識や画像生成を活用したシステムを手軽に開発したい方は、ぜひチェックしてみてください。

おすすめのAI開発ツールを他にも検討したい方は、以下の記事もご覧ください。

AI開発環境の活用事例

実際に企業は、AI開発環境をどのように活用しているのでしょうか。ここからは、公式に発表されている事例をご紹介します。

三菱重工業:Vertex AIで需要予測を月40時間から約10分に短縮

三菱重工業は、航空機製造で使うシール材の需要予測に、Google Cloudのクラウド型AI開発環境「Vertex AI」を活用しました。従来は月40時間かかっていた予測の算出を約10分にまで短縮し、廃棄量の削減にもつなげているそうです。高価な機材を自前で持たずに、クラウドの開発環境でAIを内製した好例ですね。※1

デンソー:Amazon SageMakerで学習時間を3日から3時間に短縮

自動車部品大手のデンソーは、画像認識AIの開発基盤をオンプレミスからクラウドの「Amazon SageMaker」へ移行しました。学習ジョブの並列化などにより、これまで3日かかっていた学習を3時間にまで短縮したそうです。クラウドのAI開発環境で、開発のスピードと効率を大きく高めた事例です。※2

マネーフォワード:AIエディタ「Cursor」でテスト作成時間を70%削減

マネーフォワードは、AIを活用した開発環境としてAIコードエディタ「Cursor」を導入し、Cursorの公式活用事例に日本企業として初めて選ばれました。エンジニアだけでなくQAなど幅広い職種で活用し、テストケースの作成時間を70%削減するなどの成果を上げています。※3

AI開発の際の注意点

AIの開発を進めるときは、まず社内のデータ管理やセキュリティ体制をしっかり整えておきましょう。作業を始める前に、個人情報や機密データが混ざっていないかを丁寧に確認することが大切です。

クラウドサービスを利用する場合は、利用規約やデータの保管場所にも目を通しておくと良いでしょう。「大事な情報が外に漏れないか?」という視点を常に持ちながら進めるのがポイントです。

開発環境やAIのプログラムは、思わぬ動きをすることがあります。いきなり本番環境で動かすのではなく、まずはテスト環境で試して、安全に使えることを確認してから導入するようにしましょう。

よくある質問

AI開発に興味がある方の中には、「どんなものを準備すれば始められるのだろう」と悩む方も多いでしょう。ここでは、初めての方が知っておきたい基本のポイントをまとめました。

GPUは必須ですか?

絶対ではありませんが、あると圧倒的に便利です。AIの学習には膨大な計算が必要なので、GPUを使えば処理がぐっと速くなります。CPUだけでも動作しますが、時間がかかる場合があります。

商用利用は可能ですか?

多くのAI開発ツールは、個人でも企業でも利用できます。ただし、商用利用には有料プランが必要な場合もあるので、利用規約を確認しておきましょう

開発中に行き詰まったらどうすればいいですか?

公式サイトのフォーラムやコミュニティ、SNSなどで質問するのがおすすめです。同じ悩みを経験した人から、具体的なアドバイスをもらえることもあります。

AI開発環境はクラウドとローカル、どちらを選べばよいですか?

目的によって異なります。手軽さやコストを重視するならクラウド、機密データの保護やカスタマイズ性を重視するならローカルがおすすめです。

初心者におすすめのAI開発環境はどれですか?

まずはGoogle Colabがおすすめです。ブラウザだけで使えて環境構築が不要なうえ、無料でGPUも試せます。

生成AIの開発環境は無料で始められますか?

はい、始められます。Google ColabやTensorFlow、scikit-learnなど無料のツールだけでも開発をスタートできます

AI開発の環境を整えて業務を効率化しよう

AI開発環境は、ローカル・クラウド・ノーコードなど、目的に合わせて選ぶことが大切でしょう。手軽に始めたいならGoogle Colabのようなクラウド環境、機密データを扱うならローカル環境と、自社の状況に合わせて使い分けましょう。

開発は「目的の明確化→環境の選択→構築→運用」の流れで進めて、まずは小さく試してから本格化するのがおすすめです。本記事で紹介したツールも参考に、自社に合ったAI開発環境を整え、業務の効率化につなげてください。

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最後に

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参考記事
tamura

監修者田村 洋樹

株式会社WEELの代表取締役として、AI導入支援や生成AIを活用した業務改革を中心に、アドバイザリー・プロジェクトマネジメント・講演活動など多面的な立場で企業を支援している。

これまでに累計25社以上のAIアドバイザリーを担当し、企業向けセミナーや大学講義を通じて、のべ10,000人を超える受講者に対して実践的な知見を提供。上場企業や国立大学などでの登壇実績も多く、日本HP主催「HP Future Ready AI Conference 2024」や、インテル主催「Intel Connection Japan 2024」など、業界を代表するカンファレンスにも登壇している。

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